有価証券報告書-第61期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は141,124百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は9,596百万円(前年同期比14.0%増)、経常利益は9,698百万円(前年同期比12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,771百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
(日本)
日本での売上高は58,673百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は3,433百万円(前年同期比39.6%増)となりました。アスレチックカテゴリーにおいては「デサント」及び「ルコックスポルティフ」は好調に推移したものの、「アンブロ」は苦戦しました。ゴルフカテゴリーにおいては「ルコックスポルティフ」は堅調に推移しましたが、「マンシングウェア」は苦戦しました。アウトドアカテゴリーでは事業構造改革が進み、ウィンターは好調に推移しました。全体として売上高は前年実績を上回り、損益面においても売価率の改善、販管費の減少により前年を上回りました。
(アジア)
アジアでの売上高は78,832百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は6,732百万円(前年同期比5.6%増)となりました。韓国においては「デサント」が好調に推移しました。中国においては「アリーナ」は好調に推移しましたが、「マンシングウェア」は苦戦し、香港では「デサント」が好調に推移しましたが、その他のブランドは苦戦しました。シンガポールにおいては「ルコックスポルティフ」と「マンシングウェア」が好調に推移しました。全体としては、売上高、利益ともに前年を上回りました。
(欧米)
欧米での売上高は3,618百万円(前年同期比0.2%増)、セグメント損失は581百万円(前年同期は485百万円のセグメント損失)となりました。売上高は堅調に推移しましたが、在庫処理等により損失は拡大しました。
取扱商品の品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
アスレチックウェア及びその関連商品の売上高は89,161百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
アスレチックカテゴリーにおいては、「デサント」では、グローバルで一貫性のあるブランディングを実施していくために、ブランドタグラインを刷新しました。新タグラインは、“Design that moves(デザイン ザット ムーブズ)” です。“Design that moves”にはお客様をワクワクさせ、次の一歩を踏み出したくなる気持ちを駆り立てるような、商品・サービスを生み出すブランドでありたいという想いを込めており、これをキーワードとしたグローバルコミュニケーションの展開を開始しました。また、大谷翔平選手とのトレーニングウェア、野球用アンダーウェア、コンプレッションウェア等のスポーツ用品に関するアドバイザリー契約に関して、2018年シーズンより新たに全世界での肖像権使用ならびにレプリカ商品の販売権を含めた形で更新しました。2013年のプロ入り以降、投手と打者の「二刀流」選手として活躍を続ける大谷選手を、ベースボール及びトレーニングウェア等のサプライを通じて引き続きサポートしつつ、これまで以上に積極的に活用したプロモーションをグローバルで展開し、大谷選手とともに、全世界のお客様から支持されるブランドとして成長することを目指しています。また、「JALホノルルマラソン」大会への協賛を2017年大会より行っています。ホノルルマラソンは、2017年で45回目の開催を迎えた歴史あるロードレースであり、1973年の初開催以降、多くのランナーが参加してきました。当社はレース完走者への完走Tシャツの提供などを通じて大会をサポートします。当社は今後、ランニングカテゴリーでの事業のさらなる拡大を図っていきます。中国においては当社の持分法適用関連会社である「デサントチャイナ有限公司」が「デサント」ブランドの直営店を64店舗(2017年12月末時点)展開し、事業拡大を進めています。
「ルコックスポルティフ」では、中国において直営店の出店が計画通り進み、順調に事業を拡大しています。日本においては契約しているモデル・タレントのマギーさんとのコラボ商品の発売などを通して、スポーツ時はもちろん街中でスポーツミックススタイルを着用する時まで、幅広いシーンにおける着こなしを提案しています。また、店頭、雑誌、WEBサイト、SNS等におけるプロモーションを実施し、「ルコックスポルティフ」の新たな魅力を発信し、事業拡大を図っています。韓国においてはロングダウンの販売が好調に推移し、業績向上に貢献しました。
「アリーナ」では、2017年4月から5年間のアドバイザリー契約を更新した瀬戸大也(せとだいや)選手(所属:ANA/JSS毛呂山)が2017年7月にハンガリー・ブダペストで開催された第17回世界水泳選手権において、200メートルバタフライと400メートル個人メドレーの2種目で銅メダルを獲得し、ブランド価値の向上に貢献しました。中国において持分法適用関連会社「アリーナ上海実業有限公司」は直営店の出店を進めたほか、特にオンラインショップでの販売を強化することにより、事業拡大を進めています。
「イノヴェイト」においては、マンチェスター大学との共同開発により、ノーベル物理学賞受賞の対象となった世界最薄・最高強度といわれている素材「グラフェン」を世界で初めて使用したランニングシューズ、フィットネスシューズの商品化に成功し、2018年に“G-Series(ジーシリーズ)”シューズとして発売します。グラフェンとは、地球上で最も薄い素材でありながら、鉄の200倍の強度を持つ最強の素材であり、同素材をアウトソールに使用した新シューズは、高い柔軟性・粘着力・グリップ力と、相反する耐摩耗性を両立させる画期的な商品となります。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
ゴルフウェア及びその関連商品の売上高は37,088百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
