半期報告書-第19期(2024/01/01-2024/06/30)

【提出】
2024/08/09 14:40
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【項目】
39項目
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国経済は、足踏みもみられますが、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格について、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近物終値ベース)で当期は1バレル当たり75.89米ドルから始まりました。1月の前半はリビアの一部油田の操業停止や米国の原油在庫積み上げといった強弱の要因で小刻みな動きを続けた後、中旬以降は米国において寒波の影響による原油の生産制限やウクライナによるロシアの製油所に対するドローン攻撃により、1月26日には83.55米ドルに達しました。2月は月初より、中東情勢の緊迫化の動きを受けて上昇し、月の後半には米国の利下げ観測の後退により値を下げる場面も見られましたが、OPECプラスが4月以降も自主減産を継続することへの期待感から再び上昇し、2月29日は83.62米ドルで月を終えました。3月の前半は中国の経済指標悪化による景気先行き懸念等から82~83米ドル近辺で横ばいに推移しましたが、中旬以降、ウクライナによるロシア製油所へのドローン攻撃の激化等により、3月19日には昨年10月以来、約5ヶ月ぶりの高値となる87.38米ドルに達しました。4月の初旬、イスラエルによる在シリアのイラン大使館への攻撃により上昇し、4月5日に91.17米ドルとなった後、月の中旬過ぎまでは、90米ドル近辺で小刻みな上昇・下落が続きましたが、4月17日の米石油在庫統計で米国の原油在庫が9ヶ月ぶりの高水準に達したことが伝わると、87.29米ドルまで大きく値を下げました。5月中は月を通じて米原油・石油製品在庫の減少や米株高、イスラエル-ハマス間の緊張、米国・中国の経済指標の悪化や、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測の後退懸念など、強弱双方の要因で上下を繰り返す形で推移し最終的には月を通じては約2米ドルと小幅に下落し81.62米ドルとなりました。6月は月初にOPECプラスの会合で2025年にかけて徐々に自主減産を緩和すると合意したことで一時的に下げたものの、その後はFRBが年内に利下げを行うとの観測、米エネルギー情報局(EIA)の2024年の原油需要の上方修正や、ウクライナ-ロシア間、イスラエル-ハマス間の緊張等により月を通じて上昇基調となり、6月末には86.41米ドルまで上昇しました。なお、当中間連結会計期間の原油の当社グループ販売平均価格は、82.92米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当中間連結会計期間は1米ドル143円台で始まりました。1月から2月にかけては、日銀による金融政策修正観測の後退や市場予想を上回る米経済指標によりほぼ一貫して円安が進行しました。3月上旬には日銀によるマイナス金利解除を示唆する観測報道や軟調な米経済指標による米金利の低下を受けて一時146円台まで円高が進みましたが、米国の早期利下げ期待が後退し円安に転じました。3月下旬には日銀金融政策決定会合が開催され、マイナス金利の解除やイールドカーブコントロールの撤廃などの政策変更が決定されましたが、緩和的な金融政策の維持が示唆されたことから円安が進行し、4月末には瞬間的に160円台を付けました。5月上旬には日本の当局による為替介入や市場予想を下回る米経済指標により153円台まで押し戻す場面もありましたが、日米金利差が改めて意識され5月中旬以降は157円前後で推移しました。6月中旬以降は米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による年内利下げ回数の見通しが引き下げられたことに加え、日銀金融政策決定会合で国債購入の減額について具体的な決定がなされなかったことから円安が進行し、公示仲値(TTM)は前期末から19円32銭円安の161円14銭となりました。
このような事業環境の中、当社の当中間連結会計期間の連結業績につきましては、期中平均レートが円安に推移したことにより、売上収益は前年同期比1,118億円、10.4%増の1兆1,908億円となりました。このうち、原油売上収益は前年同期比1,256億円、16.4%増の8,921億円、天然ガス売上収益(LPGを除く)は前年同期比151億円、5.1%減の2,813億円です。当中間連結会計期間の販売数量は、原油が前年同期比934千バレル、1.3%増の70,635千バレルとなり、天然ガスは前年同期比9,319百万立方フィート、3.7%増の258,874百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前年同期比8,353百万立方フィート、4.2%増の209,398百万立方フィート、国内天然ガスは、前年同期比26百万立方メートル、2.0%増の1,321百万立方メートル、立方フィート換算では49,295百万立方フィートとなりました。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり82.92米ドルとなり、前年同期比1.48米ドル、1.8%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり5.61米ドルとなり、前年同期比0.41米ドル、6.8%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり76円74銭となり、前年同期比25円44銭、24.9%下落しております。売上収益の平均為替レートは1米ドル152円39銭となり、前年同期比17円41銭、12.9%の円安となりました。
売上収益の増加額1,118億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により202億円の増収、平均単価の下落により335億円の減収、売上の平均為替レートが円安となったことにより1,237億円の増収、その他の売上収益が13億円の増収となりました。
一方、売上原価は前年同期比478億円、11.2%増の4,731億円、探鉱費は前年同期比454億円増の494億円、販売費及び一般管理費は前年同期比95億円、19.0%増の598億円、その他の営業収益は前年同期比56億円、39.5%増の197億円、その他の営業費用は前年同期比62億円、51.4%減の59億円、持分法による投資損益は前年同期比719億円増の777億円となりました。以上の結果、営業利益は前年同期比928億円、15.3%増の7,000億円となりました。
