四半期報告書-第64期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/09 13:19
【資料】
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響を受け、特に日本・韓国では消費の落ち込み、各種イベント・競技大会の中止や規模縮小など、厳しいビジネス環境下にありました。日本では4月から6月を底に回復基調になっておりましたが、12月からの感染再拡大に伴い、消費者の購買マインドの低下から再度売上が減少しております。一方で社会生活が大きく変わったことを受け、当社でもECのプラットフォームの刷新、今期開始したオウンドメディアからの情報発信、会員制アプリやブランド及び契約選手のSNSを活用したコミュニケーションの実施など、デジタル化を進めております。韓国では、2月に大きな影響を受け、一時期は回復の兆しを見せておりましたが、その後も第2波、第3波と断続的に新型コロナの感染拡大が継続しており、厳しい状況が続いております。
売上高につきましては、当第3四半期連結累計期間においては、欧米事業を子会社による事業展開から卸売事業に転換したことにより約28億円の売上高が減少したことに加え、新型コロナの影響もあり、66,638百万円(前年同期比△28.2%)で減収となりました。しかしながら当第3四半期連結会計期間においては、国内は新型コロナの影響が緩和され、前年同期比横ばいと回復傾向を見せております。
売上高の減少に伴い、売上総利益が前年同期比15,708百万円減少しました。一方、販管費につきましては、2020年3月期に事業休止及び株式を売却した欧米子会社で発生していた販管費の削減、国内における継続的な広告販促費の見直しやコロナ禍に合わせたマーケティング活動によるマーケティング費の削減、韓国での事業効率化による削減及び売上に連動する販売手数料が減少したことにより前年同期比11,574百万円減少しましたが、大幅な売上総利益の減少をカバーするには至らず、2,454百万円の営業損失となり、前年同期比減益となりました。
持分法適用関連会社である「Descente China Holding Limited」(以下、DCH)は、第1四半期連結会計期間に新型コロナの影響を受けましたが、4月以降順調に業績を伸ばしており、EC売上高は前年から倍増するなど売上高は前年同期比150%と拡大し、大幅増益となりました。その結果、営業外収益は増加しましたが、営業損失を補うことができず1,775百万円の経常損失となりました。
当第3四半期連結会計期間に、2020年7月15日に公表した「中国における合弁会社の再編に係る契約締結及びそれに伴う特別利益計上に関するお知らせ」の通り、再編に伴う一連の取引実行による持分変動利益(特別利益)6,419百万円が発生したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比増益となりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は66,638百万円(前年同四半期比28.2%減)、営業損失は2,454百万円(前年同四半期は1,679百万円の営業利益)、経常損失は1,775百万円(前年同四半期は2,091百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,828百万円(前年同四半期比172.8%増)となりました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。主要な在外子会社の決算期は12月であり、各セグメントの業績には持分法適用関連会社の数値は含まれておりません。
なお、第1四半期連結会計期間において、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(日本)
当第3四半期連結会計期間は前年同期比横ばいと売上高は回復傾向にありますが、4月から5月の臨時休業の影響およびインバウンド客の減少もあり、当第3四半期連結累計期間における実店舗の売上高は減少しました。自社ECでは11月に事業の拡大・販売力強化を目的にECサイトを全面リニューアルし、当第3四半期連結累計期間の自社EC売上高は前年同期比140%と大幅に伸長し、好調に推移しております。しかし、継続的に取り組んでいる広告販促費等の販管費削減を含めても臨時休業の影響による実店舗売上高の減少をカバーするには至らず、大幅な減収減益となりました。
これらの結果、日本での売上高は33,138百万円(前年同四半期比22.9%減)、セグメント損失は1,807百万円(前年同四半期は369百万円のセグメント利益)となりました。
(韓国)
1月から3月にかけて新型コロナの影響が大きく、その後も第2波、第3波と新型コロナの影響が断続的に続いており、フィットネスクラブの休業、店舗の時短営業などの規制実施、それに伴う消費者の購買意欲の減少により、当第3四半期連結累計期間における売上高は減少しました。オンライン専用商品の展開をスタートさせるなど新たな施策の実施や、事業効率化による販管費削減及び売上に連動する販売手数料の減少等、一定程度の販管費削減を行いましたが、結果として大幅な減収減益となりました。
