有価証券報告書-第4期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、出版から総合メディア企業を目指す㈱KADOKAWAと、ネットとリアルの融合を目指すIT企業㈱ドワンゴの創造性を結集し、あらゆるコンテンツの価値を高めるプラットフォーマーとして、世界に類のない企業体への飛躍を目指しております。
日々新たなサービスが生まれ、競争環境が変化するインターネットサービス市場においては、高度な技術力に裏付けされた独創的なコミュニケーションの場を提供し、多様なユーザーニーズにお応えしております。リアルなイベントとの連携がユニークなカルチャーを創出し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が広がっていく中、出版、映像、ゲーム等の制作で積み上げてきた企画力、編集力等を駆使して魅力あるコンテンツを創造し、あらゆるメディアにマルチ展開させて収益を最大化させるメディアミックス戦略を積極展開しております。
コンテンツのデジタル化が加速する状況下、電子書籍や、アニメを中心とした海外での動画配信は需要が高まっております。高い競争力を持つコンテンツとネットワーク技術を最大限活用しながら、海外拠点での拡販や、日本のコンテンツのリアルな体験を提供するインバウンド関連事業など、新たなビジネスの創造をグローバルに図っております。また、デジタルネイティブ世代のニーズを探りながら、新たなインターネットサービスの投入準備を進めております。
既存の出版ビジネスにおいては、書籍を一部単位で高品質かつ低コストにオンデマンド印刷できる製造・物流一体の最新鋭工場(平成32年4月フル稼働予定)を建設して製造原価と返品率を低下させ、絶版を無くすことで価値を長期にわたって保存する、画期的な取り組みを進めております。
当連結会計年度における各セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
Webサービス事業の売上高は290億23百万円(前年同期比7.2%減)、セグメント損失(営業損失)は10億67百万円(前年同期 営業利益28億15百万円)となりました。
ポータルでは、日本最大級の動画プラットフォームである「niconico」における「ニコニコプレミアム会員」のサービス収入を柱とし、ウェブサイト上のバナー等の広告、有料動画等の関連収益を計上しております。期初には平成29年10月を予定していた「niconico」の新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)のリリースやスマートフォン向けの新サービスの投入が遅延するなかで「ニコニコプレミアム会員」は当連結会計年度末で207万人に減少しました。また、様々な最先端の機能の開発投資負担や既存サービスの改善費用負担が主な減益要因となりました。
ライブでは、競合する他の動画サービスとの差別化を図るべく、「ネットとリアルの融合」をテーマに各種ライブイベントの企画・運営、ライブハウス「ニコファーレ」の運営等を行っております。平成29年4月に開催した「ニコニコ超会議2017」の2日間の会場来場者数は15万4,601人と過去最高を記録、8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2017 -THE CARD-」には3日間で8万1千人を集め、インターネット文化やコンテンツの価値をリアルのイベントで共有することへの関心の高さを確認できました。平成30年2月に開催した「闘会議2018」には、7万2,425人が来場し盛り上がりを見せるなかで、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)よりジャパン・eスポーツ・プロライセンスが発行され、日本におけるeスポーツ発展の布石となりました。また、ニコニコ動画で人気のクリエイター陣が関わるNHN PlayArt㈱との共同プロジェクト「#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜」や人気動画配信者のライブツアー関連の事業が収益に貢献しております。
モバイルでは、シングル楽曲/着うた®などの配信を行う総合エンタテインメントサイト「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」や、アニメ総合ポータルサイト「animelo」からの収益を計上しております。有料会員数は減少しておりますが、外注費や広告宣伝費等の固定費削減に努め、年度を通じて収益性を維持しております。
出版事業の売上高は1,126億91百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は60億円(前年同期比28.1%減)となりました。
電子書籍・電子雑誌では、㈱NTTドコモが運営する雑誌読み放題サービス「dマガジン」、当社グループの総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」、他社の電子書籍ストアでの販売がいずれも好調で、出版業界の厳しい環境の下、成長が続きました。
書籍では、ライトノベル・コミックス分野での「Fate」「ソードアート・オンライン」「この素晴らしい世界に祝福を!」等のシリーズ作品の他に、文芸書では「西郷どん!」「ラプラスの魔女」等、児童書では「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」がヒットしました。ノンフィクション分野における新機軸のジャンルや語学・学習参考書・辞典分野の強化を進め、「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」や、23年ぶりの改訂となった「新字源」が多くの読者を獲得しました。しかしながら、平成32年4月のフル稼働に向けてテスト生産を始めている製造・物流一体の最新鋭工場や出版分野でのデジタル関連の新規事業の準備費用、前年同期に歴史的ヒットを記録したアニメ映画「君の名は。」関連書籍の反動により減益となりました。