ゴルフカテゴリーにおいては、日本で「マンシングウェア」「ルコックスポルティフ」「カッターアンドバック」「ランバン スポール」「デサント」「スリクソン」の6ブランド合同で『ゴルフ大好き!キャンペーン』を実施しました。内容としては「デサント6ブランドグッズ」等が当たる懸賞を実施しました。今後もトーナメントスポンサーに加えて、このようなキャンペーンを通じてゴルフファンの拡大・獲得を目指していきます。
「マンシングウェア」では、グローバル旗艦店を2018年4月に東京・銀座にオープンしました。ゴルフウェアはもちろん、日常シーンでも着用していただけるウェアも新たに展開し、ゴルフを愛する人々の上質なクラブハウススタイルを提案します。
「ルコックスポルティフ」では契約選手である鈴木愛プロが初の賞金女王に輝きました。また鈴木愛プロと賞金女王を争ったキムハヌルプロも今季3勝するなど契約選手がブランド価値の向上に貢献しました。
(アウトドアウェア及びその関連商品)
アウトドアウェア及びその関連商品の売上高は14,874百万円(前年同期比19.6%増)となりました。
その他のトピックスとして、当社グループは、グループ組織再編を行い、株式会社デサントをグローバル本社とし、日本事業をデサントジャパン株式会社に分割した新体制での運営を2017年4月に開始しました。当社は、競争力の源泉である「モノを創る力」と「売場を創る力」の向上を重点戦略の一つとして掲げています。「モノを創る力」については、大阪府茨木市にアパレルのR&Dセンター、韓国・釜山広域市にシューズのR&Dセンターの建設を進めており、2018年の夏から秋に稼働予定です。両R&Dセンターは、共通コンセプトを設定し、スポーツアイテムとして、様々な競技シーンにおいて使用者のパフォーマンスを引き出す高次元な機能性の開発及びそれを安定的に実現するための品質基準の制定を並行して行います。また、2018年1月にドイツで開催されたスポーツ用品の国際総合見本市「ISPOミュンヘン2018」において、「デサント」がグローバルで展開するアスレチックカテゴリー商品の「フュージョンニット パラヘムジャケット クリック」がISPOアワードGold Winnerを受賞しました。今年で第7回目となるISPOアワードにおいて、これまで「デサント」ブランドでは、6商品でISPOアワードGold Winner、8商品でISPOアワードWinnerと、2013年から毎年受賞を続けています。今後もさらなる「モノを創る力」の向上に努めていきます。「売場を創る力」の強化の一環としては、2009年より実施している「全国SCロールプレイング大会」を今年度も開催しました。今回は、「顧客に繋がる接客~お客様を知り、私を覚えてもらう接客~」というテーマのもと、全国の直営店や百貨店、専門店など様々な業態の店舗で働く販売職スタッフ42名が出場しました。今後もセールスコーディネーターの能力向上につながる研修や表彰などで「売場を創る力」の向上に努めます。また、香港においては2017年8月に「デサント」の旗艦店をオープンさせました。直営店の出店と接客販売力の向上の両面から「売場を創る力」の向上を進めています。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の資産合計は117,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,852百万円増加いたしました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ2,920百万円増加し、38,953百万円となりました。
純資産は前連結会計年度末に比べ7,931百万円増加し、78,875百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、0.6%増の66.9%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5,461百万円増加し、27,369百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、12,523百万円の収入超過(前連結会計年度は5,520百万円の収入超過)となりました。これは主な減少要因として法人税等の支払額2,217百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益8,606百万円、減価償却費3,181百万円の計上、減損損失1,246百万円などの増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,361百万円の支出超過(前連結会計年度は6,165百万円の支出超過)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6,344百万円、無形固定資産の取得による支出462百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,560百万円の支出超過(前連結会計年度は1,643百万円の支出超過)となりました。これは主に配当金の支払額1,732百万円によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株式終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当社グループは、生産の状況について、セグメントごとの製品の製造場所等から判断し、日本が大半を占めており、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(2) 受注状況
原則として受注生産は行っておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は117,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,852百万円増加いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ7,068百万円増加し、80,463百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加5,148百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ3,784百万円増加し、37,365百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加4,423百万円、のれんの減損損失等による無形固定資産の減少1,546百万円によるものです。
(負債の部)
