有価証券報告書-第36期(2022/04/01-2023/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和や社会経済活動の正常化が進み、個人消費を中心に緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行等に伴う原材料価格の上昇などの影響により、今後の経済の先行きは依然として不透明な状況が続くものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」のもと、3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に注力してまいりました。また、昨年9月に西九州新幹線が開業し、武雄温泉~長崎間で運行を開始しました。開業効果の最大化に向けて、各種プロモーションによるご利用促進や本年秋開業予定の「新長崎駅ビル」の開発などの取り組みをグループ一丸となって推進しました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は前期比16.3%増の3,832億42百万円となりました。営業利益は前期比770.2%増の343億23百万円、EBITDAは前期比107.6%増の638億91百万円、経常利益は前期比286.5%増の357億00百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比135.2%増の311億66百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較について、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
(単位:百万円)
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全を確保し、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じたうえで収入の確保に努めるとともに、鉄道事業の費用として高い割合を占める固定費を中心に、コスト削減を進めました。
安全面では、安全はすべての基盤との認識のもと、「命を守る!! ~ルールを理解し、正しく実践していますか?~」をスローガンに、安全創造運動に取り組みました。また、車両の新製や老朽設備の取替、防災対策等の安全投資を着実に実施しました。
サービス面では、「私は、お客さまの声に耳を傾け、会社の代表として、とことん考え行動します。」をテーマに掲げ、「サービスを社風へ」と高める取り組みを推進しました。また、お客さまの利便性を高める取り組みとして、PayPay株式会社が提供するPayPayアプリで購入できる特急券の通年販売やクレジットカードのタッチ決済に対応した改札機の実証実験を開始しました。
営業面では、西九州新幹線の開業を地域と一体となって盛り上げるため、市民参加型イベント「私たち、かもめ。」プロジェクトを展開したほか、新D&S列車「ふたつ星4047」の運行や佐賀・長崎の魅力を発信する観光キャンペーンの実施など開業効果の最大化に向けた取り組みを推進しました。また、九州へのインバウンド需要の回復に向けた“Welcome back to Kyushu”キャンペーンや九州各県のサウナ施設と連携した「九州列サ旅」キャンペーンを実施しました。そのほか、お客さまのご利用状況や「EXサービス」の導入等を踏まえ、在来線特急料金の見直しや一部の割引きっぷの販売終了及び価格改定を実施しました。
輸送面では、駅や車両における感染防止対策を講じつつ、地域の重要な社会インフラである交通ネットワークの維持に努めました。本年3月には、より一層の安全性向上や運転士の異常時対応への注力を可能とすることなどを目的として、新たに鹿児島本線(赤間~久留米間)において、運転士の操縦を支援する「自動列車運転支援装置」を使用した列車の走行試験を開始しました。また、お客さまのご利用状況にあわせて、昨年9月及び本年3月にダイヤの見直しを実施しました。なお、「平成29年7月九州北部豪雨」の影響により代行輸送を行っている日田彦山線の添田~夜明・日田間については、BRT(バス高速輸送システム)による復旧を進めており、本年8月の日田彦山線BRT(愛称名:BRTひこぼしライン)の開業に向けた準備を推進しました。また、「令和2年7月豪雨」の影響により、鉄道施設に甚大な被害が生じ不通となっている肥薩線の一部区間において代行輸送を行っております。
バス事業においては、感染防止の取り組みを通してお客さまに安心してご乗車いただける環境づくりに努めつつ、ご利用状況に応じた減便等を行いました。また、高速バスの一部路線において、直近の予約状況に応じてより幅広い価格帯で柔軟に運賃を変動させるダイナミックプライシング型の運賃体系を導入したほか、お客さまの利便性を高める取り組みとして、ウェルネット株式会社が提供するスマートフォンアプリ「バスもり!」で購入できる定期券の販売を開始しました。
船舶事業においては、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の緩和に伴い、昨年11月に福岡~釜山間で新型高速船「QUEEN BEETLE」の運航を開始しました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、各地域の交通事業者、自治体、観光団体等と連携し、MaaSアプリ「my route」を活用したシームレスな交通サービスの実現に向けた取り組みを進めました。九州内各地域でのサービス展開を進めており、新たに長崎県や熊本県でのサービスの提供を開始しました。また、福岡県及び熊本県においては、おでかけ需要の喚起と市街地での回遊性向上を目指して、交通機関や商業施設と連携し、デジタルチケットをMaaSアプリ上で販売したほか、長崎県においては、QRコードを活用した実証実験として、スマートフォンで任意の乗降駅を選択して購入・利用できるQRコード付きデジタル乗車券等の販売を開始しました。
