四半期報告書-第18期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 16:07
【資料】
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【項目】
33項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され、社会経済活動が正常化に向かう中で、個人消費など一部に持ち直しの動きも見られております。
しかしながら、先行きについては、新たな変異株による感染の動向やその影響、供給面での制約など下振れリスクも懸念されており、なお不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域であるインターネット関連市場は、第5世代移動通信システムの商用化が始まり、今後の新たな市場の創生と拡大への期待が高まっております。また、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う自粛により、社会経済活動は制限される一方で、自宅からのインターネットの利用頻度や時間は顕著に高まっております。また、社会のデジタル化やエンタテインメントの分野をはじめとした各種サービスのデジタル活用も急速に進んでおります。
こうしたテクノロジーの進化や新たなビジネス、サービスの創出は加速しており、事業環境は目まぐるしく変化しております。
音楽やアーティスト関連の市場では、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの、一部に回復の兆しも見えております。2021年(上半期)の音楽ソフト(オーディオレコード及び音楽ビデオ合計)の生産金額は880億円(前年同期比5.8%増)、音楽配信の販売金額が438億円(前年同期比5.5%増)となりました(出所:一般社団法人日本レコード協会)。自宅等でのストリーミングサービスの利用の増加により、音楽配信が引き続き拡大するとともに、大きく減少していた音楽ソフトの市場も増加に転じております。
ライブ、コンサート市場は、新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きく、多くのライブ、コンサートが開催の自粛により中止、延期となったことから、2020年の公演回数は43,372回(前年同期比68.1%減)、収容人数制限の影響により動員数は1,480万人(前年同期比82.1%減)となり、これにより市場規模は1,106億円(前年同期比82.4%減)となりました(出所:ライブ・エンタテインメント調査委員会)。足下の状況としては、イベント開催制限の緩和に伴い、十分に感染症対策を講じた上でライブ、コンサートを再開する動きも見られ始めており、徐々にではあるものの公演回数、動員数ともに増加してきております。
音楽市場の中でも特にライブ、コンサートを筆頭とした従来からのエンタテインメントのフォーマットにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響がより大きく見られました。その一方で、有料のライブ配信やサブスクリプション型のストリーミングが普及、拡大し、デジタルシフトが急速に進むなど事業環境は変化しており、それらを的確に捉え、競争力を維持、向上させていくことがより重要となってきております。
このような外部環境の中、当社グループでは、アーティストを中心としたエンタテインメント全般を事業領域とし、ファンクラブサイトを事業の軸に据えファンという強固な事業基盤を構築し、電子チケットやeコマース、キャラクター、音楽などの多岐にわたるデジタルコンテンツの配信など複合的な事業展開をしてまいりました。
加えて、エンタテインメントのデジタル化、DX化など事業環境の変化に対応すべく、ライブ及びVR配信やファンクラブのプラットフォーム化、NFTなど今後の成長分野での新たな事業領域の開拓と、新規サービスを通じた顧客接点の強化による収益の拡大も推進してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は10,019百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は1,379百万円(前年同期比51.2%増)、経常利益は1,458百万円(前年同期比52.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は844百万円(前年同期比50.1%増)となりました。

セグメントごとの概要は、以下のとおりであります。
1)コンテンツ事業
a.コンテンツ事業に係るファンクラブ・ファンサイト事業等
コンテンツ事業では、主にスマートフォン向けにファンクラブサイト運営や各種デジタルコンテンツ配信、動画サービス、アプリの提供などを行っております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症によるライブやコンサートの開催自粛の影響から、ファンクラブ/ファンサイトの会員数に減少が見られていたものの、ライブ、コンサートが徐々に再開されるに伴い、会員数は下げ止まりから上昇に転じております。加えて、新規ファンクラブ/ファンサイトの開設と新規会員の獲得が順調に進んだことから、全体の会員数は増加させることができました。
動画視聴専用アプリ「FanStream」や、VRでのライブ生配信や様々なVR映像コンテンツを提供する「VR MODE」を通じたライブ配信も継続し、新型コロナウイルス感染症の影響により音楽ライブやイベントが開催できない状況へと対応したライブコンテンツの提供も行ってまいりました。
前期より開始したファンクラブ/ファンサイトのポータルメディア「Fanpla」や、ファンクラブのプラットフォーム「Fanpla Kit」の普及、利用拡大もすすめるとともに、オンラインサロン「Fanpla Rooms」、ファンクラブ向けのオンラインくじ「Fanpla Chance」の新規サービスの提供も開始いたしました。加えて、クラウドファンディングやNFTなど新たなサービス展開の準備も推進してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるコンテンツ事業に係るファンクラブ・ファンサイト事業等の売上高は7,634百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
