有価証券報告書-第11期(2024/04/01-2025/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績は、売上高2,779億15百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益166億51百万円(前年同期比9.8%減)、経常利益177億42百万円(前年同期比12.3%減)となりました。なお、昨年6月に発覚した当社グループデータセンター内サーバへのサイバー攻撃に係るニコニコサービスのクリエイター補償及び調査・復旧作業等を特別損失として24億13百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は73億92百万円(前年同期比35.1%減)となりました。
当連結会計年度における各セグメントの業績は、以下のとおりです。
[出版・IP創出事業]
出版・IP創出事業では、書籍・雑誌の出版・販売、電子書籍・電子雑誌の出版・販売、Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,500タイトル以上の新作を継続的に創出しております。それにより蓄積されたタイトルは130,000以上にのぼり、この豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
書籍・雑誌は、アジア及び米国での好調が継続したことを主因として海外事業が増収となりました。国内では新規IP数が増加し『パンどろぼうとりんごかめん』(児童書)や『よつばと!(16)』、『ファイブスター物語(18)』(コミック)等の新刊販売が貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少を主因として、減収となりました。一方で、電子書籍・電子雑誌が他社ストア向け販売を中心に好調に推移したことに加え、ライセンス収入は遊技機向け等の貢献により増収となりました。
利益面では、海外事業やライセンス収入において増益となった一方、サイバー攻撃の影響を含めた国内紙書籍事業の減益や当事業の中長期的な成長を見据えたIP創出機能の更なる強化のための継続投資等により、セグメント全体で減益となりました。
この結果、当事業の売上高は1,513億67百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益(営業利益)は83億72百万円(前年同期比19.2%減)となりました。
[アニメ・実写映像事業]
アニメ・実写映像事業では、アニメ及び実写映像の企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
アニメでは、『《推しの子》』(《》は隅付き括弧)2期や『Re:ゼロから始める異世界生活』3期をはじめとした人気シリーズの国内・海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前年同期をさらに上回る成長を実現しました。実写映像では、前年同期における劇場作品『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等の貢献が大きかったものの、それら劇場作品及び過去作品の配信向けライセンス収入の貢献等により、横ばいとなりました。
利益面では、上記アニメの増収影響等により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は510億92百万円(前年同期比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)は47億29百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
㈱フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内外の販売が好調に推移したことにより、同作本編のリピート販売も増加し、セグメント全体の業績を力強くけん引しました。
この結果、当事業の売上高は335億97百万円(前年同期比32.5%増)、セグメント利益(営業利益)は95億38百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
当連結会計年度においては、動画コミュニティサービスでサイバー攻撃によりニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となりました。
利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組み等が奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく、減益となりました。
この結果、当事業の売上高は180億38百万円(前年同期比15.7%減)、セグメント損失(営業損失)は9億98百万円(前年同期 営業利益3億62百万円)となりました。
[教育・EdTech事業]
教育・EdTech事業では、専門校運営及びインターネットによる通信制高校等向けの教育コンテンツ・システム提供等を行っております。
クリエイティブ分野の専門校を運営する㈱バンタンでは、昨年4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となりました。また、㈱ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移しています。
利益面では、上記増収影響により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は151億19百万円(前年同期比12.9%増)、セグメント利益(営業利益)は23億82百万円(前年同期比37.9%増)となりました。
[その他事業]
その他事業では、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業及びところざわサクラタウン等の施設運営事業等を行っております。
MD事業では海外でのグッズ売上やオンラインくじの好調等により、増収となりました。施設運営事業では全国主要都市で開催するIPイベントが好調に推移した一方で、大型のイベント運営受託があった前年同期から横ばいとなりました。またそれ以外の事業でも、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退やグループ内のDXを担う機能子会社におけるセグメント間の内部取引の減少等の影響が発生し、セグメント全体で減収となりました。
利益面では、MD事業が増収影響により増益となったことに加え、施設運営事業では前年同期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより収益が改善し、セグメント全体として赤字幅が縮小しました。
この結果、当事業の売上高は178億81百万円(前年同期比11.9%減)、セグメント損失(営業損失)は42億4百万円(前年同期 営業損失43億99百万円)となりました。
