有価証券報告書-第37期(2023/04/01-2024/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除に伴う社会経済活動の正常化が進み、個人消費を中心に緩やかな回復が続いてきました。しかしながら、物価の上昇や金融資本市場の変動等の影響により、今後の経済の先行きには注意する必要があるものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」のもと、3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に注力してまいりました。
また、「安全とサービス」を基盤とし、西九州新幹線の開業や福岡市地下鉄七隈線の博多延伸などを契機とした、沿線でのまちづくりを着実に進めるとともに、グループの未来をつくる「人、モノ、新技術」への投資を積極果敢に行い、成長軌道への復帰を果たすべく取り組みました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は前期比9.7%増の4,204億2百万円となりました。営業利益は前期比37.2%増の470億94百万円、EBITDAは前期比25.4%増の800億94百万円、経常利益は前期比37.1%増の489億36百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比23.4%増の384億45百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全とサービスを基盤とした事業運営を行いながら、将来の技術革新や新たな価値創造を見据えた「未来鉄道プロジェクト」を推進しました。
営業面では、西九州新幹線の開業1周年を地域と一体となって盛り上げるため、昨年9月に開業1周年記念イベント~西九州が真っ赤に染まる日~「GO WEST」プロジェクトを展開しました。そのほか、在来線特急料金の見直しやJR-KYUSHU RAIL PASSの価格改定を実施しました。
また、デジタル技術の活用による安全性・効率性の向上や需要に応じた列車設定、持続可能なモビリティサービスのモデル構築に努めました。鉄道事業のオペレーション・メンテナンス改革として、本年3月には香椎線(全線)でGOA2.5自動運転(動力車操縦運転免許を有しない係員が必要な教育訓練を受けた上で行う自動運転)を開始したほか、同じく本年3月には鹿児島本線(折尾~二日市間)において、運転士の操縦を支援する「自動列車運転支援装置」を使用した列車の実証試験を開始しました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、各地域の交通事業者、自治体、観光団体等と連携し、MaaSアプリ「my route」を活用したボーダレスな交通サービスの実現に向けた取り組みを進め、九州全県でのサービスの提供を開始しました。
この結果、営業収益は前期比18.4%増の1,637億85百万円、営業利益は前期比312.1%増の103億96百万円、EBITDAは前期比70.1%増の223億51百万円となりました。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、JR博多シティを中心に駅ビルテナント売上高が緩やかに回復したほか、昨年11月には西九州エリアのまちづくりの核となる「JR長崎駅ビル」が開業し、西九州エリアの賑わい創出に貢献しました。また、福岡エリアにおいて、本年1月に株式会社桜十字と共同で開発を行った「りすのこスクエア」を開業し、本年3月には当社を代表企業とする「コネクトスクエア博多」を開業したほか、オフィスビルや物流施設の取得など積極的に成長投資を実施しました。
不動産販売業においては、賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR深川住吉」や「MJRザ・ガーデン香椎」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、分譲マンション「MJR千早ミッドスクエア」や「MJR博多ザ・レジデンス」、「MJR熊本ゲートタワー」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、昨年10月に「嬉野八十八(うれしのやどや)」を開業し、本年1月には「長崎マリオットホテル」を開業しました。また、国内旅行需要やインバウンド需要の高まりを受け、着実な需要の取り込みを図りました。
この結果、営業収益は前期比8.2%増の1,331億59百万円、営業利益は前期比12.2%増の248億3百万円、EBITDAは前期比12.5%増の408億33百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルによる競争力強化等に取り組みました。飲食業においては、フランチャイズ店舗の新規出店による収入拡大を図るとともに、不採算店舗の閉店など経営の効率化も実施しました。また、昨年6月には、「黒糖ドーナツ棒」シリーズ等の菓子製造・販売を主業に、地域に根ざした事業運営を行っている株式会社フジバンビを子会社化しました。
この結果、営業収益は前期比12.7%増の617億55百万円、営業利益は前期比127.3%増の32億6百万円、EBITDAは前期比65.8%増の45億18百万円となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組みました。また、昨年7月に建設グループ5社の中間持株会社としてJR九州建設グループホールディングス株式会社を設立し、建設グループ各社が連携して施工可能な案件の受注検討を進めているほか、採用活動の支援や原価マネジメントの深度化に取り組みました。
この結果、営業収益は前期比1.9%増の900億92百万円、営業利益は前期比9.7%増の59億70百万円、EBITDAは前期比8.1%増の70億33百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。そのほか、保険代理店としての強固な経営基盤の確立、収益拡大へ向けた高度な専業化、より機動力のある組織構築を図ることを目的に、当社の損害保険代理業等を会社分割し、子会社であるJR九州保険コンサルティング株式会社へ事業承継しました。
