有価証券報告書-第14期(平成31年4月1日-令和1年12月31日)
(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度より当社および従来3月決算であった国内連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。この変更に伴い、経過期間となる当連結会計年度においては、9か月間の変則決算となります。(当社および仮決算子会社等は4月1日から12月31日までの9か月間、12月決算の連結子会社は1月1日から12月31日までの12か月間をそれぞれ連結対象期間としています。なお、仮決算子会社とは、決算日は12月31日であるものの、連結決算に与える影響が相対的に大きいため、従来3月31日に組み替えて決算を行っていた子会社であります。)
以下、増減については「前期同一期間」との比較で記載しています。(前期同一期間とは、当社および仮決算子会社は2018年4月1日から12月31日までを指し、12月決算の連結子会社は2018年1月1日から12月31日までを指します。)
(単位:百万円)
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の減速などの影響により、同時減速の警戒感が強まっております。我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に加え、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、輸出や設備投資の一部で弱さが長引くなど、先行きへの不透明感が増してきました。 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近もの終値ベース)で当期は1バレル当たり69.01米ドルから始まりました。その後米国によるイラン制裁強化などの影響を受けて原油価格は4月下旬に一時74.57米ドルまで上昇したものの、米中貿易摩擦問題の長期化による世界経済減速への懸念や米国の原油在庫の増加などを受けて下落を続け、8月上旬には56.23米ドルまで値を下げました。相前後して、ホルムズ海峡にて日本の原油輸送タンカーが襲撃される事件や、サウジアラビアの石油施設攻撃を受けた一時的な生産停止など、中東の緊張感が高まったことにより油価急騰の局面も見られましたが、市場の想定よりも早く生産再開可能な観測が広がったこともあり、すぐに下落基調へ再転しました。その後、年末にかけて米中貿易協議進展への期待や、OPEC加盟国と非加盟国が協調減産枠の拡大を決定したことから緩やかな上昇を見せ、最終的には66.00米ドルで当期を終えております。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期同一期間に比べ、1バレル当たり5.95米ドル下落し、65.61米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル111円台で始まりましたが、4月には米中協議に対する期待感や、米雇用統計及び中国貿易統計の良好な結果を受け、ドル買いが進み一時112円台へと上昇しました。しかし7月以降のFOMCによる利下げや、米国による中国への関税賦課の公表等により世界経済の不透明感が高まり、一時105円台まで円高が進行しました。その後は香港のデモ激化等がございましたが、10月の米国による対中関税引き上げの見送り等により、景気の不透明感が後退、ドル円は109円台を回復いたしました。期末公示仲値(TTM)は、前期末から1円46銭円高の109円55銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期同一期間に比べ、1円88銭円高の1米ドル108円84銭となりました。
当連結会計年度は、販売数量の増加により売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は1兆円(前期同一期間比25.0%増)、経常利益は5,110億円(同14.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,235億円(同136.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
①日本
ガス価の上昇により、売上高は前期同一期間比8億円、0.8%増の970億円となりましたが、売上原価の増加等により、営業利益は前期同一期間比87億円、39.9%減の131億円となりました。
②アジア・オセアニア
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比1,857億円、336.9%増の2,409億円となり、営業利益は前期同一期間比1,062億円、920.4%増の1,178億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の下落により、売上高は前期同一期間比93億円、10.6%減の790億円となり、営業利益は前期同一期間比46億円、18.3%減の208億円となりました。
④中東・アフリカ
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比171億円、3.1%増の5,691億円となりましたが、探鉱費の増加等により、営業利益は前期同一期間比125億円、3.3%減の3,644億円となりました。
⑤米州
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比55億円、66.3%増の138億円となり、営業損失は前期同一期間比6億円、9.6%減の65億円となりました。
当連結会計年度末の総資産は無形固定資産及び投資その他の資産が増加したことにより、前連結会計年度比564億円増加の4兆8,499億円となりました。一方、負債は前連結会計年度末比168億円増加の1兆5,528億円となり、純資産は前連結会計年度末比395億円増加の3兆2,971億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、決算期の変更により、9か月間の変則決算となります。このため、前連結会計年度比は記載しておりません。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の2,396億円から当連結会計年度中に減少した資金658億円を差し引いた1,737億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が32億円減少しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,747億円となりました。これは主に、法人税等の支払額があったものの、税金等調整前当期純利益や非資金項目である減価償却費の計上があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,887億円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出や長期貸付けによる支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は486億円となりました。これは主に、配当金の支払額によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、4月1日から12月31日の実績となっております。
