四半期報告書-第36期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)

【提出】
2022/08/05 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間における我が国の経済は、当初、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が減少傾向となるなか、行動制限の緩和や社会経済活動の正常化が進み、個人消費を中心に緩やかな持ち直しの動きがみられました。
しかしながら、6月下旬以降は新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加に転じたことや、ウクライナ情勢の長期化等に伴う原材料価格の上昇の影響がみられること等から、経済の先行きは依然として不透明であり、当社グループの経営環境も厳しい状況が続くものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは本年よりスタートした3ヵ年の「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」のもと、3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」及び「豊かなまちづくりモデルの創造」、「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に注力してまいりました。
この結果、営業収益は前年同期比25.5%増の904億76百万円、営業利益は78億83百万円(前年同期の営業損失は13億33百万円)、EBITDAは前年同期比192.5%増の147億47百万円、経常利益は85億57百万円(前年同期の経常利益は3億85百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比646.0%増の69億15百万円となりました。
(注) 当第1四半期連結累計期間におけるEBITDAは、営業利益に減価償却費を加えた数値(転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費を除く)であります。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。なお、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較について、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
(単位:百万円)
セグメントの名称営業収益営業利益又は営業損失(△)EBITDA(注2)
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
増減
前年同期比
増減率
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
増減
前年同期比
増減率
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
増減
前年同期比
増減率
運輸サービス31,4278,37936.4%2,3877,703-4,8048,061-
不動産・ホテル32,6236,70225.9%5,1861,26232.2%8,6231,21016.3%
不動産賃貸業14,9018315.9%3,774441.2%6,681140.2%
不動産販売業14,4834,27541.9%1,55216411.8%1,55716411.8%
ホテル業3,2381,59597.1%△1401,054-3841,031-
流通・外食12,3032,84930.1%△13812-298841-
建設16,319△949△5.5%△410△591-△147△565-
ビジネスサービス16,7857644.8%99232548.8%1,51545543.0%
合計109,45917,74619.3%8,1429,512-15,09410,004196.6%
調整額(注1)△18,982632-△259△295-△346△297-
連結数値90,47618,37825.5%7,8839,217-14,7479,706192.5%

