半期報告書-第11期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2024/11/13 12:03
【資料】
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【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、「世界の才能と、感動をつなぐ、クリエイティブプラットフォーマーへ」をコーポレートミッションとして掲げ、出版・IP創出、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTech事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、事業間連携によりIPのLTV(Life Time Value)の最大化を図ることに加え、最新のテクノロジーを常に取り入れることで、IPを世界に広く展開する「グローバル・メディアミックス with Technology」の基本戦略を推進し、中長期的な成長及び企業価値の向上を目指しております。
当中間連結会計期間における業績は、売上高1,363億20百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益106億26百万円(前年同期比23.5%増)、経常利益97億71百万円(前年同期比4.1%増)となりました。なお、本年6月に発覚した当社グループデータセンター内サーバへのサイバー攻撃に係るニコニコサービスのクリエイター補償及び調査・復旧作業等を特別損失として約23億円計上したことにより、親会社株主に帰属する中間純利益は30億96百万円(前年同期比25.0%減)となりました。
当中間連結会計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。
[出版・IP創出事業]
出版・IP創出事業では、書籍・雑誌の出版・販売、電子書籍・電子雑誌の出版・販売、Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,500タイトル以上の新作を継続的に創出しております。それにより蓄積されたタイトルは130,000以上にのぼり、この豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心として国内自社ストア・他社ストア向け販売ともに好調に推移し大幅な売上伸長を実現しました。
書籍・雑誌は、アジアで好調が継続したことを主因として海外事業が増収となりました。国内では新規IP数が増加し『パンどろぼうとりんごかめん』(児童書)や『山田くんとLv999の恋をする(9)』、『陰の実力者になりたくて!(13)』(コミック)等の新刊販売が売上高に貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少により、減収となりました。また、ライセンス収入は遊技機向け等の貢献により増収となりました。
利益面では、サイバー攻撃による減益影響や、当事業の中長期的な成長を見据えた継続的な投資の中、電子書籍・電子雑誌やライセンス収入の伸長がセグメント全体の増益をけん引しました。
この結果、当事業の売上高は724億73百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益(営業利益)は43億57百万円(前年同期比33.8%増)となりました。
[アニメ・実写映像事業]
アニメ・実写映像事業では、アニメ及び実写映像の企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
アニメでは、『《推しの子》』(《》は隅付き括弧)2期や『ダンジョン飯』等の人気タイトルの海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前年同期をさらに上回る成長を実現しています。実写映像では、前期の劇場作品『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等の配信向けライセンス収入が貢献したことが増収をけん引しました。
利益面では、上記増収影響等により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は264億31百万円(前年同期比20.0%増)、セグメント利益(営業利益)は36億40百万円(前年同期比45.4%増)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
㈱フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内外の販売が好調に推移したことに加え、同作本編のリピート販売も増加に転じ、セグメント全体の業績を力強くけん引しました。
この結果、当事業の売上高は181億49百万円(前年同期比32.8%増)、セグメント利益(営業利益)は60億72百万円(前年同期比50.8%増)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
当中間連結会計期間においては、動画コミュニティサービスでサイバー攻撃によりニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となりました。
利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組み等が奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく、減益となりました。
この結果、当事業の売上高は83億29百万円(前年同期比24.3%減)、セグメント損失(営業損失)は10億7百万円(前年同期 営業利益6億48百万円)となりました。
[教育・EdTech事業]
教育・EdTech事業では、専門校運営及びインターネットによる通信制高校等向けの教育コンテンツ・システム提供等を行っております。
クリエイティブ分野の専門校を運営する㈱バンタンでは、4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となりました。また、㈱ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移しています。
利益面では、上記増収影響により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は76億58百万円(前年同期比14.3%増)、セグメント利益(営業利益)は14億47百万円(前年同期比24.0%増)となりました。
[その他事業]
その他事業では、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業及びところざわサクラタウン等の施設運営事業等を行っております。
MD事業では、フィギュアのラインナップが下期に偏重しているものの、海外でのグッズ売上が伸長したことにより売上高は横ばいとなりました。一方で、施設運営事業が減収となったことに加え、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退やグループ内のDXを担う機能子会社におけるセグメント間の内部取引の減少等の要因により減収となりました。
利益面では、MD事業が増益となったことに加え、施設運営事業では前期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより赤字幅が縮小しましたが、セグメント間の内部取引減少等の影響により、セグメント全体として減益となりました。
この結果、当事業の売上高は77億83百万円(前年同期比17.1%減)、セグメント損失(営業損失)は24億22百万円(前年同期 営業損失19億25百万円)となりました。

当社はサイバー攻撃に係る事案発生以降、影響を受けた事業活動の復旧に全力で取り組んでまいりました。この結果、出版・IP創出事業では、影響を受けていた既刊の出荷量が8月には平常時の水準に回復しております。また、Webサービス事業でも8月より複数の主要サービスを段階的に再稼働しており、9月以降は概ね全面的に復旧しています。
当社は引き続き、商品・サービスを安定的に提供するとともに、本事案によって受けた影響の早期の巻き返しを図り、事業の持続的な成長を目指してまいります。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて23億80百万円減少し、3,379億29百万円となりました。これは主に棚卸資産や売掛金が増加した一方、現金及び預金が減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて52億96百万円減少し、1,224億48百万円となりました。これは主に未払金及び契約負債が減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて29億15百万円増加し、2,154億81百万円となりました。これは主に配当金の支払により利益剰余金が減少した一方、親会社株主に帰属する中間純利益を計上したことにより利益剰余金が増加し、さらに非支配株主持分が増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益を計上したものの、棚卸資産の増加や法人税等の支払等により、27億65百万円の支出(前年同期は29億53百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等があった一方、定期預金の払戻及び投資有価証券の売却等により、28億47百万円の収入(前年同期は118億32百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、48億49百万円の支出(前年同期は607億79百万円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて54億48百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当中間期末残高は、743億92百万円となりました。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を、保持すべき現預金水準として設定しております。
また、2028年3月期までの中期経営計画における財務基本方針として、財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、自己資本比率50~60%程度を今後も維持すべき適正水準として設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は中長期的に12%以上を目指すことを掲げております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、主にゲーム事業において新規ゲームの研究開発をしております。当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は232百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。