なお、当社は昨年6月のサイバー攻撃に係る影響発生以降、事業活動の復旧に全力で取り組んだ結果、出版・IP創出事業では、影響を受けていた既刊の出荷量が8月には平常時の水準に回復しました。また、Webサービス事業でも8月より複数の主要サービスが段階的に再稼働し、9月以降は概ね全面的に復旧しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払等があった一方、税金等調整前当期純利益の計上等により、138億41百万円の収入(前年同期は82億98百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻等があった一方、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等により、84億40百万円の支出(前年同期は34億94百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入等により、441億17百万円の収入(前年同期は658億円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて498億32百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、1,296億74百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」「収益認識に関する会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて697億18百万円増加し、4,100億29百万円となりました。これは主に第三者割当増資等により現金及び預金が増加したことや、保有株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて48億76百万円増加し、1,326億21百万円となりました。これは主に契約負債、支払手形及び買掛金が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて648億41百万円増加し、2,774億8百万円となりました。これは主に配当金の支払があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び第三者割当増資等により株主資本が増加したことによるものであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の算出は、以下の算式を使用しております。
2.上記各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(b)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資を目的とした資金需要の主なものは、出版・IP創出事業における自社電子書籍サイトの機能拡張及び教育・EdTech事業におけるシステム開発等によるものであります。
(c)財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を、保持すべき現預金水準として設定しております。
短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
また、2028年3月期までの中期経営計画における財務基本方針として、財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、自己資本比率50~60%程度を今後も維持すべき適正水準として設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は中長期的に12%以上を目指すことを掲げております。
なお、現金及び預金と有利子負債の推移は、以下のとおりであります。
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績は、売上高2,779億15百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益166億51百万円(前年同期比9.8%減)、経常利益177億42百万円(前年同期比12.3%減)となりました。なお、昨年6月に発覚した当社グループデータセンター内サーバへのサイバー攻撃に係るニコニコサービスのクリエイター補償及び調査・復旧作業等を特別損失として24億13百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は73億92百万円(前年同期比35.1%減)となりました。
当連結会計年度における各セグメントの業績は、以下のとおりです。
[出版・IP創出事業]
出版・IP創出事業では、書籍・雑誌の出版・販売、電子書籍・電子雑誌の出版・販売、Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,500タイトル以上の新作を継続的に創出しております。それにより蓄積されたタイトルは130,000以上にのぼり、この豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。
書籍・雑誌は、アジア及び米国での好調が継続したことを主因として海外事業が増収となりました。国内では新規IP数が増加し『パンどろぼうとりんごかめん』(児童書)や『よつばと!(16)』、『ファイブスター物語(18)』(コミック)等の新刊販売が貢献したものの、サイバー攻撃の影響を中心とした既刊の出荷減少を主因として、減収となりました。一方で、電子書籍・電子雑誌が他社ストア向け販売を中心に好調に推移したことに加え、ライセンス収入は遊技機向け等の貢献により増収となりました。
利益面では、海外事業やライセンス収入において増益となった一方、サイバー攻撃の影響を含めた国内紙書籍事業の減益や当事業の中長期的な成長を見据えたIP創出機能の更なる強化のための継続投資等により、セグメント全体で減益となりました。
この結果、当事業の売上高は1,513億67百万円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益(営業利益)は83億72百万円(前年同期比19.2%減)となりました。
[アニメ・実写映像事業]
アニメ・実写映像事業では、アニメ及び実写映像の企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。
アニメでは、『《推しの子》』(《》は隅付き括弧)2期や『Re:ゼロから始める異世界生活』3期をはじめとした人気シリーズの国内・海外配信向けやゲーム・グッズ向けライセンス収入を中心として、好調だった前年同期をさらに上回る成長を実現しました。実写映像では、前年同期における劇場作品『首』、『カラオケ行こ!』、『マッチング』等の貢献が大きかったものの、それら劇場作品及び過去作品の配信向けライセンス収入の貢献等により、横ばいとなりました。
利益面では、上記アニメの増収影響等により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は510億92百万円(前年同期比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)は47億29百万円(前年同期比3.4%増)となりました。
[ゲーム事業]
ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。
㈱フロム・ソフトウェアが発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の国内外の販売が好調に推移したことにより、同作本編のリピート販売も増加し、セグメント全体の業績を力強くけん引しました。
この結果、当事業の売上高は335億97百万円(前年同期比32.5%増)、セグメント利益(営業利益)は95億38百万円(前年同期比20.0%増)となりました。
[Webサービス事業]
Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。
当連結会計年度においては、動画コミュニティサービスでサイバー攻撃によりニコニコ関連サービス全般が停止した影響が大きく、セグメント全体として減収となりました。
利益面では、イベントの企画・運営でコスト適正化の取り組み等が奏功し収益性が改善した一方、動画コミュニティサービスでの減収影響が大きく、減益となりました。
この結果、当事業の売上高は180億38百万円(前年同期比15.7%減)、セグメント損失(営業損失)は9億98百万円(前年同期 営業利益3億62百万円)となりました。
[教育・EdTech事業]
教育・EdTech事業では、専門校運営及びインターネットによる通信制高校等向けの教育コンテンツ・システム提供等を行っております。
クリエイティブ分野の専門校を運営する㈱バンタンでは、昨年4月に開校した新スクール「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」等や展開地域拡大の貢献により生徒数が増加し、増収となりました。また、㈱ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加し、堅調に推移しています。
利益面では、上記増収影響により、セグメント全体で増益となりました。
