有価証券報告書-第19期(2023/01/01-2023/12/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、一部に足踏みがみられるものの、緩やかに回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いています。内閣府は2024年1月の月例経済報告において、景気の先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていること、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響、さらには令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分注意する必要があると指摘しております。
当社グループを取り巻く事業環境としましては、当社が注力するインターネット広告市場の2023年の市場規模は前年比7.8%増の3兆3,330億円となり、継続して高い成長力を保っております(出所:電通「2023 日本の広告費」)。また、一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、国内eスポーツ市場規模は2021年に前年比18.1%増の98.7億円となり、2022年は125.4億円、2023年は162.2億円と高い成長率で拡大する見込みです。
このような事業環境の中で、当社グループはより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう良質なデジタルコンテンツを提供し続けております。その中でも、面白プロデュース、ゲームエンタメ、eスポーツ、ちいき資本主義の4つを主要サービスと位置づけ、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。また、その他サービスとして、SNSブライダルプラットフォームなどの新規サービスの開発及び投資を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は17,467,164千円(前年同期比5.8%増)、営業利益は1,021,932千円(前年同期比15.2%減)、経常利益は1,038,570千円(前年同期比14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は511,181千円(前年同期比34.5%減)となりました。当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、㈱SANKO、マンガデザイナーズラボ㈱の収益を「その他サービス」に、メタバース専門部隊の収益を「ゲームエンタメ」に区分変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(a) 面白プロデュース
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にあります。また、当社の企画力、技術力をもとにクライアントの新製品開発を支援する領域にも進出しております。しかしながら当連結会計年度においては、コロナ禍を背景とした顧客のマーケットの動向や需要の変化などにより、顧客数の減少がみられました。この結果、面白プロデュース関連の売上高は1,877,505千円(前年同期比2.5%減)となりました。
(b) ゲームエンタメ
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、ハイパーカジュアルゲーム、㈱カヤックアキバスタジオでの受託ゲーム開発が売上高の大部分を占めています。ハイパーカジュアルゲームにつきましては、2023年第4四半期に新作タイトル「Gun Collect March」「Number Merge Run」「Swing Blade」の3本を正式にリリースしました。モバイルゲームのダウンロード数の成長速度は再び増加し、年間のダウンロード累計数は前年同期比30.3%増の約3億4,800万件となりました。この結果、ゲームエンタメ関連の売上高は10,564,508千円(前年同期比9.0%増)となりました。
(c) eスポーツ
ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開しています。ウェルプレイド・ライゼスト㈱のeスポーツ事業並びにトーナメントプラットフォームの「Tonamel」が売上高の大部分を占めております。当連結会計年度におけるTonamelの累計大会開催数は、コミュニティに寄り添った運営と海外市場での大会開催数の大幅な増加により、前年同期比562.6%増の101,888件となりました。一方、ウェルプレイド・ライゼスト㈱では、eスポーツ市場は引き続き堅調な成長を見せる中、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、eスポーツを含むエンターテインメント全般のオフラインイベントが復活した結果、スポンサー企業のプロモーション戦略におけるeスポーツの占める割合が相対的に縮小傾向となったことにより、下期に開催を予定していた一部の案件において、クライアント企業に起因した案件の中止や規模の縮小が発生しました。この結果、eスポーツ関連の売上高は2,627,158千円(前年同期比5.3%減)となりました。
(d) ちいき資本主義
地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスの提供を行っております。移住プラットフォームサービスの「SMOUT」、コミュニティ通貨サービスの「まちのコイン」、地域プロモーションの受託、鎌倉市内で展開するまちづくり事業などのサービスが売上高の大部分を占めております。当連結会計年度末時点で、「SMOUT」の累計登録ユーザー数は前年同期比18.8%増の約5.5万人となり、順調に拡大しております。「SMOUT」の導入地域数も当連結会計年度末時点で前年同期比7.8%増の938地域となり、市場の上限である自治体数約1,700地域に対しての導入率が55.2%となりました。また、当連結会計年度末時点での「まちのコイン」の累計登録ユーザー数は、前年同期比58.1%増の9.3万人と、こちらも順調に増加しております。この結果、ちいき資本主義関連の売上高は777,282千円(前年同期比65.8%増)となりました。
(e) その他サービス
ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年上半期に業績が悪化した後、緩やかな回復基調にあります。不動産業である鎌倉R不動産㈱による季節要因などもあり、その結果、その他サービス関連の売上高は1,620,709千円(前年同期比1.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ744,195千円増加し、5,004,208千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,123,086千円の収入(前年同期間は1,766,803千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益942,091千円の計上、売上債権及び契約資産の減少184,176千円、未収入金の増加155,697千円、預り金の増加380,384千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは354,224千円の支出(前年同期間は909,260千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出145,629千円、投資有価証券の取得による支出113,123千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは35,634千円の支出(前年同期間は931,599千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出738,938千円、長期借入れによる収入521,000千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1. ゲームエンタメについては、プラットフォーム手数料控除前の金額で販売高を算出しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ699,969千円増加し、11,680,219千円となりました。