有価証券報告書-第13期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要
当期における世界経済は、米国経済が総じて好調に推移したものの、米中貿易摩擦や中国経済の減速など、先行き不透明な状況にあります。我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に加え、個人消費、設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近もの終値ベース)で当期は1バレル当たり67.64米ドルから始まり、米国による対イラン制裁再発動の発表に伴うイラン原油の輸出減少による需給の逼迫感が広まったことから、昨年5月には79.80米ドルまで上昇しました。その後、米国の原油生産及び原油在庫の増加等を背景に相場は下落傾向となり、8月には70.76米ドルまで値下がりしましたが、米国の制裁を控えイランからの原油輸出量が減少し始めたことと、それを補うOPECの増産余地が想定よりも乏しいとの見方が浮上したこと、さらに米国のシェールオイルの増産が鈍るという需給逼迫観測が広がったこと等から、原油価格は上昇基調に転じ、10月に84.98米ドルに達しました。しかし、世界経済に対する減速懸念が台頭したことに加え、一部の国に対してイラン産原油の輸入を一定期間認める制裁免除措置が発表されたことや、12月のOPEC総会後の減産遵守に対する市場の懐疑的な見方から需給逼迫感が緩んだこと等により、本年1月に54.91米ドルまで下落しました。その後、米中貿易摩擦の解消が期待されたことや、主要産油国の協調減産の継続により需給が引き締まるとの見方が広がったこと等から、原油価格は上昇基調に転じ、最終的には68.39米ドルで当期を終えております。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり14.00米ドル上昇し、70.30米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル106円台で始まりましたが、米国を中心とした堅調な経済指標・企業業績並びに米朝首脳会談の実現等による国際情勢の安定を受け、米ドルは前年度末の下げ分を回復、10月には114円台まで上昇しました。10月以降は米中貿易摩擦の激化等より米金利や株式市場の下落に見舞われる中、12月には米国連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げ見通しの修正を受けてドルの先高観が後退、さらに年初には米国大手IT企業の業績下方修正に端を発して急激に円高が進行しました。その後、米中貿易問題解決への期待感や米国の経済指標の堅調な推移等により、ドル円相場は値を戻し、期末公示仲値(TTM)は、前期末から4円74銭円安の111円01銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、57銭円高の1米ドル110円70銭となりました。
当連結会計年度は、原油価格が上昇したことにより売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は9,713億円(前連結会計年度比4.0%増)、経常利益は5,192億円(同34.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は961億円(同138.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
①日本
販売数量の増加、ガス価の上昇により、売上高は前連結会計年度比202億円、16.9%増の1,403億円となり、営業利益は前連結会計年度比39億円、15.7%増の292億円となりました。
②アジア・オセアニア
油価は上昇したものの、販売数量の減少により、売上高は前連結会計年度比572億円、38.4%減の916億円となり、営業利益は前連結会計年度比10億円、3.8%減の273億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
販売数量の増加、油価の上昇により、売上高は前連結会計年度比281億円、31.7%増の1,167億円となり、営業利益は前連結会計年度比100億円、46.8%増の314億円となりました。
④中東・アフリカ
販売数量は減少したものの、油価の上昇により、売上高は前連結会計年度比491億円、8.7%増の6,144億円となり、営業利益は前連結会計年度比1,070億円、35.1%増の4,120億円となりました。
⑤米州
油価は上昇したものの、販売数量の減少により、売上高は前連結会計年度比26億円、24.2%減の83億円となりましたが、売上原価の減少等により、営業損失は前連結会計年度比19億円、17.9%減の87億円となりました。
当連結会計年度末の総資産は有形固定資産及び投資その他の資産が増加したことにより、前連結会計年度比5,411億円増加の4兆7,935億円となりました。一方、負債は借入金の増加等により、前連結会計年度末比4,424億円増加の1兆5,359億円となり、純資産は前連結会計年度末比987億円増加の3兆2,575億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の2,760億円から当連結会計年度中に減少した資金364億円を差し引いた2,396億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が18億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,385億円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。これは主に、法人税等の支払額が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,820億円(前連結会計年度比93.8%増)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が減少したことや長期貸付けによる支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は4,051億円となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかか
わらず、4月1日から3月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油124.9百万バレル(日量342.2千バレル)、天然ガス253.4十億CF(日量694.2百万CF)、合計172.0百万BOE(日量471.1千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2) 受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 決算日が12月31日の連結子会社につきまして、連結決算日で決算を行っている会社を除き、1月から12月の業績を連結会計年度として連結しております。ただし、連結決算日との間に生じた重要な取引については連結上必要な調整を行っております。
