有価証券報告書-第128期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:31
【資料】
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【項目】
162項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 当連結会計年度の概況
当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症対策の緩和による各国の経済活動の正常化や資源価格の落ち着き、個人消費の増加などによって世界経済は引き続き回復傾向にありました。世界経済の先行きも、中東情勢などの地政学的リスクの高まりはあるものの、インフレーション率の鈍化や金融緩和の動きが見え始めたことによって、底堅さを示しはじめました。
このような状況のなか、当社グループの総合エンジニアリング事業の海外マーケットにおいて、エネルギーソリューションズ分野(石油精製、石油化学・化学、ガス処理、LNG等)では、エネルギー安全保障と低・脱炭素化の両立の観点から、環境負荷が比較的少ない天然ガス(液化天然ガス(LNG)を含む)の需要は引き続き高く、産油・産ガス諸国において新設のみならず既設プラントの増設・改造などの設備投資計画が進展しました。サステナブルソリューションズ分野(水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)、スペシャリティケミカル、ケミカルリサイクル、グリーンケミカル等)では、低・脱炭素化に向けた各国の政策や支援が後押しし、水素・燃料アンモニア、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage : CO2の回収・貯留)、合成メタン(e-methane)などの領域において、実現に向けた計画検討が前進するなどしました。ファシリティソリューションズ分野(半導体、蓄電池、データセンター、発電、受入基地、医薬、医療、水処理、鉄道等)では、デジタル社会の進展や米国の対中政策等に伴い需要が高まる半導体材料や、蓄電池部材、データセンターなど、デジタル産業を支えるインフラ施設や関連施設の設備投資計画が北米やアジアなどを中心に着実に進展しました。
また、同事業の国内マーケットにおいて、ライフサイエンス分野の設備投資計画が堅調に進んだほか、グリーンイノベーション基金や長期脱炭素電源オークションなど日本政府の政策が追い風となり、SAFや水素、蓄電池といった低・脱炭素分野や資源循環分野における設備投資計画が進展しました。
このように国内外で様々な設備投資計画が進展する一方で、金利上昇や建設費用等の増加により、顧客の初期投資費用が増加傾向にあったことなどから、一部の顧客において投資決定時期を2024年度以降に先送りする動きがありました。
機能材製造事業においては、触媒・ファインケミカル分野では、触媒製品は世界経済の回復傾向を受けて顧客の製品需要は堅調に推移したものの、ファインケミカル製品は供給過剰に伴う顧客の在庫調整により、半導体やエレクトロニクス向け製品は厳しい事業環境となりました。ファインセラミックス分野では、半導体関連市場における景気停滞が続いたものの、電気自動車向けのパワー半導体関連製品は、自動車のEV化の加速により引き続き需要が拡大しました。
また、総合エンジニアリング事業において、第3四半期連結会計期間に損失を計上したタイの化学プラント建設プロジェクトにおいて、設計及び調達業務の進捗状況から配管材料調達コスト及び遅延対応費用を追加で見込む必要が生じました。また、主要な海外プロジェクトの進捗状況に照らして今後の遂行計画及び実行予算について集中的な再検討を行い、最近の設計業務における配員状況や中東での資機材の需給逼迫による納期遅延といった当連結会計年度の採算悪化に影響を及ぼしている事業環境を考慮し、必要と判断されるリスク対応費用を追加的に見込むことといたしました。その結果、サウジアラビアにおける石油・ガス関連案件において損失引当を行ったほか、海外子会社において追加損失計上及び新たに1件の損失引当を行うこととなり、当社グループの当連結会計年度の業績等については、以下のとおりとなりました。
経営成績
当連結会計年度
(百万円)
前年同期増減率
(%)
売上高832,59537.2
営業損失(△)△18,995-
経常利益358△99.3
親会社株主に帰属する
当期純損失(△)
△7,830-


受注高
地域当連結会計年度
(百万円)
割合
(%)
海外158,67944.7
国内196,47155.3
合計355,151100.0

当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正及び契約金額の修正・変更等を加え、1兆2,534億円となりました。
なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,035億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ640億69百万円の増加となりました。これは主に受取手形・営業債権及び契約資産等が589億73百万円増加したことによるものです。固定資産は1,887億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ151億円の増加となりました。これは主に有形固定資産が121億76百万円、無形固定資産が23億3百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は7,922億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ791億69百万円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,507億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ785億30百万円の増加となりました。これは主に支払手形・工事未払金等が573億3百万円増加したことによるものです。固定負債は536億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ107億34百万円の増加となりました。これは主に社債が100億円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は4,044億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ892億65百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,878億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ100億95百万円の減少となりました。これは主に配当などにより利益剰余金が91億42百万円減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は48.7%(前連結会計年度末は55.7%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較し82億48百万円減少し、3,245億7百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益28億9百万円に加え、売上債権及び契約資産や仕入債務など運転資本の増減などにより、結果として110億90百万円の増加(前連結会計年度は1,107億69百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより202億1百万円の減少(前連結会計年度は114億71百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより88億94百万円の減少(前連結会計年度は612億88百万円の減少)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ⅰ)生産実績
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
総合エンジニアリング事業--
機能材製造事業46,928107.5
報告セグメント計46,928107.5
その他の事業--
合計46,928107.5

(注)金額は販売価格によっております。
ⅱ)受注実績
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
総合エンジニアリング事業293,88735.7
機能材製造事業53,589112.3
報告セグメント計347,47739.9
その他の事業7,674108.6
合計355,15140.4

