有価証券報告書-第63期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は124,561百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益は379百万円(前年同期比95.2%減)、経常利益は456百万円(前年同期比94.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,481百万円(前年同期は3,944百万円の当期純利益)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は124,561百万円(前年同期比12.6%減)となり、前連結会計年度に比べて17,882百万円減少いたしました。売上高が減少した主な要因は、日本で新型コロナウィルス感染拡大の影響によりインバウンドを含む購買が減少したこと、韓国で2019年7月からの不買運動により『デサント』をはじめとする各ブランドの売上高が大幅に減少したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は379百万円(前年同期比95.2%減)となり、前連結会計年度に比べて7,556百万円減少いたしました。営業利益が減少した主な理由は、上記の日本での新型コロナウィルスや韓国での不買運動による売上総利益の減少を販管費の削減でカバーできなかったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は、受取利息326百万円、持分法投資利益328百万円などにより978百万円、営業外費用は、支払利息291百万円などにより901百万円となりました。特別損失は、減損損失773百万円、北米・欧州事業撤退による子会社株式売却損607百万円などにより1,815百万円となり、以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は2,481百万円(前年同期3,944百万円の当期純利益)となり、前連結会計年度に比べて6,425百万円減少いたしました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、主要な在外子会社の決算期が12月であることから、アジア及び欧米セグメントの業績において、新型コロナウィルス感染拡大の影響は含まれておりません。
(日本)
日本での売上高は56,793百万円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益は396百万円(前年同期比81.5%減)となりました。暖冬の影響により冬物の売上が減速したことに加え、2020年3月は、新型コロナウィルス感染拡大の影響によりインバウンドを含む購買が減少したため、日本全体で売上高は前年を下回りました。国内の収益率改善のため、自主管理店舗の売上拡大を目指しており、直営店および自社Eコマースの売上高は前年を大きく上回るも、まだ規模が小さく、卸売での粗利減少に伴い、利益は前年を大きく下回りました。アスレチックカテゴリーにおいては『デサント』『アリーナ』は堅調に推移しましたが、『ルコックスポルティフ』『アンブロ』は苦戦しました。ゴルフカテゴリーにおいては『デサント』が好調に推移しましたが、その他のブランドは百貨店での売上減少等により苦戦しました。
(アジア)
アジアでの売上高は64,257百万円(前年同期比18.9%減)、セグメント利益は650百万円(前年同期比89.9%減)となりました。中国では持分法関連会社が展開する『デサント』の売上が順調に拡大しています。韓国においては2019年7月からの不買運動の影響により、『デサント』をはじめとする各ブランドの売上高は大幅な減収となりましたが、『アンブロ』は堅調に推移しています。香港においてもデモの影響により、2019年7月以降各ブランドで苦戦しました。結果、アジア全体としては韓国の減収減益の影響が大きく、売上高、利益ともに前年を下回りました。
(欧米)
欧米での売上高は3,510百万円(前年同期比1.6%減)、セグメント損失は741百万円(前年同期は765百万円のセグメント損失)となりました。DESCENTE NORTH AMERICA INC.の事業休止等が影響し、売上高は前年を下回りました。また「イノヴェイトグループ」ののれん及び無形固定資産を前年減損したことにより損失はわずかに減少しました。
取扱商品の品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
アスレチックウェア及びその関連商品の売上高は79,727百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
アスレチックカテゴリーにおいては、国内で直営店の新規出店等により『デサント』が、韓国ではライフスタイル商品の売上拡大等により『アンブロ』が増収となったものの、国内、海外ともに複数ブランドが減収となり、結果、全体として売上高は前年同期より減少しました。
『デサント』においては、国内ではウィメンズカテゴリー強化の一環として女優の深田恭子さんを新たに起用し、女性をターゲットにしたブランドイメージの発信や、新たな層へのアプローチの強化を行い、ウィメンズカテゴリーの売上は前年を上回りました。2019年11月に、当社契約アスリートなどの要望を取り入れ、当社研究開発拠点「DISC」にて検証・実験を行い開発したトライアスロンシューズを発売開始したことに続き、2019年12月には日本人の足の形に合わせ、ランナー自身の足で地面を蹴る力を無駄なく、安定して推進力に変換するランニングシューズ「原点GENTEN」の発売を開始。国内ランニングシューズ市場に本格参入しました。また直営店である「DESCENTE BLANC」を新たに2店舗出店しました。韓国でも江南の直営店を移転し、3階建ての大きな店舗でお客様が実際に体験できるイベントを実施するなど新たな試みを始めました。中国では、南京徳基広場のグランドフロアでグローバルコレクションである”ALLTERRAIN”を展開する大規模なPOP UPショップを展開し、ブランドアンバサダーである俳優のDaniel Wu氏を招聘したイベントを実施し、更なるブランド浸透を図りました。
