有価証券報告書-第16期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)
(業績等の概要)
(1)経営成績等の状況の概要
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け先行きが不透明な状況が続いておりますが、各国の経済対策及びワクチン接種の進展等により、持ち直しの動きが見られております。我が国経済も同様に、9月末の緊急事態宣言解除後、社会経済活動の段階的な引き上げにより景気の回復・正常化が見込まれておりますが、依然として変異株をはじめとした感染症再拡大による経済活動停滞への懸念が続いております。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標の一つであるブレント原油(期近物終値ベース)で当期は1バレル当たり51.09米ドルから始まりました。OPEC+の段階的減産規模縮小や新型コロナウイルス変異種の感染拡大による原油需給の緩みが重荷となったものの、世界的な天然ガス価格高騰による発電向け代替燃料としての石油需要の高まりや、経済活動正常化の加速化等から上昇基調で推移し、年度末では77.78米ドルとなりました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり28.12米ドル上昇し、68.43米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル103円台で始まりました。年前半は、新型コロナウイルスワクチン接種拡大による世界経済正常化に対する期待の高まりや、FOMCで早期の利上げ期待を背景とした米金利上昇を受けて、110円台まで円安が進みました。年後半は、9月のFOMCで再び米国の早期利上げが示され、米国の利上げペース加速の観測が強まったことを背景に115円台まで上昇しましたが、オミクロン型への警戒感から投資家のリスク回避姿勢が強まり、112円台まで値を下げました。期末にかけては落ち着きを取り戻し、期末公示仲値(TTM)は前期末から11円50銭円安の115円02銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、3円26銭円安の1米ドル110円11銭となりました。
当期は、原油価格が上昇したことにより売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は1兆2,443億円(前期比61.4%増)、経常利益は6,576億円(同155.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① 日本
ガス販売数量の増加により、売上高は前期比142億円、12.3%増の1,300億円となりましたが、売上原価の増加により、営業利益は前期比28億円、20.1%減の114億円となりました。
② アジア・オセアニア
油価・ガス価の上昇により、売上高は前期比1,339億円、60.6%増の3,549億円となり、営業利益は前期比1,190億円、210.6%増の1,755億円となりました。
③ ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の上昇により、売上高は前期比485億円、71.1%増の1,169億円となり、営業利益は前期比264億円、589.8%増の309億円となりました。
④ 中東・アフリカ
油価の上昇により、売上高は前期比2,657億円、75.4%増の6,181億円となり、営業利益は前期比1,896億円、101.7%増の3,760億円となりました。
⑤ 米州
油価の上昇により、売上高は前期比107億円、79.8%増の242億円となり、前期の営業損失21億円に対し、当期は102億円の営業利益となりました。
当連結会計年度末の総資産は有形固定資産及び投資その他の資産が増加したこと等により、前連結会計年度末比5,236億円増加の5兆1,581億円となりました。一方、負債は前連結会計年度末比1,786億円増加の1兆8,117億円となり、純資産は前連結会計年度末比3,450億円増加の3兆3,464億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の1,724億円から当連結会計年度中に増加した資金188億円を加えた1,912億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が192億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比1,525億円増加の4,454億円となりました。これは主に、非資金項目である減損損失が減少したものの、油価の上昇等により税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比2,864億円減少の1,307億円となりました。これは主に、債権譲受けによる支出が剥落したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,152億円となりました(前期は1,267億円の収入)。これは主に、短期借入金の純増減額が減少したことや、長期借入れによる収入が減少したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、1月1日から12月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油136.1百万バレル(日量373.0千バレル)、天然ガス472.9十億CF(日量1,295.7百万CF)、合計226.8百万BOE(日量621.5千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2)受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
3 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)財政状態・経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 概要
当期は売上高が前期に比べ61.4%増の1兆2,443億円、親会社株主に帰属する当期純利益が2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
(注)1 天然ガス販売量、海外ガス販売量及び国内ガス販売量はLPG販売量を除いております。
2 海外ガス単価及び国内ガス売上平均単価はLPGを除いて計算しております。
② 売上高
当期の売上高は1兆2,443億円で、このうち、原油売上高は9,051億円と前期の5,055億円と比べ3,996億円、79.1%の増収、天然ガス売上高は3,205億円と前期の2,505億円と比べ699億円、27.9%の増収、その他の売上高は185億円と前期の149億円と比べ36億円、24.5%の増収となりました。