(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価
償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取
引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全を確保し、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じたうえで収入の確保に努めるとともに、鉄道事業の費用として高い割合を占める固定費を中心に、コスト削減を進めました。また、本年9月の西九州新幹線開業に向けた準備を着実に推進しました。
安全面では、安全はすべての基盤との認識のもと、「命を守る!! ~ルールを理解し、正しく実践していますか?~」をスローガンに、安全創造運動に取り組みました。また、車両の新製や老朽設備の取替、防災対策等の安全投資を着実に実施しました。
サービス面では、「私は、お客さまの声に耳を傾け、会社の代表として、とことん考え行動します。」をテーマに掲げ、「サービスを社風へ」と高める取り組みを推進しました。また、お客さまの利便性を高める取り組みとして、PayPay株式会社が提供するPayPayアプリで購入できる特急券の導入について実証実験を行っていましたが、本年4月より通年発売を実施することとしました。
営業面では、本年9月の西九州新幹線開業に向けた取り組みとして、佐賀・長崎の魅力を発信する観光キャンペーンや福岡・熊本・鹿児島エリアを対象とした「LOVE&MEET by SHINKANSEN」キャンペーン等を実施しました。また、本年6月に九州新幹線区間へサービスエリアを延伸したネット予約&チケットレス乗車サービス「EXサービス」について、ご利用促進に向けたプロモーションを実施しました。なお、お客さまのご利用状況や「EXサービス」の導入等を踏まえ、在来線特急料金の見直しや一部の割引きっぷの発売終了及び価格改定を実施しました。
輸送面では、駅や車両における感染防止対策を講じつつ、地域の重要な社会インフラである交通ネットワークの維持に努めました。「平成29年7月九州北部豪雨」の影響により代行輸送を行っている日田彦山線の添田~夜明・日田間については、BRT(バス高速輸送システム)による復旧を進めており、日田彦山線BRT(愛称名:BRTひこぼしライン)として来年夏の開業に向けた準備を推進しました。また、「令和2年7月豪雨」の影響により、鉄道施設に甚大な被害が生じ不通となっている肥薩線の一部区間において代行輸送を行っております。
バス事業においては、感染防止の取り組みを通してお客さまに安心してご乗車いただける環境づくりに努めつつ、ご利用状況に応じた減便等を行いました。また、本年3月から高速バスの一部路線において、直近の予約状況に応じてより幅広い価格帯で柔軟に運賃を変動させるダイナミックプライシング型の運賃体系を導入しました。
船舶事業においては、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策として、日本政府から旅客運送停止要請を受け、2020年3月より定期航路全便の運航を休止しております。定期航路の運航休止中の取り組みとして、新型高速船「QUEEN BEETLE」の国内遊覧運航を継続するとともに、本年3月に「QUEEN BEETLE」の船籍を日本船籍へと変更し、国内二点間航路の運航を開始しました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、サービスを既に導入している福岡・佐賀・大分・宮崎の各県において、各地域の交通事業者と連携し、MaaSアプリ「my route」を活用したシームレスな交通サービスの実現に向けた取り組みを推進しました。また、未導入の各県へのサービス展開と九州広域で一体となったサービスの提供を目指して、自治体や交通事業者等と連携した取り組みを推進しました。
この結果、営業収益は前年同期比36.4%増の314億27百万円、営業利益は23億87百万円(前年同期の営業損失は53億16百万円)、EBITDAは48億4百万円(前年同期のEBITDAは△32億57百万円)となりました。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、まん延防止等重点措置の解除以降、各駅ビルのテナント売上高が緩やかに回復したほか、保有するオフィスや賃貸マンションの稼働は引き続き堅調に推移しました。また、本年3月に長崎駅高架下に「長崎街道かもめ市場」を開業するなど、来年秋の開業に向けて「新長崎駅ビル」の開発を着実に推進しました。
不動産販売業においては、オフィスビル1棟を売却したほか、分譲マンション「MJRザ・ガーデン香椎」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、モデルルームの感染防止対策を講じつつ、分譲マンション「MJR熊本ザ・タワー」や「MJR熊本駅南」、「MJR鹿児島駅パークフロント」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、九州ブロック割等の観光キャンペーンに伴う移動需要の積極的な取り込みを図るとともに、コスト削減を継続し収支改善に取り組みました。また、本年8月の「THE BLOSSOM KYOTO」開業に向けた準備を進めました。
この結果、営業収益は前年同期比25.9%増の326億23百万円、営業利益は前年同期比32.2%増の51億86百万円、EBITDAは前年同期比16.3%増の86億23百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、移動需要や個人消費が緩やかに回復するなか、お土産品店等を中心に駅構内店舗の収入回復に努めるとともに、コンビニエンスストア店舗のリニューアルを進めました。また、ロードサイドでの店舗展開を強化するため、当社の子会社であるJR九州リテール株式会社が株式会社シャトレーゼとフランチャイズ契約を締結し、本年4月に第1号店である菓子店「シャトレーゼ早良区原店」を出店しました。
飲食業においては、「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」や「THE OUTLETS KITAKYUSHU」などの郊外型商業施設への出店を進めるとともに、不採算店舗の閉店など一層の経営効率化にも努めました。
この結果、営業収益は前年同期比30.1%増の123億3百万円、営業損失は13百万円(前年同期の営業損失は8億25百万円)、EBITDAは2億98百万円(前年同期のEBITDAは△5億43百万円)となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道の専門技術を活かし、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組みました。鉄道工事については、西九州新幹線や北陸新幹線関連工事、芳賀・宇都宮LRT関連工事等の着実な遂行に努めました。また、当社の子会社であるJR九州電気システム株式会社において、本年3月から博多駅~鹿児島中央駅間の新幹線構造物内に、光ファイバケーブルを敷設し、光ファイバ心線を賃貸するサービスを開始しました。そのほか、官公庁工事やマンション等の民間工事の受注及びコスト削減に努めました。
この結果、営業収益は前年同期比5.5%減の163億19百万円、営業損失は4億10百万円(前年同期の営業利益は1億80百万円)、EBITDAは△1億47百万円(前年同期のEBITDAは4億17百万円)となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業や広告業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、情報システムの分野でのアライアンス戦略の一環として、本年4月に当社の子会社であるJR九州システムソリューションズ株式会社がキーウェア九州株式会社とクラウド・データセンターサービスの共創に向けて業務提携契約を締結しました。
この結果、営業収益は前年同期比4.8%増の167億85百万円、営業利益は前年同期比48.8%増の9億92百万円、EBITDAは前年同期比43.0%増の15億15百万円となりました。
(注) セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引
消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費を除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
①輸送実績
区分単位第36期第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
前年同期比(%)
営業日数91100.0
営業キロ新幹線キロ288.9100.0
在来線1,984.1100.0
2,273.0100.0
輸送人員定期千人53,000102.8
定期外23,456136.0
76,457111.1
輸送人キロ新幹線定期千人キロ50,432105.9
定期外269,445175.0
319,878158.7
在来線幹線定期845,414102.9
定期外476,534150.8
1,321,948116.2
地方
交通線
定期128,051103.1
定期外46,173139.2
174,225110.7
定期973,465103.0
定期外522,708149.7
1,496,173115.6
合計定期1,023,898103.1
定期外792,153157.5
1,816,052121.4

②収入実績
区分単位第36期第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
前年同期比(%)
旅客運輸収入新幹線定期百万円668103.2
定期外8,355177.1
9,024168.2
在来線定期6,822103.5
定期外11,749152.2
18,572129.8
合計定期7,490103.5
定期外20,105161.7
27,596140.3
荷物収入1366.5
合計27,597140.3
鉄道線路使用料収入10284.3
運輸雑収3,421113.2
収入合計31,120136.4

(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ5.3%減少し、9,019億32百万円となりました。流動資産は、売掛金の回収等により前連結会計年度末に比べ28.9%減少し、1,469億53百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の取得等により前連結会計年度末に比べ1.3%増加し、7,549億78百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ7.8%減少し、5,193億19百万円となりました。流動負債は、買掛金や未払金の支払等により前連結会計年度末に比べ8.7%減少し、1,661億46百万円となりました。固定負債は、1年内償還予定の社債への振替による社債の減等により前連結会計年度末に比べ7.3%減少し、3,531億73百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ1.6%減少し、3,826億12百万円となりました。これは、配当金の支払等による利益剰余金の減等によるものです。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1億4百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。