有価証券報告書-第6期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)は、近年安定的に成長を遂げてきた世界経済が第4四半期に勃発した新型コロナウイルスの爆発的感染の影響を受け、急激な減速を余儀なくされました。世界の資本市場はかつて例を見ない経済動向に一喜一憂する不安定な状況を強めており、わが国の資本市場においても著しい変動が継続しております。こうした中、当社グループのお客様である上場企業においては、資本リスクへの警戒感が一気に高まるとともに、自社ならびにグループ各社の事業ポートフォリオの見直し、非上場化、M&A等、財務・資本政策の改革実現がいよいよ企業存続に不可欠な経営判断として注視せざるを得ない状況に置かれています。中長期の運用資金を確保しているアクティビストは時価総額が棄損するわが国企業をターゲットとする機会を逃さず、虎視淡々と株主提案権の行使を実施または示唆するとともに、上場企業(ストラテジック・バイヤー)による敵対的TOBならびに委任状争奪戦による買収、及び経営支配権の奪取がM&Aの手段としてわが国でも定着しつつあります。
こうした中、当社グループは、Power of Equity®*1(株式議決権の力)を基軸に、PA業務*2とFA業務*3を融合させた唯一無二の完全独立系のエクイティ・コンサルティング会社として、委任状争奪戦、敵対的TOB等の企業支配権争奪に於いては、圧倒的な実績が評価され受託が拡大するとともに、いち早くお客様のご要望に応える議決権ならびに財務・資本・株主還元政策に特化した投資銀行サービス能力を加速度的に向上させました。結果、SR(株主対応)アドバイザリー業務を柱に、お客様に深く寄り添いながら多数のPA・FA案件等の大型プロジェクト案件を受託するとともに、個別案件の新規受託に留まらず、日頃のSRアドバイザリー業務からFA業務への発展的受託が大幅に増加しました。
*1 Power of Equity®;「Power of Equity」は、当社子会社株式会社アイ・アール ジャパンの登録商標です(登録第6196294号)。
*2 PA業務;プロキシー・アドバイザリー業務:委任状争奪戦業務、圧倒的な勝利の実績を誇る。 *3 FA業務;フィナンシャル・アドバイザリー業務:アクティビスト対応、敵対的TOB対応、高度なMBO、M&Aにおいて日本最大級かつ先
鋭の専門集団を配備する。
当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べ59.1%増加の7,682百万円、営業利益は同152.8%増加の3,626百万円、経常利益は同149.5%増加の3,611百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同150.3%増加の2,445百万円となり、いずれも過去最高を達成いたしました。
当社グループの事業領域は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であり、単一セグメントであります。サービス別に売上高の概要を示すと次のとおりであります。
① IR・SRコンサルティング
SRアドバイザリー(実質株主判明調査、議決権賛否シミュレーション、コーポレート・ガバナンス改善、取締役会実効性評価、株主還元を含む資本政策等)、プロキシー・アドバイザリー(PA:委任状争奪における全ての戦略立案と実行、臨時株主総会の招集と対応、委任状回収・集計等)、フィナンシャル・アドバイザリー(FA:敵対的TOB対応、自社株TOB、TOB応諾シミュレーション、プレースメント・エージェント(第三者割当増資)、M&AおよびMBOの全ての戦略立案・エクゼキューション等)、証券代行事業等を中心とする当社グループの中核的サービスです。当連結会計年度のIR・SRコンサルティングの売上高は、SRアドバイザリーを通じて緊密な関係を築いてきた上場企業のお客様から、より進化した厚みのある投資銀行PA・FAサービスへの要望が急速に高まり、この結果大型プロジェクトを多数受託することで前年同期に比べ72.1%増加と過去最高の大幅な増加を達成し、6,974百万円となりました。
(a) 大型プロジェクト(50百万円以上)の契約件数および売上金額(実績)の推移
(b) 大型プロジェクト(50百万円以上)の種類、および売上金額
当社グループの圧倒的な強みとなる分野が上場企業の支配権確保、すなわち議決権に関与するアドバイザリー業務です。このなかで最も注目されている業務がアクティビスト対応業務であり、同分野に特化してきた専門家集団の20年以上にわたる対応実績、最先端のAIを駆使しファクトオリエンティドを徹底するクロスボーダーな投資・議決権情報分析、最先端の戦略立案ならびに、TOBや委任状争奪戦を勝利に導く実行部隊の迅速な行動に高い信頼が寄せられており、この分野のリーダーとしての確固たる地位を築くことで大型プロジェクトの受託が継続的に増加しています。アクティビストによる株主提案の提出あるいは提案権行使を示唆したコーポレート・ガバナンス、事業ならびに資産ポートフォリオの見直しへの圧力は過去最高に達しており、中長期の運用資金の確保を背景にコロナ禍中においても投資ならびにイベントドリブンへの活動はむしろ活発化し、企業へのプレッシャーは強まっています。さらに上場企業(ストラテジック・バイヤー)においても敵対的TOBならびに委任状争奪戦による支配権の確保が現実的に成功する実例を間近に見ることで、敵対的手法のM&Aへの抵抗感が大きく払拭されつつあります。当社グループのPA・FA業務はこの分野においても先駆的な実績を有し、受託を拡大させています。加えて、資本政策のもう一つのソリューションとして上場企業においても検討が進んでいるMBO等の非上場化においても、株主の支配権構造をめぐる高度かつ豊富な経験をベースに、お客様サイドに立ちつつも、少数株主保護ならびに株主共同の利益の確保を具現化しリスク要因を排除するなど、専門FA集団による高度なスキーム立案とその実行能力に評価が高まっており、順調に受託が進展しています。