有価証券報告書-第16期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、社会経済活動が大きく制限された影響により、極めて厳しい状況で推移しました。また、2021年1月に再び緊急事態宣言が発令されるなど、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境としましては、2019年のスマートフォン保有率が前年比4.2%ポイント上昇の83.4%となり、モバイルでのインターネット環境は引き続き発展を続けております(出所:総務省「令和2年版情報通信白書」)。当社が注力するインターネット広告市場についても、2020年の市場規模は前年比5.9%増の2兆2,290億円となり、総広告費が前年比11.2%減となる中でも、成長を続けております(出所:電通「2020 日本の広告費」)。また、国内オンラインゲームの市場規模は2019年に前年比4.9%増の1兆2,962億円となり、安定的に成長しております(出所:KADOKAWA「ファミ通ゲーム白書2020」)。
このような事業環境の中で、当社グループはより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう良質なデジタルコンテンツを提供し続けております。その中でも、クライアントワーク、ゲーム、ゲームコミュニティ、ちいき資本主義の4つを主要サービスと位置づけ、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。また、その他サービスとして、SNSブライダルプラットフォームなどの新規サービスの開発及び投資を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,749,191千円(前期比37.1%増)、営業利益は744,582千円(前期は営業損失535,390千円)、経常利益は740,754千円(前期は経常損失540,359千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は505,209千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)となりました。
当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
(a) クライアントワーク
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。また、当社の企画力、技術力をもとにクライアントの新製品開発を支援する領域も拡大しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、リアルイベントの開催中止・延期などが発生しております。この結果、クライアントワーク関連の売上高は、2,154,307千円(前期比2.5%増)となりました。
(b) ソーシャルゲーム
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、ハイパーカジュアルゲーム、㈱カヤックアキバスタジオでの受託ゲーム開発が売上高の大部分を占めています。ハイパーカジュアルゲームの「Park Master」、「Noodle Master」、「Paint Dropper」、「Masking Print」の累計ダウンロード数は、2020年12月末時点で全世界合計1.41億件を超え、好調に推移しております。㈱カヤックアキバスタジオでの受託案件も拡大基調にあります。この結果、ゲーム関連の売上高は4,212,753千円(前期比80.6%増)となりました。
(c) ゲームコミュニティ
ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開しています。ウェルプレイド㈱のeスポーツ事業、スマートフォンゲームに特化したコミュニティの「Lobi」、トーナメントプラットフォームの「Tonamel」が売上高の大部分を占めております。当連結会計年度におけるTonamelの大会開催数は前期比364%増の5,812件と成長しました。この結果、ゲームコミュニティ関連の売上高は、1,409,354千円(前期比46.4%増)となりました。
(d) ちいき資本主義
地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスの提供を行っております。移住プラットフォームサービスの「SMOUT」、通貨コミュニティサービスの「まちのコイン」、地域プロモーションの受託、鎌倉市内で展開するまちづくり事業などのサービスが売上高の大部分を占めております。2020年12月末時点で、SMOUTの累計登録ユーザー数は前期末比163%増の2.26万人となり、順調に拡大しております。この結果、ちいき資本主義関連の売上高は、289,883千円(前期比125.5%増)となりました。
(e) その他サービス
ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、上期に大きく業績が悪化したものの、下期にかけては緩やかな回復基調にあります。また、子会社で展開する不動産仲介サービスは、都心から郊外へ転出需要を取り込み、緩やかな回復傾向が継続しております。この結果、その他サービス関連の売上高は、682,891千円(前期比20.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,257,268千円増加し、2,513,359千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,295,450千円の収入(前期は445,965千円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益715,778千円の計上、減価償却費150,104千円の計上、売上債権の減少86,524千円、未払金の増加105,914千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは前期から133,064千円増加し、223,831千円の収入となりました。これは、有形固定資産の売却による収入200,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入84,059千円等の増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは263,614千円の支出(前期は638,249千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出614,716千円等の減少要因があった一方で、長期借入れによる収入341,000千円等の増加要因があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. ゲームについては、プラットフォーム手数料控除後の金額で販売高を算出しております。