3 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
4 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
主要な販売価格の変動については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(経営成績等の状況の分析)
(1) 経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度は、売上高が前連結会計年度に比べ4.0%増の9,713億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ138.1%増の961億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は9,713億円で、このうち、原油売上高は7,826億円と前連結会計年度の7,102億円と比べ724億円、10.2%の増収、天然ガス売上高は1,707億円と前連結会計年度の2,081億円と比べ373億円、18.0%の減収、その他の売上高は179億円と前連結会計年度の153億円と比べ26億円、17.4%の増収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前連結会計年度と比べ12,379千バレル、11.0%減の100,503千バレルとなり、天然ガスは、前連結会計年度と比べ31,965百万立方フィート、12.1%減の232,851百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前連結会計年度と比べ33,652百万立方フィート、18.1%減の151,922百万立方フィート、国内天然ガスは、前連結会計年度と比べ45百万立方メートル、2.1%増の2,169百万立方メートル、立方フィート換算では80,930百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり70.30米ドルとなり、前連結会計年度と比べ14.00米ドル、24.9%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり3.18米ドルとなり、前連結会計年度と比べ1.86米ドル、36.9%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり53円46銭となり、前連結会計年度と比べ7円10銭、15.3%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル110円70銭となり、前連結会計年度と比べ57銭、0.5%の円高となりました。
当連結会計年度の売上高の増加額376億円を要因別に分析いたしますと、販売数量の減少により993億円の減収、平均単価の上昇により1,391億円の増収、売上の平均為替レートが円高となったことにより47億円の減収、その他の売上高が26億円の増収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は4,133億円と前連結会計年度の4,980億円と比べ847億円、17.0%減少しております。これは、マハカム沖鉱区に係る原価の剥落等によるものです。探鉱費は116億円と前連結会計年度の13億円と比べ103億円の増加、販売費及び一般管理費は721億円と前連結会計年度の769億円と比べ48億円、6.3%の減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は4,742億円と前連結会計年度の3,573億円と比べ1,169億円、32.7%の増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は709億円と前連結会計年度の552億円と比べ156億円、28.3%増加しております。これは、持分法による投資利益の増加等によるものです。営業外費用は259億円と前連結会計年度の253億円と比べ5億円、2.2%の増加となりました。
以上の結果、経常利益は5,192億円と前連結会計年度の3,872億円と比べ1,320億円、34.1%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、特別損失として生産量及び米州天然ガス価格見通しの下落等に伴い一部プロジェクトで減損損失を252億円計上しました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は3,972億円と前連結会計年度の3,093億円と比べ878億円、28.4%の増加となり、非支配株主に帰属する当期純利益は6億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は961億円と前連結会計年度の403億円と比べ557億円、138.1%の増益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(2) 財政状態の分析
① 資金の調達及び流動性
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに、油価の急な下落に備え、また油ガス田権益買収の際に迅速に対応するため、一定の手厚い手許資金を保有することを基本方針としており、これら手許資金は、安全性、流動性の高い金融商品で運用することを原則としています。現状の手許資金を梃子に、財務の健全性を維持しながら事業拡大を図ることで、長期的に資本効率の向上を目指すのが当社の戦略です。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は4兆7,935億円となり、前連結会計年度末の4兆2,523億円と比較して、5,411億円の増加となりました。流動資産は4,577億円で、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末と比較して86億円の減少となりました。固定資産は4兆3,358億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末と比較して5,497億円の増加となりました。
一方、負債は1兆5,359億円で、前連結会計年度末の1兆935億円と比較して4,424億円の増加となりました。このうち流動負債は3,720億円で、前連結会計年度末比665億円の増加、固定負債は1兆1,639億円で、前連結会計年度末比3,758億円の増加となりました。
純資産は3兆2,575億円となり、前連結会計年度末比987億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆6,378億円で、前連結会計年度末比696億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は3,686億円で、前連結会計年度末比201億円の増加、非支配株主持分は2,511億円で、前連結会計年度末比89億円の増加となりました