当期の販売数量は、原油が前期と比べ2,837千バレル、2.4%増の120,118千バレルとなり、天然ガスは、前期と比べ2,661百万立方フィート、0.6%減の464,805百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前期と比べ12,985百万立方フィート、3.3%減の377,068百万立方フィート、国内天然ガスは、前期と比べ277百万立方メートル、13.3%増の2,351百万立方メートル、立方フィート換算では87,737百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり68.43米ドルとなり、前期と比べ28.12米ドル、69.8%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり4.96米ドルとなり、前期と比べ1.35米ドル、37.4%上昇、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり45円73銭となり、前期と比べ1円20銭、2.6%下落しております。売上高の平均為替レートは1米ドル110円11銭となり、前期と比べ3円26銭、3.1%の円安となりました。
当期の売上高の増加額4,733億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により250億円の増収、平均単価の上昇により4,116億円の増収、売上の平均為替レートが円安となったことにより330億円の増収、その他の売上高が36億円の増収となりました。
③ 営業利益
当期の売上原価は5,689億円と前期の4,398億円と比べ1,290億円、29.3%増加しております。探鉱費は64億円と前期の90億円と比べ26億円、29.0%の減少、販売費及び一般管理費は783億円と前期の736億円と比べ46億円、6.4%の増加となりました。
以上の結果、当期における営業利益は5,906億円と前期の2,484億円と比べ3,421億円、137.7%の増益となりました。
④ 経常利益
当期の営業外収益は1,122億円と前期の638億円と比べ484億円、75.9%増加しております。これは、持分法による投資利益の計上等によるものです。営業外費用は452億円と前期の549億円と比べ96億円、17.6%の減少となりました。
以上の結果、当期における経常利益は6,576億円と前期の2,573億円と比べ4,002億円、155.6%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の特別損失は、生産量の見通しの下落等に伴い一部プロジェクトで減損損失を計上したことにより141億円となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は4,295億円と前期の1,712億円と比べ2,583億円、150.9%の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純損失は91億円となりました。
以上の結果、当期における親会社株主に帰属する当期純利益は2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
⑦ 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は5兆1,581億円となり、前連結会計年度末の4兆6,345億円と比較して、5,236億円の増加となりました。このうち流動資産は5,188億円で、受取手形及び売掛金の増加等により前連結会計年度末と比較して1,317億円の増加となりました。固定資産は4兆6,393億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末比3,919億円の増加となりました。
一方、負債は1兆8,117億円で、前連結会計年度末の1兆6,331億円と比較して1,786億円の増加となりました。このうち流動負債は3,488億円で、前連結会計年度末比95億円の増加、固定負債は1兆4,628億円で、前連結会計年度末比1,690億円の増加となりました。
純資産は3兆3,464億円となり、前連結会計年度末の3兆13億円と比較して3,450億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆6,806億円で、前連結会計年度末比1,133億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は4,434億円で、前連結会計年度末比2,741億円の増加、非支配株主持分は2,223億円で、前連結会計年度末比424億円の減少となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して71億円、2.8%増の2,622億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して3,695億円、12.2%増の3兆3,940億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して17億円、0.3%減の5,708億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に有形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して1,300億円、26.4%増の6,231億円となりました。
e)米州
主に有形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して140億円、57.6%増の385億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(業績等の概要)」に記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金、銀行借入及び社債発行により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しております。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
当期は、開発投資等を目的とした銀行借入を行ったほか、当社グループ初となる社債(普通社債及び環境債)を発行し、資金調達の多様化を図りました。このほか、開発投資・探鉱投資等に向けて、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の出資を受けております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに油価の急な下落等に備え、一定の手許資金を保有することを基本方針としており、また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、資金調達枠を確保しております。
当連結会計年度末における借入金の残高は1兆1,502億円、現金及び預金の残高は2,017億円です。
③ 資金の配分方法