この結果、営業収益は前期比6.1%増の779億99百万円、営業利益は前期比11.2%増の38億75百万円、EBITDAは前期比10.4%増の68億95百万円となりました。
(注)セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
② 収入実績
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ269億47百万円増加し、890億31百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ143億12百万円増加し、1,118億93百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、コマーシャル・ペーパーの発行による収入が増加したこと等により前連結会計年度に比べ232億88百万円増加し、322億52百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ96億23百万円増加し、619億7百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、ホテル業や小売業の収入増などにより、前連結会計年度に比べ9.7%増の4,204億2百万円となり、3期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ18.4%増加し、1,637億85百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ19.5%増の1,450億94百万円となったこと等によるものです。
新幹線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ25.1%増の19億41百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ9.4%増の29億90百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ32.1%増の545億52百万円となり、全体では前連結会計年度に比べ30.7%増の575億42百万円となりました。
在来線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ9.2%増の64億12百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ3.5%増の272億77百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ18.1%増の602億65百万円、全体では前連結会計年度に比べ13.1%増の875億42百万円となりました。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ8.2%増加し、1,331億59百万円となりました。これは、ホテル業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ12.7%増加し、617億55百万円となりました。これは、小売業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、900億92百万円となりました。これは、工事の増などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ6.1%増加し、779億99百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.0%増加し、3,733億7百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ4.0%増加し、2,551億3百万円となりました。これは、修繕費の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ14.0%増加し、1,182億4百万円となりました。これは、ホテルの開業に伴う経費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ37.2%増加し、470億94百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の9.0%に対し、当連結会計年度は11.2%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ14.6%増加し、48億43百万円となりました。これは、持分法による投資利益の増等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ5.4%増加し、30億2百万円となりました。これは支払利息の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ37.1%増加し、489億36百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の9.3%に対し、当連結会計年度は11.6%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ1.6%増加し、183億65百万円となりました。これは、関係会社株式売却益等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ40.4%増加し、189億24百万円となりました。これは、災害損失引当金繰入等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ23.4%増加し、384億45百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ9.3%増加し、1兆891億70百万円となりました。