この結果、当事業の売上高は151億19百万円(前年同期比12.9%増)、セグメント利益(営業利益)は23億82百万円(前年同期比37.9%増)となりました。
[その他事業]
その他事業では、キャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業及びところざわサクラタウン等の施設運営事業等を行っております。
MD事業では海外でのグッズ売上やオンラインくじの好調等により、増収となりました。施設運営事業では全国主要都市で開催するIPイベントが好調に推移した一方で、大型のイベント運営受託があった前年同期から横ばいとなりました。またそれ以外の事業でも、収益性に鑑みた一部商材の仕入販売撤退やグループ内のDXを担う機能子会社におけるセグメント間の内部取引の減少等の影響が発生し、セグメント全体で減収となりました。
利益面では、MD事業が増収影響により増益となったことに加え、施設運営事業では前年同期に実施した減損による償却費の減少や継続的なコストコントロールにより収益が改善し、セグメント全体として赤字幅が縮小しました。
この結果、当事業の売上高は178億81百万円(前年同期比11.9%減)、セグメント損失(営業損失)は42億4百万円(前年同期 営業損失43億99百万円)となりました。
なお、当社は昨年6月のサイバー攻撃に係る影響発生以降、事業活動の復旧に全力で取り組んだ結果、出版・IP創出事業では、影響を受けていた既刊の出荷量が8月には平常時の水準に回復しました。また、Webサービス事業でも8月より複数の主要サービスが段階的に再稼働し、9月以降は概ね全面的に復旧しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払等があった一方、税金等調整前当期純利益の計上等により、138億41百万円の収入(前年同期は82億98百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻等があった一方、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等により、84億40百万円の支出(前年同期は34億94百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入等により、441億17百万円の収入(前年同期は658億円の支出)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて498億32百万円の収入となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、1,296億74百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) | |
出版・IP創出事業 | (百万円) | 97,231 | 105.0 |
アニメ・実写映像事業 | (百万円) | 35,393 | 111.0 |
ゲーム事業 | (百万円) | 14,821 | 110.0 |
Webサービス事業 | (百万円) | 13,918 | 93.8 |
教育・EdTech事業 | (百万円) | 7,581 | 128.2 |
その他 | (百万円) | 14,831 | 91.8 |
合計 | (百万円) | 183,778 | 105.1 |
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) | |
出版・IP創出事業 | (百万円) | 151,367 | 106.6 |
アニメ・実写映像事業 | (百万円) | 51,092 | 110.9 |
ゲーム事業 | (百万円) | 33,597 | 132.5 |
Webサービス事業 | (百万円) | 18,038 | 84.3 |
教育・EdTech事業 | (百万円) | 15,119 | 112.9 |
その他 | (百万円) | 17,881 | 88.1 |
合計 | (百万円) | 287,096 | 106.9 |
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」「収益認識に関する会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて697億18百万円増加し、4,100億29百万円となりました。これは主に第三者割当増資等により現金及び預金が増加したことや、保有株式の株価上昇により投資有価証券が増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べて48億76百万円増加し、1,326億21百万円となりました。これは主に契約負債、支払手形及び買掛金が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて648億41百万円増加し、2,774億8百万円となりました。これは主に配当金の支払があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び第三者割当増資等により株主資本が増加したことによるものであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | 2025年 3月期 | |
自己資本比率 | 47.2% | 52.8% | 52.9% | 56.0% | 60.9% |
時価ベースの自己資本比率 | 102.7% | 137.8% | 102.8% | 104.8% | 127.0% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 4.2年 | 3.0年 | 3.8年 | 3.1年 | 2.0年 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 161.6倍 | 211.5倍 | 139.5倍 | 118.1倍 | 186.9倍 |
(注)1.各指標の算出は、以下の算式を使用しております。
自己資本比率 | :自己資本 ÷ 総資産 |
時価ベースの自己資本比率 | :株式時価総額 ÷ 総資産 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | :有利子負債 ÷ 営業キャッシュ・フロー |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い |
2.上記各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(b)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資を目的とした資金需要の主なものは、出版・IP創出事業における自社電子書籍サイトの機能拡張及び教育・EdTech事業におけるシステム開発等によるものであります。
(c)財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を、保持すべき現預金水準として設定しております。
短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
また、2028年3月期までの中期経営計画における財務基本方針として、財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、自己資本比率50~60%程度を今後も維持すべき適正水準として設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は中長期的に12%以上を目指すことを掲げております。
なお、現金及び預金と有利子負債の推移は、以下のとおりであります。
2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | 2025年 3月期 | |
現金及び預金 (百万円) | 79,042 | 123,931 | 167,219 | 105,351 | 145,494 |
有利子負債 (百万円) | 65,669 | 65,701 | 65,893 | 25,832 | 27,278 |
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。