四半期報告書-第8期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/10 12:00
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、従来の方法に比べて、当第3四半期連結累計期間の売上高は80億59百万円減少しております。なお、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益に与える影響は軽微であります。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
また、文中の前年同期比較については、収益認識会計基準等の適用前の前年同期実績を用いております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、書籍、実写映像、アニメ、ゲーム、及びUGC(User Generated Content)プラットフォーム等を通じて多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス」の推進を基本戦略としております。
当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高1,576億41百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益128億9百万円(前年同期比3.0%減)、経常利益141億69百万円(前年同期比5.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益95億70百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
当第3四半期連結累計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。
[出版事業]
出版事業では、書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間約5,000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
当第3四半期連結累計期間は、北米を中心とした海外事業が高成長を継続していることや、権利許諾収入の伸長、前年に引き続き返品率が良化していることが収益貢献しました。また、直木三十五賞を受賞した『テスカトリポカ』『黒牢城』(文芸単行本)をはじめ、『聖域』(ノンフィクション)、『パンどろぼう』(児童書)、『ファイブスター物語(16)』(コミックス)等の販売が好調に推移しました。
電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、当社が得意とする異世界ジャンルコミックス等が好調に推移していることや自社ストアであるBOOK☆WALKERにおけるユーザー数の増加、海外向け売上の順調な伸長により好調に推移しました。
雑誌は、前期より強化している休刊・デジタルシフトの取組みが功を奏し、収益性が改善しております。
この結果、当事業の売上高は977億6百万円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益(営業利益)は131億27百万円(前年同期比39.2%増)となりました。
なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月に書籍製造ラインの稼働を一部開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っております。現在、製造ラインの拡張に努めていることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めております。
[映像事業]
映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
実写映像では、映画『ヤクザと家族 The Family』、『ファーストラヴ』の配信が収益に貢献しました。また、デジタル映画鑑賞券「ムビチケ」やスタジオ事業等では、一部で新型コロナウイルス感染症拡大による映画館席数制限、時短営業の影響が見られたものの、前年の水準からは回復しております。
アニメにおいては、中国規制影響による一部アニメ作品の放映スケジュール変更や、製作費の増加等により減益となるも、国内では『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』、『聖女の魔力は万能です』等の配信による収入に加え、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『この素晴らしい世界に祝福を!』をはじめとした当社アニメIPの他社ゲームへの活用による権利許諾が引き続き業績に貢献しました。海外でも上記タイトルを中心としてアニメ配信、権利許諾収入が成長しており、増収に寄与しております。
この結果、当事業の売上高は247億38百万円(前年同期比10.2%増)、セグメント利益(営業利益)は13億98百万円(前年同期比39.6%減)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
当第3四半期連結累計期間においては、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』等、旧作のリピート販売が減少しました。また共同・受託開発事業では、大型作品を発売した前年からの反動と開発スケジュールの見直しにより減収となりました。
この結果、当事業の売上高は76億42百万円(前年同期比38.2%減)、セグメント利益(営業利益)は4億6百万円(前年同期比86.2%減)となりました。
なお、㈱フロム・ソフトウェアから期待の新作『ELDEN RING』が2022年2月25日に発売予定です。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が12月末には143万人となり、前年12月末からは減少となっております。しかしながら、ニコニコチャンネル、有料生放送、生放送番組・動画にアイテムを贈る「ギフト」、広告など収益源の多様化への取組みにより業績が従来よりも安定的に推移しております。各種イベントの企画・運営では、「Animelo Summer Live 2021」や「The VOCALOID Collection ~2021 Autumn~」を開催し、売上に貢献しました。
この結果、当事業の売上高は163億37百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益(営業利益)は20億14百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
[その他事業]
その他事業では、教育事業、IP体験施設を運営するコトビジネス、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っております。
教育事業においては、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツの提供を行う㈱ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移しました。また、クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでも新たに名古屋校を開校する等の積極的な投資の中で、売上、利益ともに引き続き成長しております。コトビジネスにおいては、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベントホール、飲食店などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが前期に新規開業し、売上に寄与しました。
この結果、当事業の売上高は168億58百万円(前年同期比32.4%増)、セグメント損失(営業損失)は20億92百万円(前年同期 営業損失29億94百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
①資産、負債、純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて407億65百万円増加し、3,104億14百万円となりました。これは主に第三者割当増資等により現金及び預金が増加したことや、保有株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて3億18百万円増加し、1,404億42百万円となりました。これは主に未払法人税等及び賞与引当金等が減少した一方で、預り金等が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて404億47百万円増加し、1,699億71百万円となりました。これは主に配当金の支払いがあった一方で、第三者割当増資等により株主資本が増加したことや、保有株式の株価上昇によりその他有価証券評価差額金が増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、賞与及び法人税等の支払があった一方、税金等調整前四半期純利益の計上等により、64億74百万円の収入(前年同期は60億78百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得や定期預金の預け入れ等により、69億42百万円の支出(前年同期は12億58百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い(1株当たり20円増配)があった一方、株式の発行による収入298億67百万円等により、267億68百万円の収入(前年同期は19億87百万円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて270億22百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、829億10百万円となりました。
当社グループの短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
また、複数の金融機関と総額150億円のコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。なお、当第3四半期連結会計期間末の借入実行残高はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当社グループでは、主にゲーム事業におけるパッケージゲーム開発等において研究開発をしております。当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は107百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であったところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)の書籍製造・物流工場のうち、製造工場については、当第3四半期連結累計期間に一部稼動開始しております。償却を開始した「建物及び構築物」「機械及び装置」「工具、器具及び備品」「ソフトウエア」の帳簿価額は、それぞれ26億95百万円、4億31百万円、6百万円、20百万円であります。