主な要因は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱の株式売却と税金等調整前当期純利益計上等による現金及び預金の増加872,140千円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少206,185千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ105,901千円増加し、5,749,830千円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少213,852千円、預り金の増加379,657千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ594,068千円増加し、5,930,388千円となりました。主な要因は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱の株式売却による資本剰余金の増加284,296千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加448,961千円であります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は17,467,164千円(前連結会計年度比5.8%増)となりました。これは、主要サービスであるゲームエンタメ関連の売上高がハイパーカジュアルゲームの躍進により大幅な増収となりましたが、eスポーツ関連業務の下期に開催を予定していた一部の案件において、クライアント企業に起因した案件の中止や規模の縮小が発生したため、減収となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の営業利益は1,021,932千円(前連結会計年度比15.2%減)となりました。ゲームエンタメが大幅な増収となったものの、第2四半期連結会計期間に売上高構成の大きい主力事業で一時的な不振により収益性が悪化したこと、事業規模の拡大に伴う外注費・人件費の増加、及び投資領域(ハイブリッドカジュアル・eスポーツ・地域関連サービス)への投資を進めた結果、売上高営業利益率は5.9%(前連結会計年度は7.3%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、助成金収入14,507千円及び為替差益21,120千円等により営業外収益として56,921千円、支払利息7,361千円及び持分法による投資損失19,791千円等により営業外費用として40,283千円を計上しました。この結果、経常利益は1,038,570千円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、投資有価証券評価損63,435千円及び減損損失33,043千円等による特別損失96,478千円、法人税等合計として375,758千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は511,181千円(前連結会計年度比34.5%減)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は5,004,208千円、流動資産は8,409,647千円、流動負債は4,409,139千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、新型コロナウイルス感染症の影響からの緩やかな回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスク、円安による為替相場の変動に十分注意する必要があるとみられております。他方、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場がさらなる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んでまいります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
「面白プロデュース」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追求によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。また、広告制作受託のみならず、話題性のある商品開発やR&Dなど事業領域を広いフィールドで捉え、企業アライアンス等も行っていきながらさらなる成長を目指します。
「ゲームエンタメ」については、ハイパーカジュアルゲームの開発・運用体制の強化に取り組む一方、当社子会社である㈱カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めるとともに、アニメやWebtoonなどの新規性の高い周辺領域への拡張も進めます。また、2022年2月に立ち上げたメタバースの専門部隊がメタバース領域でさらなる成長を目指します。
「eスポーツ」は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱、「Tonamel」、「ゲムトレ」を通じて、ゲームファンコミュニティへ向けたサービスを拡大させてまいります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図ってまいります。また、eスポーツのリーディングカンパニーとして、eスポーツ大会の企画・運営のみならず、タレントマネジメント、コミュニティ向け施策、教育事業などを通じて、業界のさらなる発展に寄与してまいります。
「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指してまいります。
「その他サービス」については、「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んでまいります。
なお、上記した各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。また、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高20,000,000千円(当期比14.5%増)、営業利益1,000,000千円(当期比2.1%減)、経常利益900,000千円(当期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益500,000千円(当期比2.2%減)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を測る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
(注) ㈱カヤックアキバスタジオ及び㈱カヤックボンドは、㈱カヤックの秋葉原拠点の位置づけで一体的な運営を進めているため、クリエイター数の集計範囲に含めております。
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行ってまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、一部に足踏みがみられるものの、緩やかに回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いています。内閣府は2024年1月の月例経済報告において、景気の先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっていること、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響、さらには令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分注意する必要があると指摘しております。