『ルコックスポルティフ』においては、国内では女優の池田エライザさんを新たなブランドアンバサダーとして起用し、これまでスポーツに関心がなかった、これからスポーツを始める、といった20代~30代の女性層へアプローチを行うべく、店頭やSNS等におけるプロモーションの実施や池田さんがプロデュースする商品の発売を行っております。ラグビーワールドカップにおいては、同ブランドをアジア以外で展開するルコックスポルティフ・インターナショナル社と共同でフランスラグビーナショナルチームへのユニフォームをサプライし、レプリカ商品の販売は好調に推移しました。国内では、継続してウィメンズシューズが好調で、コートシューズなどの定番モデルが着実に売上を伸ばしています。
『アリーナ』においては、韓国で2019年7月に開催された「第18回世界水泳選手権大会」(韓国・光州)ではオフィシャルスポンサーとして大会を盛り上げ、リーディングブランドとしての認知を高めました。国内では2019年10月に瀬戸大也選手(所属:ANA)等の意見を反映して開発した競泳用トップモデル水着「アルティメットアクアフォースX」を発表し、2020年1月から発売。同水着を着用した瀬戸選手が記録を更新するなどの活躍を見せたことで、前モデルよりも売上が拡大しています。
『アンブロ』においては、高い断熱効果を発揮する塗料「GAINA(ガイナ)」を国内で初めてシューズに搭載したサッカースパイクを開発するなどシューズ事業に注力しており、特にジュニアシューズが好調です。韓国では、フットボールライフスタイル商品が若者に好評で、店舗展開を拡大しています。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
ゴルフウェア及びその関連商品の売上高は33,362百万円(前年同期比7.9%減)となりました。
ゴルフカテゴリーにおいては、国内で『デサント』が増収となったものの海外で苦戦し、結果、全体として売上高は前年同期より減少しました。
ゴルフブランド全体のトピックスとして、国内においては、株式会社ワコール(以下ワコール)との包括的業務提携の一環として、ワコールが持つ特許を活用したシルエットを綺麗に見せるゴルフ用パンツ「クロスシェイプパンツ」を複数のゴルフブランドから発売しております。また2019年9月に開催されたLPGAツアー「第50回デサントレディース東海クラシック」を東海テレビ放送株式会社と共同で主催しました。第50回となる今大会は、これまでの「マンシングウェアレディース東海クラシック」からトーナメント名を刷新し、当社が展開する6つのゴルフブランドにて大会を盛り上げました。入場者数は50年のトーナメント史上最多の約25,000人を記録するなど注目を集めました。
『デサント』においては、2019年9月に開催されたLPGAツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」にて契約プロの柏原明日架プロがキャリア初の優勝を成し遂げました。また、中国の上海で開催されたWGC-HSBCチャンピオンズにおいて大会役員、スタッフ、ボランティアが『デサント』ブランドのウエアを着用し、ゴルフカテゴリーにおいてもブランドアピールを図りました。
『ルコックスポルティフ』においては、契約プロの鈴木愛プロが2019年6月に開催されたLPGAツアー「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」など7つの大会で優勝し、2年ぶり2度目の賞金女王に輝きました。
(アウトドアウェア及びその関連商品)
アウトドアウェア及びその関連商品の売上高は11,471百万円(前年同期比29.5%減)となりました。
その他のトピックスとして、国内において、2020年3月に当社企業理念「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」に基づき、当社が展開する各ブランドを代表するトップアスリートがアンバサダーとなり、お客様とつながる新プロジェクト、“TEAM DESCENTE(チームデサント)”プロジェクトを始動しました。今後、お客様とつながるイベントや商品開発など様々な形でプロジェクトを推進していきます。また、2020年1月にドイツで開催されたスポーツ用品の国際総合見本市「ISPOミュンヘン2020」において、『デサント』ブランドがグローバルで展開する商品「3D FOAM LAMINATION ACTIVE SHELL JACKET(スリーディーフォームラミネーションアクティブシェルジャケット)」がISPOアワードGold Winnerを受賞しました。『デサント』ブランドでのISPOアワードGold Winnerの受賞は、2017年から4年連続となります。今後もDISCが主導するユニークな開発を中心に、重点戦略の一つとして掲げている「モノを創る力」の向上に引き続き努めます。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は108,504百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,252百万円減少いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ10,035百万円減少し、68,015百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少7,826百万円、受取手形及び売掛金の減少3,870百万円、商品及び製品の増加2,714百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、40,488百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加2,839百万円によるものです。