こうした大型プロジェクト受託においては、当社グループのコア業務であるSRアドバイザリー業務を通じた上場企業のお客様との日々の関係強化が最も大切な業務と深く認識しており、SR部門のフロント人員拡充と唯一無二の新たな議決権関連サービスの開発を積極的に行うリサーチ人員の拡充も同時に行いながら、コロナ対策を加味したSRアドバイザリーサービス(株主判明調査、議決権調査、クロスボーダー機関株主エンゲージメント、取締役会評価、株主還元、コーポレート・ガバナンス改善、ESGディスクロージャー改善、株主倶楽部運営等)の厚みが加速度的に増すよう注力しています。PA・FA業務を担う投資銀行部門においては、独立系ならではのお客様サイドに徹底して寄り添う、かつConflict of Interests(利益相反)のリスクを回避するなど、当社独自の強みを一段と磨きながら、高度なファイナンシャルスキームの実績を有する人材の強化を推し進め、資本市場の全く新しいFA(財務アドバイザー)としてのプレゼンスを一層高めることで、SRフロント部門を最大限にバックアップしています。上場企業にあっては、コロナ禍中において、自社のガバナンスならびに全ての事業ポートフォリオを全面的かつ早期に見直す必要性が急激に高まっています。アクティビストはこの流れを加速させる役割を担い、ケースによっては伝統的な長期保有の機関株主もこの動勢に乗じることも懸念されます。経済産業省は上場企業の取締役および社外取締役に対して、事業ポートフォリオの定期的な見直しを年に最低一度は実施すべきである等を柱とした「事業再編実務指針(案)」*4を本年4月に公表しました。これには事業ポートフォリオの見直しに関して、取締役会・社外取締役における課題と対応の方向性、投資家との対話や情報開示における課題と対応の方法論等が示されており、今まさに、当社グループのSR・PA・FAの専門的な知識とソリューションが上場企業のお客様にとって益々必要とされています。
証券代行事業においては、受託決定済み企業は2020年3月31日時点で75社、管理株主数は359,285名となりました(前年同期の受託決定済み企業は80社、管理株主数は359,983名)。従来の証券代行機関とは一線を画し、アクティビスト・敵対的TOBからの企業防衛の観点での戦略的な営業展開を継続して進めています。
なお、財務省は本年5月に「外為法に基づく対内直接投資等の事前届出について財務省および事業所轄官庁が審査に際して考慮する要素」を発表し、対象企業リストを同時に公開しました。改正外国為替および外国貿易法の施行においてより具体的に対象企業が明示されることで円滑な運用が進むことが予想されます。既に株主権の制限やコーポレート・ガバナンスの強化の流れを妨げるものではないことが明示されておりますが、当社は同改正法の施行後の運用について注視してまいります。
*4 事業再編実務指針(案);2020年4月20日に経済産業省が公表した、日本企業のスピンオフ等による積極的な事業再編を促すため、実効的なガバナンスの仕組みを構築するための具体的な方策についての実務指針案。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jigyo_saihen/pdf/005_03_00.pdf
② ディスクロージャーコンサルティング
ツールコンサルティング(アニュアルレポート・統合報告書・株主通信等、IR活動において必要とする各種情報開示資料の企画・作成支援)およびリーガルドキュメンテーションサービス(企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等)を提供するサービスです。 当連結会計年度のディスクロージャーコンサルティングの売上高は、資金提供者や機関投資家のESGへの関心の高まりを受け、ESG開示に関するコンサルティングサービスの受託が増加しておりますが、統合報告書等の企画制作案件においては、単独プロジェクトの受託からSRコンサルティング受託の一部としての案件を優先させたため、単独プロジェクトを主とする売上高は、前年同期に比べ8.7%減少の522百万円となりました。
③ データベース・その他
大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式の組み入れ状況等を提供する「Stock Watch」、IR活動総合サポートシステム「IR-Pro」、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」等をWEB上で提供するサービスです。また、個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」を展開しております。 当連結会計年度のデータベース・その他の売上高は、前年同期に比べ8.7%減少の185百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
① 生産実績
当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態の分析
① 資産
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,661百万円増加し、7,712百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加2,050百万円、受取手形及び売掛金の増加511百万円等によるものであります。
② 負債
当社グループの当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,457百万円増加し、2,500百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の増加985百万円、前受金の増加229百万円等によるものであります。
③ 純資産
当社グループの当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,203百万円増加し、5,212百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加2,445百万円、自己株式取得による減少409百万円及び配当による利益剰余金の減少855百万円等によるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ11.8ポイント減少の67.6%となっておりますが、未払法人税等の増加等により、当連結会計年度末時点において一時的に減少しているものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性の分析