資金の配分方法については、「第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け先行きが不透明な状況が続いておりますが、各国の経済対策及びワクチン接種の進展等により、持ち直しの動きが見られております。我が国経済も同様に、9月末の緊急事態宣言解除後、社会経済活動の段階的な引き上げにより景気の回復・正常化が見込まれておりますが、依然として変異株をはじめとした感染症再拡大による経済活動停滞への懸念が続いております。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標の一つであるブレント原油(期近物終値ベース)で当期は1バレル当たり51.09米ドルから始まりました。OPEC+の段階的減産規模縮小や新型コロナウイルス変異種の感染拡大による原油需給の緩みが重荷となったものの、世界的な天然ガス価格高騰による発電向け代替燃料としての石油需要の高まりや、経済活動正常化の加速化等から上昇基調で推移し、年度末では77.78米ドルとなりました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり28.12米ドル上昇し、68.43米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル103円台で始まりました。年前半は、新型コロナウイルスワクチン接種拡大による世界経済正常化に対する期待の高まりや、FOMCで早期の利上げ期待を背景とした米金利上昇を受けて、110円台まで円安が進みました。年後半は、9月のFOMCで再び米国の早期利上げが示され、米国の利上げペース加速の観測が強まったことを背景に115円台まで上昇しましたが、オミクロン型への警戒感から投資家のリスク回避姿勢が強まり、112円台まで値を下げました。期末にかけては落ち着きを取り戻し、期末公示仲値(TTM)は前期末から11円50銭円安の115円02銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、3円26銭円安の1米ドル110円11銭となりました。
当期は、原油価格が上昇したことにより売上高が増加したことに加え、減損損失が減少したこと等から、連結売上高は1兆2,443億円(前期比61.4%増)、経常利益は6,576億円(同155.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① 日本
ガス販売数量の増加により、売上高は前期比142億円、12.3%増の1,300億円となりましたが、売上原価の増加により、営業利益は前期比28億円、20.1%減の114億円となりました。
② アジア・オセアニア
油価・ガス価の上昇により、売上高は前期比1,339億円、60.6%増の3,549億円となり、営業利益は前期比1,190億円、210.6%増の1,755億円となりました。
③ ユーラシア(欧州・NIS諸国)
油価の上昇により、売上高は前期比485億円、71.1%増の1,169億円となり、営業利益は前期比264億円、589.8%増の309億円となりました。
④ 中東・アフリカ
油価の上昇により、売上高は前期比2,657億円、75.4%増の6,181億円となり、営業利益は前期比1,896億円、101.7%増の3,760億円となりました。
⑤ 米州
油価の上昇により、売上高は前期比107億円、79.8%増の242億円となり、前期の営業損失21億円に対し、当期は102億円の営業利益となりました。
当連結会計年度末の総資産は有形固定資産及び投資その他の資産が増加したこと等により、前連結会計年度末比5,236億円増加の5兆1,581億円となりました。一方、負債は前連結会計年度末比1,786億円増加の1兆8,117億円となり、純資産は前連結会計年度末比3,450億円増加の3兆3,464億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の1,724億円から当連結会計年度中に増加した資金188億円を加えた1,912億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が192億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比1,525億円増加の4,454億円となりました。これは主に、非資金項目である減損損失が減少したものの、油価の上昇等により税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比2,864億円減少の1,307億円となりました。これは主に、債権譲受けによる支出が剥落したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,152億円となりました(前期は1,267億円の収入)。これは主に、短期借入金の純増減額が減少したことや、長期借入れによる収入が減少したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) | 前年同期比 (%) |
日本 | 原油 | 1.1百万バレル | △2.9 |
(日量2.9千バレル) | |||
天然ガス | 40.2十億CF | △0.6 | |
(日量110.2百万CF) | |||
小計 | 8.6百万BOE | △0.9 | |
(日量23.6千BOE) | |||
ヨード | 556.5t | △0.4 | |
発電 | 207.6百万kWh | 19.2 | |
アジア・オセアニア | 原油 | 18.8百万バレル | 20.5 |
(日量51.6千バレル) | |||
天然ガス | 397.5十億CF | 0.9 | |
(日量1,088.9百万CF) | |||
小計 | 95.6百万BOE | 4.5 | |
(日量261.9千BOE) | |||
発電 | 392.4百万kWh | 5.2 | |
ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 18.3百万バレル | △3.8 |
(日量50.1千バレル) | |||
天然ガス | 9.6十億CF | 5.9 | |
(日量26.4百万CF) | |||
小計 | 20.0百万BOE | △3.0 | |
(日量54.8千BOE) | |||
硫黄 | 94.0千t | 6.4 | |
中東・アフリカ | 原油 | 84.3百万バレル | 2.0 |
(日量230.9千バレル) | |||
米州 | 原油 | 2.9百万バレル | 4.4 |
(日量8.1千バレル) | |||
天然ガス | 9.4十億CF | △51.2 | |
(日量25.8百万CF) | |||
小計 | 4.8百万BOE | △25.8 | |
(日量13.0千BOE) | |||
合計 | 原油 | 125.4百万バレル | 3.5 |
(日量343.5千バレル) | |||
天然ガス | 456.7十億CF | △1.3 | |
(日量1,251.3百万CF) | |||