4 「調整後増減率」は、前第3四半期連結累計期間との比較であります。
5 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油107.7百万バレル(日量391.5千バレル)、天然ガス348.9十億CF(日量1,268.6百万CF)、合計174.0百万BOE(日量632.9千BOE)となります。
6 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
7 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
8 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2) 受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
3 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
4 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
主要な販売価格の変動については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(経営成績等の状況の分析)
(1) 経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度は、売上高が前期同一期間に比べ25.0%増の1兆円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期同一期間に比べ136.1%増の1,235億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は1兆円で、このうち、原油売上高は7,640億円と前期同一期間の6,751億円と比べ888億円、13.2%の増収、天然ガス売上高は2,230億円と前期同一期間の1,127億円と比べ1,103億円、97.8%の増収、その他の売上高は128億円と前連結会計年度の122億円と比べ6億円、5.0%の増収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前期同一期間と比べ21,812千バレル、25.6%増の106,950千バレルとなり、天然ガスは、前期同一期間と比べ187,257百万立方フィート、118.6%増の345,182百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前期同一期間と比べ188,112百万立方フィート、186.6%増の288,940百万立方フィート、国内天然ガスは、前期同一期間と比べ23百万立方メートル、1.5%減の1,507百万立方メートル、立方フィート換算では56,242百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり65.61米ドルとなり、前期同一期間と比べ5.95米ドル、8.3%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり4.45米ドルとなり、前期同一期間と比べ1.51米ドル、51.4%上昇、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり53円27銭となり、前期同一期間と比べ1円62銭、3.1%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル108円84銭となり、前期同一期間と比べ1円88銭、1.7%の円高となりました。
当連結会計年度の売上高の増加額1,998億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により2,335億円の増収、平均単価の下落により195億円の減収、売上の平均為替レートが円高となったことにより148億円の減収、その他の売上高が6億円の増収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は4,247億円と前期同一期間の3,268億円と比べ978億円、29.9%増加しております。探鉱費は154億円と前期同一期間の35億円と比べ119億円の増加、販売費及び一般管理費は612億円と前期同一期間の561億円と比べ50億円、9.1%の増加となりました。 以上の結果、当連結会計年度における営業利益は4,986億円と前期同一期間の4,136億円と比べ849億円、20.5%の増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は447億円と前期同一期間の523億円と比べ75億円、14.4%減少しております。これは、受取補償金の剥落等によるものです。営業外費用は323億円と前期同一期間の203億円と比べ120億円、59.2%の増加となりました。これは、支払利息の増加等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は5,110億円と前期同一期間の4,456億円と比べ654億円、14.7%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、特別損失として減損損失7億円を計上しており、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は3,857億円と前期同一期間の3,637億円と比べ219億円、6.0%の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は10億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,235億円と前連結会計年度の523億円と比べ712億円、136.1%の増益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(2) 財政状態の分析
