有価証券報告書-第15期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/26 13:10
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(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要
前連結会計年度より当社及び従来3月決算であった国内連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。以下、増減については「前年同一期間」との比較で記載しています。(前年同一期間とは、当連結会計年度(2020年1月1日から2020年12月31日)に対応する期間(2019年1月1日から2019年12月31日)を指します。)
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により各国で経済活動が停滞し、景気は急速に悪化しました。我が国経済も同様に、4月の緊急事態宣言の発令を受け、企業収益や個人消費の急速な縮小、雇用環境の悪化がみられました。足元では、社会経済活動の段階的な引き上げにより、輸出や生産・消費活動に持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標の一つであるブレント原油(期近もの終値ベース)で当期は1バレル当たり66.25米ドルから始まりました。2020年1月下旬から主に中国において新型コロナウイルス感染症の拡大が顕在化したことで世界経済への悪影響が意識され、原油価格は下落基調となりました。さらに、3月6日に開かれたOPEC及びOPEC非加盟国(OPEC+)間協議では4月以降の協調減産延長が決裂し、同月末には20米ドル台前半まで急落しました。その後も同感染症の拡大による世界各国での経済活動の停滞が重荷となり、4月下旬には19.33米ドルまで落ち込みました。年央からは、中国を始めとする各国の経済活動が徐々に再開された一方、OPEC+による協調減産と油価低迷による米国原油の生産量減少を背景に原油の需給バランスが改善し、8月下旬には45.86米ドルまで上昇しました。その後、11月半ばにかけては、同感染症が欧米諸国を中心に再拡大し、一部地域・都市における経済活動の制限等から原油価格は40米ドル前後と軟調に推移しましたが、同下旬には2021年1月以降もOPEC+による現行の減産幅が延長されるとの観測や製薬各社が開発中の同感染症に対するワクチンにおいて高い有効性が確認されたこと等を背景に上昇基調に転じ、51.80米ドルで当期を終えました。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前年同一期間に比べ、1バレル当たり25.01米ドル下落し、40.31米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル108円台で始まりました。2月には好調な米経済指標を受けてドル買いが進み、一時的に112円台まで上昇したものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な金融市場の混乱により大きく乱高下する展開となりました。6月には各国で新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じ、金融市場が落ち着きを取り戻すなかで109円台までドル買いが進みましたが、その後はFRBによる金融緩和長期化の見通しが強まったことなどを背景に、期末にかけてドル安基調での推移を継続しました。期末公示仲値(TTM)は、前期末から6円03銭円高の103円52銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前年同一期間に比べ、2円20銭円高の1米ドル106円85銭となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響等を受けた油価の下落等に基づく事業環境の悪化により、連結売上高は7,710億円(前年同一期間比34.2%減)、経常利益は2,573億円(同56.0%減)、減損損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,116億円(前年同一期間は親会社株主に帰属する当期純利益1,673億円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメント売上高セグメント損益
前年
同一期間
当連結
会計年度
増減率(%)前年
同一期間
当連結
会計年度
増減率(%)
日本141,116115,838△17.920,49014,341△30.0
アジア・オセアニア277,411220,969△20.3133,59356,522△57.7
ユーラシア(欧州・NIS諸国)107,33268,369△36.326,7374,481△83.2
中東・アフリカ631,522352,388△44.2399,511186,408△53.3
米州13,81913,481△2.5△8,059△2,128△73.6
報告セグメント計1,171,203771,046△34.2572,273259,625△54.6
調整額---△13,019△11,154△14.3
合計1,171,203771,046△34.2559,254248,471△55.6

