有価証券報告書-第15期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が続く一方で、輸出の減少や国内生産活動の低迷、自然災害の発生等により、これまでのゆるやかな回復基調に足踏みがみられるようになりました。また、日本銀行が2019年12月13日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減や自然災害などの影響により、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数が4四半期連続で悪化となり、景気減速が顕在化しつつあります。
当社グループを取り巻く事業環境としまして、2018年のスマートフォン保有率は前年比4.1%ポイント上昇の79.2%となり、モバイルでのインターネット環境は引き続き発展を続けております(出所:総務省「令和元年版情報通信白書」)。当社が注力するインターネット広告市場についても、2019年の市場規模は前年比11.9%増の1兆8,960億円となり、2020年には2兆円を超える見込みです(出所:矢野経済研究所「2019年インターネット広告市場の実態と展望」)。また、スマートフォンゲームの市場規模は2017年に初めて1兆円に到達し、2019年は前年比4.9%増の1兆1,380億円と、安定的な成長が見込まれております(出所:矢野経済研究所「2019-2020スマホゲームの市場動向と企業分析」)。
このような事業環境の中で、当社グループは良質なデジタルコンテンツをより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう提供し続けております。その中でも受託サービスであるクライアントワーク、自社サービスであるソーシャルゲーム及び「Lobi」の3つを主要サービスと位置づけ注力し、相互にシナジーを図りながら事業を進めております。しかしながら、2019年12月24日発表の「2019年12月期通期業績予想修正にともなう臨時資料」に記載しました通り、ソーシャルゲームの売上低迷、ゲームのリリース遅延による開発費の増加、子会社の事業計画の未達などにより、通期業績予想を修正することとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,382,218千円(前年同期比9.7%増)、営業損失は535,390千円(前年同期は営業損失391,512千円)、経常損失は540,359千円(前年同期は経常損失347,334千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は304,972千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失253,839千円)となりました。
(a) クライアントワーク
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件の増加がみられております。当社の強みであるクリエイティブに特化したミュージアム関連サービスもご好評を頂いております。この結果、クライアントワーク関連の売上高は、2,101,807千円(前年同期比15.2%増)となりました。
(b) ソーシャルゲーム
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、「進撃の巨人 TACTICS」、「クロス×ロゴス」がソーシャルゲームの売上高の大部分を占めています。「ぼくらの甲子園!ポケット」と「キン肉マン マッスルショット」はプロダクト・ライフサイクルの後期に入りつつあるものの、コアなユーザーを抱え、効果的なイベント施策を講じることで、売上は底堅く推移しております。一方で、2019年にリリースした新規タイトルについては、当初の想定よりも弱含みで推移したことから、運営体制の見直しに着手しております。この結果、ソーシャルゲーム関連の売上高は、2,332,071千円(前年同期比0.9%増)となりました。
(c) Lobi
「Lobi」というスマートフォンゲームに特化したコミュニティ事業を進めております。「Lobi」と連携するゲームタイトル数の増加とコミュニティが求める機能の拡充により、ユーザー数の拡大を目指しております。併せて「Lobi」の強みであるコミュニティやユーザーにより焦点を当てた収益構造への転換を図っております。esports市場の拡大にともない、「Lobi Tournament」を用いた大会開催数も2019年に大きく増加しております。この結果、Lobi関連の売上高は、444,292千円(前年同期比2.6%増)となりました。
(d) その他サービス
ウェディングプランナーとユーザーをつなぐブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」、esportsイベントの企画・運営からesports専門メディアの運営等を行う「esports事業」が着実に成長を続けております。また、地域を軸とした移住スカウトサービス「SMOUT」、コミュニティ通貨サービス「まちのコイン」等、地域創生に関する新規サービスの開発及び投資を積極的に行っております。この結果、その他サービス関連の売上高は、1,504,046千円(前年同期比20.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ283,051千円増加し、1,256,091千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは445,965千円の支出(前連結会計年度は440,326千円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純損失342,599千円の計上、売上債権の増加332,350千円の減少要因があった一方で、減価償却費143,471千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは90,766千円の収入(前連結会計年度は872,776千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出160,527千円、無形固定資産の取得による支出94,761千円の減少要因があった一方で、投資有価証券の売却による収入293,658千円、敷金及び保証金の回収による収入149,523千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは638,249千円の収入(前連結会計年度は589,114千円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入1,010,000千円の増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出455,328千円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. ソーシャルゲームについては、プラットフォーム手数料控除後の金額で販売高を算出しております。
2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ359,281千円増加し、5,682,737千円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加332,350千円、銀行借入に伴う現金及び預金の増加283,042千円、その他に含まれる未収入金の減少181,465千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ780,781千円増加し、3,622,146千円となりました。主な要因は、短期借入金及び長期借入金の増加652,642千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ421,499千円減少し、2,060,591千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少335,223千円であります
