有価証券報告書-第19期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/26 15:00
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【項目】
129項目
(業績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度における経済環境は、米国が底堅い個人消費や設備投資により堅調に推移した一方で、欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、製造業を取り巻く環境の厳しさに改善は見られず、ユーロ圏経済の停滞につながりました。中国においては、輸出は堅調に推移しましたが、不動産不況が長引き景気の改善に足踏み感が見られます。国内経済は、台風や地震等の自然災害による工場停止や深刻な人手不足、一部自動車メーカーの減産等により一時的に停滞感を強めたものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより緩やかな回復の動きがみられました。
当社グループの当期の業績は、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業を非継続事業に分類したことに伴い、非継続事業を除いた継続事業の数値を中心に報告いたします。
当期の売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前期比1.5%減の75,921百万円となりました。
利益面につきましては、売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、営業利益は前期比83.8%減の814百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は転換社債及び新株予約権の時価評価額によるデリバティブ評価益及び為替差益により金融収益が前期より1,976百万円増加し、912百万円となりました。
セグメント区分につきましては、従来「プレシジョン・コンポーネントビジネス」「リニアビジネス」を報告セグメントとしておりましたが、リニアビジネスのボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業を非継続事業に分類したことに伴い当期より「プレシジョン・コンポーネントビジネス」「ブロア・リアルエステイトビジネス」を報告セグメントに変更しております。なお、「ブロア・リアルエステイトビジネス」は従来「リニアビジネス」及び「その他」に分類しておりましたが、量的な重要性が増したため当期より報告セグメントとしております。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
プレシジョン・コンポーネントビジネス
プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前期比1.1%減の75,102百万円となりました。セグメント利益は、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前期比86.8%減の632百万円となりました。
ブロア・リアルエステイトビジネス
ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は、大型の受注が少なかったこと等により、前期比29.1%減の819百万円となりました。セグメント利益は、売上の減少等により、前期比15.4%減の181百万円となりました。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ8,643百万円増加し174,721百万円となりました。これは、営業債権及びその他の債権が1,904百万円減少したものの、ボールねじ及びボールウェイの製造及び販売事業の譲渡に関する株式譲渡契約が締結されたことに伴い譲渡が見込まれる資産3,450百万円を売却目的で保有する資産に計上したことにより、流動資産が738百万円増加しました。また、設備投資により有形固定資産が2,469百万円増加、無形固定資産及びのれんが1,880百万円増加、その他の非流動資産が3,157百万円増加し、非流動資産が7,905百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ1,277百万円増加し113,213百万円となりました。これは、営業債務及びその他の債務が583百万円減少したものの、為替の影響等により社債及び借入金が2,293百万円増加したことによります。
資本につきましては、前期末に比べ7,366百万円増加し61,508百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定等のその他の資本の構成要素が6,831百万円増加したことによります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,873百万円の増加となりました。主な要因としては、税引前当期利益1,747百万円、減価償却費及び償却費3,257百万円、営業債権及びその他の債権の減少3,286百万円の資金の増加要因があった一方で、営業債務及びその他の債務の減少1,039百万円、為替差益1,783百万円、法人所得税等の支払額2,030百万円などの資金減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出を主な要因とし、3,800百万円の減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済による支出5,000百万円がありましたが、長期借入れによる収入3,960百万円により、1,906百万円の減少となりました。
これらに当連結会計年度中のUSドル高及びユーロ高を主な要因とする、1,164百万円の換算差額等を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は23,334百万円と前連結会計年度末と比べ331百万円の増加となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2023年12月期2024年12月期
親会社所有者帰属持分比率(%)32.635.2
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)17.510.8
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)6,502.11,921.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)1.23.3

親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注) 1 IFRS会計基準に基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
プレシジョン・コンポーネントビジネス40,61191.4
ブロア・リアルエステイトビジネス6,99599.7
合計47,60692.5

(注) 1 上記の金額は、平均販売価格で表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称商品仕入高(百万円)前年同期比(%)
プレシジョン・コンポーネントビジネス3,08562.4
ブロア・リアルエステイトビジネス27279.1
合計3,35763.5