負債合計は前連結会計年度末に比べ2,920百万円増加し、38,953百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加903百万円、短期借入金の増加521百万円、債務保証損失引当金の増加413百万円、繰延税金負債の増加451百万円によるものです。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ7,931百万円増加し、78,875百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加4,072百万円、円安の影響による為替換算調整勘定の増加3,699百万円によるものです。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は141,124百万円(前年同期比7.3%増)となり、前連結会計年度に比べて9,580百万円増加いたしました。売上高が増加した主な要因は、日本、アジアでのアスレチックカテゴリーが好調に推移したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は9,596百万円(前年同期比14.0%増)となり、前連結会計年度に比べて1,178百万円増加いたしました。営業利益が増加した主にな理由は、日本セグメントの売上増加による粗利の増加及び為替影響によるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は、受取利息231百万円などにより542百万円、営業外費用は、為替差損254百万円などにより439百万円となりました。特別利益は、投資有価証券売却益396百万円などにより566百万円、特別損失は、減損損失1,246百万円などにより1,659百万円となり、以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は5,771百万円(前年同期比2.1%増)となり、前連結会計年度に比べて121百万円増加いたしました。
(c)資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、(以下、「資金」という。)前連結会計年度末に比べ5,461百万円増加し、27,369百万円となりました。これは営業活動により得られた資金12,523百万円に対し、有形固定資産の取得6,344百万円等による投資活動により支出した資金が6,361百万円、配当金の支払1,732百万円等による財務活動により支出した資金が1,560百万円によるものです。
なお、当社グループは、必要な運転資金及び設備投資につきましては、自己資金または銀行借入により調達するものとしております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は141,124百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は9,596百万円(前年同期比14.0%増)、経常利益は9,698百万円(前年同期比12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,771百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
(日本)
日本での売上高は58,673百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は3,433百万円(前年同期比39.6%増)となりました。アスレチックカテゴリーにおいては「デサント」及び「ルコックスポルティフ」は好調に推移したものの、「アンブロ」は苦戦しました。ゴルフカテゴリーにおいては「ルコックスポルティフ」は堅調に推移しましたが、「マンシングウェア」は苦戦しました。アウトドアカテゴリーでは事業構造改革が進み、ウィンターは好調に推移しました。全体として売上高は前年実績を上回り、損益面においても売価率の改善、販管費の減少により前年を上回りました。
(アジア)
アジアでの売上高は78,832百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は6,732百万円(前年同期比5.6%増)となりました。韓国においては「デサント」が好調に推移しました。中国においては「アリーナ」は好調に推移しましたが、「マンシングウェア」は苦戦し、香港では「デサント」が好調に推移しましたが、その他のブランドは苦戦しました。シンガポールにおいては「ルコックスポルティフ」と「マンシングウェア」が好調に推移しました。全体としては、売上高、利益ともに前年を上回りました。
(欧米)
欧米での売上高は3,618百万円(前年同期比0.2%増)、セグメント損失は581百万円(前年同期は485百万円のセグメント損失)となりました。売上高は堅調に推移しましたが、在庫処理等により損失は拡大しました。
取扱商品の品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
アスレチックウェア及びその関連商品の売上高は89,161百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
アスレチックカテゴリーにおいては、「デサント」では、グローバルで一貫性のあるブランディングを実施していくために、ブランドタグラインを刷新しました。新タグラインは、“Design that moves(デザイン ザット ムーブズ)” です。“Design that moves”にはお客様をワクワクさせ、次の一歩を踏み出したくなる気持ちを駆り立てるような、商品・サービスを生み出すブランドでありたいという想いを込めており、これをキーワードとしたグローバルコミュニケーションの展開を開始しました。また、大谷翔平選手とのトレーニングウェア、野球用アンダーウェア、コンプレッションウェア等のスポーツ用品に関するアドバイザリー契約に関して、2018年シーズンより新たに全世界での肖像権使用ならびにレプリカ商品の販売権を含めた形で更新しました。2013年のプロ入り以降、投手と打者の「二刀流」選手として活躍を続ける大谷選手を、ベースボール及びトレーニングウェア等のサプライを通じて引き続きサポートしつつ、これまで以上に積極的に活用したプロモーションをグローバルで展開し、大谷選手とともに、全世界のお客様から支持されるブランドとして成長することを目指しています。また、「JALホノルルマラソン」大会への協賛を2017年大会より行っています。ホノルルマラソンは、2017年で45回目の開催を迎えた歴史あるロードレースであり、1973年の初開催以降、多くのランナーが参加してきました。当社はレース完走者への完走Tシャツの提供などを通じて大会をサポートします。当社は今後、ランニングカテゴリーでの事業のさらなる拡大を図っていきます。中国においては当社の持分法適用関連会社である「デサントチャイナ有限公司」が「デサント」ブランドの直営店を64店舗(2017年12月末時点)展開し、事業拡大を進めています。