この結果、営業収益は前期比32.6%増の1,383億18百万円、営業利益は25億22百万円(前期の営業損失は227億52百万円)、EBITDAは131億38百万円(前期のEBITDAは△141億88百万円)となりました。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、各駅ビルのテナント売上高が緩やかに回復したほか、保有するオフィスビルや賃貸マンションの稼働は引き続き堅調に推移しました。昨年3月には長崎駅高架下に「長崎街道かもめ市場」を開業するなど、本年秋の「新長崎駅ビル」の開業に向けた開発を着実に推進しました。また、「JR熊本春日北ビル」や「JR鹿児島中央ビル」等の開発、福岡県におけるオフィスビルや物流施設の取得など積極的に成長投資を実施しました。そのほか、当社の子会社である株式会社JR博多シティが昨年11月から福岡市天神地区の商業施設「VIORO」において、当社グループで初となる他社商業施設のプロパティマネジメント業務を受託しました。
不動産販売業においては、オフィスビルや賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR熊本ザ・タワー」や「MJRザ・ガーデン香椎」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、モデルルームの感染防止対策を講じつつ、分譲マンション「MJR鹿児島駅パークフロント」や「MJR博多ザ・レジデンス」、「MJR千早ミッドスクエア」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、全国旅行支援や水際対策の緩和に伴う観光需要の積極的な取り込みを図るとともに、コスト削減を継続し収支改善に取り組みました。また、昨年8月に「THE BLOSSOM KYOTO」を開業したほか、「嬉野八十八」、「長崎マリオットホテル」の開発を推進しました。
この結果、営業収益は前期比8.3%増の1,231億10百万円、営業利益は前期比22.7%増の221億7百万円、EBITDAは前期比13.5%増の362億85百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、移動需要や個人消費が緩やかに回復するなか、「西九州新幹線かもめフェア」を展開するなどお土産品店等を中心に駅構内店舗の収入回復に努めました。また、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルを進めました。そのほか、ロードサイドでの店舗展開を強化するため、当社の子会社であるJR九州リテール株式会社が株式会社シャトレーゼとフランチャイズ契約を締結し、昨年4月に第1号店である菓子店「シャトレーゼ早良区原店」を出店しました。
飲食業においては、「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」や「THE OUTLETS KITAKYUSHU」等の郊外型商業施設への出店を進めるとともに、駅周辺店舗の収入回復に努めました。また、不採算店舗の閉店など一層の経営効率化も実施しました。
この結果、営業収益は前期比25.5%増の547億81百万円、営業利益は14億10百万円(前期の営業損失は12億41百万円)、EBITDAは27億24百万円(前期のEBITDAは48百万円)となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組むとともに、鉄道車両の整備作業の一部を自動化するロボットの共同開発など保守業務の効率化を推進しました。鉄道工事については、新幹線関連工事や芳賀・宇都宮LRT関連工事等を着実に遂行するとともに新規受注に努めましたが、西九州新幹線の竣工開業に伴い前期比で工事量は減少しました。また、当社の子会社であるJR九州電気システム株式会社において、昨年3月から博多駅~鹿児島中央駅間の新幹線構造物内に、光ファイバケーブルを敷設し、光ファイバ心線を賃貸するサービスを開始しました。そのほか、官公庁工事やマンション等の民間工事の受注及びコスト削減に努めました。
この結果、営業収益は前期比4.9%減の883億70百万円、営業利益は前期比22.9%減の54億42百万円、EBITDAは前期比19.3%減の65億5百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、需要が安定的に推移するなか、積極的な営業活動を行い収益拡大に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。そのほか、情報システムの分野でのアライアンス戦略の一環として、当社の子会社であるJR九州システムソリューションズ株式会社が、クラウド・データセンターサービスの共創に向けて昨年4月にキーウェア九州株式会社と、未来の働き方実現の支援など新たなサービスの提供に向けた取り組みを推進するために昨年6月にOCH株式会社と、それぞれ業務提携契約を締結しました。
この結果、営業収益は前期比5.7%増の734億88百万円、営業利益は前期比4.5%増の34億86百万円、EBITDAは前期比9.3%増の62億46百万円となりました。
(注)セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
② 収入実績
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ56億24百万円増加し、620億84百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ18億51百万円増加し、975億81百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、資金調達が減少したこと等により前連結会計年度に比べ435億76百万円減少し、89億63百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ264億26百万円減少し、522億83百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、小売業やホテル業の収入増などにより、前連結会計年度に比べ16.3%増の3,832億42百万円となり、2期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ32.6%増加し、1,383億18百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ35.9%増の1,214億51百万円となったこと等によるものです。