負債合計は前連結会計年度末に比べ999百万円減少し、36,311百万円となりました。これは主に未払法人税等の減少1,144百万円、長期借入金の減少3,838百万円、リース債務の増加3,049百万円によるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ6,252百万円減少し、72,193百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少4,442百万円、その他有価証券評価差額金の減少365百万円、為替換算調整勘定の減少1,388百万円によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、1.3%減の66.5%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7,670百万円減少し、19,559百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,371百万円の収入超過(前連結会計年度は11,137百万円の収入超過)となりました。これは減少要因として税金等調整前当期純損失1,184百万円となったこと、法人税等の支払額1,517百万円、たな卸資産の増加額3,922百万円がありましたが、減価償却費6,270百万円の計上、減損損失773百万円などの増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,949百万円の支出超過(前連結会計年度は8,267百万円の支出超過)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,040百万円、無形固定資産の取得による支出1,531百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出2,481百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、4,128百万円の支出超過(前連結会計年度は2,136百万円の支出超過)となりました。これは主に配当金の支払額1,960百万円、リース債務の返済による支出2,502百万円によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株式終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループは、生産の状況について、セグメントごとの製品の製造場所等から判断し、日本が大半を占めており、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(b) 受注状況
原則として受注生産は行っておりません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は108,504百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,252百万円減少いたしました。減少の主な要因は、流動資産の減少です。
流動資産は前連結会計年度末に比べ10,035百万円減少し、68,015百万円となりました。このうち為替による減少額1,555百万円あり、実質8,481百万円の減少となります。これは主に、現金及び預金の減少7,826百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、40,488百万円となりました。これは為替による減少額910百万円を除くと実質3,693百万円の増加となります。これは主に、IFRS16号適用によるリース使用権資産の増加による有形固定資産の増加2,839百万円と、『マンシングウェア』および『イノヴェイト』の日本・韓国・中国での商標権取得による1,009百万円の増加を含む無形固定資産の増加によるものです。
(負債の部)
負債合計は前連結会計年度末に比べ999百万円減少し、36,311百万円となりました。これは為替による減少額661百万円を除くと実質338百万円の減少となります。IFRS16号適用等によりリース債務が4,848百万円増加した一方で、韓国の業績悪化に伴う課税所得の減少を含む未払法人税等の1,145百万円の減少、主にPEDES INVESTMENTS LTD.他グループ子会社4社の株式売却等に伴う長期借入金3,838百万円の減少によるものです。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ6,252百万円減少し、72,193百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少4,442百万円、期末レートの円高による為替換算調整勘定の減少1,388百万円によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、1.3%減の66.5%となりました。
(b)経営成績の分析
当社グループは、2019年8月に公表いたしました中期経営計画「D-Summit 2021」において、“モノづくりの強化”、“アジアへの集中”、“日本事業の収益改善”という3つの重点戦略を掲げています。また、日本・韓国・中国の3市場に経営資源を集中し、単年ごとの定量目標を据えて事業を推進しています。
しかし、2020年3月期の実績は、当初の目標からは売上高で194億円、営業利益で76億円、経常利益で77億円、親会社株主に帰属する当期純利益で77億円減の乖離となりました。
売上高の減少、特別損益の計上、繰延税金資産の取り崩しの3点がその乖離要因です。
売上高をセグメント別で見ると、アジアでは、上半期は順調に推移したものの、韓国で2019年7月から始まった日本製品不買運動の影響を受け、下半期で主力ブランドである『デサント』『ルコックスポルティフ』ブランドで当初目標の売上高794億円から122億円減少し、642億円となりました。日本では、直営店およびEコマースの売上高は増加しましたが、第3四半期以降暖冬および新型コロナウィルス感染症の拡大による入国制限などによるインバウンド需要の低迷、3月末からの直営店の休業を受け当初目標の610億円から43億円減少し、567億円となりました。上記売上高の減少により、売上総利益が113億円減少、売上減少に伴う販売手数料の減少および広告販促費の削減等により販管費を40億円削減しましたが、売上総利益の落ち込みをカバーできず、営業利益も減少しました。
