四半期報告書-第65期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/10 16:15
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の売上高は22,481百万円(前年同四半期比44.5%増)、営業利益は1,032百万円(前年同期は3,159百万円の営業損失)、経常利益は1,561百万円(前年同期は3,149百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,133百万円(前年同期は2,018百万円の四半期純損失)となりました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。主要な在外子会社の決算期は12月であり、各セグメントの業績には持分法適用関連会社の数値は含まれておりません。
(日本)
当第1四半期連結累計期間は、物販総売上高の増加と返品および値引き等の販売ロスの抑制によって日本セグメントの売上高は前年同期比4,684百万円増の大幅増収となりました。
首都圏を中心とした緊急事態宣言が再発令されるなど、引き続き直営店や百貨店等の営業に影響が生じておりますが、感染対策を徹底して行うことで営業可能な店舗が前年と比べて増え、売上高は増収となりました。ブランドでは、主に『デサント』および『ルコックスポルティフ』が売上を牽引しております。また、特に日本においてゴルフ人気が高まった結果、ゴルフカテゴリーが好調で、前年同期比176%増となりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間において物販総売上高が大幅に増加しました。
加えて、当社は、2021年5月に発表しました新中期経営計画「D-Summit(ディーサミット) 2023」の重点戦略の一つとして、日本事業の収益改善を掲げております。その取り組みの一つとして、お客様のニーズに応えるモノづくりと生産量コントロールを実施しており、これまで売上高の減少要因となっていた返品や値引きを減らすことで、ロスを大幅に抑制しました。以上の結果、当セグメント売上高は前年同期比92%増(一昨年同期比10%減)の9,767百万円と大幅増収となりました。
また、売上高の増加に伴い、当セグメントにおける売上総利益率は前年同期および新型コロナの影響前である一昨年の第1四半期累計期間と比較しても増加しました。さらに、前年より継続的に取り組んでいる広告販促費等の削減、および当期以降の日本における収益改善を見据えた希望退職実施による人件費等の削減により、販管費率は直近2年間で継続的に減少しています。以上の結果、当セグメント利益は174百万円(前年同期比2,769百万円増、一昨年同期比1,660百万円増)で、第1四半期としては13年ぶりの黒字となりました。また、在庫の消化も着実に進んでおり、日本事業の収益性向上に向けて順調な滑り出しとなりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準指針第30号 2020年3月31日)を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しています。詳細については、第4[経理の状況]1[四半期連結財務諸表] [注記事項](会計方針の変更)をご参照ください。収益認識会計基準等の適用により、売上高が395百万円増加し、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益はそれぞれ154百万円減少しております。
これらの結果、日本での売上高は9,767百万円(前年同四半期比92.1%増)、セグメント利益は174百万円(前年同四半期は2,595百万円のセグメント損失)となりました。
(韓国)
2021年3月期の第1四半期は新型コロナによる影響が最も大きく、当第1四半期連結累計期間において、新型コロナからの回復により韓国セグメントの売上高は大幅に増加しました。主に『デサント』が売上を牽引し、アウターウェアが好調に推移、また、当社のシューズ研究開発拠点であるDISC BUSAN(ディスク プサン)で開発した『デサント』ブランドのランニングシューズ「ENERZITE Z+(エナザイト)」やゴルフシューズ「R90(アールナインティ)」は、韓国人の足に合うフィッティングの良さや、クッショニングが好評を博しました。さらに、SNSおよびTV広告等のコンテンツを活用したマーケティング活動によりお客様のブランド認知向上に大きく貢献しました。その他ブランドにおいても、『ルコックスポルティフ』、『マンシングウェア』ブランドは前年同期から順調に回復、『アンブロ』も前年からさらに売上を拡大しております。
加えて、増収に伴い販管費率が前年から減少した結果、当セグメント利益は前年同期から大幅に増益となりました。
これらの結果、韓国での売上高は11,737百万円(前年同四半期比25.2%増)、セグメント利益は762百万円(前年同四半期は494百万円のセグメント損失)となりました。
(中国)
セグメント損益に計上される連結子会社の上海デサント商業有限公司は増収増益となりました。同社は、新型コロナの影響から回復し、『マンシングウェア』および『アリーナ』ともに好調に推移した結果、売上高は前年同期から大幅に増加しました。香港デサント貿易有限公司は、当期から東南アジアへの卸事業を日本に移管したことに伴い、売上高は前年同期から減少となりました。しかしながら、香港では新型コロナによる外出規制は緩和され、消費者の購買意欲も回復傾向にあり、香港内における直営および卸事業は順調に推移しております。また、販管費の効果的な削減により同社の営業利益は前年同期から増加しました。
以上の結果、中国セグメントは増収増益となりました。
これらの結果、中国での売上高は975百万円(前年同四半期比11.4%増)、セグメント利益は107百万円(前年同四半期は34百万円のセグメント損失)となりました。
なお、セグメント損益には含まれませんが、持分法適用関連会社である「LE COQ SPORTIF (NINGBO) CO., LTD.」、「ARENA (SHANGHAI) INDUSTRIAL CO., LTD.」、「Descente China Holding Limited」はいずれも増収増益となりました。
品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