流動資産は、売掛金の増等により前連結会計年度末に比べ12.4%増加し、2,215億23百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ8.5%増加し、8,676億46百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ9.7%増加し、6,468億82百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの増等により前連結会計年度末に比べ14.8%増加し、2,242億66百万円となりました。固定負債は、社債の増等により前連結会計年度末に比べ7.1%増加し、4,226億16百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ8.7%増加し、4,422億87百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ96億23百万円増加し、619億7百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ269億47百万円増加し、890億31百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ143億12百万円増加し、1,118億93百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、コマーシャル・ペーパーの発行による収入が増加したこと等により前連結会計年度に比べ232億88百万円増加し、322億52百万円となりました。
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2028年とする無担保普通社債及び償還期限を2033年とする2本のグリーンボンドを総額300億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は400億円であります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
1 経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除に伴う社会経済活動の正常化が進み、個人消費を中心に緩やかな回復が続いてきました。しかしながら、物価の上昇や金融資本市場の変動等の影響により、今後の経済の先行きには注意する必要があるものと考えられます。
このような状況のなか、当社グループは「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」のもと、3つの重点戦略として掲げる「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」を推進するとともに、重点戦略の実行を支える「戦略実行・実現を担う人づくり」及び「グループ一体で戦略を推進する基盤づくり」に注力してまいりました。
また、「安全とサービス」を基盤とし、西九州新幹線の開業や福岡市地下鉄七隈線の博多延伸などを契機とした、沿線でのまちづくりを着実に進めるとともに、グループの未来をつくる「人、モノ、新技術」への投資を積極果敢に行い、成長軌道への復帰を果たすべく取り組みました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は前期比9.7%増の4,204億2百万円となりました。営業利益は前期比37.2%増の470億94百万円、EBITDAは前期比25.4%増の800億94百万円、経常利益は前期比37.1%増の489億36百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比23.4%増の384億45百万円となりました。
当社グループの業績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益 | EBITDA(注2) | ||||||
当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 | |
運輸サービス | 163,785 | 25,466 | 18.4% | 10,396 | 7,873 | 312.1% | 22,351 | 9,212 | 70.1% |
不動産・ホテル | 133,159 | 10,048 | 8.2% | 24,803 | 2,696 | 12.2% | 40,833 | 4,548 | 12.5% |
不動産賃貸業 | 70,764 | 8,154 | 13.0% | 15,882 | 989 | 6.6% | 29,082 | 2,361 | 8.8% |
不動産販売業 | 37,137 | △6,452 | △14.8% | 5,241 | △1,011 | △16.2% | 5,263 | △1,009 | △16.1% |
ホテル業 | 25,258 | 8,346 | 49.4% | 3,680 | 2,718 | 282.7% | 6,488 | 3,197 | 97.1% |
流通・外食 | 61,755 | 6,974 | 12.7% | 3,206 | 1,795 | 127.3% | 4,518 | 1,793 | 65.8% |
建設 | 90,092 | 1,721 | 1.9% | 5,970 | 527 | 9.7% | 7,033 | 527 | 8.1% |
ビジネスサービス | 77,999 | 4,511 | 6.1% | 3,875 | 389 | 11.2% | 6,895 | 648 | 10.4% |
合計 | 526,792 | 48,723 | 10.2% | 48,253 | 13,282 | 38.0% | 81,632 | 16,731 | 25.8% |
調整額(注1) | △106,390 | △11,563 | - | △1,158 | △511 | - | △1,537 | △528 | - |
連結数値 | 420,402 | 37,159 | 9.7% | 47,094 | 12,771 | 37.2% | 80,094 | 16,203 | 25.4% |
(注)1 調整額は、セグメント間取引消去によるものです。