持分法適用関連会社であるDESCENTE CHINA HOLDING LTD.(以下「デサントチャイナ」)が事業を展開する中国での『デサント』ブランドは、前年比+70%と大きく伸張し売上高137億円となり、同社は、当初の計画より1年早く黒字化を達成しました。持分法適用関連会社全体では、デサントチャイナが牽引し、持分法による投資利益は前年対比+2.1億円の3.2億円となりましたが、支払利息や店舗撤退に関する費用等により営業外費用が6.2億円増加したこともあり、経常利益も当初計画から大きく乖離しました。
継続的に損失を計上していた欧米セグメントにおいては、北米で『デサント』ブランドの直営店舗展開をめざしていた連結子会社であるDESCENTE NORTH AMERICA INC.およびDESCENTE ATHLETIC AMERICAS INC.の事業休止及び清算手続きを開始し、欧州同様の卸売中心のビジネスに変更することにしました。また、2015年に子会社化した『イノヴェイト』ブランドを展開するINOVEIGHTグループは販売不振が続いていたため、当社が保有していた株式を売却し、日本・韓国・中国での商標権保有に基づく事業展開に切り替えました。清算に伴う事業整理損および株式売却損などによる特別損失を18億円計上および繰延税金資産の取り崩しに伴う税金費用の増加などの結果、当期は純損失24億円となりました。
韓国での不買運動など予想しきれない外部環境の変化があったとはいえ、日本でも売上を落とすなどカバーすることができず、中期経営計画の初年度における計画からの大幅な乖離および18年ぶりの赤字決算という結果を非常に重く受け止めております。
2020年3月期は厳しい結果にはなりましたが、一定の成果もありました。中期経営計画「D-Summit 2021」で示したように、日本・韓国・中国での三本柱経営の実現に向け、同エリアへリソースを集中するために、欧米で事業拠点を設置したビジネスからは撤退し、固定費の負担、在庫を抱えるなどの赤字リスクを減らすことが出来ました。2020年5月には、中国での成長の鍵を握る「デサントチャイナ」の再編を発表しました。同社の更なる成長・利益拡大のために、同社が中国における『デサント』ブランドの商標権を保有して事業展開を担い、当社は出資持ち分比率を現状の30%から40%に引き上げることで当社の利益を増加させる道筋を作りました。日本においては、収益率向上のための自主管理店舗の売上拡大を目指しています。オフラインでは2020年4月で直営店を新たに4店舗開店し、5月末現在で57店の直営店展開となりました。オンラインでも自社Eコマース売上拡大のためのインフラ整備やお客様とのコミュニケーションツールの拡充などの施策を実施し、売上は継続的に前年対比2桁成長を続けました。
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウィルスの感染拡大により見通しが不透明であるため、現時点では未定です。今後合理的な見積もりが可能となった時点で、速やかに公表いたします。なお、外出自粛等による需要の減少は続くため、感染拡大前の水準まで需要が回復するには翌連結会計年度の一定期間にわたり当該影響が継続すると想定しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、店舗等への設備投資、商標権の取得、子会社への増資等によるものであります。また、必要な運転資金及び設備投資につきましては、自己資金または銀行借入により調達するものとしております。
なお、新型コロナウィルスの影響が資金繰りに波及することを防ぐため、2020年5月、取引銀行4行と新規に借入枠設定の契約を締結いたしました。これにより十分な運転資金が確保でき、資金繰り面についての懸念を払拭しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針については、「「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積もりについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(退職給付債務)
当社グループには、従業員の退職給付に備えるため、確定給付制度を採用し当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している会社が存在します。確定給付制度の計算に用いる数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率、昇給率等の様々な計算基礎があります。そのため、経営環境の著しい変化等により、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、有形固定資産、商標権などの固定資産を保有しております。有形固定資産及び商標権等のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損した当該金額を減損損失として計上することとなります。そのため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失が発生する可能性があります
