有価証券報告書-第18期(2023/01/01-2023/12/31)
(業績等の概要)
(1) 業績
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前期比1.6%増の80,337百万円となりました。
利益面につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、営業利益は前期から9,918百万円増加し、853百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は前期から7,802百万円改善しましたが、1,287百万円の損失となりました。
セグメント業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、前期比3.1%増の75,929百万円となりました。セグメント損益(営業損益)につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円を計上し、一方、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等の減損損失9,546百万円がなくなったことから、前期から10,261百万円改善し、営業利益は4,804百万円となりました。
リニアビジネス
リニアビジネスの売上収益は、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前期比17.8%減の4,407百万円となりました。一方で、セグメント損益(営業損益)につきましては、前年同期に計上したリニアビジネスののれんの減損損失4,016百万円がなくなりましたが、売上減少及びボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上したことにより、前期から344百万円悪化し、3,972百万円の損失となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ6,187百万円増加し166,078百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が1,659百万円、棚卸資産が1,888百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,116百万円減少したため流動資産が2,341百万円増加となり、また、設備投資により有形固定資産が3,463百万円増加し、無形資産及びのれんが1,327百万円減少しましたが、その他の非流動資産が1,227百万円増加し非流動資産が3,846百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ2,176百万円増加し、111,936百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が2,370百万円増加したことによります。なお、前期末に財務制限条項に抵触し流動負債に区分した一部の借入金43,933百万円について、当連結会計期間末では非流動負債内の社債及び借入金に計上しております。
資本につきましては、前期末に比べ4,011百万円増加し、54,142百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定などのその他の資本の構成要素が6,355百万円増加したこと、及び利益剰余金が2,442百万円減少したことによります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,405百万円の資金の増加となりました。主な要因は、税引前当期利益113百万円、減価償却費及び償却費3,189百万円、減損損失3,423百万円などの資金の増加要因があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,651百万円、利息の支払額1,173百万円、法人所得税等の支払額1,568百万円などの資金減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出を主な要因とし、4,895百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出7,000百万円の減少がありましたが、転換社債の発行による収入10,020百万円により、1,394百万円の増加となりました。これらに当連結会計年度のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、980百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は23,003百万円と前連結会計年度末と比べ1,116百万円の減少となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRSに基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要性のある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3重要性のある会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」及び「3.重要性のある会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
① 売上収益
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前連結会計年度に比べ1.6%増加の80,337百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、前連結会計年度に比べ3.1%増加の75,929百万円、リニアビジネスでは、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前連結会計年度に比べ17.8%減少の4,407百万円となりました。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は、前連結会計年度に比べ5.8%減少の67,177百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ69.6%増加の13,160百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ6.6%減少し、83.6%となりました。売上原価減少の主な要因は、コスト改善効果が見られ、また、プレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことによるものです。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、主に前連結会計年度に計上したプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことにより、前連結会計年度に比べ5.7%減少の7,916百万円となりました。
④ 営業損益
営業損益は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前連結会計年度に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、853百万円の営業利益となりました。事業部別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、4,804百万円の営業利益、リニアビジネスでは、3,972百万円の営業損失となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、主にオランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用の税効果を計上できないことから、税引前利益より大きい1,402百万円の計上となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、1,287百万円の損失となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減などにより、前連結会計年度に比べ8.6%減少の7,465百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、営業債務及びその他の債務の減少や有形固定資産の支出があった一方、税引前当期利益が回復したことにより、前連結会計年度から改善し3,528百万円の支出となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、現金及び現金同等物の残高は23,003百万円となっております。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
(1) 業績
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前期比1.6%増の80,337百万円となりました。
利益面につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、営業利益は前期から9,918百万円増加し、853百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は前期から7,802百万円改善しましたが、1,287百万円の損失となりました。
セグメント業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、前期比3.1%増の75,929百万円となりました。セグメント損益(営業損益)につきましては、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円を計上し、一方、前年同期に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等の減損損失9,546百万円がなくなったことから、前期から10,261百万円改善し、営業利益は4,804百万円となりました。
リニアビジネス
リニアビジネスの売上収益は、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前期比17.8%減の4,407百万円となりました。一方で、セグメント損益(営業損益)につきましては、前年同期に計上したリニアビジネスののれんの減損損失4,016百万円がなくなりましたが、売上減少及びボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上したことにより、前期から344百万円悪化し、3,972百万円の損失となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ6,187百万円増加し166,078百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が1,659百万円、棚卸資産が1,888百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,116百万円減少したため流動資産が2,341百万円増加となり、また、設備投資により有形固定資産が3,463百万円増加し、無形資産及びのれんが1,327百万円減少しましたが、その他の非流動資産が1,227百万円増加し非流動資産が3,846百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ2,176百万円増加し、111,936百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が2,370百万円増加したことによります。なお、前期末に財務制限条項に抵触し流動負債に区分した一部の借入金43,933百万円について、当連結会計期間末では非流動負債内の社債及び借入金に計上しております。
