四半期報告書-第5期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/02/14 12:55
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【項目】
29項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、あらゆるコンテンツの価値を高めるプラットフォーマーとしての飛躍を目指し、出版から総合メディア企業を目指す㈱KADOKAWAのIP創出力と、ネットとリアルの融合を目指すIT企業㈱ドワンゴの創造性を結集しながら、魅力あるコンテンツをあらゆるメディアにマルチ展開させて収益を最大化させるメディアミックス戦略を積極展開しております。
当第3四半期連結累計期間における各セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
出版事業の売上高は848億61百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益(営業利益)は55億82百万円(前年同期比46.8%増)となりました。出版事業の収益構成は、電子書籍・電子雑誌販売、書籍、雑誌の販売、版権販売、海外拠点売上等により多様化しており、主に電子書籍・電子雑誌販売が牽引し、業績は好調に推移しております。
電子書籍・電子雑誌では、当社グループの総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」の8周年キャンペーンの実施などの施策で販売が引き続き好調に推移しており、また外販事業は、当連結会計年度より新たな外部電子書籍ストアに許諾を開始し、販売を加速させております。9月には「ニコニコ書籍」アプリと「BOOK☆WALKER」アプリを統合しました。それにより、MAU(月間アクティブユーザー)が底上げされ、作品の品揃えが拡大し、1ユーザーあたりの購入金額が上昇しております。グローバル戦略を推し進めるため平成27年10月にグランドオープンした「BOOK☆WALKER Global」や平成28年2月にオープンした「台湾BOOK☆WALKER」も高い成長を維持しております。
書籍では、コミックスの「よつばと!(14)」「ダンジョン飯(6)」「乙嫁語り(11)」といった大型作品や「オーバーロード」「殺戮の天使」シリーズが好調に推移しております。ライトノベルは、市場が停滞している中で新たなヒットシリーズの創出、育成に注力しております。「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」といった人気シリーズが引き続き堅調に推移しております。一般書は、「まんがで楽しく学ぶ」をコンセプトに小学生向けに立ち上げた学習まんが「日本の歴史」や「どっちが強い!?」が多くの読者から支持を得ており、収益貢献しております。また「世界一かんたん定番年賀状 2019」などの年賀状素材集も収益貢献しました。メディアミックス関連では、アニメ「盾の勇者の成り上がり」の関連書籍、映画「ラプラスの魔女」「ビブリア古書堂の事件手帖」の原作本、映画「未来のミライ」関連本が好調に推移しております。また、版権販売では主に遊技機向けの権利許諾が収益貢献しました。書籍はメディアミックス展開の重要な源泉の一つであり、ヒット作創出のため年間5,000点の新刊を発行する予定です。なお、2020年4月にフル稼働を予定している最新鋭の製造・物流拠点においては、工場建設やシステム整備等がスケジュール通り順調に進捗しており、一部の文庫やライトノベルにおいて、デジタル印刷による商業生産を開始しました。
雑誌では、地域情報誌「Walker」シリーズ、ライフスタイル誌「レタスクラブ」等ではWebメディアとの連動によるビジネスモデルの転換を進めており、Webメディアのページビューや広告収入の増加等の成果につなげてまいります。テレビ情報メディア「ザテレビジョン」については、お正月特大号の販売や「ザテレビジョンWeb」が好調に推移しました。刊行計画や発行部数の見直し等で雑誌販売は減少しておりますが、実売率の改善により収支は好転の兆しを見せております。
映像・ゲーム事業の売上高は339億51百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益(営業利益)は25億18百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
映像では、「STEINS;GATEゼロ」「やがて君になる」「殺戮の天使」等の海外ライセンス販売が収益に貢献いたしました。また、アニメの配信収入や「Re:ゼロから始める異世界生活」等の商品化許諾による収益貢献があり、国内外問わず豊富なIPを活用したビジネス展開を拡大させております。㈱ムービーウォーカーの展開するデジタル映画前売券サービス「ムビチケ」も好調に推移し収益貢献しております。
ゲームでは、「DARK SOULS REMASTERED」が国内外で引き続き好調に推移し、パッケージ販売だけでなく、海外ロイヤリティ収入も収益貢献しました。また、「METAL MAX Xeno」「コナン アウトキャスト」等のパッケージゲーム、歴代アーマード・コアシリーズのBGMを収録したCD集「ARMORED CORE ORIGINAL SOUNDTRACK 20th ANNIVERSARY BOX」、平成27年3月発売の「Bloodborne」や平成28年3月発売の「DARK SOULS Ⅲ」の海外ロイヤリティ収入が引き続き好調でした。
一方、㈱ドワンゴが11月に提供開始した位置情報ゲームアプリ「テクテクテクテク」においては、収益貢献が期待値を大幅に下回ったことから、アプリ開発費を一括費用化しました。
Webサービス事業の売上高は199億59百万円(前年同期比10.6%減)、セグメント損失(営業損失)は7億円(前年同期 営業利益1億39百万円)となりました。
ポータルでは、日本最大級の動画プラットフォームである「niconico」における「ニコニコプレミアム会員」の サービス収入を柱とし、ウェブサイト上のバナー等の広告、有料動画等の関連収益を計上しております。「niconico」においては、回線の増強や画質の向上を中心とした動画・生放送サービスの視聴環境改善を進め、6月から新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)を提供しております。「ニコニコプレミアム会員」は減少傾向が続いており、当第3四半期末には188万人となりましたが、新しい生放送アプリ「nicocas」(iOS/Android版)のリリース、生放送番組にアイテムを贈ることで配信者を支援することができる「ギフト」の導入、VRコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」のリリース等サービス拡充に努めております。