小計 | 213.3百万BOE | 1.6 | |
(日量584.3千BOE) | |||
ヨード | 556.5t | △0.4 | |
発電 | 600.0百万kWh | 9.7 | |
硫黄 | 94.0千t | 6.4 |
(注)1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、1月1日から12月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油136.1百万バレル(日量373.0千バレル)、天然ガス472.9十億CF(日量1,295.7百万CF)、合計226.8百万BOE(日量621.5千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2)受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) | 前年同期比 (%) | ||
販売量 | 売上高 (百万円) | 販売量 | 売上高 | ||
日本 | 原油 | 547千バレル | 4,350 | △11.9 | 42.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 87,737百万CF | 107,516 | 13.3 | 10.4 | |
LPG | 2千バレル | 20 | △2.8 | 42.9 | |
その他 | 18,205 | 18.1 | |||
小計 | 130,092 | 12.3 | |||
アジア・オセアニア | 原油 | 18,508千バレル | 143,470 | 18.8 | 101.2 |
天然ガス(LPGを除く) | 357,227百万CF | 204,577 | △1.3 | 39.2 | |
LPG | 707千バレル | 6,871 | 178.4 | 152.3 | |
小計 | 354,919 | 60.6 | |||
ユーラシア (欧州・NIS諸国) | 原油 | 15,528千バレル | 117,604 | △8.2 | 75.1 |
天然ガス(LPGを除く) | 9,628百万CF | △1,034 | 6.0 | - | |
その他 | 389 | - | |||
小計 | 116,959 | 71.1 | |||
中東・アフリカ | 原油 | 82,261千バレル | 618,158 | 1.5 | 75.4 |
米州 | 原油 | 3,275千バレル | 21,616 | 4.3 | 86.4 |
天然ガス(LPGを除く) | 10,213百万CF | 2,623 | △46.5 | 39.4 | |
小計 | 24,240 | 79.8 | |||
合計 | 原油 | 120,118千バレル | 905,199 | 2.4 | 79.1 |
天然ガス(LPGを除く) | 464,805百万CF | 313,684 | △0.6 | 26.6 | |
LPG | 710千バレル | 6,891 | 176.6 | 151.7 | |
その他 | 18,594 | 24.5 | |||
合計 | 1,244,369 | 61.4 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
3 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
相手先 | 金額(百万円) | 割合(%) |
Ichthys LNG Pty Ltd | 121,521 | 15.8 |
当連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
相手先 | 金額(百万円) | 割合(%) |
Ichthys LNG Pty Ltd | 146,021 | 11.7 |
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)財政状態・経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 概要
当期は売上高が前期に比べ61.4%増の1兆2,443億円、親会社株主に帰属する当期純利益が2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
(単位:百万円) | ||||
前期 | 当期 | 増減 | 増減率(%) | |
売上高 | 771,046 | 1,244,369 | 473,322 | 61.4 |
(原油売上高) | 505,517 | 905,199 | 399,682 | 79.1 |
(天然ガス売上高) | 250,592 | 320,575 | 69,983 | 27.9 |
営業利益 | 248,471 | 590,657 | 342,186 | 137.7 |
経常利益 | 257,335 | 657,627 | 400,291 | 155.6 |
特別損失(減損損失) | 189,940 | 14,170 | △175,770 | △92.5 |
親会社株主に帰属する当期純損益 | △111,699 | 223,048 | 334,748 | - |
前期 | 当期 | 増減 | 増減率(%) | |
原油販売量(千bbl) | 117,282 | 120,118 | 2,837 | 2.4 |
売上平均油価(米ドル/bbl) | 40.31 | 68.43 | 28.12 | 69.8 |
天然ガス販売量(百万cf) | 467,466 | 464,805 | △2,661 | △0.6 |
海外ガス販売量(百万cf) | 390,053 | 377,068 | △12,985 | △3.3 |
海外ガス単価(米ドル/千cf) | 3.61 | 4.96 | 1.35 | 37.4 |
国内ガス販売量(百万㎥) | 2,074 | 2,351 | 277 | 13.3 |
国内ガス売上平均単価(円/㎥) | 46.93 | 45.73 | △1.20 | △2.6 |
売上平均為替レート(円/米ドル) | 106.85 | 110.11 | 3.26 | 3.1 |
(注)1 天然ガス販売量、海外ガス販売量及び国内ガス販売量はLPG販売量を除いております。
2 海外ガス単価及び国内ガス売上平均単価はLPGを除いて計算しております。
② 売上高
当期の売上高は1兆2,443億円で、このうち、原油売上高は9,051億円と前期の5,055億円と比べ3,996億円、79.1%の増収、天然ガス売上高は3,205億円と前期の2,505億円と比べ699億円、27.9%の増収、その他の売上高は185億円と前期の149億円と比べ36億円、24.5%の増収となりました。