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は124,561百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益は379百万円(前年同期比95.2%減)、経常利益は456百万円(前年同期比94.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,481百万円(前年同期は3,944百万円の当期純利益)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は124,561百万円(前年同期比12.6%減)となり、前連結会計年度に比べて17,882百万円減少いたしました。売上高が減少した主な要因は、日本で新型コロナウィルス感染拡大の影響によりインバウンドを含む購買が減少したこと、韓国で2019年7月からの不買運動により『デサント』をはじめとする各ブランドの売上高が大幅に減少したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は379百万円(前年同期比95.2%減)となり、前連結会計年度に比べて7,556百万円減少いたしました。営業利益が減少した主な理由は、上記の日本での新型コロナウィルスや韓国での不買運動による売上総利益の減少を販管費の削減でカバーできなかったことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は、受取利息326百万円、持分法投資利益328百万円などにより978百万円、営業外費用は、支払利息291百万円などにより901百万円となりました。特別損失は、減損損失773百万円、北米・欧州事業撤退による子会社株式売却損607百万円などにより1,815百万円となり、以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は2,481百万円(前年同期3,944百万円の当期純利益)となり、前連結会計年度に比べて6,425百万円減少いたしました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、主要な在外子会社の決算期が12月であることから、アジア及び欧米セグメントの業績において、新型コロナウィルス感染拡大の影響は含まれておりません。
(日本)
日本での売上高は56,793百万円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益は396百万円(前年同期比81.5%減)となりました。暖冬の影響により冬物の売上が減速したことに加え、2020年3月は、新型コロナウィルス感染拡大の影響によりインバウンドを含む購買が減少したため、日本全体で売上高は前年を下回りました。国内の収益率改善のため、自主管理店舗の売上拡大を目指しており、直営店および自社Eコマースの売上高は前年を大きく上回るも、まだ規模が小さく、卸売での粗利減少に伴い、利益は前年を大きく下回りました。アスレチックカテゴリーにおいては『デサント』『アリーナ』は堅調に推移しましたが、『ルコックスポルティフ』『アンブロ』は苦戦しました。ゴルフカテゴリーにおいては『デサント』が好調に推移しましたが、その他のブランドは百貨店での売上減少等により苦戦しました。
(アジア)
アジアでの売上高は64,257百万円(前年同期比18.9%減)、セグメント利益は650百万円(前年同期比89.9%減)となりました。中国では持分法関連会社が展開する『デサント』の売上が順調に拡大しています。韓国においては2019年7月からの不買運動の影響により、『デサント』をはじめとする各ブランドの売上高は大幅な減収となりましたが、『アンブロ』は堅調に推移しています。香港においてもデモの影響により、2019年7月以降各ブランドで苦戦しました。結果、アジア全体としては韓国の減収減益の影響が大きく、売上高、利益ともに前年を下回りました。
(欧米)
欧米での売上高は3,510百万円(前年同期比1.6%減)、セグメント損失は741百万円(前年同期は765百万円のセグメント損失)となりました。DESCENTE NORTH AMERICA INC.の事業休止等が影響し、売上高は前年を下回りました。また「イノヴェイトグループ」ののれん及び無形固定資産を前年減損したことにより損失はわずかに減少しました。
取扱商品の品目別売上高の状況は次のとおりであります。
(アスレチックウェア及びその関連商品)
アスレチックウェア及びその関連商品の売上高は79,727百万円(前年同期比11.4%減)となりました。
アスレチックカテゴリーにおいては、国内で直営店の新規出店等により『デサント』が、韓国ではライフスタイル商品の売上拡大等により『アンブロ』が増収となったものの、国内、海外ともに複数ブランドが減収となり、結果、全体として売上高は前年同期より減少しました。
『デサント』においては、国内ではウィメンズカテゴリー強化の一環として女優の深田恭子さんを新たに起用し、女性をターゲットにしたブランドイメージの発信や、新たな層へのアプローチの強化を行い、ウィメンズカテゴリーの売上は前年を上回りました。2019年11月に、当社契約アスリートなどの要望を取り入れ、当社研究開発拠点「DISC」にて検証・実験を行い開発したトライアスロンシューズを発売開始したことに続き、2019年12月には日本人の足の形に合わせ、ランナー自身の足で地面を蹴る力を無駄なく、安定して推進力に変換するランニングシューズ「原点GENTEN」の発売を開始。国内ランニングシューズ市場に本格参入しました。また直営店である「DESCENTE BLANC」を新たに2店舗出店しました。韓国でも江南の直営店を移転し、3階建ての大きな店舗でお客様が実際に体験できるイベントを実施するなど新たな試みを始めました。中国では、南京徳基広場のグランドフロアでグローバルコレクションである”ALLTERRAIN”を展開する大規模なPOP UPショップを展開し、ブランドアンバサダーである俳優のDaniel Wu氏を招聘したイベントを実施し、更なるブランド浸透を図りました。
『ルコックスポルティフ』においては、国内では女優の池田エライザさんを新たなブランドアンバサダーとして起用し、これまでスポーツに関心がなかった、これからスポーツを始める、といった20代~30代の女性層へアプローチを行うべく、店頭やSNS等におけるプロモーションの実施や池田さんがプロデュースする商品の発売を行っております。ラグビーワールドカップにおいては、同ブランドをアジア以外で展開するルコックスポルティフ・インターナショナル社と共同でフランスラグビーナショナルチームへのユニフォームをサプライし、レプリカ商品の販売は好調に推移しました。国内では、継続してウィメンズシューズが好調で、コートシューズなどの定番モデルが着実に売上を伸ばしています。