雑誌では、創刊30周年を迎えて月刊化した「レタスクラブ」が好調で、地域情報誌、テレビ情報誌も堅調でした。販売や広告売上の減少が続く市場環境の下でWebメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を進めており、Webサイトのページビューや広告収入の増加といった成果につながっております。
映像・ゲーム事業の売上高は474億40百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益(営業利益)は28億74百万円(前年同期比13.2%減)となりました。
映像では、実写は、文芸書からの大型メディアミックス作品「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が売上に大きく貢献しました。アニメは、「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」の配給収入やパッケージソフト販売、「劇場版 艦これ」のパッケージソフト販売に加え、「Re:ゼロから始める異世界生活」「オーバーロードⅡ」「ソードアート・オンライン」のライセンス収入等、総じて好調でした。しかしながら、その他の実写作品の勢いが弱く、またアニメについても「君の名は。」から反動減もあり、減益となりました。
ゲームでは、アプリゲーム「天華百剣 -斬-」「結城友奈は勇者である 花結いのきらめき」やコンソールゲーム「DARK SOULSⅢ」が年度を通じて好調を維持し、また新作「ARK: Survival Evolved」のヒットや「ダンガンロンパ」シリーズを中心としたSteamでのキャンペーンの成功から、増収増益となりました。
その他事業の売上高は208億21百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント損失(営業損失)は13億56百万円(前年同期 営業損失16億35百万円)となりました。
その他事業では、ネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育プログラムの提供や、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール運営を行う教育事業、キャラクター商品の企画・制作・販売やアイドルCDのeコマース等のMD(物販)事業を主に行っております。東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32年を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用等が引き続き計上されておりますが、教育事業の貢献により、赤字が縮小しております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,067億85百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益31億44百万円(前年同期比62.6%減)、経常利益37億16百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億38百万円(前年同期比82.0%減)となりました。
なお、株主還元の充実及び資本効率の向上を図るため、平成29年8月24日開催の定時取締役会において平成29年12月29日までを対象期間、2,500千株、30億円をそれぞれ上限とする自己株式の取得を決議したことに伴い、2,281,400株、2,999,948,800円の取得を完了しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度末日が金融機関休業日であったため売上債権の回収額が減少した一方で、税金等調整前当期純利益や非資金項目の減価償却費の計上等により、16億8百万円の収入(前年同期は119億68百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預け入れや有形固定資産及び無形固定資産の取得等により、187億65百万円の支出(前年同期は103億94百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済及び自己株式の取得等により、64億21百万円の支出(前年同期は372億0百万円の収入)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて237億33百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、674億7百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、仕入原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注状況
当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて41億58百万円減少し、2,427億90百万円となりました。自己株式の取得、賞与の支払及び長期借入金の返済等により現金及び預金が減少しました。
負債は、前連結会計年度末に比べて15億62百万円減少し、1,336億62百万円となりました。支払手形及び買掛金並びに預り金が増加した一方で、賞与引当金が減少し、さらに返済により長期借入金も減少しました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて25億96百万円減少し、1,091億28百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加した一方で、配当金の支払等により資本剰余金が減少し、さらに自己株式の取得により株主資本が減少しました。
c.資本の財源及び資金の流動性
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の算出は、以下の算式を使用しております。
