四半期報告書-第10期第2四半期(2023/07/01-2023/09/30)

【提出】
2023/11/13 12:00
【資料】
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【項目】
42項目
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高1,242億7百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益86億4百万円(前年同期比35.0%減)、経常利益93億89百万円(前年同期比44.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益41億25百万円(前年同期比60.8%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。なお、当第2四半期連結会計期間より、従来「教育事業」としていた報告セグメントの名称を「教育・EdTech事業」に変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。
[出版事業]
出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,000タイトル以上の新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心とした販売が好調に推移し増収となりました。
書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続したこと等により、海外事業が減収となりました。国内では、新刊点数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったこと等により減収となりました。新刊では、『山田くんとLv999の恋をする(7)』、『気になってる人が男じゃなかった VOL.1』、『光が死んだ夏(3)』、『パンどろぼうとほっかほっカー』等の販売が売上高に貢献しました。また、ライセンス収入は増収となりました。
費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強、デジタル製造工場・新物流設備への投資等が増加しました。
この結果、当事業の売上高は663億12百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益(営業利益)は32億55百万円(前年同期比43.2%減)となりました。
なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上を目指し、文庫やライトノベル、新書、コミック等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行う書籍製造工場と新物流設備の稼働を開始しております。今後両設備の稼働率を高めることで、さらなる事業の効率性向上を実現してまいります。
[映像事業]
映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
アニメでは、『《推しの子》』(《》は隅付き括弧)や『この素晴らしい世界に爆焔を!』等、人気タイトルの国内外配信向けやゲーム・グッズ向けを中心としたライセンス収入が好調に推移し、力強く成長しました。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』の劇場収入をはじめ、同作の二次利用収入が売上高に貢献し増収となりました。
この結果、当事業の売上高は220億32百万円(前年同期比16.2%増)、セグメント利益(営業利益)は25億4百万円(前年同期比4,046.8%増)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
8月に発売した㈱フロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON』の国内の販売が好調に推移したことに加え、6月に発売した㈱スパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』も売上高に貢献したものの、前期の『ELDEN RING』の業績貢献が大きかった影響により、当事業の売上高は136億70百万円(前年同期比20.2%減)、セグメント利益(営業利益)は40億28百万円(前年同期比46.9%減)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には128万人となり、前年9月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことで減収となりました。利益面では、この減収影響に加え、「アニメ」、「ゲーム」等の注力ジャンルへのコンテンツ制作費や、ユーザー体験向上とコスト削減に向けたITインフラへの投資により、減益となりました。
この結果、当事業の売上高は110億円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益(営業利益)は6億48百万円(前年同期比31.1%減)となりました。
[教育・EdTech事業]
教育・EdTech事業では、専門校運営及びオンライン教育のための教育コンテンツ・システム提供等を行っております。
クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでは、ゲームクリエイターを多く輩出する「バンタンゲームアカデミー」など、グループシナジーが見込めるコースの展開地域拡大を中心とした生徒数増加により、増収となりました。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校等に教育コンテンツ・システムの提供を行う㈱ドワンゴは、同校の通学コース向け新キャンパス開設等による生徒数増加を受け、引き続き好調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は67億2百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益(営業利益)は11億67百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
[その他事業]
その他事業では、ところざわサクラタウン等のIP体験施設運営、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っております。
IP体験施設運営事業では増収となったことに加え、一部事業撤退の効果により営業利益も改善しました。MD事業では、フィギュアの売上拡大やオンラインくじでのグッズ販売が好調に推移し、成長をけん引しました。また、その他新規事業では一部サービスの拡大により増収となりました。
この結果、当事業の売上高は93億93百万円(前年同期比24.2%増)、セグメント損失(営業損失)は19億25百万円(前年同期 営業損失17億88百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて624億20百万円減少し、3,204億78百万円となりました。これは主に現金及び預金が減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて513億31百万円減少し、1,083億95百万円となりました。これは主に長期借入金を返済したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて110億88百万円減少し、2,120億83百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が減少し、さらに自己株式の取得により株主資本が減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益を計上したものの、棚卸資産の増加や契約負債の減少及び法人税等の支払い等により、29億53百万円の支出(前年同期は46億35百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預け入れや有形固定資産及び無形固定資産の取得等により、118億32百万円の支出(前年同期は115億71百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や自己株式の取得等により、607億79百万円の支出(前年同期は313億97百万円の収入)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて734億40百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、579億48百万円となりました。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を、保持すべき現預金水準として設定しております。
また、2028年3月期までの中期経営計画における財務基本方針として、財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、自己資本比率50~60%程度を今後も維持すべき適正水準として設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は中長期的に12%以上を目指すことを掲げております。
(3)経営方針・経営戦略等
当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTech事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、事業間連携によりIPのLTV(Life Time Value)の最大化を図り、さらに最新のテクノロジーを常に取り入れることで、IPを世界に広く展開する「グローバル・メディアミックス with Technology」を推進することを基本戦略としております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度を含む5か年の中期経営計画を新たに策定し、2028年3月期に売上高3,400億円(うち、海外売上高700億円)、営業利益340億円、EBITDA430億円を達成することを経営目標として掲げております。あわせて中長期的な目標として、ROE(自己資本利益率)12%以上を目指してまいります。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループでは、主にゲーム事業において新規ゲームの研究開発をしております。当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は138百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であったところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)の物流工場については、当第2四半期連結会計期間に稼働開始いたしました。償却を開始した「建物及び構築物」「機械及び装置」「工具、器具及び備品」「ソフトウエア」の帳簿価額は、それぞれ61億4百万円、26億70百万円、6百万円、8億73百万円であります。