四半期報告書-第8期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/11 12:00
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従来の方法に比べて、当第1四半期連結累計期間の売上高は27億43百万円減少しております。なお、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益に与える影響は軽微であります。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
また、文中の前年同期比較については、収益認識会計基準等の適用前の前年同期実績を用いております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、書籍、実写映像、アニメ、ゲーム、及びUGC(User Generated Content)プラットフォーム等を通じて多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス」の推進を基本戦略としております。
当第1四半期連結累計期間における業績は、売上高520億34百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益58億69百万円(前年同期比63.9%増)、経常利益61億44百万円(前年同期比59.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益40億23百万円(前年同期比63.9%増)となりました。
当第1四半期連結累計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。
[出版事業]
出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
当第1四半期連結累計期間は、書籍市場全体が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた前年から回復していることに加え、当社においては新刊の制作が順調に進捗していることや、前年に引き続き返品率が大幅に良化していることが収益貢献しました。また、『魔力の胎動』(一般文庫)、『異世界居酒屋「のぶ」(12)』(コミックス)、『パンどろぼう』(児童書)、『31番目のお妃様(3)』(コミックス)等の販売が好調に推移しました。海外事業では、特に北米においてコミックス、ライトノベルを中心として順調に成長しています。
電子書籍・電子雑誌は、市場全体の高成長が継続していることに加え、映像化作品に対する需要の高まりや自社ストアであるBOOK☆WALKERにおける新規ユーザー数の増加により好調に推移し、前期から引き続き、四半期ベースで過去最高の売上高を更新いたしました。
この結果、当事業の売上高は321億29百万円(前年同期比9.8%増)、セグメント利益(営業利益)は53億87百万円(前年同期比151.3%増)となりました。
なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月に書籍製造ラインの稼働を一部開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っております。今後、製造能力の拡大に努めるとともに、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めております。
[映像事業]
映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
当第1四半期連結累計期間においては、アニメ『蜘蛛ですが、なにか?』『聖女の魔力は万能です』や実写映画『ヤクザと家族』『ファーストラヴ』の配信による収入に加え、『Re:ゼロから始める異世界生活』をはじめとした当社アニメIPの他社ゲームへの活用による権利許諾が引き続き収益貢献しました。またデジタル映画鑑賞券「ムビチケ」やスタジオ事業等では、一部で新型コロナウイルス感染症拡大による映画館休業の影響が見られたものの、前年の水準からは大幅に回復しています。
この結果、当事業の売上高は89億3百万円(前年同期比59.2%増)、セグメント利益(営業利益)は10億38百万円(前年同期 営業損失2億61百万円)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
当第1四半期連結累計期間においては、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』等、旧作のリピート販売に減速が見られました。また共同・受託開発事業では、新作を発売した前年からの反動と開発スケジュールの見直しにより減収となりました。
この結果、当事業の売上高は18億75百万円(前年同期比56.8%減)、セグメント損失(営業損失)は1億16百万円(前年同期 営業利益16億6百万円)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が6月末には148万人となり、前年3月末の153万人からは減少となっています。しかしながら、有料生放送や生放送番組にアイテムを贈る「ギフト」などの都度課金収益の拡大に努め、収益の多様化への取組みが収益に貢献しました。各種イベントの企画・運営では、4月開催の「ニコニコネット超会議2021」において一部リアルイベントも開催するなど好評を博し、売上が増加しました。
この結果、当事業の売上高は53億78百万円(前年同期比2.8%増)、セグメント利益(営業利益)は5億99百万円(前年同期比15.2%増)となりました。
[その他事業]
その他事業では、教育事業、キャラクターグッズ及びイベント参加券付CDの企画・販売等のMD事業、IP体験施設を運営するコトビジネス等を行っております。
教育事業においては、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツの提供を行う㈱ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移しました。また、クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでも前年に名古屋校を開校する等の積極的な投資の中で、売上、利益ともに引き続き成長しています。コトビジネスにおいては、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベント事業、飲食事業などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが2020年11月6日にグランドオープンし、売上に寄与しました。
この結果、当事業の売上高は54億55百万円(前年同期比24.7%増)、セグメント損失(営業損失)は4億91百万円(前年同期 営業損失3億71百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて60億68百万円減少し、2,635億80百万円となりました。これは主に未払金、配当金、法人税等及び賞与の支払い等により現金及び預金が減少し、さらに売上債権の回収等により受取手形及び売掛金が減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて77億46百万円減少し、1,323億77百万円となりました。これは主に未払金、未払法人税等及び賞与引当金等が減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて16億78百万円増加し、1,312億3百万円となりました。これは主に配当金の支払い等により利益剰余金が減少した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の計上等により、14億73百万円の収入(前年同期は18億30百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があった一方、定期預金の払い戻しによる収入があったこと等により、22億32百万円の収入(前年同期は16億99百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い(1株当たり20円増配)等により、28億82百万円の支出(前年同期は19億22百万円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて11億13百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、570億1百万円となりました。
当社グループの短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
また、複数の金融機関と総額150億円のコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。なお、当第1四半期連結会計期間末の借入実行残高はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、主にゲーム事業におけるパッケージゲーム開発等において研究開発をしております。当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は35百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であったところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)の書籍製造・物流工場のうち、製造工場については、当第1四半期連結累計期間に一部稼動開始しております。償却を開始した「建物及び構築物」「機械及び装置」「工具、器具及び備品」「ソフトウエア」の帳簿価額は、それぞれ26億84百万円、3億80百万円、6百万円、20百万円であります。