2.上記各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
6.設立第1期である平成27年3月期は、平成26年10月1日から平成27年3月31日までの6か月間であります。
(b)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資を目的とした資金需要の主なものは、Webサービス事業におけるインフラ強化やシステム開発費、出版事業における製造・物流工場の建設費、及び新規事業施設の建設費等によるものであります。
(c)財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
なお、現金及び預金と有利子負債の推移は、以下のとおりであります。
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、出版から総合メディア企業を目指す㈱KADOKAWAと、ネットとリアルの融合を目指すIT企業㈱ドワンゴの創造性を結集し、あらゆるコンテンツの価値を高めるプラットフォーマーとして、世界に類のない企業体への飛躍を目指しております。
日々新たなサービスが生まれ、競争環境が変化するインターネットサービス市場においては、高度な技術力に裏付けされた独創的なコミュニケーションの場を提供し、多様なユーザーニーズにお応えしております。リアルなイベントとの連携がユニークなカルチャーを創出し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が広がっていく中、出版、映像、ゲーム等の制作で積み上げてきた企画力、編集力等を駆使して魅力あるコンテンツを創造し、あらゆるメディアにマルチ展開させて収益を最大化させるメディアミックス戦略を積極展開しております。
コンテンツのデジタル化が加速する状況下、電子書籍や、アニメを中心とした海外での動画配信は需要が高まっております。高い競争力を持つコンテンツとネットワーク技術を最大限活用しながら、海外拠点での拡販や、日本のコンテンツのリアルな体験を提供するインバウンド関連事業など、新たなビジネスの創造をグローバルに図っております。また、デジタルネイティブ世代のニーズを探りながら、新たなインターネットサービスの投入準備を進めております。
既存の出版ビジネスにおいては、書籍を一部単位で高品質かつ低コストにオンデマンド印刷できる製造・物流一体の最新鋭工場(平成32年4月フル稼働予定)を建設して製造原価と返品率を低下させ、絶版を無くすことで価値を長期にわたって保存する、画期的な取り組みを進めております。
当連結会計年度における各セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
Webサービス事業の売上高は290億23百万円(前年同期比7.2%減)、セグメント損失(営業損失)は10億67百万円(前年同期 営業利益28億15百万円)となりました。
ポータルでは、日本最大級の動画プラットフォームである「niconico」における「ニコニコプレミアム会員」のサービス収入を柱とし、ウェブサイト上のバナー等の広告、有料動画等の関連収益を計上しております。期初には平成29年10月を予定していた「niconico」の新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)のリリースやスマートフォン向けの新サービスの投入が遅延するなかで「ニコニコプレミアム会員」は当連結会計年度末で207万人に減少しました。また、様々な最先端の機能の開発投資負担や既存サービスの改善費用負担が主な減益要因となりました。
ライブでは、競合する他の動画サービスとの差別化を図るべく、「ネットとリアルの融合」をテーマに各種ライブイベントの企画・運営、ライブハウス「ニコファーレ」の運営等を行っております。平成29年4月に開催した「ニコニコ超会議2017」の2日間の会場来場者数は15万4,601人と過去最高を記録、8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2017 -THE CARD-」には3日間で8万1千人を集め、インターネット文化やコンテンツの価値をリアルのイベントで共有することへの関心の高さを確認できました。平成30年2月に開催した「闘会議2018」には、7万2,425人が来場し盛り上がりを見せるなかで、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)よりジャパン・eスポーツ・プロライセンスが発行され、日本におけるeスポーツ発展の布石となりました。また、ニコニコ動画で人気のクリエイター陣が関わるNHN PlayArt㈱との共同プロジェクト「#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜」や人気動画配信者のライブツアー関連の事業が収益に貢献しております。
モバイルでは、シングル楽曲/着うた®などの配信を行う総合エンタテインメントサイト「dwango.jp(ドワンゴジェイピー)」や、アニメ総合ポータルサイト「animelo」からの収益を計上しております。有料会員数は減少しておりますが、外注費や広告宣伝費等の固定費削減に努め、年度を通じて収益性を維持しております。
出版事業の売上高は1,126億91百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益(営業利益)は60億円(前年同期比28.1%減)となりました。
電子書籍・電子雑誌では、㈱NTTドコモが運営する雑誌読み放題サービス「dマガジン」、当社グループの総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」、他社の電子書籍ストアでの販売がいずれも好調で、出版業界の厳しい環境の下、成長が続きました。