① キャッシュ・フロー
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,050百万円増加し、4,777百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,512百万円(前年同期は1,352百万円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,611百万円、減価償却費224百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額494百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は197百万円(前年同期は338百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出15百万円、無形固定資産の取得による支出181百万円であ
ります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,264百万円(前年同期は580百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額855百万円、自己株式の取得による支出409百万円によるものであります。
② 資金需要及び流動性の確保
当社グループの資金需要は、営業活動については、事業活動に必要な運転資金(主に人件費)が主な内容であります。投資活動については、事業拡大及び業務効率向上のためのシステム開発投資等の固定資産の取得及び投資有価証券の取得が主な内容であります。財務活動については、上記活動で獲得した資金を必要な内部留保を確保した上で、業績に応じた利益還元を行っております。なお、アイ・アール ジャパンの自己資本規制比率を維持するために、一定水準の現預金を確保しております。さらに、必要に応じて金融機関との当座貸越契約に基づき運転資金を確保しております。
(5) その他
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っておりますが、これらの見積りは過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて、合理的と考えられる方法により計上しております。
特に当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼすと考えられる内容は以下のとおりであります。
(a) 貸倒引当金
売上債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(b) 繰延税金資産
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収可能性が低いと判断した場合には、適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
(c) 投資有価証券
時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する有価証券の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、減損処理を行う可能性があります。
上記に記載した以外に見積りによる評価及び計上しているものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、当社グループは、現時点において新型コロナウイルス感染症は重要な影響を与えるものではないと判断しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
| 区 分 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 金額 (百万円) | 増減率 (%) | 金額 (百万円) | 増減額 (百万円) | 増減率 (%) | |
| 売上高 | 4,827 | 16.8 | 7,682 | 2,854 | 59.1 |
| 営業利益 | 1,434 | 24.0 | 3,626 | 2,191 | 152.8 |
| 経常利益 | 1,447 | 25.1 | 3,611 | 2,163 | 149.5 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 976 | 18.9 | 2,445 | 1,468 | 150.3 |
当社グループの当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)は、近年安定的に成長を遂げてきた世界経済が第4四半期に勃発した新型コロナウイルスの爆発的感染の影響を受け、急激な減速を余儀なくされました。世界の資本市場はかつて例を見ない経済動向に一喜一憂する不安定な状況を強めており、わが国の資本市場においても著しい変動が継続しております。こうした中、当社グループのお客様である上場企業においては、資本リスクへの警戒感が一気に高まるとともに、自社ならびにグループ各社の事業ポートフォリオの見直し、非上場化、M&A等、財務・資本政策の改革実現がいよいよ企業存続に不可欠な経営判断として注視せざるを得ない状況に置かれています。中長期の運用資金を確保しているアクティビストは時価総額が棄損するわが国企業をターゲットとする機会を逃さず、虎視淡々と株主提案権の行使を実施または示唆するとともに、上場企業(ストラテジック・バイヤー)による敵対的TOBならびに委任状争奪戦による買収、及び経営支配権の奪取がM&Aの手段としてわが国でも定着しつつあります。