「ルコックスポルティフ」では、中国において直営店の出店が計画通り進み、順調に事業を拡大しています。日本においては契約しているモデル・タレントのマギーさんとのコラボ商品の発売などを通して、スポーツ時はもちろん街中でスポーツミックススタイルを着用する時まで、幅広いシーンにおける着こなしを提案しています。また、店頭、雑誌、WEBサイト、SNS等におけるプロモーションを実施し、「ルコックスポルティフ」の新たな魅力を発信し、事業拡大を図っています。韓国においてはロングダウンの販売が好調に推移し、業績向上に貢献しました。
「アリーナ」では、2017年4月から5年間のアドバイザリー契約を更新した瀬戸大也(せとだいや)選手(所属:ANA/JSS毛呂山)が2017年7月にハンガリー・ブダペストで開催された第17回世界水泳選手権において、200メートルバタフライと400メートル個人メドレーの2種目で銅メダルを獲得し、ブランド価値の向上に貢献しました。中国において持分法適用関連会社「アリーナ上海実業有限公司」は直営店の出店を進めたほか、特にオンラインショップでの販売を強化することにより、事業拡大を進めています。
「イノヴェイト」においては、マンチェスター大学との共同開発により、ノーベル物理学賞受賞の対象となった世界最薄・最高強度といわれている素材「グラフェン」を世界で初めて使用したランニングシューズ、フィットネスシューズの商品化に成功し、2018年に“G-Series(ジーシリーズ)”シューズとして発売します。グラフェンとは、地球上で最も薄い素材でありながら、鉄の200倍の強度を持つ最強の素材であり、同素材をアウトソールに使用した新シューズは、高い柔軟性・粘着力・グリップ力と、相反する耐摩耗性を両立させる画期的な商品となります。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
ゴルフウェア及びその関連商品の売上高は37,088百万円(前年同期比4.8%増)となりました。
ゴルフカテゴリーにおいては、日本で「マンシングウェア」「ルコックスポルティフ」「カッターアンドバック」「ランバン スポール」「デサント」「スリクソン」の6ブランド合同で『ゴルフ大好き!キャンペーン』を実施しました。内容としては「デサント6ブランドグッズ」等が当たる懸賞を実施しました。今後もトーナメントスポンサーに加えて、このようなキャンペーンを通じてゴルフファンの拡大・獲得を目指していきます。
「マンシングウェア」では、グローバル旗艦店を2018年4月に東京・銀座にオープンしました。ゴルフウェアはもちろん、日常シーンでも着用していただけるウェアも新たに展開し、ゴルフを愛する人々の上質なクラブハウススタイルを提案します。
「ルコックスポルティフ」では契約選手である鈴木愛プロが初の賞金女王に輝きました。また鈴木愛プロと賞金女王を争ったキムハヌルプロも今季3勝するなど契約選手がブランド価値の向上に貢献しました。
(アウトドアウェア及びその関連商品)
アウトドアウェア及びその関連商品の売上高は14,874百万円(前年同期比19.6%増)となりました。
その他のトピックスとして、当社グループは、グループ組織再編を行い、株式会社デサントをグローバル本社とし、日本事業をデサントジャパン株式会社に分割した新体制での運営を2017年4月に開始しました。当社は、競争力の源泉である「モノを創る力」と「売場を創る力」の向上を重点戦略の一つとして掲げています。「モノを創る力」については、大阪府茨木市にアパレルのR&Dセンター、韓国・釜山広域市にシューズのR&Dセンターの建設を進めており、2018年の夏から秋に稼働予定です。両R&Dセンターは、共通コンセプトを設定し、スポーツアイテムとして、様々な競技シーンにおいて使用者のパフォーマンスを引き出す高次元な機能性の開発及びそれを安定的に実現するための品質基準の制定を並行して行います。また、2018年1月にドイツで開催されたスポーツ用品の国際総合見本市「ISPOミュンヘン2018」において、「デサント」がグローバルで展開するアスレチックカテゴリー商品の「フュージョンニット パラヘムジャケット クリック」がISPOアワードGold Winnerを受賞しました。今年で第7回目となるISPOアワードにおいて、これまで「デサント」ブランドでは、6商品でISPOアワードGold Winner、8商品でISPOアワードWinnerと、2013年から毎年受賞を続けています。今後もさらなる「モノを創る力」の向上に努めていきます。「売場を創る力」の強化の一環としては、2009年より実施している「全国SCロールプレイング大会」を今年度も開催しました。今回は、「顧客に繋がる接客~お客様を知り、私を覚えてもらう接客~」というテーマのもと、全国の直営店や百貨店、専門店など様々な業態の店舗で働く販売職スタッフ42名が出場しました。今後もセールスコーディネーターの能力向上につながる研修や表彰などで「売場を創る力」の向上に努めます。また、香港においては2017年8月に「デサント」の旗艦店をオープンさせました。直営店の出店と接客販売力の向上の両面から「売場を創る力」の向上を進めています。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の資産合計は117,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,852百万円増加いたしました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ2,920百万円増加し、38,953百万円となりました。