当社グループを取り巻く事業環境としましては、当社が注力するインターネット広告市場の2023年の市場規模は前年比7.8%増の3兆3,330億円となり、継続して高い成長力を保っております(出所:電通「2023 日本の広告費」)。また、一般社団法人日本eスポーツ連合によれば、国内eスポーツ市場規模は2021年に前年比18.1%増の98.7億円となり、2022年は125.4億円、2023年は162.2億円と高い成長率で拡大する見込みです。
このような事業環境の中で、当社グループはより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう良質なデジタルコンテンツを提供し続けております。その中でも、面白プロデュース、ゲームエンタメ、eスポーツ、ちいき資本主義の4つを主要サービスと位置づけ、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。また、その他サービスとして、SNSブライダルプラットフォームなどの新規サービスの開発及び投資を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は17,467,164千円(前年同期比5.8%増)、営業利益は1,021,932千円(前年同期比15.2%減)、経常利益は1,038,570千円(前年同期比14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は511,181千円(前年同期比34.5%減)となりました。当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、㈱SANKO、マンガデザイナーズラボ㈱の収益を「その他サービス」に、メタバース専門部隊の収益を「ゲームエンタメ」に区分変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
(a) 面白プロデュース
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にあります。また、当社の企画力、技術力をもとにクライアントの新製品開発を支援する領域にも進出しております。しかしながら当連結会計年度においては、コロナ禍を背景とした顧客のマーケットの動向や需要の変化などにより、顧客数の減少がみられました。この結果、面白プロデュース関連の売上高は1,877,505千円(前年同期比2.5%減)となりました。
(b) ゲームエンタメ
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、ハイパーカジュアルゲーム、㈱カヤックアキバスタジオでの受託ゲーム開発が売上高の大部分を占めています。ハイパーカジュアルゲームにつきましては、2023年第4四半期に新作タイトル「Gun Collect March」「Number Merge Run」「Swing Blade」の3本を正式にリリースしました。モバイルゲームのダウンロード数の成長速度は再び増加し、年間のダウンロード累計数は前年同期比30.3%増の約3億4,800万件となりました。この結果、ゲームエンタメ関連の売上高は10,564,508千円(前年同期比9.0%増)となりました。
(c) eスポーツ
ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開しています。ウェルプレイド・ライゼスト㈱のeスポーツ事業並びにトーナメントプラットフォームの「Tonamel」が売上高の大部分を占めております。当連結会計年度におけるTonamelの累計大会開催数は、コミュニティに寄り添った運営と海外市場での大会開催数の大幅な増加により、前年同期比562.6%増の101,888件となりました。一方、ウェルプレイド・ライゼスト㈱では、eスポーツ市場は引き続き堅調な成長を見せる中、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、eスポーツを含むエンターテインメント全般のオフラインイベントが復活した結果、スポンサー企業のプロモーション戦略におけるeスポーツの占める割合が相対的に縮小傾向となったことにより、下期に開催を予定していた一部の案件において、クライアント企業に起因した案件の中止や規模の縮小が発生しました。この結果、eスポーツ関連の売上高は2,627,158千円(前年同期比5.3%減)となりました。
(d) ちいき資本主義
地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスの提供を行っております。移住プラットフォームサービスの「SMOUT」、コミュニティ通貨サービスの「まちのコイン」、地域プロモーションの受託、鎌倉市内で展開するまちづくり事業などのサービスが売上高の大部分を占めております。当連結会計年度末時点で、「SMOUT」の累計登録ユーザー数は前年同期比18.8%増の約5.5万人となり、順調に拡大しております。「SMOUT」の導入地域数も当連結会計年度末時点で前年同期比7.8%増の938地域となり、市場の上限である自治体数約1,700地域に対しての導入率が55.2%となりました。また、当連結会計年度末時点での「まちのコイン」の累計登録ユーザー数は、前年同期比58.1%増の9.3万人と、こちらも順調に増加しております。この結果、ちいき資本主義関連の売上高は777,282千円(前年同期比65.8%増)となりました。
(e) その他サービス
ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年上半期に業績が悪化した後、緩やかな回復基調にあります。不動産業である鎌倉R不動産㈱による季節要因などもあり、その結果、その他サービス関連の売上高は1,620,709千円(前年同期比1.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ744,195千円増加し、5,004,208千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,123,086千円の収入(前年同期間は1,766,803千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益942,091千円の計上、売上債権及び契約資産の減少184,176千円、未収入金の増加155,697千円、預り金の増加380,384千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは354,224千円の支出(前年同期間は909,260千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出145,629千円、投資有価証券の取得による支出113,123千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは35,634千円の支出(前年同期間は931,599千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出738,938千円、長期借入れによる収入521,000千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) |
面白プロデュース | 1,711,744 | △7.9 | 308,558 | △34.9 |
合計 | 1,711,744 | △7.9 | 308,558 | △34.9 |
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
面白プロデュース | 1,877,505 | △2.5 |
ゲームエンタメ | 10,564,508 | 9.0 |
eスポーツ | 2,627,158 | △5.3 |
ちいき資本主義 | 777,282 | 65.8 |
その他サービス | 1,620,709 | △1.2 |
合計 | 17,467,164 | 5.8 |
(注)1. ゲームエンタメについては、プラットフォーム手数料控除前の金額で販売高を算出しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