金融収益は前年同期比586億円、41.5%減の828億円、金融費用は前年同期比304億円、77.5%増の696億円となりました。以上の結果、税引前中間利益は前年同期比37億円、0.5%増の7,132億円となりました。
法人所得税費用は前年同期比477億円、10.5%増の5,022億円、非支配持分に帰属する中間損失は16億円(前年同期は非支配持分に帰属する中間利益65億円)となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比359億円、14.5%減の2,125億円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
① 国内石油・天然ガス事業(国内O&G)
ガス価の下落により、売上収益は前年同期比313億円、22.7%減の1,071億円となり、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比189億円、66.9%減の93億円となりました。
② 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- イクシスプロジェクト
円安及び販売数量の増加により、売上収益は前年同期比291億円、15.8%増の2,130億円となりましたが、探鉱費の増加等により、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比35億円、2.3%減の1,500億円となりました。
③ 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- その他のプロジェクト
円安及び販売数量の増加により、売上収益は前年同期比1,109億円、14.9%増の8,534億円となりましたが、法人所得税費用の増加等により、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比85億円、14.1%減の520億円となりました。
当中間連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末比1兆261億円増の7兆7,656億円となりました。このうち、流動資産はその他の金融資産の増加等により、前連結会計年度末比2,814億円増の1兆1,199億円、非流動資産は石油・ガス資産の増加等により、前連結会計年度末比7,446億円増の6兆6,457億円となりました。
一方、負債合計は前連結会計年度末比2,815億円増の2兆5,219億円となりました。このうち、流動負債は前連結会計年度末比2,058億円増の7,780億円、非流動負債は前連結会計年度末比756億円増の1兆7,439億円となりました。
資本合計は前連結会計年度末比7,446億円増の5兆2,436億円となりました。このうち、親会社の所有者に帰属する持分は前連結会計年度末比7,180億円増の4兆9,271億円、非支配持分は前連結会計年度末比266億円増の3,165億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当社グループの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の2,011億円に当中間連結会計期間中に増加した資金77億円及び、換算差額242億円を加えた結果、当中間連結会計期間末において2,331億円となりました。
当中間連結会計期間における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
非資金項目である金融収益の減少や営業債務及びその他の債務の増加があったものの、営業債権及びその他の債権の増加及び法人所得税の支払額の増加等により、営業活動の結果得られた資金は前年同期比741億円減の3,689億円となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資の取得による支出の減少や投資の売却及び償還による収入の増加等により、投資活動の結果使用した資金は前年同期比524億円減の3,181億円となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入金の返済による支出の減少やコマーシャル・ペーパーの純増減額の増加等により、財務活動の結果使用した資金は前年同期比884億円減の430億円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社グループは、今後も増加する我が国及び世界のエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギー開発・安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組みます。具体的には、石油・天然ガス分野を引き続き基盤事業と位置づけ、事業の強靭化とクリーン化を進めることにより、エネルギーの安定供給と気候変動への責任ある対応という二つの社会的責任を果たしてまいります。さらに、ネットゼロカーボン社会に向け、気候変動対応目標を定めるとともに、水素事業、石油・天然ガス分野事業のCO2低減(CCUS他)、再生可能エネルギーの強化と重点化、カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓、森林保全の推進のネットゼロ5分野を推進します。
② 財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。
また、当社は、上記①の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和4年経済産業省告示第54号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
③ 上記②の取り組みについての取締役会の判断
上記②の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記①の方針に沿うものであります。
また、上記②の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和4年経済産業省告示第54号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記①の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は71億円であります。