書籍では、ライトノベル・コミックス分野での「Fate」「ソードアート・オンライン」「この素晴らしい世界に祝福を!」等のシリーズ作品の他に、文芸書では「西郷どん!」「ラプラスの魔女」等、児童書では「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」がヒットしました。ノンフィクション分野における新機軸のジャンルや語学・学習参考書・辞典分野の強化を進め、「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」や、23年ぶりの改訂となった「新字源」が多くの読者を獲得しました。しかしながら、平成32年4月のフル稼働に向けてテスト生産を始めている製造・物流一体の最新鋭工場や出版分野でのデジタル関連の新規事業の準備費用、前年同期に歴史的ヒットを記録したアニメ映画「君の名は。」関連書籍の反動により減益となりました。
雑誌では、創刊30周年を迎えて月刊化した「レタスクラブ」が好調で、地域情報誌、テレビ情報誌も堅調でした。販売や広告売上の減少が続く市場環境の下でWebメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を進めており、Webサイトのページビューや広告収入の増加といった成果につながっております。
映像・ゲーム事業の売上高は474億40百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益(営業利益)は28億74百万円(前年同期比13.2%減)となりました。
映像では、実写は、文芸書からの大型メディアミックス作品「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が売上に大きく貢献しました。アニメは、「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」の配給収入やパッケージソフト販売、「劇場版 艦これ」のパッケージソフト販売に加え、「Re:ゼロから始める異世界生活」「オーバーロードⅡ」「ソードアート・オンライン」のライセンス収入等、総じて好調でした。しかしながら、その他の実写作品の勢いが弱く、またアニメについても「君の名は。」から反動減もあり、減益となりました。
ゲームでは、アプリゲーム「天華百剣 -斬-」「結城友奈は勇者である 花結いのきらめき」やコンソールゲーム「DARK SOULSⅢ」が年度を通じて好調を維持し、また新作「ARK: Survival Evolved」のヒットや「ダンガンロンパ」シリーズを中心としたSteamでのキャンペーンの成功から、増収増益となりました。
その他事業の売上高は208億21百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント損失(営業損失)は13億56百万円(前年同期 営業損失16億35百万円)となりました。
その他事業では、ネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育プログラムの提供や、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール運営を行う教育事業、キャラクター商品の企画・制作・販売やアイドルCDのeコマース等のMD(物販)事業を主に行っております。東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32年を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用等が引き続き計上されておりますが、教育事業の貢献により、赤字が縮小しております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,067億85百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益31億44百万円(前年同期比62.6%減)、経常利益37億16百万円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億38百万円(前年同期比82.0%減)となりました。
なお、株主還元の充実及び資本効率の向上を図るため、平成29年8月24日開催の定時取締役会において平成29年12月29日までを対象期間、2,500千株、30億円をそれぞれ上限とする自己株式の取得を決議したことに伴い、2,281,400株、2,999,948,800円の取得を完了しました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度末日が金融機関休業日であったため売上債権の回収額が減少した一方で、税金等調整前当期純利益や非資金項目の減価償却費の計上等により、16億8百万円の収入(前年同期は119億68百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預け入れや有形固定資産及び無形固定資産の取得等により、187億65百万円の支出(前年同期は103億94百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済及び自己株式の取得等により、64億21百万円の支出(前年同期は372億0百万円の収入)となりました。
以上の結果、為替換算差額も含めて237億33百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、674億7百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) | |
Webサービス事業 | (百万円) | 21,815 | 110.5 |
出版事業 | (百万円) | 76,931 | 102.7 |
映像・ゲーム事業 | (百万円) | 34,871 | 109.1 |
その他 | (百万円) | 9,140 | 105.8 |
合計 | (百万円) | 142,758 | 105.6 |
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) | |