新幹線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ54.8%増の15億52百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ10.4%増の27億32百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ65.3%増の413億8百万円となり、全体では前連結会計年度に比べ60.4%増の440億41百万円となりました。
在来線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ14.5%増の58億71百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ3.6%増の263億61百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ39.9%増の510億42百万円、全体では前連結会計年度に比べ25.0%増の774億3百万円となりました。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ8.3%増加し、1,231億10百万円となりました。これは、ホテル業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ25.5%増加し、547億81百万円となりました。これは、小売業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ4.9%減少し、883億70百万円となりました。これは、工事の減などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ5.7%増加し、734億88百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.2%増加し、3,489億18百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ5.5%増加し、2,452億53百万円となりました。これは、動力費の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ11.4%増加し、1,036億65百万円となりました。これは、ホテルの開業に伴う経費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ770.2%増加し、343億23百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の1.2%に対し、当連結会計年度は9.0%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ44.4%減少し、42億26百万円となりました。これは、雇用調整助成金の減等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ23.5%増加し、28億49百万円となりました。これはデリバティブ評価損の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ286.5%増加し、357億00百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の2.8%に対し、当連結会計年度は9.3%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ88.7%増加し、180億79百万円となりました。これは、工事負担金等受入額の増等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ10.6%増加し、134億81百万円となりました。これは、固定資産圧縮損の増等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ135.2%増加し、311億66百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.7%増加し、9,966億99百万円となりました。流動資産は、有価証券の償還等により前連結会計年度末に比べ4.6%減少し、1,971億45百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ7.3%増加し、7,995億54百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.8%増加し、5,898億49百万円となりました。流動負債は、1年内償還予定の社債の増等により前連結会計年度末に比べ7.3%増加し、1,954億18百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増等により前連結会計年度末に比べ3.6%増加し、3,944億31百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.6%増加し、4,068億50百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ264億26百万円減少し、522億83百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ56億24百万円増加し、620億84百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ18億51百万円増加し、975億81百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、資金調達が減少したこと等により前連結会計年度に比べ435億76百万円減少し、89億63百万円となりました。