①日本
ガス価の下落により、売上高は前年同一期間比252億円、17.9%減の1,158億円となり、営業利益は前年同一期間比61億円、30.0%減の143億円となりました。
②アジア・オセアニア
油価・ガス価の下落により、売上高は前年同一期間比564億円、20.3%減の2,209億円となり、営業利益は前年同一期間比770億円、57.7%減の565億円となりました。
③ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の下落により、売上高は前年同一期間比389億円、36.3%減の683億円となり、営業利益は前年同一期間比222億円、83.2%減の44億円となりました。
④中東・アフリカ
油価の下落により、売上高は前年同一期間比2,791億円、44.2%減の3,523億円となり、営業利益は前年同一期間比2,131億円、53.3%減の1,864億円となりました。
⑤米州
油価の下落により、売上高は前年同一期間比3億円、2.5%減の134億円となりましたが、探鉱費の減少等により、営業損失は前年同一期間比59億円、73.6%減の21億円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度は、決算期の変更により、9か月間の変則決算となります。このため、前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の1,737億円から当連結会計年度中に減少した資金13億円を差し引いた1,724億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が38億円減少しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,929億円となりました。これは主に、法人税等の支払額があったものの、非資金項目である減損損失や減価償却費の計上があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,171億円となりました。これは主に、債権譲受けによる支出や有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,267億円となりました。これは主に、長期借入れによる収入によるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称区分当連結会計年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
前年同一期間比
(%)
日本原油1.1百万バレル△8.4
(日量3.0千バレル)
天然ガス40.5十億CF△9.8
(日量110.5百万CF)
小計8.7百万BOE△9.6
(日量23.7千BOE)
ヨード559.0t7.4
発電174.1百万kWh△16.3
アジア・オセアニア原油15.6百万バレル△6.6
(日量42.7千バレル)
天然ガス394.0十億CF11.0
(日量1,076.5百万CF)
小計91.5百万BOE8.0
(日量250.0千BOE)
発電372.9百万kWh2.0
ユーラシア
(欧州・NIS諸国)
原油19.0百万バレル9.0
(日量51.9千バレル)
天然ガス9.1十億CF△2.3
(日量24.8百万CF)
小計20.6百万BOE8.0
(日量56.3千BOE)
硫黄88.3千t△0.7
中東・アフリカ原油82.7百万バレル△6.0
(日量225.8千バレル)
米州原油2.8百万バレル△0.0
(日量7.7千バレル)
天然ガス19.3十億CF△21.3
(日量52.7百万CF)
小計6.4百万BOE△13.0
(日量17.5千BOE)
合計原油121.2百万バレル△3.9
(日量331.1千バレル)
天然ガス462.8十億CF6.7
(日量1,264.6百万CF)
小計209.9百万BOE0.5
(日量573.4千BOE)
ヨード559.0t7.4
発電547.0百万kWh△4.6
硫黄88.3千t△0.7

(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、1月1日から12月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油131.1百万バレル(日量358.3千バレル)、天然ガス472.1十億CF(日量1,290.0百万CF)、合計221.5百万BOE(日量605.1千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2) 受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称区分当連結会計年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
前年同一期間比
(%)
販売量売上高
(百万円)
販売量売上高
日本原油621千バレル3,059△11.3△39.4
天然ガス(LPGを除く)77,413百万CF97,351△3.3△16.9
LPG2千バレル14△29.1△34.8
その他15,413△18.2
小計115,838△17.9
アジア・オセアニア原油15,580千バレル71,324△4.7△39.3
天然ガス(LPGを除く)361,864百万CF146,92116.2△6.1
LPG254千バレル2,723△37.9△19.5
小計220,969△20.3
ユーラシア
(欧州・NIS諸国)
原油16,918千バレル67,14711.2△36.4
天然ガス(LPGを除く)9,086百万CF1,698△2.2△11.8
その他△476-
小計68,369△36.3
中東・アフリカ原油81,022千バレル352,388△8.0△44.2
米州原油3,141千バレル11,59855.2△1.6
天然ガス(LPGを除く)19,102百万CF1,882△1.1△7.6
小計13,481△2.5
合計原油117,282千バレル505,517△4.1△42.0
天然ガス(LPGを除く)467,466百万CF247,85411.3△10.7
LPG257千バレル2,737△37.8△19.6
その他14,937△19.7
合計771,046△34.2

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
3 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
相手先金額
(百万円)
割合
(%)
Shell International Eastern Trading Company124,78712.5
Ichthys LNG Pty Ltd110,68911.1
JXTGエネルギー(株)108,49610.8