日本・韓国・中国の各国において新型コロナの影響が小さくなり、イベントや競技大会が再開したことでスポーツ機会が増加した結果全ブランドで増収となりました。特に『アリーナ』ブランドは、前期はプールの閉鎖などにより苦戦しましたが、スイマーからの認知度の高さもあり、当期は全エリアで売上が回復しております。結果として、アスレチックウェアカテゴリーの売上高は前年同期比31%増の14,289百万円となりました。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
全エリアにおける新型コロナの影響低下に加え、コロナ禍における日本及び韓国でのゴルフ人気の高まりによって、ゴルフウェアカテゴリーの売上高は前年同期比75%増の6,638百万円となりました。
(全社的な取り組み)
当社は、中期経営計画「D-Summit 2023」において、「Ⅰ.日本・韓国・中国 地域別戦略の実行」「Ⅱ.日本事業の収益改善」「Ⅲ.モノづくりの強化」を重点戦略として掲げ、3つの市場で安定的に収益を上げることを目指しております。
当第1四半期連結累計期間においては、『デサント』ブランド着用の大谷翔平選手(野球)のメジャーリーグでの大活躍、さらに『スリクソン・バイ・デサント』ブランド着用の松山英樹選手(ゴルフ)の米マスターズ・トーナメント優勝など、コロナ禍において社会全体が困難な状況にある中でも、明るい話題がありました。加えて同選手らが着用しているウェアをはじめとした当社ブランド商品の売上高が大幅に増加する等、当社の好調要因の1つとなりました。
日本事業では、収益改善のための重要な取り組みの1つとして2024年3月期におけるDTC構成比率を50%にすることを目標にしていますが、当第1四半期ではDTC比率24%となりました。2021年4月には関東に『デサント』ブランドの直営店3店舗を出店しました。また、モノづくりの強化のため当社研究開発拠点DISCも活用し、グループ全体でこだわりのあるモノづくりを実践しています。主な取り組みとして、日本では自転車競技BMXレーシングの競技ウェアをDISC OSAKAにて開発、日本代表へサプライを行っているほか、ゴルフや競泳など他競技においてもトップアスリートへのウェア開発と提供を行っております。韓国では、DISC BUSANにてこれまで培ったノウハウを活かした開発商品であるランニングシューズ「ENERZITE Z+」を発売し、好評を博しております。
当社は社会から期待される責任を果たし、事業の持続可能な成長のためのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。特に「REDUCE(減らす)」のため前年から可能な限り在庫数を削減するよう取り組みを進めております。また、環境配慮への取り組みとして、『マンシングウェア』では、2019年から地球温暖化などの環境悪化を抑制することでブランドのアイコンでもあるペンギンを守るSAVE THE PENGUINキャンペーンを継続しています。今年は食べ物や植物を加工したあとに出る「のこりもの」を再活用する「のこり染」を施したポロシャツなどを展開し、対象商品の売上の一部は、WWF(世界自然保護基金)に寄付することで地球環境の保全に貢献しています。また、4月25日の「世界ペンギンの日」に合わせてサンシャイン水族館(東京・池袋)が実施する、ペンギンの生態や取り巻く環境について考えるイベントに協賛しました。韓国では、『ルコックスポルティフ』ブランドにおいて「LE:CYCLE(リサイクル)」キャンペーンを実施し、リサイクル素材を用いたサイクリングウェアを展開し、環境に配慮した事業を行っております。さらに、昨年度より実施していた日本の事業所全体における再生可能エネルギーに由来した電力使用への切り替えが完了しました。これにより電力使用による二酸化炭素排出量の30%削減につながりました。加えて、新型コロナの影響で働き方改革が進み、日本ではオフィス勤務者はほぼすべてテレワークの実施が可能な環境になり、また一部の事業所では、フリーアドレス化するなど多様な働き方を取り入れております。さらに、グループの中核を担う株式会社デサント、デサントジャパン株式会社およびデサントコリア株式会社3社平均での女性管理職比率は27%となっており、特に日本において引き続き女性管理職を育成して参ります。
以上の取り組みを通じて、社会の変化に柔軟に対応できる体制を作り、企業としてのレジリエンスを高めつつ、中期経営計画「D-Summit 2023」で掲げた重点戦略を実施し、日本・韓国・中国の3つの市場で安定的な収益を生み出します。
財政状態の分析につきましては次のとおりであります。
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は106,588百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,399百万円減少しました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ2,685百万円減少し、62,682百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少3,427百万円、流動資産その他に含まれる未収入金の減少863百万円及び収益認識会計基準等の適用による返品資産の増加1,364百万円などによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ1,286百万円増加し、43,905百万円となりました。これは主に建物及び構築物(純額)の増加135百万円、投資その他の資産に含まれる投資有価証券の増加1,071百万円などによるものです。
負債合計は前連結会計年度末に比べ3,508百万円減少し、26,515百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少1,647百万円、未払法人税等の減少1,340百万円、返品調整引当金の減少868百万円などによるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ2,109百万円増加し、80,072百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加269百万円、うち親会社株主に帰属する四半期純利益が1,133百万円、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の期首残高が864百万円減少したこと、為替換算調整勘定の増加1,884百万円などによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.9%増の75.1%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は373百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。