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2025年、2027年及び2032年とする3本のグリーンボンドを総額250億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は200億円であります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、行動制限の緩和や社会経済活動の正常化が進み、個人消費を中心に緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行等に伴う原材料価格の上昇などの影響により、今後の経済の先行きは依然として不透明な状況が続くものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」のもと、3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に注力してまいりました。また、昨年9月に西九州新幹線が開業し、武雄温泉~長崎間で運行を開始しました。開業効果の最大化に向けて、各種プロモーションによるご利用促進や本年秋開業予定の「新長崎駅ビル」の開発などの取り組みをグループ一丸となって推進しました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は前期比16.3%増の3,832億42百万円となりました。営業利益は前期比770.2%増の343億23百万円、EBITDAは前期比107.6%増の638億91百万円、経常利益は前期比286.5%増の357億00百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比135.2%増の311億66百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較について、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益又は営業損失(△) | EBITDA(注2) | ||||||
| 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | |
| 運輸サービス | 138,318 | 34,026 | 32.6% | 2,522 | 25,275 | - | 13,138 | 27,327 | - |
| 不動産・ホテル | 123,110 | 9,402 | 8.3% | 22,107 | 4,088 | 22.7% | 36,285 | 4,321 | 13.5% |
| 不動産賃貸業 | 62,610 | 4,080 | 7.0% | 14,892 | 139 | 0.9% | 26,720 | 215 | 0.8% |
| 不動産販売業 | 43,589 | △ 2,599 | △ 5.6% | 6,253 | 27 | 0.4% | 6,273 | 25 | 0.4% |
| ホテル業 | 16,911 | 7,921 | 88.1% | 961 | 3,921 | - | 3,291 | 4,080 | - |
| 流通・外食 | 54,781 | 11,136 | 25.5% | 1,410 | 2,652 | - | 2,724 | 2,675 | - |
| 建設 | 88,370 | △ 4,542 | △ 4.9% | 5,442 | △ 1,612 | △ 22.9% | 6,505 | △ 1,551 | △ 19.3% |
| ビジネスサービス | 73,488 | 3,957 | 5.7% | 3,486 | 150 | 4.5% | 6,246 | 529 | 9.3% |
| 合計 | 478,069 | 53,980 | 12.7% | 34,970 | 30,553 | 691.8% | 64,900 | 33,303 | 105.4% |
| 調整額(注1) | △ 94,826 | △ 265 | - | △ 646 | △ 174 | - | △ 1,009 | △ 182 | - |
| 連結数値 | 383,242 | 53,714 | 16.3% | 34,323 | 30,379 | 770.2% | 63,891 | 33,120 | 107.6% |
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全を確保し、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を講じたうえで収入の確保に努めるとともに、鉄道事業の費用として高い割合を占める固定費を中心に、コスト削減を進めました。
安全面では、安全はすべての基盤との認識のもと、「命を守る!! ~ルールを理解し、正しく実践していますか?~」をスローガンに、安全創造運動に取り組みました。また、車両の新製や老朽設備の取替、防災対策等の安全投資を着実に実施しました。
サービス面では、「私は、お客さまの声に耳を傾け、会社の代表として、とことん考え行動します。」をテーマに掲げ、「サービスを社風へ」と高める取り組みを推進しました。また、お客さまの利便性を高める取り組みとして、PayPay株式会社が提供するPayPayアプリで購入できる特急券の通年販売やクレジットカードのタッチ決済に対応した改札機の実証実験を開始しました。
営業面では、西九州新幹線の開業を地域と一体となって盛り上げるため、市民参加型イベント「私たち、かもめ。」プロジェクトを展開したほか、新D&S列車「ふたつ星4047」の運行や佐賀・長崎の魅力を発信する観光キャンペーンの実施など開業効果の最大化に向けた取り組みを推進しました。また、九州へのインバウンド需要の回復に向けた“Welcome back to Kyushu”キャンペーンや九州各県のサウナ施設と連携した「九州列サ旅」キャンペーンを実施しました。そのほか、お客さまのご利用状況や「EXサービス」の導入等を踏まえ、在来線特急料金の見直しや一部の割引きっぷの販売終了及び価格改定を実施しました。
輸送面では、駅や車両における感染防止対策を講じつつ、地域の重要な社会インフラである交通ネットワークの維持に努めました。本年3月には、より一層の安全性向上や運転士の異常時対応への注力を可能とすることなどを目的として、新たに鹿児島本線(赤間~久留米間)において、運転士の操縦を支援する「自動列車運転支援装置」を使用した列車の走行試験を開始しました。また、お客さまのご利用状況にあわせて、昨年9月及び本年3月にダイヤの見直しを実施しました。なお、「平成29年7月九州北部豪雨」の影響により代行輸送を行っている日田彦山線の添田~夜明・日田間については、BRT(バス高速輸送システム)による復旧を進めており、本年8月の日田彦山線BRT(愛称名:BRTひこぼしライン)の開業に向けた準備を推進しました。また、「令和2年7月豪雨」の影響により、鉄道施設に甚大な被害が生じ不通となっている肥薩線の一部区間において代行輸送を行っております。