App Lovin corp | 2,018,072 | 12.2 | 2,758,891 | 15.8 |
Mintegral Int'l Ltd. | 846,169 | 5.1 | 1,108,936 | 6.3 |
AdMob Google Inc. | 939,106 | 5.7 | 986,643 | 5.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ699,969千円増加し、11,680,219千円となりました。主な要因は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱の株式売却と税金等調整前当期純利益計上等による現金及び預金の増加872,140千円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少206,185千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ105,901千円増加し、5,749,830千円となりました。主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の減少213,852千円、預り金の増加379,657千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ594,068千円増加し、5,930,388千円となりました。主な要因は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱の株式売却による資本剰余金の増加284,296千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加448,961千円であります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は17,467,164千円(前連結会計年度比5.8%増)となりました。これは、主要サービスであるゲームエンタメ関連の売上高がハイパーカジュアルゲームの躍進により大幅な増収となりましたが、eスポーツ関連業務の下期に開催を予定していた一部の案件において、クライアント企業に起因した案件の中止や規模の縮小が発生したため、減収となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の営業利益は1,021,932千円(前連結会計年度比15.2%減)となりました。ゲームエンタメが大幅な増収となったものの、第2四半期連結会計期間に売上高構成の大きい主力事業で一時的な不振により収益性が悪化したこと、事業規模の拡大に伴う外注費・人件費の増加、及び投資領域(ハイブリッドカジュアル・eスポーツ・地域関連サービス)への投資を進めた結果、売上高営業利益率は5.9%(前連結会計年度は7.3%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、助成金収入14,507千円及び為替差益21,120千円等により営業外収益として56,921千円、支払利息7,361千円及び持分法による投資損失19,791千円等により営業外費用として40,283千円を計上しました。この結果、経常利益は1,038,570千円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、投資有価証券評価損63,435千円及び減損損失33,043千円等による特別損失96,478千円、法人税等合計として375,758千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は511,181千円(前連結会計年度比34.5%減)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は5,004,208千円、流動資産は8,409,647千円、流動負債は4,409,139千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、新型コロナウイルス感染症の影響からの緩やかな回復の兆しが見られ、個人消費や雇用情勢も緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスク、円安による為替相場の変動に十分注意する必要があるとみられております。他方、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場がさらなる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んでまいります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
「面白プロデュース」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追求によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大及び安定化を図ってまいります。また、広告制作受託のみならず、話題性のある商品開発やR&Dなど事業領域を広いフィールドで捉え、企業アライアンス等も行っていきながらさらなる成長を目指します。
「ゲームエンタメ」については、ハイパーカジュアルゲームの開発・運用体制の強化に取り組む一方、当社子会社である㈱カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めるとともに、アニメやWebtoonなどの新規性の高い周辺領域への拡張も進めます。また、2022年2月に立ち上げたメタバースの専門部隊がメタバース領域でさらなる成長を目指します。
「eスポーツ」は、ウェルプレイド・ライゼスト㈱、「Tonamel」、「ゲムトレ」を通じて、ゲームファンコミュニティへ向けたサービスを拡大させてまいります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図ってまいります。また、eスポーツのリーディングカンパニーとして、eスポーツ大会の企画・運営のみならず、タレントマネジメント、コミュニティ向け施策、教育事業などを通じて、業界のさらなる発展に寄与してまいります。
「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指してまいります。
「その他サービス」については、「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んでまいります。
なお、上記した各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。また、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高20,000,000千円(当期比14.5%増)、営業利益1,000,000千円(当期比2.1%減)、経常利益900,000千円(当期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益500,000千円(当期比2.2%減)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を測る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
指標 | 2022年12月期 (実績) | 2023年12月期 (計画) | 2023年12月期 (実績) | 2024年12月期 (計画) |
売上高 | 16,502百万円 | 18,200百万円 | 17,467百万円 | 20,000百万円 |
売上高営業利益率 | 7.3% | 7.4% | 5.9% | 5.0% |
クリエイター数 | 372人 | ― | 373人 | ― |
(注) ㈱カヤックアキバスタジオ及び㈱カヤックボンドは、㈱カヤックの秋葉原拠点の位置づけで一体的な運営を進めているため、クリエイター数の集計範囲に含めております。
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行ってまいります。