① 資金の調達及び流動性
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに、油価の急な下落に備え、また油ガス田権益買収の際に迅速に対応するため、一定の手厚い手許資金を保有することを基本方針としており、これら手許資金は、安全性、流動性の高い金融商品で運用することを原則としています。現状の手許資金を梃子に、財務の健全性を維持しながら事業拡大を図ることで、長期的に資本効率の向上を目指すのが当社の戦略です。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は4兆8,499億円となり、前連結会計年度末の4兆7,935億円と比較して、564億円の増加となりました。このうち流動資産は4,198億円で、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末比379億円の減少となりました。固定資産は4兆4,301億円で、無形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末比943億円の増加となりました。
一方、負債は1兆5,528億円で、前連結会計年度末の1兆5,359億円と比較して168億円の増加となりました。このうち流動負債は4,014億円で、前連結会計年度末比294億円の増加、固定負債は1兆1,513億円で、前連結会計年度末比126億円の減少となりました。
純資産は3兆2,971億円となり、前連結会計年度末と比較して395億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆7,227億円で、前連結会計年度末比849億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は3,179億円で、前連結会計年度末比506億円の減少、非支配株主持分は2,564億円で、前連結会計年度末比52億円の増加となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して167億円、5.8%減の2,745億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して921億円、3.1%増の3兆636億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して40億円、0.7%減の5,969億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して316億円、6.0%増の5,620億円となりました。
e)米州
主に無形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して403億円、95.3%増の826億円となりました。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度より当社および従来3月決算であった国内連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。この変更に伴い、経過期間となる当連結会計年度においては、9か月間の変則決算となります。(当社および仮決算子会社等は4月1日から12月31日までの9か月間、12月決算の連結子会社は1月1日から12月31日までの12か月間をそれぞれ連結対象期間としています。なお、仮決算子会社とは、決算日は12月31日であるものの、連結決算に与える影響が相対的に大きいため、従来3月31日に組み替えて決算を行っていた子会社であります。)
以下、増減については「前期同一期間」との比較で記載しています。(前期同一期間とは、当社および仮決算子会社は2018年4月1日から12月31日までを指し、12月決算の連結子会社は2018年1月1日から12月31日までを指します。)
(単位:百万円)
前期同一期間 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率(%) | 前連結会計年度 | |
売上高 | 800,191 | 1,000,005 | 199,814 | 25.0 | 971,388 |
営業利益 | 413,668 | 498,641 | 84,972 | 20.5 | 474,281 |
経常利益 | 445,679 | 511,088 | 65,409 | 14.7 | 519,278 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 52,340 | 123,550 | 71,210 | 136.1 | 96,106 |
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中国経済の減速などの影響により、同時減速の警戒感が強まっております。我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に加え、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移いたしましたが、輸出や設備投資の一部で弱さが長引くなど、先行きへの不透明感が増してきました。 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近もの終値ベース)で当期は1バレル当たり69.01米ドルから始まりました。その後米国によるイラン制裁強化などの影響を受けて原油価格は4月下旬に一時74.57米ドルまで上昇したものの、米中貿易摩擦問題の長期化による世界経済減速への懸念や米国の原油在庫の増加などを受けて下落を続け、8月上旬には56.23米ドルまで値を下げました。相前後して、ホルムズ海峡にて日本の原油輸送タンカーが襲撃される事件や、サウジアラビアの石油施設攻撃を受けた一時的な生産停止など、中東の緊張感が高まったことにより油価急騰の局面も見られましたが、市場の想定よりも早く生産再開可能な観測が広がったこともあり、すぐに下落基調へ再転しました。その後、年末にかけて米中貿易協議進展への期待や、OPEC加盟国と非加盟国が協調減産枠の拡大を決定したことから緩やかな上昇を見せ、最終的には66.00米ドルで当期を終えております。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期同一期間に比べ、1バレル当たり5.95米ドル下落し、65.61米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル111円台で始まりましたが、4月には米中協議に対する期待感や、米雇用統計及び中国貿易統計の良好な結果を受け、ドル買いが進み一時112円台へと上昇しました。しかし7月以降のFOMCによる利下げや、米国による中国への関税賦課の公表等により世界経済の不透明感が高まり、一時105円台まで円高が進行しました。その後は香港のデモ激化等がございましたが、10月の米国による対中関税引き上げの見送り等により、景気の不透明感が後退、ドル円は109円台を回復いたしました。期末公示仲値(TTM)は、前期末から1円46銭円高の109円55銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期同一期間に比べ、1円88銭円高の1米ドル108円84銭となりました。