バス事業においては、感染防止の取り組みを通してお客さまに安心してご乗車いただける環境づくりに努めつつ、ご利用状況に応じた減便等を行いました。また、高速バスの一部路線において、直近の予約状況に応じてより幅広い価格帯で柔軟に運賃を変動させるダイナミックプライシング型の運賃体系を導入したほか、お客さまの利便性を高める取り組みとして、ウェルネット株式会社が提供するスマートフォンアプリ「バスもり!」で購入できる定期券の販売を開始しました。
船舶事業においては、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の緩和に伴い、昨年11月に福岡~釜山間で新型高速船「QUEEN BEETLE」の運航を開始しました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、各地域の交通事業者、自治体、観光団体等と連携し、MaaSアプリ「my route」を活用したシームレスな交通サービスの実現に向けた取り組みを進めました。九州内各地域でのサービス展開を進めており、新たに長崎県や熊本県でのサービスの提供を開始しました。また、福岡県及び熊本県においては、おでかけ需要の喚起と市街地での回遊性向上を目指して、交通機関や商業施設と連携し、デジタルチケットをMaaSアプリ上で販売したほか、長崎県においては、QRコードを活用した実証実験として、スマートフォンで任意の乗降駅を選択して購入・利用できるQRコード付きデジタル乗車券等の販売を開始しました。
この結果、営業収益は前期比32.6%増の1,383億18百万円、営業利益は25億22百万円(前期の営業損失は227億52百万円)、EBITDAは131億38百万円(前期のEBITDAは△141億88百万円)となりました。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、各駅ビルのテナント売上高が緩やかに回復したほか、保有するオフィスビルや賃貸マンションの稼働は引き続き堅調に推移しました。昨年3月には長崎駅高架下に「長崎街道かもめ市場」を開業するなど、本年秋の「新長崎駅ビル」の開業に向けた開発を着実に推進しました。また、「JR熊本春日北ビル」や「JR鹿児島中央ビル」等の開発、福岡県におけるオフィスビルや物流施設の取得など積極的に成長投資を実施しました。そのほか、当社の子会社である株式会社JR博多シティが昨年11月から福岡市天神地区の商業施設「VIORO」において、当社グループで初となる他社商業施設のプロパティマネジメント業務を受託しました。
不動産販売業においては、オフィスビルや賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR熊本ザ・タワー」や「MJRザ・ガーデン香椎」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、モデルルームの感染防止対策を講じつつ、分譲マンション「MJR鹿児島駅パークフロント」や「MJR博多ザ・レジデンス」、「MJR千早ミッドスクエア」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、全国旅行支援や水際対策の緩和に伴う観光需要の積極的な取り込みを図るとともに、コスト削減を継続し収支改善に取り組みました。また、昨年8月に「THE BLOSSOM KYOTO」を開業したほか、「嬉野八十八」、「長崎マリオットホテル」の開発を推進しました。
この結果、営業収益は前期比8.3%増の1,231億10百万円、営業利益は前期比22.7%増の221億7百万円、EBITDAは前期比13.5%増の362億85百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、移動需要や個人消費が緩やかに回復するなか、「西九州新幹線かもめフェア」を展開するなどお土産品店等を中心に駅構内店舗の収入回復に努めました。また、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルを進めました。そのほか、ロードサイドでの店舗展開を強化するため、当社の子会社であるJR九州リテール株式会社が株式会社シャトレーゼとフランチャイズ契約を締結し、昨年4月に第1号店である菓子店「シャトレーゼ早良区原店」を出店しました。
飲食業においては、「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」や「THE OUTLETS KITAKYUSHU」等の郊外型商業施設への出店を進めるとともに、駅周辺店舗の収入回復に努めました。また、不採算店舗の閉店など一層の経営効率化も実施しました。
この結果、営業収益は前期比25.5%増の547億81百万円、営業利益は14億10百万円(前期の営業損失は12億41百万円)、EBITDAは27億24百万円(前期のEBITDAは48百万円)となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組むとともに、鉄道車両の整備作業の一部を自動化するロボットの共同開発など保守業務の効率化を推進しました。鉄道工事については、新幹線関連工事や芳賀・宇都宮LRT関連工事等を着実に遂行するとともに新規受注に努めましたが、西九州新幹線の竣工開業に伴い前期比で工事量は減少しました。また、当社の子会社であるJR九州電気システム株式会社において、昨年3月から博多駅~鹿児島中央駅間の新幹線構造物内に、光ファイバケーブルを敷設し、光ファイバ心線を賃貸するサービスを開始しました。そのほか、官公庁工事やマンション等の民間工事の受注及びコスト削減に努めました。
この結果、営業収益は前期比4.9%減の883億70百万円、営業利益は前期比22.9%減の54億42百万円、EBITDAは前期比19.3%減の65億5百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、需要が安定的に推移するなか、積極的な営業活動を行い収益拡大に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。そのほか、情報システムの分野でのアライアンス戦略の一環として、当社の子会社であるJR九州システムソリューションズ株式会社が、クラウド・データセンターサービスの共創に向けて昨年4月にキーウェア九州株式会社と、未来の働き方実現の支援など新たなサービスの提供に向けた取り組みを推進するために昨年6月にOCH株式会社と、それぞれ業務提携契約を締結しました。