当期の販売数量は、原油が前期と比べ2,837千バレル、2.4%増の120,118千バレルとなり、天然ガスは、前期と比べ2,661百万立方フィート、0.6%減の464,805百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前期と比べ12,985百万立方フィート、3.3%減の377,068百万立方フィート、国内天然ガスは、前期と比べ277百万立方メートル、13.3%増の2,351百万立方メートル、立方フィート換算では87,737百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり68.43米ドルとなり、前期と比べ28.12米ドル、69.8%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり4.96米ドルとなり、前期と比べ1.35米ドル、37.4%上昇、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり45円73銭となり、前期と比べ1円20銭、2.6%下落しております。売上高の平均為替レートは1米ドル110円11銭となり、前期と比べ3円26銭、3.1%の円安となりました。
当期の売上高の増加額4,733億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により250億円の増収、平均単価の上昇により4,116億円の増収、売上の平均為替レートが円安となったことにより330億円の増収、その他の売上高が36億円の増収となりました。
③ 営業利益
当期の売上原価は5,689億円と前期の4,398億円と比べ1,290億円、29.3%増加しております。探鉱費は64億円と前期の90億円と比べ26億円、29.0%の減少、販売費及び一般管理費は783億円と前期の736億円と比べ46億円、6.4%の増加となりました。
以上の結果、当期における営業利益は5,906億円と前期の2,484億円と比べ3,421億円、137.7%の増益となりました。
④ 経常利益
当期の営業外収益は1,122億円と前期の638億円と比べ484億円、75.9%増加しております。これは、持分法による投資利益の計上等によるものです。営業外費用は452億円と前期の549億円と比べ96億円、17.6%の減少となりました。
以上の結果、当期における経常利益は6,576億円と前期の2,573億円と比べ4,002億円、155.6%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の特別損失は、生産量の見通しの下落等に伴い一部プロジェクトで減損損失を計上したことにより141億円となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は4,295億円と前期の1,712億円と比べ2,583億円、150.9%の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純損失は91億円となりました。
以上の結果、当期における親会社株主に帰属する当期純利益は2,230億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,116億円)となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
⑦ 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は5兆1,581億円となり、前連結会計年度末の4兆6,345億円と比較して、5,236億円の増加となりました。このうち流動資産は5,188億円で、受取手形及び売掛金の増加等により前連結会計年度末と比較して1,317億円の増加となりました。固定資産は4兆6,393億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末比3,919億円の増加となりました。
一方、負債は1兆8,117億円で、前連結会計年度末の1兆6,331億円と比較して1,786億円の増加となりました。このうち流動負債は3,488億円で、前連結会計年度末比95億円の増加、固定負債は1兆4,628億円で、前連結会計年度末比1,690億円の増加となりました。
純資産は3兆3,464億円となり、前連結会計年度末の3兆13億円と比較して3,450億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆6,806億円で、前連結会計年度末比1,133億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は4,434億円で、前連結会計年度末比2,741億円の増加、非支配株主持分は2,223億円で、前連結会計年度末比424億円の減少となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して71億円、2.8%増の2,622億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して3,695億円、12.2%増の3兆3,940億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して17億円、0.3%減の5,708億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に有形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して1,300億円、26.4%増の6,231億円となりました。
e)米州
主に有形固定資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して140億円、57.6%増の385億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(業績等の概要)」に記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金、銀行借入及び社債発行により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しております。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
当期は、開発投資等を目的とした銀行借入を行ったほか、当社グループ初となる社債(普通社債及び環境債)を発行し、資金調達の多様化を図りました。このほか、開発投資・探鉱投資等に向けて、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の出資を受けております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに油価の急な下落等に備え、一定の手許資金を保有することを基本方針としており、また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、資金調達枠を確保しております。
当連結会計年度末における借入金の残高は1兆1,502億円、現金及び預金の残高は2,017億円です。
③ 資金の配分方法
資金の配分方法については、「第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。