『アリーナ』においては、韓国で2019年7月に開催された「第18回世界水泳選手権大会」(韓国・光州)ではオフィシャルスポンサーとして大会を盛り上げ、リーディングブランドとしての認知を高めました。国内では2019年10月に瀬戸大也選手(所属:ANA)等の意見を反映して開発した競泳用トップモデル水着「アルティメットアクアフォースX」を発表し、2020年1月から発売。同水着を着用した瀬戸選手が記録を更新するなどの活躍を見せたことで、前モデルよりも売上が拡大しています。
『アンブロ』においては、高い断熱効果を発揮する塗料「GAINA(ガイナ)」を国内で初めてシューズに搭載したサッカースパイクを開発するなどシューズ事業に注力しており、特にジュニアシューズが好調です。韓国では、フットボールライフスタイル商品が若者に好評で、店舗展開を拡大しています。
(ゴルフウェア及びその関連商品)
ゴルフウェア及びその関連商品の売上高は33,362百万円(前年同期比7.9%減)となりました。
ゴルフカテゴリーにおいては、国内で『デサント』が増収となったものの海外で苦戦し、結果、全体として売上高は前年同期より減少しました。
ゴルフブランド全体のトピックスとして、国内においては、株式会社ワコール(以下ワコール)との包括的業務提携の一環として、ワコールが持つ特許を活用したシルエットを綺麗に見せるゴルフ用パンツ「クロスシェイプパンツ」を複数のゴルフブランドから発売しております。また2019年9月に開催されたLPGAツアー「第50回デサントレディース東海クラシック」を東海テレビ放送株式会社と共同で主催しました。第50回となる今大会は、これまでの「マンシングウェアレディース東海クラシック」からトーナメント名を刷新し、当社が展開する6つのゴルフブランドにて大会を盛り上げました。入場者数は50年のトーナメント史上最多の約25,000人を記録するなど注目を集めました。
『デサント』においては、2019年9月に開催されたLPGAツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」にて契約プロの柏原明日架プロがキャリア初の優勝を成し遂げました。また、中国の上海で開催されたWGC-HSBCチャンピオンズにおいて大会役員、スタッフ、ボランティアが『デサント』ブランドのウエアを着用し、ゴルフカテゴリーにおいてもブランドアピールを図りました。
『ルコックスポルティフ』においては、契約プロの鈴木愛プロが2019年6月に開催されたLPGAツアー「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」など7つの大会で優勝し、2年ぶり2度目の賞金女王に輝きました。
(アウトドアウェア及びその関連商品)
アウトドアウェア及びその関連商品の売上高は11,471百万円(前年同期比29.5%減)となりました。
その他のトピックスとして、国内において、2020年3月に当社企業理念「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」に基づき、当社が展開する各ブランドを代表するトップアスリートがアンバサダーとなり、お客様とつながる新プロジェクト、“TEAM DESCENTE(チームデサント)”プロジェクトを始動しました。今後、お客様とつながるイベントや商品開発など様々な形でプロジェクトを推進していきます。また、2020年1月にドイツで開催されたスポーツ用品の国際総合見本市「ISPOミュンヘン2020」において、『デサント』ブランドがグローバルで展開する商品「3D FOAM LAMINATION ACTIVE SHELL JACKET(スリーディーフォームラミネーションアクティブシェルジャケット)」がISPOアワードGold Winnerを受賞しました。『デサント』ブランドでのISPOアワードGold Winnerの受賞は、2017年から4年連続となります。今後もDISCが主導するユニークな開発を中心に、重点戦略の一つとして掲げている「モノを創る力」の向上に引き続き努めます。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は108,504百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,252百万円減少いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ10,035百万円減少し、68,015百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少7,826百万円、受取手形及び売掛金の減少3,870百万円、商品及び製品の増加2,714百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、40,488百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加2,839百万円によるものです。
負債合計は前連結会計年度末に比べ999百万円減少し、36,311百万円となりました。これは主に未払法人税等の減少1,144百万円、長期借入金の減少3,838百万円、リース債務の増加3,049百万円によるものです。