純資産は前連結会計年度末に比べ7,931百万円増加し、78,875百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、0.6%増の66.9%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5,461百万円増加し、27,369百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、12,523百万円の収入超過(前連結会計年度は5,520百万円の収入超過)となりました。これは主な減少要因として法人税等の支払額2,217百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益8,606百万円、減価償却費3,181百万円の計上、減損損失1,246百万円などの増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,361百万円の支出超過(前連結会計年度は6,165百万円の支出超過)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6,344百万円、無形固定資産の取得による支出462百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,560百万円の支出超過(前連結会計年度は1,643百万円の支出超過)となりました。これは主に配当金の支払額1,732百万円によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2014年3月期 | 2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | |
自己資本比率(%) | 67.2 | 68.4 | 64.8 | 66.3 | 66.9 |
時価ベースの自己資本比率 (%) | 73.0 | 117.8 | 116.1 | 93.0 | 107.4 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 0.7 | 0.3 | 0.6 | 1.0 | 0.5 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 685.3 | 593.9 | 136.3 | 55.7 | 135.8 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株式終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当社グループは、生産の状況について、セグメントごとの製品の製造場所等から判断し、日本が大半を占めており、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(2) 受注状況
原則として受注生産は行っておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 58,673 | 102.2 |
アジア | 78,832 | 111.7 |
欧米 | 3,618 | 100.2 |
合計 | 141,124 | 107.3 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は117,828百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,852百万円増加いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ7,068百万円増加し、80,463百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加5,148百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ3,784百万円増加し、37,365百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加4,423百万円、のれんの減損損失等による無形固定資産の減少1,546百万円によるものです。
(負債の部)
負債合計は前連結会計年度末に比べ2,920百万円増加し、38,953百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加903百万円、短期借入金の増加521百万円、債務保証損失引当金の増加413百万円、繰延税金負債の増加451百万円によるものです。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ7,931百万円増加し、78,875百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加4,072百万円、円安の影響による為替換算調整勘定の増加3,699百万円によるものです。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は141,124百万円(前年同期比7.3%増)となり、前連結会計年度に比べて9,580百万円増加いたしました。売上高が増加した主な要因は、日本、アジアでのアスレチックカテゴリーが好調に推移したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は9,596百万円(前年同期比14.0%増)となり、前連結会計年度に比べて1,178百万円増加いたしました。営業利益が増加した主にな理由は、日本セグメントの売上増加による粗利の増加及び為替影響によるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は、受取利息231百万円などにより542百万円、営業外費用は、為替差損254百万円などにより439百万円となりました。特別利益は、投資有価証券売却益396百万円などにより566百万円、特別損失は、減損損失1,246百万円などにより1,659百万円となり、以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は5,771百万円(前年同期比2.1%増)となり、前連結会計年度に比べて121百万円増加いたしました。
(c)資本の財源および資金の流動性
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、(以下、「資金」という。)前連結会計年度末に比べ5,461百万円増加し、27,369百万円となりました。これは営業活動により得られた資金12,523百万円に対し、有形固定資産の取得6,344百万円等による投資活動により支出した資金が6,361百万円、配当金の支払1,732百万円等による財務活動により支出した資金が1,560百万円によるものです。
なお、当社グループは、必要な運転資金及び設備投資につきましては、自己資金または銀行借入により調達するものとしております。