こうした中、当社グループは、Power of Equity®*1(株式議決権の力)を基軸に、PA業務*2とFA業務*3を融合させた唯一無二の完全独立系のエクイティ・コンサルティング会社として、委任状争奪戦、敵対的TOB等の企業支配権争奪に於いては、圧倒的な実績が評価され受託が拡大するとともに、いち早くお客様のご要望に応える議決権ならびに財務・資本・株主還元政策に特化した投資銀行サービス能力を加速度的に向上させました。結果、SR(株主対応)アドバイザリー業務を柱に、お客様に深く寄り添いながら多数のPA・FA案件等の大型プロジェクト案件を受託するとともに、個別案件の新規受託に留まらず、日頃のSRアドバイザリー業務からFA業務への発展的受託が大幅に増加しました。
*1 Power of Equity®;「Power of Equity」は、当社子会社株式会社アイ・アール ジャパンの登録商標です(登録第6196294号)。
*2 PA業務;プロキシー・アドバイザリー業務:委任状争奪戦業務、圧倒的な勝利の実績を誇る。 *3 FA業務;フィナンシャル・アドバイザリー業務:アクティビスト対応、敵対的TOB対応、高度なMBO、M&Aにおいて日本最大級かつ先
鋭の専門集団を配備する。
当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べ59.1%増加の7,682百万円、営業利益は同152.8%増加の3,626百万円、経常利益は同149.5%増加の3,611百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同150.3%増加の2,445百万円となり、いずれも過去最高を達成いたしました。
当社グループの事業領域は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であり、単一セグメントであります。サービス別に売上高の概要を示すと次のとおりであります。
| サービス別 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 売上高 (百万円) | 増減率 (%) | 売上高 (百万円) | 構成比 (%) | 増減率 (%) | |
| IR・SRコンサルティング | 4,052 | 18.2 | 6,974 | 90.8 | 72.1 |
| ディスクロージャー コンサルティング | 571 | 16.4 | 522 | 6.8 | △8.7 |
| データベース・その他 | 202 | △4.7 | 185 | 2.4 | △8.7 |
| 合計 | 4,827 | 16.8 | 7,682 | 100.0 | 59.1 |
① IR・SRコンサルティング
SRアドバイザリー(実質株主判明調査、議決権賛否シミュレーション、コーポレート・ガバナンス改善、取締役会実効性評価、株主還元を含む資本政策等)、プロキシー・アドバイザリー(PA:委任状争奪における全ての戦略立案と実行、臨時株主総会の招集と対応、委任状回収・集計等)、フィナンシャル・アドバイザリー(FA:敵対的TOB対応、自社株TOB、TOB応諾シミュレーション、プレースメント・エージェント(第三者割当増資)、M&AおよびMBOの全ての戦略立案・エクゼキューション等)、証券代行事業等を中心とする当社グループの中核的サービスです。当連結会計年度のIR・SRコンサルティングの売上高は、SRアドバイザリーを通じて緊密な関係を築いてきた上場企業のお客様から、より進化した厚みのある投資銀行PA・FAサービスへの要望が急速に高まり、この結果大型プロジェクトを多数受託することで前年同期に比べ72.1%増加と過去最高の大幅な増加を達成し、6,974百万円となりました。
(a) 大型プロジェクト(50百万円以上)の契約件数および売上金額(実績)の推移
| 上期 | 下期 | 通期 | ||||
| 件数 (件) | 金額 (百万円) | 件数 (件) | 金額 (百万円) | 件数 (件) | 金額 (百万円) | |
| 2020年3月期 | 7 | 702 | 16 | 2,537 | 23 | 3,239 |
| 2019年3月期 | 5 | 457 | 2 | 133 | 7 | 589 |
| 増減 | 2 | 245 | 14 | 2,405 | 16 | 2,651 |
(b) 大型プロジェクト(50百万円以上)の種類、および売上金額
| (百万円) | ||
| プロジェクトの種類 | 前連結会計年度 (2019年3月期) | 当連結会計年度 (2020年3月期) |
| 支配権争奪PA・FA | 70 | 910 |
| アクティビスト対応PA・FA | 195 | 1,514 |
| MBO等企業側FA | 273 | 705 |
| 大型SR・PA | 52 | 110 |
| 計 | 589 | 3,239 |
当社グループの圧倒的な強みとなる分野が上場企業の支配権確保、すなわち議決権に関与するアドバイザリー業務です。このなかで最も注目されている業務がアクティビスト対応業務であり、同分野に特化してきた専門家集団の20年以上にわたる対応実績、最先端のAIを駆使しファクトオリエンティドを徹底するクロスボーダーな投資・議決権情報分析、最先端の戦略立案ならびに、TOBや委任状争奪戦を勝利に導く実行部隊の迅速な行動に高い信頼が寄せられており、この分野のリーダーとしての確固たる地位を築くことで大型プロジェクトの受託が継続的に増加しています。アクティビストによる株主提案の提出あるいは提案権行使を示唆したコーポレート・ガバナンス、事業ならびに資産ポートフォリオの見直しへの圧力は過去最高に達しており、中長期の運用資金の確保を背景にコロナ禍中においても投資ならびにイベントドリブンへの活動はむしろ活発化し、企業へのプレッシャーは強まっています。さらに上場企業(ストラテジック・バイヤー)においても敵対的TOBならびに委任状争奪戦による支配権の確保が現実的に成功する実例を間近に見ることで、敵対的手法のM&Aへの抵抗感が大きく払拭されつつあります。当社グループのPA・FA業務はこの分野においても先駆的な実績を有し、受託を拡大させています。