当連結会計年度は、販売数量の増加により売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は1兆円(前期同一期間比25.0%増)、経常利益は5,110億円(同14.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,235億円(同136.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメント | 売上高 | セグメント損益 | ||||
前期 同一期間 | 当連結 会計年度 | 増減率(%) | 前期 同一期間 | 当連結 会計年度 | 増減率(%) | |
日本 | 96,232 | 97,038 | 0.8 | 21,875 | 13,156 | △39.9 |
アジア・オセアニア | 55,145 | 240,927 | 336.9 | 11,544 | 117,801 | 920.4 |
ユーラシア(欧州・NIS諸国) | 88,439 | 79,054 | △10.6 | 25,474 | 20,806 | △18.3 |
中東・アフリカ | 552,063 | 569,166 | 3.1 | 377,019 | 364,467 | △3.3 |
米州 | 8,308 | 13,819 | 66.3 | △7,237 | △6,545 | △9.6 |
報告セグメント計 | 800,191 | 1,000,005 | 25.0 | 428,677 | 509,685 | 18.9 |
調整額 | - | - | - | △15,008 | △11,044 | △26.4 |
合計 | 800,191 | 1,000,005 | 25.0 | 413,668 | 498,641 | 20.5 |
①日本
ガス価の上昇により、売上高は前期同一期間比8億円、0.8%増の970億円となりましたが、売上原価の増加等により、営業利益は前期同一期間比87億円、39.9%減の131億円となりました。
②アジア・オセアニア
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比1,857億円、336.9%増の2,409億円となり、営業利益は前期同一期間比1,062億円、920.4%増の1,178億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の下落により、売上高は前期同一期間比93億円、10.6%減の790億円となり、営業利益は前期同一期間比46億円、18.3%減の208億円となりました。
④中東・アフリカ
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比171億円、3.1%増の5,691億円となりましたが、探鉱費の増加等により、営業利益は前期同一期間比125億円、3.3%減の3,644億円となりました。
⑤米州
販売数量の増加により、売上高は前期同一期間比55億円、66.3%増の138億円となり、営業損失は前期同一期間比6億円、9.6%減の65億円となりました。
当連結会計年度末の総資産は無形固定資産及び投資その他の資産が増加したことにより、前連結会計年度比564億円増加の4兆8,499億円となりました。一方、負債は前連結会計年度末比168億円増加の1兆5,528億円となり、純資産は前連結会計年度末比395億円増加の3兆2,971億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、決算期の変更により、9か月間の変則決算となります。このため、前連結会計年度比は記載しておりません。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の2,396億円から当連結会計年度中に減少した資金658億円を差し引いた1,737億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が32億円減少しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,747億円となりました。これは主に、法人税等の支払額があったものの、税金等調整前当期純利益や非資金項目である減価償却費の計上があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,887億円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出や長期貸付けによる支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は486億円となりました。これは主に、配当金の支払額によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 調整後増減率 (%) |
日本 | 原油 | 0.9百万バレル | △7.3 |
(日量3.1千バレル) | |||
天然ガス | 32.6十億CF | △8.9 | |
(日量118.6百万CF) | |||
小計 | 7.0百万BOE | △8.7 | |
(日量25.4千BOE) | |||
ヨード | 376.1t | △9.6 | |
発電 | 151.7百万kWh | 2.3 | |
アジア・オセアニア | 原油 | 13.1百万バレル | 310.8 |
(日量47.7千バレル) | |||
天然ガス | 280.4十億CF | 304.9 | |
(日量1,019.7百万CF) | |||
小計 | 66.8百万BOE | 338.9 | |
(日量243.0千BOE) | |||
発電 | 286.9百万kWh | △11.4 | |
-ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 13.1百万バレル | 3.5 |
(日量47.7千バレル) | |||
天然ガス | 6.7十億CF | △9.4 | |
