四半期報告書-第9期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/11/11 12:00
【資料】
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【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、さらにテクノロジーをより一層活用することで、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としております。
当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高1,226億39百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益132億37百万円(前年同期比33.2%増)、経常利益168億97百万円(前年同期比59.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益105億37百万円(前年同期比48.1%増)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。なお、成長・重点領域としての事業の重要性が今後さらに高まると見込んでいるため、第1四半期連結会計期間より、従来「その他」に含めておりました「教育」を報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
[出版事業]
出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間約5,000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、異世界ジャンルのコミック等、当社が得意とする作品を中心に他社ストア向け販売・自社ストア売上が好調に推移し、増収となりました。
書籍では、北米の戦略子会社であるYEN PRESS, LLCを中心とした海外事業における高成長が継続しました。国内では『20代で得た知見』(ノンフィクション)をはじめ、『オーバーロード(16)』(ライトノベル)、『ダンジョン飯(12)』、『大蛇に嫁いだ娘(2)』(コミック)等の販売が好調に推移したものの、市場全体の縮小が継続していることや新刊点数が前年同期比で減少したこと、また人気タイトルの権利許諾収入による貢献が大きかった前期からの反動があったこと等により、減収となりました。
費用面では、中長期的な成長を見据えたコンテンツや人材への積極投資や、国内の資材・印刷費、海外の物流費等が増加しました。
この結果、当事業の売上高は661億42百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益(営業利益)は57億32百万円(前年同期比38.9%減)となりました。
なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月より書籍製造ラインの稼働を開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っております。現在、製造ライン拡張を推進していることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めております。
[映像事業]
映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
アニメでは新作本数の増加に加え、『オーバーロードⅣ』や『盾の勇者の成り上がり』等の国内向け配信売上や海外向け売上が伸長し、力強く成長しました。実写映像では、増収となった一方で、一部の作品において一過性の評価減が発生しました。
この結果、当事業の売上高は189億53百万円(前年同期比16.7%増)、セグメント利益(営業利益)は60百万円(前年同期比94.1%減)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
記録的大ヒットとなったゲーム作品である『ELDEN RING』の海外向け出荷に関連する収益等が増収増益に大きく貢献しました。また、共同・受託開発事業や㈱スパイク・チュンソフトの新作も増収に貢献しています。
この結果、当事業の売上高は171億37百万円(前年同期比255.1%増)、セグメント利益(営業利益)は75億92百万円(前年同期比1,116.8%増)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には136万人となり、前年9月末からは減少となりましたが、動画にアイテムを贈る「ギフト」や広告等の伸長により増収となりました。各種イベントの企画・運営では、今後のクリエイター投稿とユーザー視聴のさらなる増加を企図した『ニコニコ超会議2022』をリアル会場でも開催しました。コロナ禍ながら9.6万人が来場したことにより、チケット・物販売上が増収に貢献しましたが、大規模開催のための費用増加により、全体では減益となりました。
この結果、当事業の売上高は115億48百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益(営業利益)は9億42百万円(前年同期比24.7%減)となりました。
[教育事業]
教育事業では、専門学校運営及びオンライン教育のための教育コンテンツ・システム提供等を行っております。
クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでは、ゲームクリエイターを多く輩出する「バンタンゲームアカデミー」をはじめ、前期の新コース設立や展開地域拡大等により引き続き生徒数が増加し、増収増益に貢献しました。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校でも生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツ・システムの提供を行う㈱ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は62億65百万円(前年同期比12.0%増)、セグメント利益(営業利益)は13億16百万円(前年同期比13.7%増)となりました。
[その他事業]
その他事業では、IP体験施設の運営、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っております。
IP体験施設の運営では、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベントホール、飲食店などの商業施設を展開するところざわサクラタウンにおけるイベントが好評を博し、レジ通過者数や来場者一人当たりの購買回数が直近四半期において過去最高を記録したことにより、増収となりました。MD事業においては、EC販売を中心に増収となりました。
この結果、当事業の売上高は75億65百万円(前年同期比32.4%増)、セグメント損失(営業損失)は17億88百万円(前年同期 営業損失21億22百万円)となりました。

東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー選考にかかり、当社役職員が贈賄の容疑で逮捕・起訴されました問題につきましては、関係するすべての皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけし、重ねて深くお詫び申し上げます。
当社取締役会は、2022年10月5日付で、取締役会長 会長執行役員の角川歴彦、並びに取締役副会長 副会長執行役員の松原眞樹の、会長職及び副会長職、並びに執行役員職の辞任の申し出を承認しました。また11月4日付で、角川歴彦の取締役辞任の申し出を代表取締役社長の夏野剛が受理しております。
なお、当社は2022年10月5日付で、利害関係を有しない外部の専門家を中心としたガバナンス検証委員会を設置しました。当委員会では、本件に関する事実関係の調査、本件を生じさせた当社のガバナンス、内部統制を含めた根本的な原因の究明に加え、再発防止策の提言を目的としております。その報告に基づいて、コンプライアンスの遵守、及びガバナンスの改善、強化に向けて取り組んでまいります。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて424億80百万円増加し、3,677億99百万円となりました。これは主に連結子会社における第三者割当増資により現金及び預金が増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて24億67百万円減少し、1,471億10百万円となりました。これは主に未払法人税等が増加した一方、未払金及び契約負債等が減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて449億47百万円増加し、2,206億88百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が増加したことや、連結子会社における第三者割当増資により資本剰余金及び非支配株主持分が増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益の計上等により、46億35百万円の収入(前年同期は44億2百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得や定期預金の預け入れ等により、115億71百万円の支出(前年同期は40億43百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社における第三者割当増資等により、313億97百万円の収入(前年同期は30億56百万円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて266億40百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、1,242億20百万円となりました。
当社グループの短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
また、複数の金融機関と総額150億円のコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。なお、当第2四半期連結会計期間末の借入実行残高はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、主にゲーム事業におけるパッケージゲーム開発等において研究開発をしております。当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は103百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。