Webサービス事業 | (百万円) | 255 | 111.0 |
出版事業 | (百万円) | 2,603 | 97.0 |
映像・ゲーム事業 | (百万円) | 2,134 | 106.6 |
その他 | (百万円) | 7,568 | 101.7 |
合計 | (百万円) | 12,561 | 101.6 |
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.金額は、仕入原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注状況
当連結会計年度における受注実績については、受注高の販売高に対する割合が僅少であることから、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) | |
Webサービス事業 | (百万円) | 29,023 | 92.8 |
出版事業 | (百万円) | 112,691 | 99.7 |
映像・ゲーム事業 | (百万円) | 47,440 | 106.8 |
その他 | (百万円) | 20,821 | 103.0 |
合計 | (百万円) | 209,977 | 100.5 |
(注)1.金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
日本出版販売㈱ | 24,123 | 11.5 | 22,393 | 10.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、会計上の見積りが必要となる事項については、過去の実績や将来計画等を考慮し、「棚卸資産の評価に関する会計基準」「金融商品に関する会計基準」「固定資産の減損に係る会計基準」「資産除去債務に関する会計基準」「退職給付に関する会計基準」「税効果会計に係る会計基準」等の会計基準に基づいて会計処理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
b.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて41億58百万円減少し、2,427億90百万円となりました。自己株式の取得、賞与の支払及び長期借入金の返済等により現金及び預金が減少しました。
負債は、前連結会計年度末に比べて15億62百万円減少し、1,336億62百万円となりました。支払手形及び買掛金並びに預り金が増加した一方で、賞与引当金が減少し、さらに返済により長期借入金も減少しました。
純資産は、前連結会計年度末に比べて25億96百万円減少し、1,091億28百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加した一方で、配当金の支払等により資本剰余金が減少し、さらに自己株式の取得により株主資本が減少しました。
c.資本の財源及び資金の流動性
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 平成29年3月期 | 平成30年3月期 | |
自己資本比率 | 50.2% | 51.4% | 44.5% | 44.1% |
時価ベースの自己資本比率 | 64.8% | 58.3% | 43.8% | 30.0% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 4.1年 | 4.4年 | 5.7年 | 40.7年 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | 236.2倍 | 68.9倍 | 115.3倍 | 16.2倍 |
(注)1.各指標の算出は、以下の算式を使用しております。
自己資本比率 | :自己資本 ÷ 総資産 |
時価ベースの自己資本比率 | :株式時価総額 ÷ 総資産 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | :有利子負債 ÷ 営業キャッシュ・フロー |
インタレスト・カバレッジ・レシオ | :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い |
2.上記各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
6.設立第1期である平成27年3月期は、平成26年10月1日から平成27年3月31日までの6か月間であります。
(b)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、製品の製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資を目的とした資金需要の主なものは、Webサービス事業におけるインフラ強化やシステム開発費、出版事業における製造・物流工場の建設費、及び新規事業施設の建設費等によるものであります。
(c)財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は基本的に自己資金より充当し、設備投資資金や長期運転資金につきましては、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境を勘案の上、金融機関からの長期借入や社債発行及び株式発行により適宜調達を行っております。
なお、現金及び預金と有利子負債の推移は、以下のとおりであります。
平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 平成29年3月期 | 平成30年3月期 | |
現金及び預金 (百万円) | 63,207 | 60,804 | 105,542 | 85,962 |
有利子負債 (百万円) | 31,746 | 29,544 | 67,759 | 65,527 |
(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。