四半期報告書-第35期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/10 15:00
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更等)」及び「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が生じ、緊急事態宣言が発令され、複数回延長されるなど、サービス分野を中心に内需は低迷が続きました。ワクチン接種の広がり等により、感染抑制と消費活動の両立が期待されるものの、新たな変異株の発生もあり、景気回復の時期や程度等については依然として不確実性が高く、当面厳しい状況が続くと考えられます。
当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び緊急事態宣言の発令に伴い鉄道事業をはじめとした各事業において、移動需要の減少及び個人消費の低迷による影響を受けております。このような状況のなか、当社グループは、基幹事業である鉄道における「安全」は最大の使命であるとの認識のもと、鉄道の安全への投資を着実に行うとともに、拠点地域の戦略的まちづくりの一環として、昨年4月に熊本駅ビルを開業しました。さらに、新型コロナウイルス感染症の収束を願って九州の元気を発信する「その日まで、ともにがんばろう」プロジェクトの展開や地域特化型ファンドの設立等、「地域を元気に」する取り組みも行いました。また、先行き不透明な経営環境の変化に備え、従業員の一時帰休を含め、鉄道事業を中心としたコスト削減の取り組みを実施しました。
この結果、営業収益は前年同期比10.0%増の2,227億12百万円、営業利益は27億84百万円(前年同期の営業損失は186億1百万円)、EBITDAは226億65百万円(前年同期のEBITDAは17億28百万円)、経常利益は69億67百万円(前年同期の経常損失は161億53百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は92億14百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は116億62百万円)となりました。
(注) 当第3四半期連結累計期間におけるEBITDAは、営業利益に減価償却費を加えた数値(転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費を除く)であります。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称営業収益営業利益又は営業損失(△)EBITDA(注2)
当第3四半期
連結累計期間
前期比
増減
前期比
増減率
当第3四半期
連結累計期間
前期比
増減
前期比
増減率
当第3四半期
連結累計期間
前期比
増減
前期比
増減率
運輸サービス81,49811,20015.9%△11,39313,451△5,00011,568
建設62,6274,3297.4%2,689431.6%3,428200.6%
不動産・ホテル62,76213,68927.9%10,7295,30597.8%21,1116,58345.3%
不動産賃貸業43,2946,89418.9%11,6672,86132.5%20,4064,27726.5%
不動産販売業12,7485,44674.6%1,2961,1961,3051,196
ホテル業6,7191,34825.1%△2,2341,246△ 6001,108
流通・外食32,462△8,731△21.2%△7941,1831351,071
その他41,759△2,551△5.8%2,0791,192134.5%3,7781,50966.5%
合計281,11017,9366.8%3,31021,17523,45220,753768.8%
調整額(注1)△58,3982,370△ 526210△787183
連結数値222,71220,30610.0%2,78421,38622,66520,936

(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価
償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取
引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全を確保し、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じたうえで収入の確保に努めるとともに、固定費の高い鉄道事業の収支改善の取り組みとして、コスト削減を進めました。
安全面では、当社グループ全体のゆるぎなき安全をつくりだすために、「命を守る!!ルールを理解し、実践する」をスローガンに、安全創造運動に取り組みました。また、車両の新製や老朽設備の取替等の安全投資を着実に実施しました。
サービス面では、新型コロナウイルス感染症の感染防止に配慮しながら、お客さま一人ひとりのニーズを汲み取り、期待に応えスピーディーに行動することに努めました。また、ライオン株式会社とタイアップした衛生プロモーションやPayPay株式会社とのQRコード決済を活用した特急券の実証実験の発表等、新しい生活様式に合わせた安全で安心してご利用いただけるサービスの提供にも努めました。