これらの結果、韓国での売上高は30,407百万円(前年同四半期比29.3%減)、セグメント損失は643百万円(前年同四半期は1,786百万円のセグメント利益)となりました。
(中国)
セグメント損益に計上される連結子会社である上海デサント有限公司および香港デサント有限公司の事業展開において、特に香港では7月に新型コロナの防疫措置が再強化された影響により売上高は減少しました。しかしながら上記2社で、不採算店舗やオフィス閉鎖等により販管費を削減した結果、中国セグメントは減収増益となりました。なお、セグメント損益には含まれませんが、持分法適用関連会社であるDCHは増収増益となり、好調を維持しております。
この結果、中国での売上高は2,865百万円(前年同四半期比25.8%減)、セグメント利益は32百万円(前年同四半期は1百万円のセグメント利益)となりました。
(その他)
「イノヴェイトグループ」からの事業撤退及び「DESCENTE NORTH AMERICA INC.」や「DESCENTE ATHLETIC AMERICAS INC.」、「SINGAPORE DESCENTE PTE. LTD.」の事業休止等により、売上高は前年を下回りましたが、上記子会社の固定費及び変動費の減少により損失は減少しました。
この結果、その他の売上高は227百万円(前年同四半期比92.5%減)、セグメント損失は74百万円(前年同四半期は422百万円のセグメント損失)となりました。
品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
韓国の『アンブロ』事業は、スニーカー「TOBY」をはじめとするライフスタイル商品が好調につき増収となりましたが、全エリアで新型コロナ感染拡大による店頭売上の減少が影響し、全体としてアスレチックカテゴリーの売上高は、42,843百万円(前年同四半期比29.7%減)となりました。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
コロナ禍でも屋外スポーツとしてゴルフの人気が高まっていることもあり、当第3四半期連結会計期間では日本、韓国ともに『デサント』が前年同期比増収となり、日本では当第3四半期連結累計期間においても『デサント』は増収となりました。また、日本や中国でのEC売上高は前年を大きく上回っております。しかしながら新型コロナ感染拡大による店頭売上の減少が影響し、ゴルフカテゴリーの当第3四半期連結累計期間での売上高は、19,378百万円(前年同四半期比19.2%減)となりました。
(アウトドアウェア及びその関連商品)
アウトドアウェア及びその関連商品の売上高は4,416百万円(前年同四半期比44.4%減)となりました。
(全社的な取り組み)
その他のトピックスとして、中国で『デサント』ブランドの事業を展開する合弁会社DCHの再編について2020年7月15日に発表しました。当社が保有する『デサント』ブランドの中国における商標権等を、新たに設立する商標管理会社を通じてDCHに保有させ、今後の中国での展開の更なる加速・拡大を図ります。当社はDCHへの出資比率を現状の30%から40%に増加させ、2022年3月期から同ブランドの中国事業にかかる持分法による投資利益の拡大を目指します。
2019年8月に公表した中期経営計画「D-Summit 2021」において重点戦略として掲げている日本事業の収益改善に向けたDTCビジネスの強化のため、オウンドメディア“ULLR MAG(ウルマグ).”を立ち上げました。より幅広いお客様とのコミュニケーションを深めることを目的として商品紹介に限らず、お客様がカラダも心も豊かな日々を送るための価値ある情報を発信しております。また11月には公式通販「DESCENTE STORE オンライン」を全面リニューアルしました。今回のリニューアルにより、商品情報の拡充、検索ナビゲーションの改良などを実施し、システム刷新により注文からお客様にお届けするまでの納期も短縮しました。引き続きオムニチャネル化の実現やDTCビジネス強化に努めていきます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の取り組みとして、2020年4月に日本においてグループウェアの切り替えを行いました。WEB会議や在宅勤務が容易に実施できるようになり、緊急事態宣言期間中においても大きな支障なく事業運営を継続しました。