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は6,382,218千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。これは、主要サービスであるソーシャルゲーム関連の売上高が新規ゲームタイトルの不振により伸び悩んだ一方で、クライアントワークとその他サービスが安定的に成長したためであります。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損失は535,390千円(前連結会計年度は営業損失391,512千円)となりました。新規ゲームタイトルの開発にともなう外注費の増加や将来の収益の柱を育成するために新規領域への投資を拡大させたためであります。この結果、売上高営業利益率は△8.4%(前連結会計年度は△6.7%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、新株予約権戻入益8,735千円等により営業外収益として14,779千円、持分法による投資損失12,106千円及び為替差損3,315千円等により営業外費用として19,748千円を計上しました。この結果、経常損失は540,359千円(前連結会計年度は経常損失347,334千円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、投資有価証券売却益による特別利益288,611千円、投資有価証券評価損87,402千円等により特別損失90,851千円、法人税等合計として△15,917千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は304,972千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失253,839千円)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,256,091千円、流動資産は3,070,826千円、流動負債は1,690,703千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場が更なる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んでまいります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
当社では、2020年12月期連結会計年度より、サービス区分を「クライアントワーク」、「ゲーム」、「ゲームコミュニティ」、「地域資本主義」、「その他サービス」の5分類といたします。
「クライアントワーク」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追及によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大および安定化を図ってまいります。
「ゲーム」については、今まで蓄積したノウハウを活かすとともに、運営体制の適正化に取り組みます。また、当社子会社である株式会社カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めてまいります。
「ゲームコミュニティ」は、「Lobi」及び当社子会社であるウェルプレイド株式会社を通じたゲームファンコミュニティへ向けたサービスとなります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図ってまいります。また、急速に拡大するesports市場でのシェア拡大に向け、ゲームメーカーや広告代理店との連携を強化することに加え、自社メディアを通じたユーザー数の増加を図ってまいります。
「地域資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指してまいります。
「その他サービス」については、成長を続ける「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んでまいります。その中で、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
なお、上記の各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高7,100,000千円(当期比11.2%増)、営業利益200,000千円(当期は営業損失535,390千円)、経常利益150,000千円(当期は経常損失540,359千円)、親会社株主に帰属する当期純利益70,000千円(当期は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を図る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
※2019年12月期は2019年12月24日公表の「2019年12月期通期業績予想修正にともなう臨時資料」の通り、修正しております
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行ってまいります。
(3)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策
当社グループは、「第2 事業の状況 2事業運営に関するリスク」に記載のとおり、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
それに対し、当社グループは当該事象等を解消するべく、以下の対応策を講じることにより、収益改善に取り組んでまいります。
① ソーシャルゲームサービスの収益改善
ソーシャルゲームサービスにおいては、競争環境の激化に伴い、当社もパートナー戦略を採用する等の戦略の見直しを行ってまいりましたが、明確な効果が現れておりません。そのため、当社のソーシャルゲームサービスの事業構造を見直し、当該事業の収益安定化に向けた改善を進めます。具体的には、新規タイトルの開発にともない拡大していた外注費を削減するとともに、既存の運用タイトルにつきましても各タイトルの収益に合わせた運用体制にすることで運営体制のスリム化を実施します。また、新規タイトルの軟調な実績を踏まえ、高リスク・高リターンの自社タイトル開発(共同事業を含む)からリスクを抑えた受託開発型にシフトすることで安定的収益の獲得に努めます。
② グループ会社を含む収益管理プロセスの整備
当社グループは、事業規模の拡大と事業の多角化にともない、未熟なプロジェクト管理や外注費のコントロール不調などのマネジメントの力不足が散見しております。この状況に鑑み、経営データベースの見直し、受託開発案件における見積もりプロセスの整備とシステム導入、事業管理や情報システム管理に関する組織体制の強化等の改善策に着手し、統合的な管理プロセスとして改善や整備を進めております。
③ 事業の選択と集中
当社のグループの事業ポートフォリオを見直すことにより、投資領域を明確にすることで事業成長速度を向上させるとともに、ポートフォリオの再定義にともなう事業シナジーの創出と組織体制の強化を目指すことで当社グループの競争力を強化してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善が続く一方で、輸出の減少や国内生産活動の低迷、自然災害の発生等により、これまでのゆるやかな回復基調に足踏みがみられるようになりました。また、日本銀行が2019年12月13日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減や自然災害などの影響により、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数が4四半期連続で悪化となり、景気減速が顕在化しつつあります。