10月には、㈱ドワンゴと㈱S-courtが共同開発した、だれでも簡単にVTuberになって生放送配信が出来るスマートフォンアプリ「カスタムキャスト」の配信が開始され、配信後11日間で100万ダウンロード(iOS/Android版の総ダウンロード数)を記録しました。また、同アプリ内で12月よりコスチュームパーツや配信用ポーズを購入できるショップ機能も開始しました。VR事業領域において収益を確保すべく、今後も積極的な施策を打ち出してまいります。
11月には「テクテクテクテク」、12月には“人工生命”の観察・育成アプリ「ARTILIFE」を提供開始しました。「テクテクテクテク」は、アプリ提供開始直後から積極的なプロモーション等を行いユーザー数の拡大に努めてきましたが、当四半期においては想定を大きく下回る推移となっており、減益要因となりました。
ライブでは、競合する他の動画サービスとの差別化を図るべく、「ネットとリアルの融合」をテーマに各種ライブイベントの企画・運営、ライブハウス「ニコファーレ」の運営等を行っております。4月に開催した「ニコニコ超会議2018」の2日間の会場来場者数は過去最高の16万1,277人を記録、インターネット視聴者数は612万1,170人となりました。8月に開催した世界最大のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2018 “OK!”」は3日間で8万1千人を集め、収益貢献しました。
モバイルでは、シングル楽曲/着うた®等の配信を行う総合エンタテインメントサイト「dwango.jp(ドワンゴ ジェイピー)」や、アニメ総合ポータルサイト「animelo」からの収益を計上しております。有料会員数は減少しておりますが、引き続き、外注費や広告宣伝費等の固定費削減に努めており、収益性を維持しております。
その他事業の売上高は160億68百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント損失(営業損失)は18億2百万円(前年同期 営業損失4億61百万円)となりました。
その他事業では、ネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育プログラムの提供や、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール運営を行う教育事業、キャラクター商品の企画・制作・販売やアイドルCDのeコマース等のMD(物販)事業を行っております。また、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用が計上されております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高1,521億2百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益31億83百万円(前年同期比8.2%増)、経常利益43億71百万円(前年同期比26.5%増)となりました。
また㈱ドワンゴにおいて、事業計画に対する進捗が当初計画を大きく下回る推移となり、今後の業績見通し等を踏まえて検討した結果、同社が保有する固定資産の減損損失37億99百万円を特別損失に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は21億69百万円(前年同期 親会社株主に帰属する四半期純利益17億5百万円)となりました。
なお、当社は平成31年2月13日開催の取締役会において、平成31年4月1日付で子会社管理事業の一部を会社分割により㈱KADOKAWAへ承継させ、㈱ドワンゴ、㈱Gzブレイン、㈱大百科ニュース社を㈱KADOKAWAの完全子会社とすることを決議いたしました。
この再編は、当社グループのさらなる融合を図り㈱ドワンゴの新たな創業を成すための体制を整えることがグループ全体の喫緊の経営課題であると認識し、この経営課題に対処すべくグループ経営体制を速やかに刷新することが、企業価値向上実現に不可欠であるとの判断に至ったことによるものです。
今後は、㈱KADOKAWA主導のもと、㈱ドワンゴの技術力と膨大なユーザー基盤のグループ全体での活用を加速するとともに経営資源の最適配分を進め、グループとして強固な経営基盤を確立し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指してまいります。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて30億29百万円減少し、2,368億52百万円となりました。長期借入れによる収入があったものの、自己株式の取得並びに支払手形及び買掛金の支払等により現金及び預金が減少し、減損損失の計上等により固定資産が減少しました。
負債は、前連結会計年度末に比べて12億73百万円増加し、1,320億26百万円となりました。長期借入金が増加した一方で、支払手形及び買掛金並びに未払金が減少しました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて43億2百万円減少し、1,048億26百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したこと及び配当金の支払等により利益剰余金が減少し、さらに自己株式の取得により株主資本が減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の計上等により、31億64百万円の収入(前年同期は13億55百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等により、68億78百万円の支出(前年同期は80億35百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、自己株式の取得及び配当金の支払等により、8億11百万円の支出(前年同期は57億93百万円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて44億51百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、629億55百万円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、主に映像・ゲーム事業におけるパッケージゲーム開発等において研究開発をしております。当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1億円であります。