さらに重点戦略であるモノづくりの強化に則り、暑熱対策として『デサント』ブランドから手のひらを冷やすことでクーリング効果を得られる「CORE COOLER(コアクーラー)」や『アンブロ』ブランドで着用時に冷感があり日焼け防止にもなる「冷GRAB」シリーズを発売しました。「コアクーラー」は、コロナ禍での夏場の運動による熱中症という社会問題に着目していた各種メディアにも取り上げられ、自社ECサイトでは初回販売分が完売し、追加販売を実施するなど、時流を捉えたマーケティング戦略により好評を博しました。さらに新たな取り組みとして、息苦しさやムレを抑制し身体を動かす際にも快適に着用できる「DESCENTE ATHLETIC MASK(デサント アスレティック マスク)」の展開を開始し、「デサント アスレティック マスク」はより幅広いお客様にお届けできるよう全国のファミリーマートにおいても展開し、自社ECや直営店では追加販売を行うなど好評を博しました。今後もスポーツメーカーとして培ったノウハウを活かし様々な環境下で快適に過ごせる商品開発に注力します。
また「D-Summit 2021」に基づくESG視点からのサスティナビリティへの取り組みとして、環境負荷低減への取り組み、スポーツ機会の提供、更なる製品の安全性・品質向上に取り組んでおります。環境負荷低減への取り組みとして、『マーモット』ブランド直営店において、日本環境設計株式会社が推進する「BRING」と連携したブランドを問わない商品回収を開始したほか、2020年3月からデサントアパレル株式会社水沢工場の使用電力の100%を再生エネルギーに由来した電力供給を皮切りに、ほか国内事業所への再生エネルギー由来電力の供給も開始しました。さらに、コロナ禍におけるスポーツ機会の提供において、運動機会が減少している子どもたちの体力向上を目的に当社の社会貢献事業である「すこやかキッズスポーツ塾」の新たな取り組みとして仙台市教育委員会と協働し、仙台市立の全小・特別支援学校を対象とした体操プログラムの動画配信を行いました。私たちの競争優位性のひとつである「品質・安全性」においては、今シーズン(20FW)より当社の主力商品の1つである「水沢ダウン」において「DOWNPASS(※)」認証を取得したトレーサブルダウンを使用し、よりお客さまに安心して着用いただけるモノづくりを進めました。その他、製品安全・品質向上を目的に当社商品において最近発生した事故事例を社内のみならず取引先様とも共有し、当社内における再発防止策の向上及び業界全体の品質向上に向けた品質事故展を昨年に引き続き開催しました。当社は今後も企業理念である「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」のもと、スポーツを通じての社会課題の解決に繋がる、環境負荷の低減、安全で高品質なモノづくりへの挑戦を継続してまいります。
※ドイツDOWNPASS e.V (社団法人ダウンパス)が制度化した動物保護に基づき倫理的に飼育・採取された羽毛であること、高い品質基準が維持された羽毛であることを保証する規格です。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態の分析につきましては次のとおりであります。
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は107,097百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,406百万円減少致しました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ4,507百万円減少し、63,508百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少5,192百万円、受取手形及び売掛金の減少1,261百万円、商品及び製品の増加1,703百万円などによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ3,100百万円増加し、43,589百万円となりました。これは主に投資有価証券の増加7,390百万円、投資その他の資産に含まれる差入保証金の減少913百万円、および有形固定資産の減少2,232百万円などによるものです。
負債合計は前連結会計年度末に比べ4,707百万円減少し、31,604百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少3,464百万円、流動負債その他に含まれる未払金の減少1,758百万円、未払法人税等の増加1,462百万円、固定負債その他に含まれるリース債務の減少1,242百万円などによるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ3,300百万円増加し、75,493百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加4,828百万円、為替換算調整勘定の減少1,538百万円などによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、4.0%増の70.5%となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は1,132百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。