2 連結EBITDA=営業利益+減価償却費(セグメント間取引消去後、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)、セグメント別EBITDA=各セグメント営業利益+各セグメント減価償却費(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)
① 運輸サービスグループ
鉄道事業においては、安全とサービスを基盤とした事業運営を行いながら、将来の技術革新や新たな価値創造を見据えた「未来鉄道プロジェクト」を推進しました。
営業面では、西九州新幹線の開業1周年を地域と一体となって盛り上げるため、昨年9月に開業1周年記念イベント~西九州が真っ赤に染まる日~「GO WEST」プロジェクトを展開しました。そのほか、在来線特急料金の見直しやJR-KYUSHU RAIL PASSの価格改定を実施しました。
また、デジタル技術の活用による安全性・効率性の向上や需要に応じた列車設定、持続可能なモビリティサービスのモデル構築に努めました。鉄道事業のオペレーション・メンテナンス改革として、本年3月には香椎線(全線)でGOA2.5自動運転(動力車操縦運転免許を有しない係員が必要な教育訓練を受けた上で行う自動運転)を開始したほか、同じく本年3月には鹿児島本線(折尾~二日市間)において、運転士の操縦を支援する「自動列車運転支援装置」を使用した列車の実証試験を開始しました。
新たなモビリティサービス(MaaS)の分野においては、各地域の交通事業者、自治体、観光団体等と連携し、MaaSアプリ「my route」を活用したボーダレスな交通サービスの実現に向けた取り組みを進め、九州全県でのサービスの提供を開始しました。
この結果、営業収益は前期比18.4%増の1,637億85百万円、営業利益は前期比312.1%増の103億96百万円、EBITDAは前期比70.1%増の223億51百万円となりました。
② 不動産・ホテルグループ
不動産賃貸業においては、JR博多シティを中心に駅ビルテナント売上高が緩やかに回復したほか、昨年11月には西九州エリアのまちづくりの核となる「JR長崎駅ビル」が開業し、西九州エリアの賑わい創出に貢献しました。また、福岡エリアにおいて、本年1月に株式会社桜十字と共同で開発を行った「りすのこスクエア」を開業し、本年3月には当社を代表企業とする「コネクトスクエア博多」を開業したほか、オフィスビルや物流施設の取得など積極的に成長投資を実施しました。
不動産販売業においては、賃貸マンションを売却したほか、分譲マンション「MJR深川住吉」や「MJRザ・ガーデン香椎」等の引き渡しによる売上を計上しました。また、分譲マンション「MJR千早ミッドスクエア」や「MJR博多ザ・レジデンス」、「MJR熊本ゲートタワー」等の販売に取り組みました。
ホテル業においては、昨年10月に「嬉野八十八(うれしのやどや)」を開業し、本年1月には「長崎マリオットホテル」を開業しました。また、国内旅行需要やインバウンド需要の高まりを受け、着実な需要の取り込みを図りました。
この結果、営業収益は前期比8.2%増の1,331億59百万円、営業利益は前期比12.2%増の248億3百万円、EBITDAは前期比12.5%増の408億33百万円となりました。
③ 流通・外食グループ
小売業においては、コンビニエンスストア店舗の新規出店やリニューアルによる競争力強化等に取り組みました。飲食業においては、フランチャイズ店舗の新規出店による収入拡大を図るとともに、不採算店舗の閉店など経営の効率化も実施しました。また、昨年6月には、「黒糖ドーナツ棒」シリーズ等の菓子製造・販売を主業に、地域に根ざした事業運営を行っている株式会社フジバンビを子会社化しました。
この結果、営業収益は前期比12.7%増の617億55百万円、営業利益は前期比127.3%増の32億6百万円、EBITDAは前期比65.8%増の45億18百万円となりました。
④ 建設グループ
建設業においては、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンス事業、車両機械設備工事業を通して鉄道の安全・安定輸送の確保に取り組みました。また、昨年7月に建設グループ5社の中間持株会社としてJR九州建設グループホールディングス株式会社を設立し、建設グループ各社が連携して施工可能な案件の受注検討を進めているほか、採用活動の支援や原価マネジメントの深度化に取り組みました。
この結果、営業収益は前期比1.9%増の900億92百万円、営業利益は前期比9.7%増の59億70百万円、EBITDAは前期比8.1%増の70億33百万円となりました。
⑤ ビジネスサービスグループ
建設機械販売・レンタル事業においては、積極的な営業活動を行い収益の確保に努めました。また、広告業を中心に新規受注の獲得やコスト削減に取り組みました。そのほか、保険代理店としての強固な経営基盤の確立、収益拡大へ向けた高度な専業化、より機動力のある組織構築を図ることを目的に、当社の損害保険代理業等を会社分割し、子会社であるJR九州保険コンサルティング株式会社へ事業承継しました。
この結果、営業収益は前期比6.1%増の779億99百万円、営業利益は前期比11.2%増の38億75百万円、EBITDAは前期比10.4%増の68億95百万円となりました。
(注)セグメント別のEBITDAは、各セグメントにおける営業利益に減価償却費を加えた数値(セグメント間取引消去前、転貸を目的としたリース資産に係る減価償却費除く)であります。
(参考)当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||||
前年同期比(%) | ||||||
営業日数 | 日 | 366 | 100.3 | |||
営業キロ | 新幹線 | キロ | 358.5 | 100.0 | ||
在来線 | 〃 | 1,984.1 | 100.0 | |||
計 | 〃 | 2,342.6 | 100.0 | |||
客車走行キロ | 新幹線 | 千キロ | 64,814 | 105.8 | ||
在来線 | 〃 | 196,066 | 96.8 | |||
計 | 〃 | 260,880 | 98.9 | |||
輸送人員 | 定期 | 千人 | 205,273 | 104.3 | ||