(日量24.5百万CF) | |||
小計 | 14.3百万BOE | 2.3 | |
(日量52.1千BOE) | |||
硫黄 | 64.8千t | 1.9 | |
中東・アフリカ | 原油 | 67.3百万バレル | 5.1 |
(日量244.6千バレル) | |||
米州 | 原油 | 2.5百万バレル | 179.4 |
(日量9.2千バレル) | |||
天然ガス | 17.5十億CF | △32.1 | |
(日量63.6百万CF) | |||
小計 | 5.8百万BOE | 4.4 | |
(日量21.0千BOE) | |||
合計 | 原油 | 96.9百万バレル | 18.6 |
(日量352.4千バレル) | |||
天然ガス | 337.3十億CF | 143.9 | |
(日量1,226.4百万CF) | |||
小計 | 161.2百万BOE | 51.5 | |
(日量586.2千BOE) | |||
ヨード | 376.1t | △9.6 | |
発電 | 438.6百万kWh | △7.1 | |
硫黄 | 64.8千t | 1.9 |
(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、4月1日から12月31日の実績となっております。
4 「調整後増減率」は、前第3四半期連結累計期間との比較であります。
5 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油107.7百万バレル(日量391.5千バレル)、天然ガス348.9十億CF(日量1,268.6百万CF)、合計174.0百万BOE(日量632.9千BOE)となります。
6 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
7 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
8 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2) 受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | 調整後増減率 (%) | ||
販売量 | 売上高 (百万円) | 販売量 | 売上高 | ||
日本 | 原油 | 499千バレル | 3,647 | △15.1 | △28.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 56,242百万CF | 80,282 | △1.5 | 1.6 | |
LPG | 3千バレル | 16 | △19.7 | △33.3 | |
その他 | 13,092 | 8.1 | |||
小計 | 97,038 | 0.8 | |||
アジア・オセアニア | 原油 | 14,008千バレル | 101,577 | 327.3 | 306.3 |
天然ガス(LPGを除く) | 262,903百万CF | 136,237 | 351.9 | 370.8 | |
LPG | 409千バレル | 3,112 | 104.7 | 158.9 | |
小計 | 240,927 | 336.9 | |||
ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 11,272千バレル | 77,867 | 0.9 | △10.3 |
天然ガス(LPGを除く) | 6,720百万CF | 1,412 | △9.5 | △3.5 | |
その他 | △225 | - | |||
小計 | 79,054 | △10.6 | |||
中東・アフリカ | 原油 | 79,147千バレル | 569,166 | 14.4 | 3.1 |
米州 | 原油 | 2,024千バレル | 11,781 | 117.7 | 90.1 |
天然ガス(LPGを除く) | 19,317百万CF | 2,038 | △45.2 | △3.4 | |
小計 | 13,819 | 66.3 | |||
合計 | 原油 | 106,950千バレル | 764,039 | 25.6 | 13.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 345,182百万CF | 219,970 | 118.6 | 97.2 | |
LPG | 412千バレル | 3,128 | 102.7 | 155.0 | |
その他 | 12,867 | 5.0 | |||
合計 | 1,000,005 | 25.0 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 「調整後増減率」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。
3 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
4 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) |
JXTGエネルギー(株) | 99,554 | 10.2 |
当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) |
Shell International Eastern Trading Company | 124,787 | 12.5 |
Ichthys LNG Pty Ltd | 110,689 | 11.1 |
JXTGエネルギー(株) | 108,496 | 10.8 |
主要な販売価格の変動については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(経営成績等の状況の分析)