2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,341,736千円増加し、7,024,473千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加1,257,205千円、のれんの増加194,265千円、投資有価証券の減少152,288千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ772,465千円増加し、4,394,611千円となりました。主な要因は、未払金の増加240,245千円、借入金の増加153,871千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ569,271千円増加し、2,629,862千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加520,832千円、その他有価証券評価差額金の減少94,571千円、非支配株主持分の増加124,572千円であります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は8,749,191千円(前連結会計年度比37.1%増)となりました。これは、主要サービスであるゲーム関連の売上高がハイパーカジュアルゲームの躍進により大幅な増収となったことに加え、eスポーツ関連業務の拡大によりゲームコミュニティ関連の売上高が大きく成長したためであります。
(営業損益)
当連結会計年度の営業利益は744,582千円(前連結会計年度は営業損失535,390千円)となりました。ゲームとゲームコミュニティが大幅な増収となった一方で、外注費の削減や人件費の抑制に努めたことで、3期ぶりの営業黒字化及び過去最高の営業利益額を達成しました。この結果、売上高営業利益率は8.5%(前連結会計年度は△8.4%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、助成金収入26,640千円等により営業外収益として40,576千円、為替差損28,077千円等により営業外費用として44,404千円を計上しました。この結果、経常利益は740,754千円(前連結会計年度は経常損失540,359千円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、固定資産売却益による特別利益63,868千円、投資有価証券評価損69,648千円等により特別損失88,844千円、法人税等合計として200,775千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は505,209千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,513,359千円、流動資産は4,385,143千円、流動負債は2,661,689千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、ワクチンの普及に対する期待感が高まってはいるものの、新型コロナウイルス感染症の脅威は依然として続いており、景気の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。他方、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場が更なる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、2020年11月に子会社化したSANKOグループ3社との連携を強化し、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んで参ります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
「クライアントワーク」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追及によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大および安定化を図って参ります。また、株式会社SANKO及びマンガデザイナーズラボ株式会社とのシナジーを発揮し、新規顧客の開拓や既存顧客に対する付加価値サービスの提供に努めて参ります。
「ゲーム」については、ハイパーカジュアルゲームの開発・運用体制の強化に取り組む一方、当社子会社である株式会社カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めて参ります。
「ゲームコミュニティ」は、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社、「Lobi」、「Tonamel」を通じて、ゲームファンコミュニティへ向けたサービスを拡大させて参ります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図って参ります。また、eスポーツのリーディングカンパニーとして、eスポーツ大会の企画・運営のみならず、タレントマネジメント、コミュニティ向け施策、教育事業などを通じて、業界のさらなる発展に寄与して参ります。
「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指して参ります。
「その他サービス」については、「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んで参ります。その中で、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
なお、上記の各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高10,000,000千円(当期比14.3%増)、営業利益1,000,000千円(当期比34.3%増)、経常利益950,000千円(当期比28.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益580,000千円(当期比14.8%増)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を図る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
※2020年12月期は2020年12月17日公表の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」の通り、修正しております。
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行って参ります
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、社会経済活動が大きく制限された影響により、極めて厳しい状況で推移しました。また、2021年1月に再び緊急事態宣言が発令されるなど、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業環境としましては、2019年のスマートフォン保有率が前年比4.2%ポイント上昇の83.4%となり、モバイルでのインターネット環境は引き続き発展を続けております(出所:総務省「令和2年版情報通信白書」)。当社が注力するインターネット広告市場についても、2020年の市場規模は前年比5.9%増の2兆2,290億円となり、総広告費が前年比11.2%減となる中でも、成長を続けております(出所:電通「2020 日本の広告費」)。また、国内オンラインゲームの市場規模は2019年に前年比4.9%増の1兆2,962億円となり、安定的に成長しております(出所:KADOKAWA「ファミ通ゲーム白書2020」)。