b.コンテンツ事業に係るEC事業
EC事業につきましては、主に当社グループの運営するファンクラブサイト等を通じて、アーティストグッズとCD、DVD及びブルーレイといった音楽映像商品の販売を行っております。
当第3四半期連結累計期間においては、緊急事態宣言や自粛に伴い巣ごもり需要が増加したこと、アーティストグッズ等の販売がライブやコンサート等の会場からECへとデジタルシフトが進んだことから、EC事業の収益基盤も拡大しており、アーティストのオンラインストア等を積極的に開設してまいりました。上期においては、新型コロナウイルス感染症の影響により中止や延期となったコンサートグッズのEC販売という特需が剥落し、商品の取り扱いも減少しておりましたが、ライブやコンサートの再開に伴い、第3四半期には商品の取り扱いは増加してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるEC事業の売上高は724百万円(前年同期比12.4%減)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるコンテンツ事業全体の売上高は8,359百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は1,449百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
2)電子チケット事業
電子チケット事業は、電子チケット及びチケットトレード、並びにそれらに付随する各種サービスからの収益により構成されております。音楽のライブはもちろんのこと、プロ野球やフィギアスケートといったスポーツ、遊園地などのレジャー施設まで幅広く電子チケットサービスを提供しております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、非接触による精度の高い顔パス入場システムやワクチン・検査パッケージの導入など新たな取り組みを行ってまいりました。いまだ新型コロナウイルス感染症の影響は残り、電子チケット及びチケットトレードに関連する収益は低調な水準が続いているものの、徐々に有観客でのライブ、イベントは増加しつつあり、電子チケットの発券枚数やチケットのトレード数は想定以上に推移するなど、マーケットシェアを拡大させることができました。
また、ライブと連動する施策として展開する、アーティストのサイン入りのグッズなどの商品を提供するオンラインくじ「くじプラ」についても、キャッシュレス決済への対応などにより順調に販売を拡大させることができました。
加えて、ライブの生配信やオンライン配信の視聴パスを販売するプラットフォーム「StreamPass」や、安心安全な1on1イベントを実現するライブトークアプリ「Meet Pass ライブトーク」などの提供により、収益の確保に努めてまいりました。
電子チケット周辺領域のサービスといたしましては、プロ野球等のカードコレクションアプリにおいて、新たに1球団のサービスを提供開始するなど、販売は堅調に増加させることができました。
今後もカードコレクションアプリのスポーツ以外への横展開やNFTなどのさらなる付加価値の提供により、選手カードを中心に周辺領域でのビジネスも拡大させていくことを計画しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるチケット事業の売上高は1,596百万円(前年同期比68.7%増)、セグメント利益は318百万円(前年同四半期は129百万円の損失)となりました。
3)その他事業
その他事業には、上記2つのセグメントに属さない連結子会社の収益等が計上されており、主にキャラクターグッズやアパレル、出版、プロダクション業務などが含まれております。
当第3四半期連結累計期間におきましても、将来の収益獲得に向けた事業育成を行うとともに、アニメ作品の公式オンラインストアの運営、受託などを行い、売上高は62百万円(前年同期比51.3%増)、セグメント利益は9百万円(前年同四半期は0.4百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は13,828百万円(前連結会計年度末比17.6%増)となりました。
流動資産は9,549百万円(同26.1%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金5,985百万円(同26.3%増)、売掛金2,004百万円(同40.0%増)となっております。
固定資産は4,278百万円(同2.1%増)となりました。主な内訳は、投資有価証券1,629百万円(同4.5%減)、有形固定資産1,109百万円(同46.0%増)、のれん600百万円(同21.4%減)となっております。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は8,265百万円(前連結会計年度末比16.4%増)となりました。主な内訳は、買掛金3,960百万円(同42.0%増)、未払金1,689百万円(同65.8%増)、前受金1,192百万円(同35.8%増)、預り金996百万円(同26.4%減)であります。
固定負債は169百万円(同16.3%減)となりました。主な内訳は繰延税金負債121百万円(同21.9%減)であります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は5,393百万円(前連結会計年度末比21.1%増)となりました。主な内訳は、資本金313百万円(同0.9%増)、資本剰余金3,684百万円(0.1%減)、利益剰余金1,685百万円(同60.9%増)、その他有価証券評価差額金△398百万円(同32.4%減)であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当第3四半期連結累計期間中に生じた新たな対処すべき課題もありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。