(1) 経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度は、売上高が前期同一期間に比べ25.0%増の1兆円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期同一期間に比べ136.1%増の1,235億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は1兆円で、このうち、原油売上高は7,640億円と前期同一期間の6,751億円と比べ888億円、13.2%の増収、天然ガス売上高は2,230億円と前期同一期間の1,127億円と比べ1,103億円、97.8%の増収、その他の売上高は128億円と前連結会計年度の122億円と比べ6億円、5.0%の増収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前期同一期間と比べ21,812千バレル、25.6%増の106,950千バレルとなり、天然ガスは、前期同一期間と比べ187,257百万立方フィート、118.6%増の345,182百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前期同一期間と比べ188,112百万立方フィート、186.6%増の288,940百万立方フィート、国内天然ガスは、前期同一期間と比べ23百万立方メートル、1.5%減の1,507百万立方メートル、立方フィート換算では56,242百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり65.61米ドルとなり、前期同一期間と比べ5.95米ドル、8.3%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり4.45米ドルとなり、前期同一期間と比べ1.51米ドル、51.4%上昇、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり53円27銭となり、前期同一期間と比べ1円62銭、3.1%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル108円84銭となり、前期同一期間と比べ1円88銭、1.7%の円高となりました。
当連結会計年度の売上高の増加額1,998億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により2,335億円の増収、平均単価の下落により195億円の減収、売上の平均為替レートが円高となったことにより148億円の減収、その他の売上高が6億円の増収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は4,247億円と前期同一期間の3,268億円と比べ978億円、29.9%増加しております。探鉱費は154億円と前期同一期間の35億円と比べ119億円の増加、販売費及び一般管理費は612億円と前期同一期間の561億円と比べ50億円、9.1%の増加となりました。 以上の結果、当連結会計年度における営業利益は4,986億円と前期同一期間の4,136億円と比べ849億円、20.5%の増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は447億円と前期同一期間の523億円と比べ75億円、14.4%減少しております。これは、受取補償金の剥落等によるものです。営業外費用は323億円と前期同一期間の203億円と比べ120億円、59.2%の増加となりました。これは、支払利息の増加等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は5,110億円と前期同一期間の4,456億円と比べ654億円、14.7%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、特別損失として減損損失7億円を計上しており、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は3,857億円と前期同一期間の3,637億円と比べ219億円、6.0%の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は10億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,235億円と前連結会計年度の523億円と比べ712億円、136.1%の増益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(2) 財政状態の分析
① 資金の調達及び流動性
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに、油価の急な下落に備え、また油ガス田権益買収の際に迅速に対応するため、一定の手厚い手許資金を保有することを基本方針としており、これら手許資金は、安全性、流動性の高い金融商品で運用することを原則としています。現状の手許資金を梃子に、財務の健全性を維持しながら事業拡大を図ることで、長期的に資本効率の向上を目指すのが当社の戦略です。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は4兆8,499億円となり、前連結会計年度末の4兆7,935億円と比較して、564億円の増加となりました。このうち流動資産は4,198億円で、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末比379億円の減少となりました。固定資産は4兆4,301億円で、無形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末比943億円の増加となりました。
一方、負債は1兆5,528億円で、前連結会計年度末の1兆5,359億円と比較して168億円の増加となりました。このうち流動負債は4,014億円で、前連結会計年度末比294億円の増加、固定負債は1兆1,513億円で、前連結会計年度末比126億円の減少となりました。
純資産は3兆2,971億円となり、前連結会計年度末と比較して395億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆7,227億円で、前連結会計年度末比849億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は3,179億円で、前連結会計年度末比506億円の減少、非支配株主持分は2,564億円で、前連結会計年度末比52億円の増加となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して167億円、5.8%減の2,745億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して921億円、3.1%増の3兆636億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して40億円、0.7%減の5,969億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して316億円、6.0%増の5,620億円となりました。
e)米州
主に無形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して403億円、95.3%増の826億円となりました。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。