加えて、資本政策のもう一つのソリューションとして上場企業においても検討が進んでいるMBO等の非上場化においても、株主の支配権構造をめぐる高度かつ豊富な経験をベースに、お客様サイドに立ちつつも、少数株主保護ならびに株主共同の利益の確保を具現化しリスク要因を排除するなど、専門FA集団による高度なスキーム立案とその実行能力に評価が高まっており、順調に受託が進展しています。こうした大型プロジェクト受託においては、当社グループのコア業務であるSRアドバイザリー業務を通じた上場企業のお客様との日々の関係強化が最も大切な業務と深く認識しており、SR部門のフロント人員拡充と唯一無二の新たな議決権関連サービスの開発を積極的に行うリサーチ人員の拡充も同時に行いながら、コロナ対策を加味したSRアドバイザリーサービス(株主判明調査、議決権調査、クロスボーダー機関株主エンゲージメント、取締役会評価、株主還元、コーポレート・ガバナンス改善、ESGディスクロージャー改善、株主倶楽部運営等)の厚みが加速度的に増すよう注力しています。PA・FA業務を担う投資銀行部門においては、独立系ならではのお客様サイドに徹底して寄り添う、かつConflict of Interests(利益相反)のリスクを回避するなど、当社独自の強みを一段と磨きながら、高度なファイナンシャルスキームの実績を有する人材の強化を推し進め、資本市場の全く新しいFA(財務アドバイザー)としてのプレゼンスを一層高めることで、SRフロント部門を最大限にバックアップしています。上場企業にあっては、コロナ禍中において、自社のガバナンスならびに全ての事業ポートフォリオを全面的かつ早期に見直す必要性が急激に高まっています。アクティビストはこの流れを加速させる役割を担い、ケースによっては伝統的な長期保有の機関株主もこの動勢に乗じることも懸念されます。経済産業省は上場企業の取締役および社外取締役に対して、事業ポートフォリオの定期的な見直しを年に最低一度は実施すべきである等を柱とした「事業再編実務指針(案)」*4を本年4月に公表しました。これには事業ポートフォリオの見直しに関して、取締役会・社外取締役における課題と対応の方向性、投資家との対話や情報開示における課題と対応の方法論等が示されており、今まさに、当社グループのSR・PA・FAの専門的な知識とソリューションが上場企業のお客様にとって益々必要とされています。
証券代行事業においては、受託決定済み企業は2020年3月31日時点で75社、管理株主数は359,285名となりました(前年同期の受託決定済み企業は80社、管理株主数は359,983名)。従来の証券代行機関とは一線を画し、アクティビスト・敵対的TOBからの企業防衛の観点での戦略的な営業展開を継続して進めています。
なお、財務省は本年5月に「外為法に基づく対内直接投資等の事前届出について財務省および事業所轄官庁が審査に際して考慮する要素」を発表し、対象企業リストを同時に公開しました。改正外国為替および外国貿易法の施行においてより具体的に対象企業が明示されることで円滑な運用が進むことが予想されます。既に株主権の制限やコーポレート・ガバナンスの強化の流れを妨げるものではないことが明示されておりますが、当社は同改正法の施行後の運用について注視してまいります。
*4 事業再編実務指針(案);2020年4月20日に経済産業省が公表した、日本企業のスピンオフ等による積極的な事業再編を促すため、実効的なガバナンスの仕組みを構築するための具体的な方策についての実務指針案。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jigyo_saihen/pdf/005_03_00.pdf
② ディスクロージャーコンサルティング
ツールコンサルティング(アニュアルレポート・統合報告書・株主通信等、IR活動において必要とする各種情報開示資料の企画・作成支援)およびリーガルドキュメンテーションサービス(企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等)を提供するサービスです。 当連結会計年度のディスクロージャーコンサルティングの売上高は、資金提供者や機関投資家のESGへの関心の高まりを受け、ESG開示に関するコンサルティングサービスの受託が増加しておりますが、統合報告書等の企画制作案件においては、単独プロジェクトの受託からSRコンサルティング受託の一部としての案件を優先させたため、単独プロジェクトを主とする売上高は、前年同期に比べ8.7%減少の522百万円となりました。
③ データベース・その他
大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式の組み入れ状況等を提供する「Stock Watch」、IR活動総合サポートシステム「IR-Pro」、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」等をWEB上で提供するサービスです。また、個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」を展開しております。 当連結会計年度のデータベース・その他の売上高は、前年同期に比べ8.7%減少の185百万円となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
① 生産実績
当社グループは、生産活動は行っていないため該当事項はありません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
| サービス | 受注高 (百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比(%) |
| IR・SRコンサルティング | 7,577 | 69.4 | 1,284 | 88.3 |
| ディスクロージャーコンサルティング | 692 | 23.7 | 327 | 108.6 |
| データベース・その他 | 243 | 10.8 | 110 | 110.4 |
| 合計 | 8,513 | 62.0 | 1,722 | 93.2 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