当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
相手先金額
(百万円)
割合
(%)
Ichthys LNG Pty Ltd121,52115.8


(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 財政状態・経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 概要
前連結会計年度より当社及び従来3月決算であった国内連結子会社の決算日を3月31日から12月31日に変更し、当社と連結子会社の決算日を12月31日に統一しました。
以下、増減については「前年同一期間」との比較で記載しています。(前年同一期間とは、当連結会計年度(2020年1月1日から2020年12月31日)に対応する期間(2019年1月1日から2019年12月31日)を指します。)
(単位:百万円)
前年同一期間当連結会計年度増減額増減率(%)
売上高1,171,203771,046△ 400,156△ 34.2
(原油売上高)871,557505,517△ 366,039△ 42.0
(天然ガス売上高)281,044250,592△ 30,452△ 10.8
営業利益559,254248,471△ 310,783△ 55.6
経常利益584,687257,335△ 327,352△ 56.0
特別損失(減損損失)6,283189,940183,657
親会社株主に帰属する
当期純損益
167,316△ 111,699△ 279,016

前年同一期間当連結会計年度増減額増減率(%)
原油販売量(千bbl)122,315117,282△ 5,033△ 4.1
売上平均油価($/bbl)65.3240.31△ 25.01△ 38.3
天然ガス販売量(百万cf)420,109467,46647,35711.3
海外ガス販売量(百万cf)340,034390,05350,02014.7
海外ガス単価($/千cf)4.333.61△ 0.72△ 16.6
国内ガス販売量
(百万立方メートル)
2,1462,074△ 71△ 3.3
国内ガス売上平均単価
(円/立方メートル)
54.6246.93△ 7.69△ 14.1
売上平均為替レート(円/USD)109.05106.85△ 2.20△ 2.0