当社グループを取り巻く事業環境としまして、2018年のスマートフォン保有率は前年比4.1%ポイント上昇の79.2%となり、モバイルでのインターネット環境は引き続き発展を続けております(出所:総務省「令和元年版情報通信白書」)。当社が注力するインターネット広告市場についても、2019年の市場規模は前年比11.9%増の1兆8,960億円となり、2020年には2兆円を超える見込みです(出所:矢野経済研究所「2019年インターネット広告市場の実態と展望」)。また、スマートフォンゲームの市場規模は2017年に初めて1兆円に到達し、2019年は前年比4.9%増の1兆1,380億円と、安定的な成長が見込まれております(出所:矢野経済研究所「2019-2020スマホゲームの市場動向と企業分析」)。
このような事業環境の中で、当社グループは良質なデジタルコンテンツをより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう提供し続けております。その中でも受託サービスであるクライアントワーク、自社サービスであるソーシャルゲーム及び「Lobi」の3つを主要サービスと位置づけ注力し、相互にシナジーを図りながら事業を進めております。しかしながら、2019年12月24日発表の「2019年12月期通期業績予想修正にともなう臨時資料」に記載しました通り、ソーシャルゲームの売上低迷、ゲームのリリース遅延による開発費の増加、子会社の事業計画の未達などにより、通期業績予想を修正することとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,382,218千円(前年同期比9.7%増)、営業損失は535,390千円(前年同期は営業損失391,512千円)、経常損失は540,359千円(前年同期は経常損失347,334千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は304,972千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失253,839千円)となりました。
(a) クライアントワーク
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件の増加がみられております。当社の強みであるクリエイティブに特化したミュージアム関連サービスもご好評を頂いております。この結果、クライアントワーク関連の売上高は、2,101,807千円(前年同期比15.2%増)となりました。
(b) ソーシャルゲーム
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、「進撃の巨人 TACTICS」、「クロス×ロゴス」がソーシャルゲームの売上高の大部分を占めています。「ぼくらの甲子園!ポケット」と「キン肉マン マッスルショット」はプロダクト・ライフサイクルの後期に入りつつあるものの、コアなユーザーを抱え、効果的なイベント施策を講じることで、売上は底堅く推移しております。一方で、2019年にリリースした新規タイトルについては、当初の想定よりも弱含みで推移したことから、運営体制の見直しに着手しております。この結果、ソーシャルゲーム関連の売上高は、2,332,071千円(前年同期比0.9%増)となりました。
(c) Lobi
「Lobi」というスマートフォンゲームに特化したコミュニティ事業を進めております。「Lobi」と連携するゲームタイトル数の増加とコミュニティが求める機能の拡充により、ユーザー数の拡大を目指しております。併せて「Lobi」の強みであるコミュニティやユーザーにより焦点を当てた収益構造への転換を図っております。esports市場の拡大にともない、「Lobi Tournament」を用いた大会開催数も2019年に大きく増加しております。この結果、Lobi関連の売上高は、444,292千円(前年同期比2.6%増)となりました。
(d) その他サービス
ウェディングプランナーとユーザーをつなぐブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」、esportsイベントの企画・運営からesports専門メディアの運営等を行う「esports事業」が着実に成長を続けております。また、地域を軸とした移住スカウトサービス「SMOUT」、コミュニティ通貨サービス「まちのコイン」等、地域創生に関する新規サービスの開発及び投資を積極的に行っております。この結果、その他サービス関連の売上高は、1,504,046千円(前年同期比20.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ283,051千円増加し、1,256,091千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは445,965千円の支出(前連結会計年度は440,326千円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純損失342,599千円の計上、売上債権の増加332,350千円の減少要因があった一方で、減価償却費143,471千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは90,766千円の収入(前連結会計年度は872,776千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出160,527千円、無形固定資産の取得による支出94,761千円の減少要因があった一方で、投資有価証券の売却による収入293,658千円、敷金及び保証金の回収による収入149,523千円の増加要因があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは638,249千円の収入(前連結会計年度は589,114千円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入1,010,000千円の増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出455,328千円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) |
クライアントワーク | 2,002,992 | △3.6 | 423,812 | △18.9 |
合計 | 2,002,992 | △3.6 | 423,812 | △18.9 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
クライアントワーク | 2,101,807 | 15.2 |
ソーシャルゲーム | 2,332,071 | 0.9 |
Lobi | 444,292 | 2.6 |
その他サービス | 1,504,046 | 20.4 |
合計 | 6,382,218 | 9.7 |
(注) 1. ソーシャルゲームについては、プラットフォーム手数料控除後の金額で販売高を算出しております。
2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
(株)ディー・エヌ・エー | 823,272 | 14.2 | 1,004,224 | 15.7 |
Apple Inc. | 715,180 | 12.3 | 542,525 | 8.5 |
Google Inc. | 462,914 | 8.0 | 450,512 | 7.1 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ359,281千円増加し、5,682,737千円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加332,350千円、銀行借入に伴う現金及び預金の増加283,042千円、その他に含まれる未収入金の減少181,465千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ780,781千円増加し、3,622,146千円となりました。主な要因は、短期借入金及び長期借入金の増加652,642千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ421,499千円減少し、2,060,591千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少335,223千円であります
