有価証券報告書-第14期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/25 11:30
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【項目】
102項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、一連の自然災害により、個人消費や輸出を中心に経済活動が一時的に押し下げられたものの、企業収益が過去最高となる中で設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、緩やかな回復基調となりました。
当社グループを取り巻く事業環境としまして、2017年のスマートフォン保有率は前年同期比3.3%ポイント上昇の75.1%となり、インターネット環境は発展を続けております(出所:総務省「平成30年版情報通信白書」)。また、2017年の国内ゲームアプリの市場規模は、前年同期比9.2%増の1兆580億円に達し、2018年も成長が見込まれております(出所:「ファミ通ゲーム白書2018」)。インターネット広告市場につきましても、2018年の市場規模は前年同期比11.5%増の1兆5,369億円と順調な成長が見込まれております(出所:矢野経済研究所「インターネット広告市場の実態と展望2018」)。このような事業環境の中で、当社グループは良質なデジタルコンテンツをより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう提供し続けております。その中でも受託サービスであるクライアントワーク、自社サービスであるソーシャルゲーム及び「Lobi」の3つを主要サービスと位置づけ注力し、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,816,868千円(前年同期比4.4%減)、営業損失は391,512千円(前年同期は営業利益675,353千円)、経常損失は347,334千円(前年同期は経常利益737,638千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は253,839千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益507,463千円)となりました。当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
(a) クライアントワーク
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にあります。そのような中で、積極的に業務提携を進めるとともに、VRやAIを利用した案件等の新しい取り組みを積極的に行うことで事業領域の拡大を図っております。この結果、クライアントワーク関連の売上高は、1,823,784千円(前年同期比2.8%増)となりました。
(b) ソーシャルゲーム
「共闘スポーツRPG」を軸にしたタイトルを展開し、「ぼくらの甲子園!ポケット」や「キン肉マン マッスルショット」がソーシャルゲーム事業の売上高の大部分を占めています。2018年は約3年ぶりのオリジナルタイトルとなる「東京プリズン」等の新規タイトルをリリースしましたが、想定した売上水準に届かずタイトルをクローズすることとなりました。この結果、ソーシャルゲーム関連の売上高は、2,310,931千円(前年同期比25.1%減)となりました。
(c) Lobi
「Lobi」というスマートフォンゲームに特化したコミュニティ事業を進めております。「Lobi」と連携するタイトル数の増加とコミュニティが求める機能の拡充により、ユーザー数の拡大を目指しております。併せて「Lobi」の強みであるコミュニティやユーザーにより焦点を当てた収益構造への転換を図っております。2018年には、前年7月にリリースしたトーナメント機能「Lobi Tournament」を使用した大会開催数が、898件に上りました。また、サービス拡充のためにボイスチャット機能の開発等を進めました。この結果、Lobi関連の売上高は、433,162千円(前年同期比2.9%減)となりました。
(d) その他サービス
「プラコレWedding」等の新規サービスが順調に成長を続けております。また、2017年6月にesports事業を営むウェルプレイド㈱を子会社化し、グループ全体としてゲーム周辺領域のさらなる拡充を図っております。この結果、その他サービス関連の売上高は、1,248,990千円(前年同期比60.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ724,911千円減少し、973,040千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュフロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは440,326千円の支出となりました。これは、税金等調整前当期純損失341,682千円の計上や法人税等の支払額62,803千円等の減少要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュフロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは872,776千円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出671,373千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュフロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは589,114千円の収入となりました。これは、長期借入れによる収入1,000,000千円があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
クライアントワーク2,076,747+12.4522,626+93.8
合計2,076,747+12.4522,626+93.8

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称販売高(千円)前年同期比(%)
クライアントワーク1,823,784+2.8
ソーシャルゲーム2,310,931△25.1
Lobi433,162△2.9
その他サービス1,248,990+60.1
合計5,816,868△4.4

(注) 1. ソーシャルゲームについては、プラットフォーム手数料控除後の金額で販売高を算出しております。
2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
(株)ディー・エヌ・エー1,092,58217.9823,27214.2
Apple Inc.886,58114.6715,18012.3
Google Inc.651,89810.7462,9148.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ174,879千円増加し、5,323,456千円となりました。主な要因は、鎌倉開発拠点施設関連の取得等に伴う有形固定資産の増加617,882千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ583,872千円増加し、2,841,365千円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金の増加660,851千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ408,992千円減少し、2,482,090千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失計上等に伴う利益剰余金の減少312,573千円であります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は5,816,868千円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。これは、主要サービスであるソーシャルゲーム事業の売上高が減少したためであります。
(営業損益)
当連結会計年度の営業損失は391,512千円(前連結会計年度は営業利益675,353千円)となりました。これは、売上高が減少するとともに、新規ゲームタイトルの開発にともなう外注費等が増加したためであります。
(経常損益)
当連結会計年度において、助成金収入52,792千円等により営業外収益として57,991千円、投資有価証券評価損4,950千円及び支払利息2,562千円等により営業外費用として13,813千円を計上しました。
この結果、経常損失は347,334千円(前連結会計年度は経常利益737,638千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、法人税等合計として△94,692千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は253,839千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益507,463千円)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場が更なる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じていただける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んでまいります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
クライアントワークについては、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追及によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大及び安定化を図って参ります。
ソーシャルゲームについては、今まで蓄積したノウハウを活かすとともに、㈱カヤックアキバスタジオ(注)の子会社化等による事業規模と組織の拡充により新規開発ライン数及びタイトル提供数を増やしていく中で収益の拡大を目指します。
「Lobi」については、ユーザーとクライアント双方にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図って参ります。
その他サービスについては、ウェディング事業、esports事業及び地域コミニティ事業等の新規サービスの創出、成長に取り組んでまいります。
なお、上記した各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことによりグループ全体としての収益拡大を目指します。
(注) ㈱ガルチは平成30年10月19日付けで、㈱カヤックアキバスタジオに商号を変更しております。また、株式の取得により当社の100%子会社となっております。
(e) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行ってまいります。