四半期報告書-第15期第3四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/09 11:43
【資料】
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【項目】
33項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
前連結会計年度より当社及び従来3月決算であった国内連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。
以下、増減については「前年同一期間」との比較で記載しています。(前年同一期間とは、当第3四半期連結累計期間(2020年1月1日から9月30日)に対応する期間(2019年1月1日から9月30日)を指します。)
(単位:百万円)
前年同一期間当第3四半期
連結累計期間
増減額増減率(%)
売上高844,635592,798△251,836△29.8
営業利益399,434191,298△208,136△52.1
経常利益405,060199,000△206,059△50.9
親会社株主に帰属する四半期純損益121,666△125,427△247,093-

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、このところ持ち直しの動きがみられます。先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されます。ただし、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格について、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近物の終値ベース)について当期は1バレル当たり66.25米ドルから始まりました。1月下旬から主に中国において新型コロナウイルス感染症の感染拡大が顕在化したことで世界経済への悪影響が意識され、原油価格は下落基調となりました。その後、産油国による協調減産への期待が高まり、値を上げる場面もありましたが、3月6日に開かれたOPEC及びOPEC非加盟国(OPEC+)間協議では本年4月以降の協調減産延長が決裂し、同月末には20米ドル台前半まで急落しました。4月にはOPEC+の緊急会合が開かれ、本年5月以降の新たな協調減産の枠組みが合意されましたが、新型コロナウイルスの蔓延により世界の石油需要が急減する中において需給改善には協調減産量が不十分との見方が強く、また同ウイルスの拡大による世界各国での経済活動の大幅な停滞が重荷となり、一時19.33米ドルまで落ち込みました。5月に入ると、中国を始めとして各国の経済活動が徐々に再開され、さらに6月6日に開催されたOPEC+会合で同5月及び6月の協調減産枠を本年7月末まで延長することが合意されたことから、原油価格は6月末にかけて40米ドル前後の水準まで緩やかに上昇しました。7月から8月にかけては、各国の一部経済指標の改善や欧州連合(EU)首脳が7,500億ユーロ規模の新型コロナウイルス復興基金設立で合意したこと、低油価により米国の原油生産量が減少する一方で同国の原油在庫が減少傾向にあったこと等が原油の需給引き締めに繋がると原油市場で意識され、7月に42.03米ドルで始まった原油価格は8月の最終営業日には45.28米ドルまで上昇しました。他方、9月に入ると欧州やインドにおいて新型コロナウイルスの感染が拡大している中、米国のドライブシーズンが終了したことも相まって、一時期、39.61米ドルまで値を下げ、その後も原油価格を上昇させる材料に乏しく、当期は最終的に40.95米ドルで終えております。なお、当第3四半期連結累計期間の原油の当社グループ販売平均価格は、39.30米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当第3四半期連結累計期間は1米ドル108円台で始まりました。2月にかけては好調な米経済指標を受けてドル買いが進み、一時的に112円台まで上昇したものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米国経済への懸念が高まると、ドル売りが進み107円台まで下落しました。その後は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な金融市場の混乱から大きく乱高下する展開が続きました。4月以降、各国で新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じ、金融市場が落ち着きを取り戻すと109円台までドル買いが進みましたが、新型コロナウイルス感染拡大の第二波への警戒感が高まると、6月末にかけては再び円高に転じました。その後も、FRBによる金融緩和拡大期待の高まりや米国株式市場の下落などを受けて一時的に104円台まで円高が進む場面も見られましたが、9月末にかけて105円を挟んだ小幅なレンジでの推移を継続しました。期末公示仲値(TTM)は、前期末から3円74銭円高の105円81銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前年同一期間に比べ、1円69銭円高の1米ドル107円70銭となりました。
このような事業環境の中、当第3四半期連結累計期間は、販売数量は増加したものの、油価の下落により、売上高は前年同一期間比2,518億円、29.8%減の5,927億円となりました。このうち原油売上高は前年同一期間比2,362億円、37.7%減の3,903億円、天然ガス売上高は前年同一期間比125億円、6.1%減の1,920億円です。当第3四半期連結累計期間の販売数量は、原油が前年同一期間比4,334千バレル、4.9%増の92,214千バレルとなり、天然ガスは前年同一期間比36,286百万立方フィート、11.8%増の343,758百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前年同一期間比39,563百万立方フィート、16.0%増の287,297百万立方フィート、国内天然ガスは、前年同一期間比88百万立方メートル、5.5%減の1,513百万立方メートル、立方フィート換算では56,462百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり39.30米ドルとなり、前年同一期間比25.83米ドル、39.7%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり3.70米ドルとなり、前年同一期間比0.48米ドル、11.5%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり49円71銭となり、前年同一期間比6円19銭、11.1%下落しております。売上高の平均為替レートは1米ドル107円70銭となり、前年同一期間比1円69銭、1.5%の円高となりました。
売上高の減少額2,518億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により436億円の増収、平均単価の下落により2,847億円の減収、売上の平均為替レートが円高となったことにより77億円の減収、その他の売上高が30億円の減収となりました。
一方、売上原価は前年同一期間比307億円、8.3%減の3,394億円、探鉱費は前年同一期間比138億円、70.0%減の59億円、販売費及び一般管理費は前年同一期間比9億円、1.7%増の561億円です。以上の結果、営業利益は前年同一期間比2,081億円、52.1%減の1,912億円となりました。
営業外収益は持分法による投資利益の増加等により前年同一期間比60億円、17.0%増の412億円、営業外費用は前年同一期間比39億円、13.3%増の335億円となりました。この結果、経常利益は前年同一期間比2,060億円、50.9%減の1,990億円となりました。
特別損失は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響等を受けた油価の下落等に基づく事業環境の悪化により減損損失1,912億円を計上し前年同一期間比1,858億円の増加、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は前年同一期間1,553億円、54.7%減の1,287億円、非支配株主に帰属する四半期純利益は44億円です。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,254億円(前年同一期間は親会社株主に帰属する四半期純利益1,216億円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメント売上高セグメント損益
前年
同一期間
当第3四半期連結累計期間増減率(%)前年
同一期間
当第3四半期連結累計期間増減率(%)
日本107,19088,376△17.619,63116,472△16.1
アジア・オセアニア195,472166,358△14.992,51639,816△57.0
ユーラシア(欧州・NIS諸国)72,01552,359△27.316,7513,169△81.1
中東・アフリカ460,076274,595△40.3289,703144,169△50.2
米州9,88111,10812.4△8,447△2,008△76.2
報告セグメント計844,635592,798△29.8410,155201,619△50.8
調整額---△10,720△10,321△3.7
合計844,635592,798△29.8399,434191,298△52.1