純資産は前連結会計年度末に比べ6,252百万円減少し、72,193百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少4,442百万円、その他有価証券評価差額金の減少365百万円、為替換算調整勘定の減少1,388百万円によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、1.3%減の66.5%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7,670百万円減少し、19,559百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,371百万円の収入超過(前連結会計年度は11,137百万円の収入超過)となりました。これは減少要因として税金等調整前当期純損失1,184百万円となったこと、法人税等の支払額1,517百万円、たな卸資産の増加額3,922百万円がありましたが、減価償却費6,270百万円の計上、減損損失773百万円などの増加要因があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,949百万円の支出超過(前連結会計年度は8,267百万円の支出超過)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,040百万円、無形固定資産の取得による支出1,531百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出2,481百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、4,128百万円の支出超過(前連結会計年度は2,136百万円の支出超過)となりました。これは主に配当金の支払額1,960百万円、リース債務の返済による支出2,502百万円によるものです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
自己資本比率(%) | 64.8 | 66.3 | 67.3 | 67.8 | 66.5 |
時価ベースの自己資本比率 (%) | 116.1 | 93.0 | 108.0 | 188.9 | 88.3 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 0.6 | 1.0 | 0.5 | 0.5 | 1.1 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 136.3 | 55.7 | 135.8 | 82.5 | 8.1 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により算出しております。
2.株式時価総額は、期末株式終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループは、生産の状況について、セグメントごとの製品の製造場所等から判断し、日本が大半を占めており、重要性が乏しいため記載を省略しております。
(b) 受注状況
原則として受注生産は行っておりません。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 56,793 | 95.2 |
アジア | 64,257 | 81.1 |
欧米 | 3,510 | 98.4 |
合計 | 124,561 | 87.4 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は108,504百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,252百万円減少いたしました。減少の主な要因は、流動資産の減少です。
流動資産は前連結会計年度末に比べ10,035百万円減少し、68,015百万円となりました。このうち為替による減少額1,555百万円あり、実質8,481百万円の減少となります。これは主に、現金及び預金の減少7,826百万円によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、40,488百万円となりました。これは為替による減少額910百万円を除くと実質3,693百万円の増加となります。これは主に、IFRS16号適用によるリース使用権資産の増加による有形固定資産の増加2,839百万円と、『マンシングウェア』および『イノヴェイト』の日本・韓国・中国での商標権取得による1,009百万円の増加を含む無形固定資産の増加によるものです。
(負債の部)
負債合計は前連結会計年度末に比べ999百万円減少し、36,311百万円となりました。これは為替による減少額661百万円を除くと実質338百万円の減少となります。IFRS16号適用等によりリース債務が4,848百万円増加した一方で、韓国の業績悪化に伴う課税所得の減少を含む未払法人税等の1,145百万円の減少、主にPEDES INVESTMENTS LTD.他グループ子会社4社の株式売却等に伴う長期借入金3,838百万円の減少によるものです。
(純資産の部)
純資産は前連結会計年度末に比べ6,252百万円減少し、72,193百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少4,442百万円、期末レートの円高による為替換算調整勘定の減少1,388百万円によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、1.3%減の66.5%となりました。
(b)経営成績の分析
当社グループは、2019年8月に公表いたしました中期経営計画「D-Summit 2021」において、“モノづくりの強化”、“アジアへの集中”、“日本事業の収益改善”という3つの重点戦略を掲げています。また、日本・韓国・中国の3市場に経営資源を集中し、単年ごとの定量目標を据えて事業を推進しています。
①2020年3月期 実績 | ②2020年3月期 当初計画 | ①-② 目標対比 | |
売上高 | 124,561百万円 | 144,000百万円 | △19,439百万円 |
営業利益 | 379百万円 | 8,000百万円 | △7,621百万円 |
経常利益 | 456百万円 | 8,200百万円 | △7,744百万円 |
親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△) | △2,481百万円 | 5,300百万円 | △7,781百万円 |
しかし、2020年3月期の実績は、当初の目標からは売上高で194億円、営業利益で76億円、経常利益で77億円、親会社株主に帰属する当期純利益で77億円減の乖離となりました。