定期外 | 〃 | 113,605 | 113.8 | |||
計 | 〃 | 318,878 | 107.5 | |||
輸送人キロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 218,894 | 109.5 | |
定期外 | 〃 | 1,722,861 | 127.4 | |||
計 | 〃 | 1,941,755 | 125.1 | |||
在来線 | 幹線 | 定期 | 〃 | 3,184,590 | 102.7 | |
定期外 | 〃 | 2,470,565 | 118.0 | |||
計 | 〃 | 5,655,156 | 108.8 | |||
地方 交通線 | 定期 | 〃 | 472,737 | 104.1 | ||
定期外 | 〃 | 284,812 | 128.6 | |||
計 | 〃 | 757,549 | 112.1 | |||
計 | 定期 | 〃 | 3,657,327 | 102.8 | ||
定期外 | 〃 | 2,755,378 | 119.0 | |||
計 | 〃 | 6,412,705 | 109.2 | |||
合計 | 定期 | 〃 | 3,876,222 | 103.2 | ||
定期外 | 〃 | 4,478,239 | 122.1 | |||
計 | 〃 | 8,354,461 | 112.5 | |||
乗車効率 | 新幹線 | % | 45.3 | 118.3 | ||
在来線 | 〃 | 30.0 | 112.5 | |||
計 | 〃 | 30.7 | 113.7 |
(注) 乗車効率は次の方法により算出されております。
乗車効率 | = | 輸送人キロ | × | 100 |
客車走行キロ × 客車平均定員 |
② 収入実績
区分 | 単位 | 当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |||
前年同期比(%) | |||||
旅客運輸収入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 2,990 | 109.4 |
定期外 | 〃 | 54,552 | 132.1 | ||
計 | 〃 | 57,542 | 130.7 | ||
在来線 | 定期 | 〃 | 27,277 | 103.5 | |
定期外 | 〃 | 60,265 | 118.1 | ||
計 | 〃 | 87,542 | 113.1 | ||
合計 | 定期 | 〃 | 30,267 | 104.0 | |
定期外 | 〃 | 114,818 | 124.3 | ||
計 | 〃 | 145,085 | 119.5 | ||
荷物収入 | 〃 | 8 | 133.5 | ||
合計 | 〃 | 145,094 | 119.5 | ||
鉄道線路使用料収入 | 〃 | 444 | 104.0 | ||
運輸雑収 | 〃 | 14,957 | 102.2 | ||
収入合計 | 〃 | 160,497 | 117.6 |
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ269億47百万円増加し、890億31百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ143億12百万円増加し、1,118億93百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、コマーシャル・ペーパーの発行による収入が増加したこと等により前連結会計年度に比べ232億88百万円増加し、322億52百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ96億23百万円増加し、619億7百万円となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また人的サービスの提供を主たる業務とする場合も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で表すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「1 経営成績等の概要」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
2 経営者の視点による経営成績等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているため省略しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)経営成績の分析
① 営業収益
営業収益は、鉄道旅客運輸収入の増、ホテル業や小売業の収入増などにより、前連結会計年度に比べ9.7%増の4,204億2百万円となり、3期連続の増収となりました。
運輸サービスセグメントは、前連結会計年度に比べ18.4%増加し、1,637億85百万円となりました。これは、当社の鉄道旅客運輸収入が、前連結会計年度に比べ19.5%増の1,450億94百万円となったこと等によるものです。
新幹線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ25.1%増の19億41百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ9.4%増の29億90百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ32.1%増の545億52百万円となり、全体では前連結会計年度に比べ30.7%増の575億42百万円となりました。
在来線については、輸送人キロは前連結会計年度に比べ9.2%増の64億12百万人キロとなりました。定期収入は前連結会計年度に比べ3.5%増の272億77百万円、定期外収入は前連結会計年度に比べ18.1%増の602億65百万円、全体では前連結会計年度に比べ13.1%増の875億42百万円となりました。