| サービス | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| IR・SRコンサルティング | 6,974 | 72.1 |
| ディスクロージャーコンサルティング | 522 | △8.7 |
| データベース・その他 | 185 | △8.7 |
| 合計 | 7,682 | 59.1 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態の分析
① 資産
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,661百万円増加し、7,712百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加2,050百万円、受取手形及び売掛金の増加511百万円等によるものであります。
② 負債
当社グループの当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,457百万円増加し、2,500百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の増加985百万円、前受金の増加229百万円等によるものであります。
③ 純資産
当社グループの当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,203百万円増加し、5,212百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加2,445百万円、自己株式取得による減少409百万円及び配当による利益剰余金の減少855百万円等によるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ11.8ポイント減少の67.6%となっておりますが、未払法人税等の増加等により、当連結会計年度末時点において一時的に減少しているものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性の分析
① キャッシュ・フロー
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,050百万円増加し、4,777百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,512百万円(前年同期は1,352百万円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,611百万円、減価償却費224百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額494百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は197百万円(前年同期は338百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出15百万円、無形固定資産の取得による支出181百万円であ
ります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,264百万円(前年同期は580百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額855百万円、自己株式の取得による支出409百万円によるものであります。
② 資金需要及び流動性の確保
当社グループの資金需要は、営業活動については、事業活動に必要な運転資金(主に人件費)が主な内容であります。投資活動については、事業拡大及び業務効率向上のためのシステム開発投資等の固定資産の取得及び投資有価証券の取得が主な内容であります。財務活動については、上記活動で獲得した資金を必要な内部留保を確保した上で、業績に応じた利益還元を行っております。なお、アイ・アール ジャパンの自己資本規制比率を維持するために、一定水準の現預金を確保しております。さらに、必要に応じて金融機関との当座貸越契約に基づき運転資金を確保しております。
(5) その他
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に際し当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っておりますが、これらの見積りは過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて、合理的と考えられる方法により計上しております。
特に当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼすと考えられる内容は以下のとおりであります。
(a) 貸倒引当金
売上債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
(b) 繰延税金資産
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込み等を勘案し、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収可能性が低いと判断した場合には、適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
(c) 投資有価証券
時価のある有価証券、時価のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する有価証券の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、減損処理を行う可能性があります。
上記に記載した以外に見積りによる評価及び計上しているものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、当社グループは、現時点において新型コロナウイルス感染症は重要な影響を与えるものではないと判断しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。