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して118億円、3.9%減の2,912億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して6,290億円、26.9%増の2兆9,714億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して188億円、3.0%減の6,009億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して193億円、3.8%増の5,304億円となりました。
e)米州
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して148億円、26.0%減の423億円となりました。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当期における世界経済は、米国経済が総じて好調に推移したものの、米中貿易摩擦や中国経済の減速など、先行き不透明な状況にあります。我が国経済は、企業収益や雇用環境の改善に加え、個人消費、設備投資にも持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近もの終値ベース)で当期は1バレル当たり67.64米ドルから始まり、米国による対イラン制裁再発動の発表に伴うイラン原油の輸出減少による需給の逼迫感が広まったことから、昨年5月には79.80米ドルまで上昇しました。その後、米国の原油生産及び原油在庫の増加等を背景に相場は下落傾向となり、8月には70.76米ドルまで値下がりしましたが、米国の制裁を控えイランからの原油輸出量が減少し始めたことと、それを補うOPECの増産余地が想定よりも乏しいとの見方が浮上したこと、さらに米国のシェールオイルの増産が鈍るという需給逼迫観測が広がったこと等から、原油価格は上昇基調に転じ、10月に84.98米ドルに達しました。しかし、世界経済に対する減速懸念が台頭したことに加え、一部の国に対してイラン産原油の輸入を一定期間認める制裁免除措置が発表されたことや、12月のOPEC総会後の減産遵守に対する市場の懐疑的な見方から需給逼迫感が緩んだこと等により、本年1月に54.91米ドルまで下落しました。その後、米中貿易摩擦の解消が期待されたことや、主要産油国の協調減産の継続により需給が引き締まるとの見方が広がったこと等から、原油価格は上昇基調に転じ、最終的には68.39米ドルで当期を終えております。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり14.00米ドル上昇し、70.30米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル106円台で始まりましたが、米国を中心とした堅調な経済指標・企業業績並びに米朝首脳会談の実現等による国際情勢の安定を受け、米ドルは前年度末の下げ分を回復、10月には114円台まで上昇しました。10月以降は米中貿易摩擦の激化等より米金利や株式市場の下落に見舞われる中、12月には米国連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げ見通しの修正を受けてドルの先高観が後退、さらに年初には米国大手IT企業の業績下方修正に端を発して急激に円高が進行しました。その後、米中貿易問題解決への期待感や米国の経済指標の堅調な推移等により、ドル円相場は値を戻し、期末公示仲値(TTM)は、前期末から4円74銭円安の111円01銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、57銭円高の1米ドル110円70銭となりました。
当連結会計年度は、原油価格が上昇したことにより売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は9,713億円(前連結会計年度比4.0%増)、経常利益は5,192億円(同34.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は961億円(同138.1%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
①日本
販売数量の増加、ガス価の上昇により、売上高は前連結会計年度比202億円、16.9%増の1,403億円となり、営業利益は前連結会計年度比39億円、15.7%増の292億円となりました。
②アジア・オセアニア
油価は上昇したものの、販売数量の減少により、売上高は前連結会計年度比572億円、38.4%減の916億円となり、営業利益は前連結会計年度比10億円、3.8%減の273億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
販売数量の増加、油価の上昇により、売上高は前連結会計年度比281億円、31.7%増の1,167億円となり、営業利益は前連結会計年度比100億円、46.8%増の314億円となりました。
④中東・アフリカ
販売数量は減少したものの、油価の上昇により、売上高は前連結会計年度比491億円、8.7%増の6,144億円となり、営業利益は前連結会計年度比1,070億円、35.1%増の4,120億円となりました。
⑤米州
油価は上昇したものの、販売数量の減少により、売上高は前連結会計年度比26億円、24.2%減の83億円となりましたが、売上原価の減少等により、営業損失は前連結会計年度比19億円、17.9%減の87億円となりました。
当連結会計年度末の総資産は有形固定資産及び投資その他の資産が増加したことにより、前連結会計年度比5,411億円増加の4兆7,935億円となりました。一方、負債は借入金の増加等により、前連結会計年度末比4,424億円増加の1兆5,359億円となり、純資産は前連結会計年度末比987億円増加の3兆2,575億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の2,760億円から当連結会計年度中に減少した資金364億円を差し引いた2,396億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が18億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,385億円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。これは主に、法人税等の支払額が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,820億円(前連結会計年度比93.8%増)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が減少したことや長期貸付けによる支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は4,051億円となりました。これは主に、長期借入れによる収入が増加したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前期比 (%) |