①日本
ガス価の下落により、売上高は前年同一期間比188億円、17.6%減の883億円となり、営業利益は前年同一期間比31億円、16.1%減の164億円となりました。
②アジア・オセアニア
油価の下落により、売上高は前年同一期間比291億円、14.9%減の1,663億円となり、営業利益は前年同一期間比526億円、57.0%減の398億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の下落により、売上高は前年同一期間比196億円、27.3%減の523億円となり、営業利益は前年同一期間比135億円、81.1%減の31億円となりました。
④中東・アフリカ
油価の下落により、売上高は前年同一期間比1,854億円、40.3%減の2,745億円となり、営業利益は前年同一期間比1,455億円、50.2%減の1,441億円となりました。
⑤米州
原油販売数量の増加により、売上高は前年同一期間比12億円、12.4%増の111億円となり、営業損失は前年同一期間比64億円、76.2%減の20億円となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は4兆6,342億円となり、前連結会計年度末の4兆8,499億円と比較して2,157億円の減少となりました。流動資産は3,709億円で、受取手形及び売掛金の減少等により前連結会計年度末と比較して488億円の減少となりました。固定資産は4兆2,632億円で、有形固定資産及び無形固定資産の減少等により前連結会計年度末と比較して1,668億円の減少となりました。 一方、負債は1兆6,154億円となり、前連結会計年度末の1兆5,528億円と比較して626億円の増加となりました。このうち流動負債は3,809億円で、前連結会計年度末比205億円の減少、固定負債は1兆2,345億円で、前連結会計年度末比832億円の増加となりました。 純資産は3兆187億円となり、前連結会計年度末比2,783億円の減少となりました。このうち、株主資本は2兆5,535億円で、前連結会計年度末比1,692億円の減少となりました。その他の包括利益累計額は2,059億円で、前連結会計年度末比1,120億円の減少、非支配株主持分は2,592億円で、前連結会計年度末比28億円の増加となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
①基本方針の内容
当社グループは、バランスの取れた資産ポートフォリオ、国際大手石油会社の上位を目指す我が国の中核的企業としてのプレゼンス、オペレーター事業を通じて培った高い水準の技術力等を最大限に活かし、今後も世界各地で積極的にプロジェクトを推進することで、我が国向けエネルギーの安定供給と石油・天然ガスの自主開発比率向上に貢献します。さらに、環境・社会・ガバナンスの各分野で責任ある取り組みを進めることで、石油・天然ガス上流事業に加え、再生可能エネルギーを含めた多様なエネルギーの開発・生産・供給を持続可能な形で実現することを通じて企業価値を向上させ、より豊かな社会づくりに貢献してまいります。
②財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。
また、当社は、上記①の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和元年経済産業省告示第37号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
③上記②の取り組みについての取締役会の判断
上記②の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記①の方針に沿うものであります。
また、上記②の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和元年経済産業省告示第37号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記①の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は334百万円であります。
(4)従業員数
提出会社の状況
当第3四半期累計期間において、主に日本国内における契約社員の従業員への転換および本社における新卒採用による増加などにより、当第3四半期会計期間末の従業員数は下記のとおりとなっております。
2020年9月30日現在
セグメントの名称前事業年度末(人)当第3四半期
会計期間末(人)
増減(人)
日本9531,096143
アジア・オセアニア
ユーラシア(欧州・NIS諸国)
中東・アフリカ
米州
全社(共通)25627620
合計1,2091,372163

(注) 1 当社グループは、多くの部門において、同一の従業員が複数の地域の事業に従事しております。
2 全社(共通)には、総務部門、経理部門等の管理部門の従業員が含まれております。