不動産・ホテルセグメントは、前連結会計年度に比べ8.2%増加し、1,331億59百万円となりました。これは、ホテル業の収入増などによるものです。
流通・外食セグメントは、前連結会計年度に比べ12.7%増加し、617億55百万円となりました。これは、小売業の収入増などによるものです。
建設セグメントは、前連結会計年度に比べ1.9%増加し、900億92百万円となりました。これは、工事の増などによるものです。
ビジネスサービスセグメントは、前連結会計年度に比べ6.1%増加し、779億99百万円となりました。これは、受注の増などによるものです。
② 営業費
営業費は、前連結会計年度に比べ7.0%増加し、3,733億7百万円となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前連結会計年度に比べ4.0%増加し、2,551億3百万円となりました。これは、修繕費の増等によるものです。
販売費及び一般管理費については、前連結会計年度に比べ14.0%増加し、1,182億4百万円となりました。これは、ホテルの開業に伴う経費の増等によるものです。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ37.2%増加し、470億94百万円となりました。
なお、営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の9.0%に対し、当連結会計年度は11.2%となりました。
④ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べ14.6%増加し、48億43百万円となりました。これは、持分法による投資利益の増等によるものです。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ5.4%増加し、30億2百万円となりました。これは支払利息の増等によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ37.1%増加し、489億36百万円となりました。
なお、営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の9.3%に対し、当連結会計年度は11.6%となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べ1.6%増加し、183億65百万円となりました。これは、関係会社株式売却益等によるものです。
特別損失は、前連結会計年度に比べ40.4%増加し、189億24百万円となりました。これは、災害損失引当金繰入等によるものです。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ23.4%増加し、384億45百万円となりました。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ9.3%増加し、1兆891億70百万円となりました。流動資産は、売掛金の増等により前連結会計年度末に比べ12.4%増加し、2,215億23百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増等により前連結会計年度末に比べ8.5%増加し、8,676億46百万円となりました。
一方、負債の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ9.7%増加し、6,468億82百万円となりました。流動負債は、コマーシャル・ペーパーの増等により前連結会計年度末に比べ14.8%増加し、2,242億66百万円となりました。固定負債は、社債の増等により前連結会計年度末に比べ7.1%増加し、4,226億16百万円となりました。
また、純資産の部の合計額は、前連結会計年度末に比べ8.7%増加し、4,422億87百万円となりました。これは、利益剰余金の増等によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ96億23百万円増加し、619億7百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したこと等により前連結会計年度に比べ269億47百万円増加し、890億31百万円となりました。
投資活動の結果支出した資金は、固定資産の取得支出が増加したこと等により前連結会計年度に比べ143億12百万円増加し、1,118億93百万円となりました。
財務活動の結果得られた資金は、コマーシャル・ペーパーの発行による収入が増加したこと等により前連結会計年度に比べ232億88百万円増加し、322億52百万円となりました。
② 重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源
「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③ 財務政策
資金調達については、財務健全性を維持しつつ主として借入余力を活用した投資計画や既存債務の返済資金のうち、当社グループのキャッシュ・フローで不足する部分を調達しております。その調達手段は、主に社債の発行や金融機関からの借入等、市場や金利の動向を総合的に勘案しながら決定しております。
当社グループはキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2028年とする無担保普通社債及び償還期限を2033年とする2本のグリーンボンドを総額300億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA-の格付を取得しております。
当社グループは、資金の流動性確保のため、主要な取引銀行に当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについて、当社は株式会社格付投資情報センターよりa-1+の短期(CP)格付を取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は400億円であります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。