この結果、営業収益は前期比5.7%増の734億88百万円、営業利益は前期比4.5%増の34億86百万円、EBITDAは前期比9.3%増の62億46百万円となりました。
(注)セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
| 区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||||
| 前年同期比(%) | ||||||
| 営業日数 | 日 | 365 | 100.0 | |||
| 営業キロ | 新幹線 | キロ | 358.5 | 124.1 | ||
| 在来線 | 〃 | 1,984.1 | 100.0 | |||
| 計 | 〃 | 2,342.6 | 103.1 | |||
| 客車走行キロ | 新幹線 | 千キロ | 61,280 | 106.6 | ||
| 在来線 | 〃 | 202,572 | 96.7 | |||
| 計 | 〃 | 263,852 | 98.8 | |||
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 196,773 | 103.4 | ||
| 定期外 | 〃 | 99,795 | 129.1 | |||
| 計 | 〃 | 296,568 | 110.8 | |||
| 輸送人キロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 199,962 | 112.1 | |
| 定期外 | 〃 | 1,352,376 | 164.1 | |||
| 計 | 〃 | 1,552,339 | 154.8 | |||
| 在来線 | 幹線 | 定期 | 〃 | 3,102,310 | 103.3 | |
| 定期外 | 〃 | 2,093,512 | 136.3 | |||
| 計 | 〃 | 5,195,822 | 114.5 | |||
| 地方 交通線 | 定期 | 〃 | 454,155 | 103.4 | ||
| 定期外 | 〃 | 221,555 | 145.6 | |||
| 計 | 〃 | 675,711 | 114.3 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 3,556,465 | 103.3 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,315,067 | 137.2 | |||
| 計 | 〃 | 5,871,533 | 114.5 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 3,756,428 | 103.7 | ||
| 定期外 | 〃 | 3,667,444 | 146.0 | |||
| 計 | 〃 | 7,423,873 | 121.1 | |||
| 乗車効率 | 新幹線 | % | 38.3 | 145.7 | ||
| 在来線 | 〃 | 26.6 | 120.1 | |||
| 計 | 〃 | 27.0 | 125.2 | |||
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
| 乗車効率 | = | 輸送人キロ | × | 100 |
| 客車走行キロ × 客車平均定員 |
② 収入実績
| 区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | |||
| 前年同期比(%) | |||||
| 旅客運輸収入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 2,732 | 110.4 |
| 定期外 | 〃 | 41,308 | 165.3 | ||
| 計 | 〃 | 44,041 | 160.4 | ||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 26,361 | 103.6 | |
| 定期外 | 〃 | 51,042 | 139.9 | ||
| 計 | 〃 | 77,403 | 125.0 | ||
| 合計 | 定期 | 〃 | 29,093 | 104.2 | |
| 定期外 | 〃 | 92,351 | 150.3 | ||
| 計 | 〃 | 121,444 | 135.9 | ||
| 荷物収入 | 〃 | 6 | 152.2 | ||
| 合計 | 〃 | 121,451 | 135.9 | ||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 427 | 97.1 | ||
| 運輸雑収 | 〃 | 14,632 | 111.3 | ||
| 収入合計 | 〃 | 136,511 | 132.6 | ||
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ56億24百万円増加し、620億84百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ18億51百万円増加し、975億81百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、資金調達が減少したこと等により前連結会計年度に比べ435億76百万円減少し、89億63百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ264億26百万円減少し、522億83百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、小売業やホテル業の収入増などにより、前連結会計年度に比べ16.3%増の3,832億42百万円となり、2期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ32.6%増加し、1,383億18百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ35.9%増の1,214億51百万円となったこと等によるものです。