② 売上高
当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。
当連結会計年度の売上高は7,710億円で、このうち、原油売上高は5,055億円と前年同一期間の8,715億円と比べ3,660億円、42.0%の減収、天然ガス売上高は2,505億円と前年同一期間の2,810億円と比べ304億円、10.8%の減収、その他の売上高は149億円と前年同一期間の186億円と比べ36億円、19.7%の減収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前年同一期間と比べ5,033千バレル、4.1%減の117,282千バレルとなり、天然ガスは、前年同一期間と比べ47,357百万立方フィート、11.3%増の467,466百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前年同一期間と比べ50,020百万立方フィート、14.7%増の390,053百万立方フィート、国内天然ガスは、前年同一期間と比べ71百万立方メートル、3.3%減の2,074百万立方メートル、立方フィート換算では77,413百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり40.31米ドルとなり、前年同一期間と比べ25.01米ドル、38.3%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり3.61米ドルとなり、前年同一期間比0.72米ドル、16.6%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり46円93銭となり、前年同一期間と比べ7円69銭、14.1%下落しております。売上高の平均為替レートは1米ドル106円85銭となり、前年同一期間と比べ2円20銭、2.0%の円高となりました。
当連結会計年度の売上高の売上高の減少額4,001億円を要因別に分析しますと、販売数量の減少により174億円の減収、平均単価の下落により3,655億円の減収、売上の平均為替レートが円高となったことにより134億円の減収、その他の売上高が36億円の減収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は4,398億円と前年同一期間の5,111億円と比べ712億円、13.9%減少しております。探鉱費は90億円と前年同一期間の235億円と比べ145億円の減少、販売費及び一般管理費は736億円と前年同一期間の772億円と比べ35億円、4.6%の減少となりました。 以上の結果、当連結会計年度における営業利益は2,484億円と前年同一期間の5,592億円と比べ3,107億円、55.6%の減益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は638億円と前年同一期間の633億円と比べ4億円、0.7%増加しております。営業外費用は549億円と前年同一期間の379億円と比べ170億円、44.9%の増加となりました。これは、持分法による投資損失の増加等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は2,573億円と前年同一期間の5,846億円と比べ3,273億円、56.0%の減益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度の特別損失は、新型コロナウイルス感染拡大による影響等を受けた油価の下落等に基づく事業環境の悪化により減損損失1,899億円を計上し前年同一期間の62億円に比べ1,836億円の増加、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は1,712億円と前年同一期間の4,192億円と比べ2,480億円、59.2%の減少となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は78億円となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、営業利益の減益に加えて、減損損失等の一過性損失があったことにより、1,116億円(前年同一期間は親会社株主に帰属する当期純利益1,673億円)となりました。
主な一過性損益(税効果控除後、△:損失)は以下の通りです。一過性損益とは、減損損失や有価証券の評価損、プロジェクト撤退関連費用等など、その発生が非経常的なものと当社グループが判断した収益または費用です。
減損損失 △1,500億円
イクシスリファイナンス 138億円
有価証券の評価損 △51億円
プロジェクト撤退関連費用等 △168億円
その他 △82億円
合計 △1,663億円
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
⑦ 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は4兆6,345億円となり、前連結会計年度末の4兆8,499億円と比較して、2,154億円の減少となりました。このうち流動資産は3,870億円で、受取手形及び売掛金の減少等により前連結会計年度末と比較して327億円の減少となりました。固定資産は4兆2,474億円で、有形固定資産及び無形固定資産の減少等により前連結会計年度末比1,827億円の減少となりました。
一方、負債は1兆6,331億円で、前連結会計年度末の1兆5,528億円と比較して803億円の増加となりました。このうち流動負債は3,392億円で、前連結会計年度末比621億円の減少、固定負債は1兆2,938億円で、前連結会計年度末比1,425億円の増加となりました。
純資産は3兆13億円となり、前連結会計年度末と比較して2,958億円の減少となりました。このうち、株主資本は2兆5,672億円で、前連結会計年度末比1,555億円の減少となりました。その他の包括利益累計額は1,692億円で、前連結会計年度末比1,487億円の減少、非支配株主持分は2,647億円で、前連結会計年度末比83億円の増加となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して194億円、7.1%減の2,550億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して392億円、1.3%減の3兆244億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に流動資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して242億円、4.1%減の5,726億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して689億円、12.3%減の4,930億円となりました。
e)米州
主に無形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して581億円、70.4%減の244億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(業績等の概要)」に記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
当連結会計年度は開発投資に加えて、低油価環境下における財務基盤の更なる強化を目的として日本政策投資銀行並びに国際協力銀行からの借入を行ったほか、イクシスLNGプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス契約の借り換え等による金融費用削減を図りました。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに油価の急な下落等に備え、一定の手許資金を保有することを基本方針としており、また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、資金調達枠を確保しております。
当連結会計年度末における借入金の残高は1兆2,348億円、現金及び預金の残高は1,829億円です。
③ 資金の配分方法
資金の配分方法については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、連結財務諸表に対して重大な影響を及ぼしうる会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① 固定資産の減損
当社グループは、鉱区等を独立したキャッシュ・フローを生み出す基本単位としてグルーピングしております。減損の兆候があると判断された場合には将来キャッシュ・フローを見積り、資産グループから生じる回収可能価額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には減損損失を計上しております。
また、将来キャッシュ・フローに大きな影響を及ぼす油価・為替及び埋蔵量等は合理的な仮定を用いて見積もっており、油価に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大による影響や、産油国の動向等に起因して、当連結会計年度のブレント原油の期中平均価格は43.2ドルと低水準にありましたが、翌連結会計年度以降徐々に回復することを会計上見積っております。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結損益計算書関係」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失189,940百万円を計上いたしました。
将来キャッシュ・フローの見積り判断は妥当なものと考えていますが、仮定について、将来の経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の税金負担を軽減させる可能性が低いと判断される繰延税金資産に対して、評価性引当額を設定しています。繰延税金資産の回収可能性については、課税所得等の見積りが必要となりますが、これらの見積りには将来に関する予測や情報が含まれています。これらの見積りは適切であると判断していますが、将来の経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。