売上高の減少、特別損益の計上、繰延税金資産の取り崩しの3点がその乖離要因です。
売上高をセグメント別で見ると、アジアでは、上半期は順調に推移したものの、韓国で2019年7月から始まった日本製品不買運動の影響を受け、下半期で主力ブランドである『デサント』『ルコックスポルティフ』ブランドで当初目標の売上高794億円から122億円減少し、642億円となりました。日本では、直営店およびEコマースの売上高は増加しましたが、第3四半期以降暖冬および新型コロナウィルス感染症の拡大による入国制限などによるインバウンド需要の低迷、3月末からの直営店の休業を受け当初目標の610億円から43億円減少し、567億円となりました。上記売上高の減少により、売上総利益が113億円減少、売上減少に伴う販売手数料の減少および広告販促費の削減等により販管費を40億円削減しましたが、売上総利益の落ち込みをカバーできず、営業利益も減少しました。
持分法適用関連会社であるDESCENTE CHINA HOLDING LTD.(以下「デサントチャイナ」)が事業を展開する中国での『デサント』ブランドは、前年比+70%と大きく伸張し売上高137億円となり、同社は、当初の計画より1年早く黒字化を達成しました。持分法適用関連会社全体では、デサントチャイナが牽引し、持分法による投資利益は前年対比+2.1億円の3.2億円となりましたが、支払利息や店舗撤退に関する費用等により営業外費用が6.2億円増加したこともあり、経常利益も当初計画から大きく乖離しました。
継続的に損失を計上していた欧米セグメントにおいては、北米で『デサント』ブランドの直営店舗展開をめざしていた連結子会社であるDESCENTE NORTH AMERICA INC.およびDESCENTE ATHLETIC AMERICAS INC.の事業休止及び清算手続きを開始し、欧州同様の卸売中心のビジネスに変更することにしました。また、2015年に子会社化した『イノヴェイト』ブランドを展開するINOVEIGHTグループは販売不振が続いていたため、当社が保有していた株式を売却し、日本・韓国・中国での商標権保有に基づく事業展開に切り替えました。清算に伴う事業整理損および株式売却損などによる特別損失を18億円計上および繰延税金資産の取り崩しに伴う税金費用の増加などの結果、当期は純損失24億円となりました。
韓国での不買運動など予想しきれない外部環境の変化があったとはいえ、日本でも売上を落とすなどカバーすることができず、中期経営計画の初年度における計画からの大幅な乖離および18年ぶりの赤字決算という結果を非常に重く受け止めております。
2020年3月期は厳しい結果にはなりましたが、一定の成果もありました。中期経営計画「D-Summit 2021」で示したように、日本・韓国・中国での三本柱経営の実現に向け、同エリアへリソースを集中するために、欧米で事業拠点を設置したビジネスからは撤退し、固定費の負担、在庫を抱えるなどの赤字リスクを減らすことが出来ました。2020年5月には、中国での成長の鍵を握る「デサントチャイナ」の再編を発表しました。同社の更なる成長・利益拡大のために、同社が中国における『デサント』ブランドの商標権を保有して事業展開を担い、当社は出資持ち分比率を現状の30%から40%に引き上げることで当社の利益を増加させる道筋を作りました。日本においては、収益率向上のための自主管理店舗の売上拡大を目指しています。オフラインでは2020年4月で直営店を新たに4店舗開店し、5月末現在で57店の直営店展開となりました。オンラインでも自社Eコマース売上拡大のためのインフラ整備やお客様とのコミュニケーションツールの拡充などの施策を実施し、売上は継続的に前年対比2桁成長を続けました。
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウィルスの感染拡大により見通しが不透明であるため、現時点では未定です。今後合理的な見積もりが可能となった時点で、速やかに公表いたします。なお、外出自粛等による需要の減少は続くため、感染拡大前の水準まで需要が回復するには翌連結会計年度の一定期間にわたり当該影響が継続すると想定しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、店舗等への設備投資、商標権の取得、子会社への増資等によるものであります。また、必要な運転資金及び設備投資につきましては、自己資金または銀行借入により調達するものとしております。
なお、新型コロナウィルスの影響が資金繰りに波及することを防ぐため、2020年5月、取引銀行4行と新規に借入枠設定の契約を締結いたしました。これにより十分な運転資金が確保でき、資金繰り面についての懸念を払拭しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針については、「「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積もりについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(退職給付債務)
当社グループには、従業員の退職給付に備えるため、確定給付制度を採用し当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上している会社が存在します。確定給付制度の計算に用いる数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率、昇給率等の様々な計算基礎があります。そのため、経営環境の著しい変化等により、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、有形固定資産、商標権などの固定資産を保有しております。有形固定資産及び商標権等のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損した当該金額を減損損失として計上することとなります。そのため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失が発生する可能性があります