資本につきましては、前期末に比べ4,011百万円増加し、54,142百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定などのその他の資本の構成要素が6,355百万円増加したこと、及び利益剰余金が2,442百万円減少したことによります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,405百万円の資金の増加となりました。主な要因は、税引前当期利益113百万円、減価償却費及び償却費3,189百万円、減損損失3,423百万円などの資金の増加要因があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,651百万円、利息の支払額1,173百万円、法人所得税等の支払額1,568百万円などの資金減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出を主な要因とし、4,895百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出7,000百万円の減少がありましたが、転換社債の発行による収入10,020百万円により、1,394百万円の増加となりました。これらに当連結会計年度のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、980百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は23,003百万円と前連結会計年度末と比べ1,116百万円の減少となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2022年12月期 | 2023年12月期 | |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 31.3 | 32.6 |
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%) | 25.3 | 17.5 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) | △2,155.0 | 6,502.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | △3.8 | 1.2 |
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRSに基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
プレシジョン・コンポーネントビジネス | 51,471 | 99.1 |
リニアビジネス | 2,607 | 81.0 |
合計 | 54,079 | 98.0 |
(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 商品仕入高(百万円) | 前年同期比(%) |
プレシジョン・コンポーネントビジネス | 5,285 | 66.3 |
リニアビジネス | 91 | 76.7 |
合計 | 5,376 | 66.5 |
(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
プレシジョン・コンポーネントビジネス | - | - | - | - |
リニアビジネス | 3,198 | 71.8 | 1,572 | 65.9 |
合計 | 3,198 | 71.8 | 1,572 | 65.9 |
(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
プレシジョン・コンポーネントビジネス | 75,929 | 103.1 |
リニアビジネス | 4,407 | 82.2 |
その他 | 1 | 100.0 |
合計 | 80,337 | 101.6 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年 1月 1日 至 2022年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年 1月 1日 至 2023年12月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
AB SKF | 18,276 | 23.1 | 16,898 | 21.0 |
NTN㈱ | 7,735 | 9.8 | 8,983 | 11.2 |
(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要性のある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3重要性のある会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)見積り及び判断の利用」及び「3.重要性のある会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
① 売上収益
国内では、年初から全般的に需要の回復が続いておりましたが、下期後半から景気の一服感が強まっております。自動車産業では半導体不足の解消や円安により改善が継続したものの、一部メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり販売の伸長が縮小しており、また工作機械は需要の落ち込みから低調な状況が続いております。更には、全般的な物価上昇による総需要の減少やコストの増加、人手不足の深刻化による悪影響等一段と懸念されております。海外では、欧州や中国の景気低迷をアメリカの安定により世界経済を支えている状況にありますが、各所で利下げに転じる方向ではあるものの、いまだ既往の高インフレや金融引締影響が散見され、再度の需要減速等リスクを留意の上世界市場の動向も注視しております。
このような状況下、当期の売上収益は、主力事業のプレシジョン・コンポーネントビジネスの主要製品が、世界的な工作機械受注の落ち込み、また、当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等により、前連結会計年度に比べ1.6%増加の80,337百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、世界的な工作機械受注の落ち込み、そして当社製品納入先の在庫調整などにより伸び悩んだものの、エネルギー価格・原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や円安影響等あり、前連結会計年度に比べ3.1%増加の75,929百万円、リニアビジネスでは、工作機械の受注の落ち込みや顧客の在庫調整などにより、前連結会計年度に比べ17.8%減少の4,407百万円となりました。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は、前連結会計年度に比べ5.8%減少の67,177百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ69.6%増加の13,160百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ6.6%減少し、83.6%となりました。売上原価減少の主な要因は、コスト改善効果が見られ、また、プレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことによるものです。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、主に前連結会計年度に計上したプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産の減損損失の計上がなくなったことにより、前連結会計年度に比べ5.7%減少の7,916百万円となりました。
④ 営業損益
営業損益は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減や、オランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用1,966百万円(その他の費用に計上した1,834百万円及び生産停止等による生産性低下影響132百万円)、更にボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の売却に伴う減損損失等4,042百万円を計上しましたが、前連結会計年度に計上した欧州ローラービジネスの構造改革に対する費用2,952百万円やプレシジョン・コンポーネントビジネスの米州地域の有形固定資産等及びリニアビジネスののれんの減損損失13,562百万円がなくなったことから、853百万円の営業利益となりました。事業部別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは、4,804百万円の営業利益、リニアビジネスでは、3,972百万円の営業損失となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、主にオランダのスタンピング工場閉鎖に伴う費用の税効果を計上できないことから、税引前利益より大きい1,402百万円の計上となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、1,287百万円の損失となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減などにより、前連結会計年度に比べ8.6%減少の7,465百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、営業債務及びその他の債務の減少や有形固定資産の支出があった一方、税引前当期利益が回復したことにより、前連結会計年度から改善し3,528百万円の支出となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、現金及び現金同等物の残高は23,003百万円となっております。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。