営業面では、本年秋頃の西九州新幹線開業に向けて佐賀・長崎の魅力を発信する観光キャンペーンや、HKT48をパートナーに九州の鉄道各社とも協力した「みんなの九州プロジェクト」を実施しました。また、「きっぷこそ、ネットでね!」をキャッチコピーに、インターネット列車予約サービスのご利用拡大に向けたプロモーションを実施しました。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うお客さまのご利用減少に合わせ、一部の割引きっぷの発売終了又は価格改定を実施するとともに、新たな収益機会の獲得を目指した新幹線荷物輸送の事業を開始しました。
輸送面では、駅や車両における感染防止対策を講じつつ、交通ネットワークという社会インフラの維持に努めました。「平成29年7月九州北部豪雨」の影響により添田~夜明間で代行輸送を行っている日田彦山線においては、バス高速輸送システム(BRT)の導入による復旧について関係自治体と合意し、復旧に向けた準備を進めています。また、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、肥薩線の鉄道施設に被害が生じ、一部区間において代行輸送を行っております。
船舶事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための水際対策として、日本政府から旅客運送停止要請を受け、2020年3月からの定期航路全便の運航休止を継続しました。また、定期航路の運航休止中の取り組みとして、昨年3月から新型高速船「QUEEN BEETLE」での国内遊覧運航を実施しておりましたが、福岡県にまん延防止等重点措置と同等の措置及び緊急事態宣言が発出されたことを受け、国内遊覧運航についても昨年5月6日から昨年7月11日までの期間及び昨年8月2日から昨年9月30日までの期間の運航を休止しました。
バス事業においては、感染拡大防止の取り組みを通してお客さまに安心してご乗車いただける環境づくりに努めつつ、ご利用状況に応じた減便を行いました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている福岡市都心部の賑わいを取り戻すことを目的に、西日本鉄道株式会社、天神・博多地区の18の商業施設と共同したデジタルチケットをMaaSアプリ上で販売しました。また、第一交通産業株式会社・西日本鉄道株式会社とはデジタルを活用したモビリティサービスの構築に関する覚書を昨年9月30日に締結し、3社が強固な地盤を持つ北九州市を中心に、シームレスで利便性の高い交通ネットワークの実現に向けた取り組みをスタートしました。2020年度より取り組みを行っている宮崎地区では、持続可能な地域交通サービスの構築に向け、宮崎交通株式会社と昨年9月10日に地域輸送サービスにおける連携に関する覚書を締結し、日豊本線高鍋駅で路線バスと鉄道による新たな地域輸送サービスをスタートしました。その他、九州内各地でMaaSの展開に向けて取り組んでおり、佐賀県や大分県由布院地区では今年度中の展開を目指しております。また、西日本旅客鉄道株式会社が提供するMaaSアプリを通じ、当社管内の駅に関する情報や列車走行位置情報を提供することに合意し、サービスを開始するなど、九州外の交通事業者とも連携した取り組みを推進しました。
この結果、営業収益は前年同期比15.9%増の814億98百万円、営業損失は113億93百万円(前年同期の営業損失は248億44百万円)、EBITDAは△50億円(前年同期のEBITDAは△165億69百万円)となりました。
② 建設グループ
建設業においては、鉄道の専門技術を活かし、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道事業の安全・安定輸送に貢献しました。鉄道工事については、昨年度に引き続き、西九州新幹線や北陸新幹線関連工事の着実な遂行に努めました。
さらに、鉄道高架化工事、新幹線関連工事、マンション工事等、官公庁工事や民間工事の受注やコスト削減に努めました。
この結果、営業収益は前年同期比7.4%増の626億27百万円、営業利益は前年同期比1.6%増の26億89百万円、EBITDAは前年同期比0.6%増の34億28百万円となりました。
③ 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、昨年4月に「アミュプラザくまもと」を開業しました。一方で、地方自治体からの要請に従い、駅ビルにおいては、営業時間短縮や、一部テナントの店舗休業を実施しました。
不動産販売業においては、モデルルームの感染防止対策を講じつつ、分譲マンション「MJR堺筋本町タワー」、「MJR平尾駅前」や「MJR宮崎南パークサイド」等を売上に計上したほか、「MJRザ・ガーデン下大利」、「MJRザ・ガーデン香椎」や「MJR熊本ザ・タワー」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、昨年4月に「THE BLOSSOM KUMAMOTO」を開業しました。また、テレワークプランの販売等、限られた需要の取り込みを図りました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により稼働を落としましたが、昨年10月以降、緊急事態宣言の解除に伴う移動需要の回復により、持ち直しの動きが見られました。
この結果、営業収益は前年同期比27.9%増の627億62百万円、営業利益は前年同期比97.8%増の107億29百万円、EBITDAは前年同期比45.3%増の211億11百万円となりました。
④ 流通・外食グループ