新幹線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ54.8%増の15億52百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ10.4%増の27億32百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ65.3%増の413億8百万円となり、全体では前連結会計年度に比べ60.4%増の440億41百万円となりました。
在来線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ14.5%増の58億71百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ3.6%増の263億61百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ39.9%増の510億42百万円、全体では前連結会計年度に比べ25.0%増の774億3百万円となりました。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ8.3%増加し、1,231億10百万円となりました。これは、ホテル業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ25.5%増加し、547億81百万円となりました。これは、小売業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ4.9%減少し、883億70百万円となりました。これは、工事の減などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ5.7%増加し、734億88百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.2%増加し、3,489億18百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ5.5%増加し、2,452億53百万円となりました。これは、動力費の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ11.4%増加し、1,036億65百万円となりました。これは、ホテルの開業に伴う経費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ770.2%増加し、343億23百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の1.2%に対し、当連結会計年度は9.0%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ44.4%減少し、42億26百万円となりました。これは、雇用調整助成金の減等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ23.5%増加し、28億49百万円となりました。これはデリバティブ評価損の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ286.5%増加し、357億00百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の2.8%に対し、当連結会計年度は9.3%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ88.7%増加し、180億79百万円となりました。これは、工事負担金等受入額の増等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ10.6%増加し、134億81百万円となりました。これは、固定資産圧縮損の増等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ135.2%増加し、311億66百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.7%増加し、9,966億99百万円となりました。流動資産は、有価証券の償還等により前連結会計年度末に比べ4.6%減少し、1,971億45百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ7.3%増加し、7,995億54百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.8%増加し、5,898億49百万円となりました。流動負債は、1年内償還予定の社債の増等により前連結会計年度末に比べ7.3%増加し、1,954億18百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増等により前連結会計年度末に比べ3.6%増加し、3,944億31百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ4.6%増加し、4,068億50百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ264億26百万円減少し、522億83百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ56億24百万円増加し、620億84百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ18億51百万円増加し、975億81百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、資金調達が減少したこと等により前連結会計年度に比べ435億76百万円減少し、89億63百万円となりました。
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2025年、2027年及び2032年とする3本のグリーンボンドを総額250億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は200億円であります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。