日本 | 原油 | 1.3百万バレル | △6.9 |
(日量3.5千バレル) | |||
天然ガス | 48.0十億CF | △9.6 | |
(日量131.6百万CF) | |||
小計 | 10.3百万BOE | △9.3 | |
(日量28.2千BOE) | |||
ヨード | 560.7t | 1.1 | |
発電 | 204.7百万kWh | 3.3 | |
アジア・オセアニア | 原油 | 6.9百万バレル | △11.6 |
(日量18.9千バレル) | |||
天然ガス | 146.0十億CF | 6.7 | |
(日量400.1百万CF) | |||
小計 | 34.3百万BOE | 2.9 | |
(日量94.1千BOE) | |||
発電 | 402.3百万kWh | 96.1 | |
ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 17.0百万バレル | 12.0 |
(日量46.5千バレル) | |||
天然ガス | 10.0十億CF | 27.9 | |
(日量27.4百万CF) | |||
小計 | 18.7百万BOE | 13.3 | |
(日量51.3千BOE) | |||
硫黄 | 87.7千t | 275.5 | |
中東・アフリカ | 原油 | 84.4百万バレル | △10.1 |
(日量231.2千バレル) | |||
米州 | 原油 | 1.2百万バレル | △39.5 |
(日量3.2千バレル) | |||
天然ガス | 32.8十億CF | △16.6 | |
(日量89.9百万CF) | |||
小計 | 7.1百万BOE | △21.8 | |
(日量19.5千BOE) | |||
合計 | 原油 | 110.7百万バレル | △7.9 |
(日量303.3千バレル) | |||
天然ガス | 236.9十億CF | △0.1 | |
(日量649.0百万CF) | |||
小計 | 154.9百万BOE | △5.7 | |
(日量424.3千BOE) | |||
ヨード | 560.7t | 1.1 | |
発電 | 606.9百万kWh | 50.5 | |
硫黄 | 87.7千t | 275.5 |
(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかか
わらず、4月1日から3月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油124.9百万バレル(日量342.2千バレル)、天然ガス253.4十億CF(日量694.2百万CF)、合計172.0百万BOE(日量471.1千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2) 受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前期比 (%) | ||
販売量 | 売上高 (百万円) | 販売量 | 売上高 | ||
日本 | 原油 | 789千バレル | 6,478 | △16.1 | 2.8 |
天然ガス(LPGを除く) | 80,930百万CF | 115,939 | 2.1 | 17.8 | |
LPG | 4千バレル | 29 | △23.6 | △22.3 | |
その他 | 17,862 | 16.8 | |||
小計 | 140,311 | 16.9 | |||
アジア・オセアニア | 原油 | 5,621千バレル | 40,975 | △14.2 | △4.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 106,703百万CF | 49,180 | △22.3 | △50.8 | |
LPG | 200千バレル | 1,474 | △83.1 | △75.5 | |
小計 | 91,630 | △38.4 | |||
ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 15,115千バレル | 114,622 | 13.9 | 31.4 |
天然ガス(LPGを除く) | 9,996百万CF | 1,974 | 28.0 | 47.5 | |
その他 | 120 | 283.5 | |||
小計 | 116,718 | 31.7 | |||
中東・アフリカ | 原油 | 78,048千バレル | 614,420 | △13.7 | 8.7 |
米州 | 原油 | 930千バレル | 6,198 | △45.6 | △29.1 |
天然ガス(LPGを除く) | 35,223百万CF | 2,110 | △12.8 | △5.2 | |
小計 | 8,308 | △24.2 | |||
合計 | 原油 | 100,503千バレル | 782,695 | △11.0 | 10.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 232,851百万CF | 169,205 | △12.1 | △16.3 | |
LPG | 204千バレル | 1,504 | △82.8 | △75.1 | |
その他 | 17,983 | 17.4 | |||
合計 | 971,388 | 4.0 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 決算日が12月31日の連結子会社につきまして、連結決算日で決算を行っている会社を除き、1月から12月の業績を連結会計年度として連結しております。ただし、連結決算日との間に生じた重要な取引については連結上必要な調整を行っております。
3 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
4 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)
相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) |
Shell International Eastern Trading Company | 107,654 | 11.5 |
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
相手先 | 金額 (百万円) | 割合 (%) |
JXTGエネルギー(株) | 99,554 | 10.2 |
主要な販売価格の変動については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(経営成績等の状況の分析)
(1) 経営成績の分析
① 概要