小売業においては、コンビニエンスストアのリニューアルを行うとともに、昨年4月に開業した「アミュプラザくまもと」に「ハンズビーアミュプラザくまもと店」を出店しました。さらに、昨年8月にオープンしたJR九州グループのECサイト「駅長おすすめのe-MALL」における「呼子 萬坊」や「FAMILK!!」のオンライン出店に加え、昨年9月には、コンビニエンス事業では初の関東進出となる「ファミマ虎ノ門ヒルズ店」を出店しました。
飲食業においては、昨年4月に開業した「アミュプラザくまもと」にシナモンロール専門店「シナボン」を出店するなど新規出店の拡大に努めました。また、昨年8月には「うまや」としては初の郊外型独立店舗を出店したほか、博多駅のホームの店舗をポップアップショップとして活用する取り組みを継続するなど、新たな需要の創出に向けた取り組みを行うとともに、不採算店舗の閉店など一層の経営効率化にも努めました。また、昨年10月には、当社の子会社として昨年8月に設立した株式会社ヌルボンが、株式会社綱屋及び有限会社ロイヤルフーズより焼肉チェーン店「焼肉ヌルボン」などの事業を譲り受け、事業の運営を開始しました。
しかしながら、駅構内店舗や既存の飲食店舗で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う移動需要の減少及び消費需要の低迷による影響を受けるとともに、2020年5月にJR九州ドラッグイレブン株式会社の株式の一部を株式会社ツルハホールディングスへ譲渡し、同社を前年第1四半期連結会計期間末より連結の範囲から除外したことの影響を受けました。
この結果、営業収益は前年同期比21.2%減の324億62百万円、営業損失は7億94百万円(前年同期の営業損失は19億78百万円)、EBITDAは1億35百万円(前年同期のEBITDAは△9億35百万円)となりました。
⑤ その他グループ
建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。
この結果、営業収益は前年同期比5.8%減の417億59百万円、営業利益は前年同期比134.5%増の20億79百万円、EBITDAは前年同期比66.5%増の37億78百万円となりました。
(注) セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費を除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
①輸送実績
区分単位第35期第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
前年同期比(%)
営業日数275100.0
営業キロ新幹線キロ288.9100.0
在来線1,984.1100.0
2,273.0100.0
輸送人員定期千人148,153104.7
定期外57,718116.7
205,872107.8
輸送人キロ新幹線定期千人キロ136,874100.5
定期外625,314121.7
762,188117.2
在来線幹線定期2,346,645105.9
定期外1,145,498122.0
3,492,143110.7
地方
交通線
定期348,285104.6
定期外111,835121.8
460,120108.3
定期2,694,930105.7
定期外1,257,333121.9
3,952,264110.4
合計定期2,831,805105.5
定期外1,882,647121.8
4,714,452111.4

②収入実績
区分単位第35期第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
前年同期比(%)
旅客運輸収入新幹線定期百万円1,888100.4
定期外18,941127.4
20,830124.4
在来線定期19,541108.1
定期外26,878123.4
46,419116.5
合計定期21,429107.3
定期外45,820125.1
67,250118.8
荷物収入2-
合計67,252118.8
鉄道線路使用料収入34189.8
運輸雑収9,599102.2
収入合計77,194116.3

(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ3.9%増加し、9,264億95百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増等により前連結会計年度末に比べ0.9%増加し、2,027億58百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の取得等により前連結会計年度末に比べ4.8%増加し、7,237億36百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ8.9%増加し、5,401億93百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの発行等により前連結会計年度末に比べ10.0%増加し、1,591億17百万円となりました。固定負債は、社債の発行等により前連結会計年度末に比べ8.5%増加し、3,810億76百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ2.3%減少し、3,863億1百万円となりました。これは、配当金の支払等による利益剰余金の減等によるものです。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億28百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。