(注) 1 上記の金額は、平均仕入価格で表示しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
プレシジョン・コンポーネントビジネス----
ブロア・リアルエステイトビジネス2,272240.91,491194.2
合計2,272240.91,491194.2

(注) 1 プレシジョン・コンポーネントビジネスの生産方式は、見込生産のため該当事項はありません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
プレシジョン・コンポーネントビジネス75,10298.9
ブロア・リアルエステイトビジネス81970.9
合計75,92198.5

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)
AB SKF16,89821.017,35222.9
SCHAEFFLER7,9859.948,12610.7
NTN㈱8,98311.27,92610.4

(注) 上記の金額には当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要性のある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRS会計基準に基づき作成しております。重要性のある会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要性のある会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」及び「4.重要性のある会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
① 売上収益
当連結会計年度における経済環境は、米国が底堅い個人消費や設備投資により堅調に推移した一方で、欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、製造業を取り巻く環境の厳しさに改善は見られず、ユーロ圏経済の停滞につながりました。中国においては、輸出は堅調に推移しましたが、不動産不況が長引き景気の改善に足踏み感が見られます。国内経済は、台風や地震等の自然災害による工場停止や深刻な人手不足、一部自動車メーカーの減産等により一時的に停滞感を強めたものの、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより緩やかな回復の動きがみられました。
このような状況の下、当期の継続事業における売上収益は、前連結会計年度に比べ1.5%減の75,921百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスの売上収益は、欧州経済の停滞、国内における一部自動車メーカーの減産や、一般産業機器、工作機械の需要回復の遅れ、米国テネシー州で発生したハリケーンの影響による一時的な生産停止等が影響し、円安による増加要因があったものの、前連結会計年度に比べ1.1%減の75,102百万円となりました。ブロア・リアルエステイトビジネスの売上収益は、大型の受注が少なかったこと等により、前連結会計年度に比べ29.1%減の819百万円となりました。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は、前連結会計年度に比べ、4.1%増の65,403百万円、売上総利益は前連結会計年度に比べ26.3%減の10,518百万円となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ4.7%増加し、86.1%となりました。売上原価増加の主な要因は、コスト改善活動を継続し効果はみられるものの、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ等によるものです。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前連結会計年度に比べ24.7%増の9,354百万円となりました。
④ 営業損益
営業損益は、為替影響を除いた売上の減少や、在庫管理見直しに伴う棚卸評価損の計上、原材料価格転嫁のタイムラグ、輸送費・人件費・採用費用等の増加により、前連結会計年度に比べ83.8%減の814百万円となりました。事業別に見ますと、プレシジョン・コンポーネントビジネスでは前連結会計年度に比べ86.8%減の632百万円となり、ブロア・リアルエステイトビジネスで前連結会計年度に比べ15.4%減の181百万円となりました。
⑤ 法人所得税費用
法人所得税費用は、前連結会計年度に比べ54.1%減の647百万円となりました。
⑥ 親会社の所有者に帰属する当期損益
これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は、912百万円となりました。
⑦ EBITDA
EBITDA(営業利益+減価償却費及び償却費+減損損失)は、為替影響を除いた売上の減少に伴う利益減などにより、前連結会計年度に比べ49.2%減少の4,058百万円となりました。
⑧ フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、営業債権及びその他の債権の減少と有形固定資産の取得が少なかったことにより、前連結会計年度から4,563百万円改善し1,073百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針
経営戦略の現状と見直しおよび経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、継続的に企業価値を向上させることを経営の指針とし、①設備投資、②株主還元、③借入金の返済のバランスをとりながら、資金の使途を決定しています。当社グループの資金の源泉は、内部資金及びツバキ・ナカシマ本体の社債及び銀行借入金により調達したものであり、グローバル・キャッシュ・マネジメントシステムを活用し、グループ内の資金をタイムリーに把握すると共に、グループ会社間親子ローンやグループ会社間配当を実施する等し、資金効率の向上に努めております。キャッシュ創出力が当社の強みであり、利益の向上と共に運転資本の最適化を図っています。
なお、現金及び現金同等物の残高は23,334百万円となっております。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金または社債及び銀行借入金により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。