このような事業環境の中で、当社グループはより多くのユーザーに楽しんでいただけるよう良質なデジタルコンテンツを提供し続けております。その中でも、クライアントワーク、ゲーム、ゲームコミュニティ、ちいき資本主義の4つを主要サービスと位置づけ、相互にシナジーを図りながら事業を進めてまいりました。また、その他サービスとして、SNSブライダルプラットフォームなどの新規サービスの開発及び投資を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,749,191千円(前期比37.1%増)、営業利益は744,582千円(前期は営業損失535,390千円)、経常利益は740,754千円(前期は経常損失540,359千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は505,209千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)となりました。
当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
(a) クライアントワーク
新しい技術とアイデアに挑戦し、クライアントとその先にいるユーザーに新しい体験を提供することで、クライアントのマーケティング及びブランディングに資する広告を提供しております。また、当社の企画力、技術力をもとにクライアントの新製品開発を支援する領域も拡大しております。スマートフォンの普及や新しい技術の出現を背景に、WEB領域にとどまらないリアルと連動した案件が増加傾向にありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、リアルイベントの開催中止・延期などが発生しております。この結果、クライアントワーク関連の売上高は、2,154,307千円(前期比2.5%増)となりました。
(b) ソーシャルゲーム
「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マン マッスルショット」、ハイパーカジュアルゲーム、㈱カヤックアキバスタジオでの受託ゲーム開発が売上高の大部分を占めています。ハイパーカジュアルゲームの「Park Master」、「Noodle Master」、「Paint Dropper」、「Masking Print」の累計ダウンロード数は、2020年12月末時点で全世界合計1.41億件を超え、好調に推移しております。㈱カヤックアキバスタジオでの受託案件も拡大基調にあります。この結果、ゲーム関連の売上高は4,212,753千円(前期比80.6%増)となりました。
(c) ゲームコミュニティ
ゲームファンに向けた一連のコミュニティサービスを展開しています。ウェルプレイド㈱のeスポーツ事業、スマートフォンゲームに特化したコミュニティの「Lobi」、トーナメントプラットフォームの「Tonamel」が売上高の大部分を占めております。当連結会計年度におけるTonamelの大会開催数は前期比364%増の5,812件と成長しました。この結果、ゲームコミュニティ関連の売上高は、1,409,354千円(前期比46.4%増)となりました。
(d) ちいき資本主義
地方公共団体や地域企業に対して、まちづくりに関するコンテンツの開発とサービスの提供を行っております。移住プラットフォームサービスの「SMOUT」、通貨コミュニティサービスの「まちのコイン」、地域プロモーションの受託、鎌倉市内で展開するまちづくり事業などのサービスが売上高の大部分を占めております。2020年12月末時点で、SMOUTの累計登録ユーザー数は前期末比163%増の2.26万人となり、順調に拡大しております。この結果、ちいき資本主義関連の売上高は、289,883千円(前期比125.5%増)となりました。
(e) その他サービス
ブライダルプラットフォーム「プラコレWedding」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、上期に大きく業績が悪化したものの、下期にかけては緩やかな回復基調にあります。また、子会社で展開する不動産仲介サービスは、都心から郊外へ転出需要を取り込み、緩やかな回復傾向が継続しております。この結果、その他サービス関連の売上高は、682,891千円(前期比20.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,257,268千円増加し、2,513,359千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,295,450千円の収入(前期は445,965千円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益715,778千円の計上、減価償却費150,104千円の計上、売上債権の減少86,524千円、未払金の増加105,914千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは前期から133,064千円増加し、223,831千円の収入となりました。これは、有形固定資産の売却による収入200,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入84,059千円等の増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは263,614千円の支出(前期は638,249千円の収入)となりました。これは、長期借入金の返済による支出614,716千円等の減少要因があった一方で、長期借入れによる収入341,000千円等の増加要因があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) |
クライアントワーク | 2,265,586 | 13.1 | 535,090 | 26.3 |
合計 | 2,265,586 | 13.1 | 535,090 | 26.3 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
クライアントワーク | 2,154,307 | 2.5 |
ゲーム | 4,212,753 | 80.6 |
ゲームコミュニティ | 1,409,354 | 46.4 |
ちいき資本主義 | 289,883 | 125.5 |
その他サービス | 682,891 | △20.3 |
合計 | 8,749,191 | 37.1 |
(注) 1. ゲームについては、プラットフォーム手数料控除後の金額で販売高を算出しております。
2. 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
(株)ディー・エヌ・エー | 1,004,224 | 15.7 | 616,474 | 7.0 |
(株)小松製作所 | 304,550 | 4.8 | 516,868 | 5.9 |
Apple Inc. | 542,525 | 8.5 | 458,020 | 5.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,341,736千円増加し、7,024,473千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加1,257,205千円、のれんの増加194,265千円、投資有価証券の減少152,288千円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ772,465千円増加し、4,394,611千円となりました。主な要因は、未払金の増加240,245千円、借入金の増加153,871千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ569,271千円増加し、2,629,862千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加520,832千円、その他有価証券評価差額金の減少94,571千円、非支配株主持分の増加124,572千円であります。