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は6,382,218千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。これは、主要サービスであるソーシャルゲーム関連の売上高が新規ゲームタイトルの不振により伸び悩んだ一方で、クライアントワークとその他サービスが安定的に成長したためであります。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損失は535,390千円(前連結会計年度は営業損失391,512千円)となりました。新規ゲームタイトルの開発にともなう外注費の増加や将来の収益の柱を育成するために新規領域への投資を拡大させたためであります。この結果、売上高営業利益率は△8.4%(前連結会計年度は△6.7%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、新株予約権戻入益8,735千円等により営業外収益として14,779千円、持分法による投資損失12,106千円及び為替差損3,315千円等により営業外費用として19,748千円を計上しました。この結果、経常損失は540,359千円(前連結会計年度は経常損失347,334千円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、投資有価証券売却益による特別利益288,611千円、投資有価証券評価損87,402千円等により特別損失90,851千円、法人税等合計として△15,917千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は304,972千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失253,839千円)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,256,091千円、流動資産は3,070,826千円、流動負債は1,690,703千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場が更なる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んでまいります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
当社では、2020年12月期連結会計年度より、サービス区分を「クライアントワーク」、「ゲーム」、「ゲームコミュニティ」、「地域資本主義」、「その他サービス」の5分類といたします。
「クライアントワーク」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追及によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大および安定化を図ってまいります。
「ゲーム」については、今まで蓄積したノウハウを活かすとともに、運営体制の適正化に取り組みます。また、当社子会社である株式会社カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めてまいります。
「ゲームコミュニティ」は、「Lobi」及び当社子会社であるウェルプレイド株式会社を通じたゲームファンコミュニティへ向けたサービスとなります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図ってまいります。また、急速に拡大するesports市場でのシェア拡大に向け、ゲームメーカーや広告代理店との連携を強化することに加え、自社メディアを通じたユーザー数の増加を図ってまいります。
「地域資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指してまいります。
「その他サービス」については、成長を続ける「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んでまいります。その中で、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
なお、上記の各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高7,100,000千円(当期比11.2%増)、営業利益200,000千円(当期は営業損失535,390千円)、経常利益150,000千円(当期は経常損失540,359千円)、親会社株主に帰属する当期純利益70,000千円(当期は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を図る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
指標 | 2018年12月期 (実績) | 2019年12月期 (計画)※ | 2019年12月期 (実績) | 2020年12月期 (計画) |
売上高 | 5,816百万円 | 6,400百万円 | 6,382百万円 | 7,100百万円 |
売上高営業利益率 | △6.7% | △9.5% | △8.4% | 2.8% |
クリエイター数 (提出会社) | 276人 | ― | 290人 | ― |
※2019年12月期は2019年12月24日公表の「2019年12月期通期業績予想修正にともなう臨時資料」の通り、修正しております
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行ってまいります。
(3)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための改善策
当社グループは、「第2 事業の状況 2事業運営に関するリスク」に記載のとおり、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
それに対し、当社グループは当該事象等を解消するべく、以下の対応策を講じることにより、収益改善に取り組んでまいります。
① ソーシャルゲームサービスの収益改善
ソーシャルゲームサービスにおいては、競争環境の激化に伴い、当社もパートナー戦略を採用する等の戦略の見直しを行ってまいりましたが、明確な効果が現れておりません。そのため、当社のソーシャルゲームサービスの事業構造を見直し、当該事業の収益安定化に向けた改善を進めます。具体的には、新規タイトルの開発にともない拡大していた外注費を削減するとともに、既存の運用タイトルにつきましても各タイトルの収益に合わせた運用体制にすることで運営体制のスリム化を実施します。また、新規タイトルの軟調な実績を踏まえ、高リスク・高リターンの自社タイトル開発(共同事業を含む)からリスクを抑えた受託開発型にシフトすることで安定的収益の獲得に努めます。
② グループ会社を含む収益管理プロセスの整備
当社グループは、事業規模の拡大と事業の多角化にともない、未熟なプロジェクト管理や外注費のコントロール不調などのマネジメントの力不足が散見しております。この状況に鑑み、経営データベースの見直し、受託開発案件における見積もりプロセスの整備とシステム導入、事業管理や情報システム管理に関する組織体制の強化等の改善策に着手し、統合的な管理プロセスとして改善や整備を進めております。
③ 事業の選択と集中
当社のグループの事業ポートフォリオを見直すことにより、投資領域を明確にすることで事業成長速度を向上させるとともに、ポートフォリオの再定義にともなう事業シナジーの創出と組織体制の強化を目指すことで当社グループの競争力を強化してまいります。