当連結会計年度は、売上高が前連結会計年度に比べ4.0%増の9,713億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ138.1%増の961億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は9,713億円で、このうち、原油売上高は7,826億円と前連結会計年度の7,102億円と比べ724億円、10.2%の増収、天然ガス売上高は1,707億円と前連結会計年度の2,081億円と比べ373億円、18.0%の減収、その他の売上高は179億円と前連結会計年度の153億円と比べ26億円、17.4%の増収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前連結会計年度と比べ12,379千バレル、11.0%減の100,503千バレルとなり、天然ガスは、前連結会計年度と比べ31,965百万立方フィート、12.1%減の232,851百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前連結会計年度と比べ33,652百万立方フィート、18.1%減の151,922百万立方フィート、国内天然ガスは、前連結会計年度と比べ45百万立方メートル、2.1%増の2,169百万立方メートル、立方フィート換算では80,930百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり70.30米ドルとなり、前連結会計年度と比べ14.00米ドル、24.9%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり3.18米ドルとなり、前連結会計年度と比べ1.86米ドル、36.9%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり53円46銭となり、前連結会計年度と比べ7円10銭、15.3%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル110円70銭となり、前連結会計年度と比べ57銭、0.5%の円高となりました。
当連結会計年度の売上高の増加額376億円を要因別に分析いたしますと、販売数量の減少により993億円の減収、平均単価の上昇により1,391億円の増収、売上の平均為替レートが円高となったことにより47億円の減収、その他の売上高が26億円の増収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は4,133億円と前連結会計年度の4,980億円と比べ847億円、17.0%減少しております。これは、マハカム沖鉱区に係る原価の剥落等によるものです。探鉱費は116億円と前連結会計年度の13億円と比べ103億円の増加、販売費及び一般管理費は721億円と前連結会計年度の769億円と比べ48億円、6.3%の減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は4,742億円と前連結会計年度の3,573億円と比べ1,169億円、32.7%の増益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は709億円と前連結会計年度の552億円と比べ156億円、28.3%増加しております。これは、持分法による投資利益の増加等によるものです。営業外費用は259億円と前連結会計年度の253億円と比べ5億円、2.2%の増加となりました。
以上の結果、経常利益は5,192億円と前連結会計年度の3,872億円と比べ1,320億円、34.1%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、特別損失として生産量及び米州天然ガス価格見通しの下落等に伴い一部プロジェクトで減損損失を252億円計上しました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は3,972億円と前連結会計年度の3,093億円と比べ878億円、28.4%の増加となり、非支配株主に帰属する当期純利益は6億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は961億円と前連結会計年度の403億円と比べ557億円、138.1%の増益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
(2) 財政状態の分析
① 資金の調達及び流動性
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに、油価の急な下落に備え、また油ガス田権益買収の際に迅速に対応するため、一定の手厚い手許資金を保有することを基本方針としており、これら手許資金は、安全性、流動性の高い金融商品で運用することを原則としています。現状の手許資金を梃子に、財務の健全性を維持しながら事業拡大を図ることで、長期的に資本効率の向上を目指すのが当社の戦略です。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は4兆7,935億円となり、前連結会計年度末の4兆2,523億円と比較して、5,411億円の増加となりました。流動資産は4,577億円で、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末と比較して86億円の減少となりました。固定資産は4兆3,358億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末と比較して5,497億円の増加となりました。
一方、負債は1兆5,359億円で、前連結会計年度末の1兆935億円と比較して4,424億円の増加となりました。このうち流動負債は3,720億円で、前連結会計年度末比665億円の増加、固定負債は1兆1,639億円で、前連結会計年度末比3,758億円の増加となりました。
純資産は3兆2,575億円となり、前連結会計年度末比987億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆6,378億円で、前連結会計年度末比696億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は3,686億円で、前連結会計年度末比201億円の増加、非支配株主持分は2,511億円で、前連結会計年度末比89億円の増加となりました
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して118億円、3.9%減の2,912億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して6,290億円、26.9%増の2兆9,714億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して188億円、3.0%減の6,009億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して193億円、3.8%増の5,304億円となりました。
e)米州
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して148億円、26.0%減の423億円となりました。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。