(b) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は8,749,191千円(前連結会計年度比37.1%増)となりました。これは、主要サービスであるゲーム関連の売上高がハイパーカジュアルゲームの躍進により大幅な増収となったことに加え、eスポーツ関連業務の拡大によりゲームコミュニティ関連の売上高が大きく成長したためであります。
(営業損益)
当連結会計年度の営業利益は744,582千円(前連結会計年度は営業損失535,390千円)となりました。ゲームとゲームコミュニティが大幅な増収となった一方で、外注費の削減や人件費の抑制に努めたことで、3期ぶりの営業黒字化及び過去最高の営業利益額を達成しました。この結果、売上高営業利益率は8.5%(前連結会計年度は△8.4%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度において、助成金収入26,640千円等により営業外収益として40,576千円、為替差損28,077千円等により営業外費用として44,404千円を計上しました。この結果、経常利益は740,754千円(前連結会計年度は経常損失540,359千円)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、固定資産売却益による特別利益63,868千円、投資有価証券評価損69,648千円等により特別損失88,844千円、法人税等合計として200,775千円を計上しました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は505,209千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失304,972千円)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。当社グループの運転資金・設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、自己資金、銀行借入等により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,513,359千円、流動資産は4,385,143千円、流動負債は2,661,689千円であり、将来に対して十分な流動性を確保しております。なお、有価証券報告書提出日現在でオフィス新設等の有形固定資産の取得をともなう重大な資本的支出の計画はございません。
(d) 経営戦略の現状と見通し
当社グループをとりまく事業環境については、ワクチンの普及に対する期待感が高まってはいるものの、新型コロナウイルス感染症の脅威は依然として続いており、景気の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。他方、スマートフォンの世界的な普及や、SNS等のコミュニティツールの拡大、浸透により、世の中のインタラクティブ化が進むとともにデジタルコンテンツ市場が更なる成長期を迎えると考えております。
そのような状況の中、当社グループは、2020年11月に子会社化したSANKOグループ3社との連携を強化し、ユーザーに「面白い」と感じて頂ける新規コンテンツを積極的に市場に投入することで収益基盤の拡大に取り組んで参ります。また、「面白い」コンテンツを生み出す土台として、社内の組織体制や組織制度を引き続き重視し、創造的な職場環境の整備に努めます。
「クライアントワーク」については、引き続き、新しい技術と新しいアイデアの追及によるクリエイティブの高いサービスの提供により収益の拡大および安定化を図って参ります。また、株式会社SANKO及びマンガデザイナーズラボ株式会社とのシナジーを発揮し、新規顧客の開拓や既存顧客に対する付加価値サービスの提供に努めて参ります。
「ゲーム」については、ハイパーカジュアルゲームの開発・運用体制の強化に取り組む一方、当社子会社である株式会社カヤックアキバスタジオでのゲームの受託開発に当社グループ内のリソースを集約し、リスクを抑制した形での収益拡大に努めて参ります。
「ゲームコミュニティ」は、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社、「Lobi」、「Tonamel」を通じて、ゲームファンコミュニティへ向けたサービスを拡大させて参ります。ユーザー(コミュニティ)にとって付加価値の高い機能を追加していくことでユーザー数の拡大を目指すとともに、収益獲得手段の多様化とコミュニティとしての価値を高めることで収益基盤の確立を図って参ります。また、eスポーツのリーディングカンパニーとして、eスポーツ大会の企画・運営のみならず、タレントマネジメント、コミュニティ向け施策、教育事業などを通じて、業界のさらなる発展に寄与して参ります。
「ちいき資本主義」については、プラットフォーム事業である「まちのコイン」と「SMOUT」の導入自治体数の拡大に努めることに加え、コミュニティ再生やSDGs、移住促進や関係人口創出などの分野のサービス提供を通じて収益拡大を目指して参ります。
「その他サービス」については、「プラコレ」の成長をさらに加速させるとともに、引き続き、新規サービスの創出、成長または売却(選択と集中)に取り組んで参ります。その中で、当社グループ全体での事業ポートフォリオの最適化と適切なリソース配分に努めます。
なお、上記の各サービスは、サービス単独での収益拡大のみならず、人材やノウハウの相互共有によるシナジー等の効果を取り込むことにより全社としての収益拡大を目指します。
次期の連結業績見通しにつきましては、売上高10,000,000千円(当期比14.3%増)、営業利益1,000,000千円(当期比34.3%増)、経常利益950,000千円(当期比28.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益580,000千円(当期比14.8%増)を見込んでおります。
(e) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループでは、①売上高、②売上高営業利益率、③クリエイター数を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性、クリエイター数は当社の企業価値の源泉であるクリエイティブ力を図る目安として重要視しております。クリエイター数については、優秀な人材を定期的に採用することの難しさや経営環境によって適正な水準が変わるため、具体的数値目標は設定しておりませんが、従業員数のうち90%以上をクリエイターとすることを目指しております。
指標 | 2019年12月期 (実績) | 2020年12月期 (計画)※ | 2020年12月期 (実績) | 2021年12月期 (計画) |
売上高 | 6,382百万円 | 8,700百万円 | 8,749百万円 | 10,000百万円 |
売上高営業利益率 | △8.4% | 8.0% | 8.5% | 10.0% |
クリエイター数 (提出会社) | 290人 | ― | 257人 | ― |
※2020年12月期は2020年12月17日公表の「通期業績予想の修正に関するお知らせ」の通り、修正しております。
(f) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長と発展を遂げるためには、厳しい環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
そのためには、コーポレートブランド価値の向上、新技術への対応、環境に合わせたリソース配分の最適化、健全性・安全性の維持、内部管理体制の充実を行って参ります