ⅲ)売上実績
セグメントの名称当連結会計年度(百万円)
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
総合エンジニアリング事業773,106140.2
機能材製造事業52,012108.9
報告セグメント計825,119137.7
その他の事業7,47599.5
合計832,595137.2

(注)売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、以下のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
売上高(百万円)割合(%)売上高(百万円)割合(%)
サウスリファイナリーズ社93,60315.4169,06620.3
LNGカナダ社171,41928.2127,37415.3

(参考)受注高、売上高及び受注残高
(単位:百万円)
区分前連結会計年度末受注残高当連結会計年度
受注高
当連結会計年度
売上高
当連結会計年度末受注残高
総合エンジニアリング事業1,563,459293,887773,1061,243,957
国内
エネルギートランジション関係
石油・ガス関係8,66321,31324,2095,766
LNG関係01212-
化学関係24,13619,51030,12613,496
クリーンエネルギー関係134,28427,42664,14697,469
その他3,3262,0034,703472
170,41070,265123,199117,204
ヘルスケア・ライフサイエンス関係67,62277,35759,34885,414
産業・都市インフラ関係1389,0391,7767,401
その他15461269024
国内計238,326157,273185,015210,045
海外
エネルギートランジション関係
石油・ガス関係739,09845,929298,133570,862
LNG関係376,01847,085203,615270,722
化学関係183,93624,09761,513170,243
クリーンエネルギー関係2,06811,1133,6759,517
その他6,4697274,7542,897
1,307,590128,953571,6921,024,243
ヘルスケア・ライフサイエンス関係17,2242,86713,3927,570
産業・都市インフラ関係3184,0562,5131,855
その他-737492242
海外計1,325,132136,614588,0911,033,912
機能材製造事業7,03653,58952,0128,660
その他の事業5977,6747,475835
合計1,571,093355,151832,5951,253,452

(注)1.総合エンジニアリング事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額159,716百万円を含んでおります。
2.機能材製造事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額46百万円を含んでおります。
3.その他の事業の「当連結会計年度末受注残高」は、当連結会計年度における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額38百万円を含んでおります。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 当連結会計年度の概況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,325億95百万円(前期比37.2%増)、営業損失189億95百万円(前期は営業利益366億99百万円)、経常利益3億58百万円(前期比99.3%減)、親会社株主に帰属する当期純損失78億30百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益306億65百万円)となりました。
売上高は、海外及び国内プロジェクトの順調な進捗によって前連結会計年度と比較して増収となったものの、営業利益は、総合エンジニアリング事業の国内外プロジェクトでの採算悪化により売上原価が増大したことで営業損失となりました。経常利益は、金利上昇の影響を受け、受取利息の増加があったものの、プロジェクト採算悪化による売上総利益減少の影響を吸収しきれず、前連結会計年度と比較して減益となりました。外国税額の増加に加え損益悪化した海外子会社の税負担増加により、当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失を計上することとなりました。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
総合エンジニア
リング事業
(百万円)
前年同期
増減率
(%)
機能材製造事業
(百万円)
前年同期
増減率
(%)
その他の事業
(百万円)
前年同期
増減率
(%)
売上高773,10640.252,0128.97,475△0.5
営業利益又は営業損失(△)△22,094-7,2511.12,01012.6

総合エンジニアリング事業
総合エンジニアリング事業においては、海外では中東での製油所近代化プロジェクトや北米での大型LNGプロジェクト、国内ではライフサイエンス関連プロジェクトやバイオマス発電プロジェクトの進捗が順調に伸びたこと、また期末に向けて円安が進行したことにより、売上高は前連結会計年度と比較して増収となりましたが、国内外のプロジェクトで追加費用やリスク対応費用を見込んだことなどにより採算が悪化しセグメント損失となりました。
機能材製造事業
触媒分野においては、FCC触媒、水素化処理触媒を中心に原燃材料高騰の影響を一部販売価格へ転嫁できたこと、海外顧客への販売量の増加及び円安の影響により増収となりました。ファインケミカル分野においては、半導体やエレクトロニクス市場における在庫調整が継続しており減収となりました。ファインセラミックス分野においては、半導体関連市場の需要の低迷が継続する一方で、電気自動車やハイブリッド車向け高熱伝導窒化ケイ素基板の需要は引き続き旺盛で増収となりました。セグメント利益は変動費の削減や生産性向上を積極的に進めたものの、半導体関連需要低迷の継続、生産設備増強に伴う減価償却費負担の増加等により、前連結会計年度からほぼ横ばいとなりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、金利上昇による受取利息の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローが110億90百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に土地やソフトウェア等の有形固定資産、無形固定資産の取得による支出により202億1百万円の減少となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により88億94百万円の減少となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末から82億48百万円減少し3,245億7百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
(資金需要)
総合エンジニアリング事業は、キャッシュ・フローや採算の変動が大きく、プロジェクトの安定的な遂行のために十分な運転資金を必要としております。機能材製造事業では、主として製造設備の拡張・更新のための設備投資を効率的かつ継続的に行っております。また、中期経営計画「BSP2025」において計画している戦略投資を進めてまいります。
(資金調達)
当社グループは、資金需要に対して、営業活動によるキャッシュ・フローから得た資金及び手元資金に加え、状況に応じて有利子負債などによる調達資金を充当しております。有利子負債は、金融市場の環境等を鑑み、社債発行や金融機関からの借入など最適な手段によることとしております。当年度は、中期経営計画「BSP2025」における重点戦略である「高機能材製造事業の拡大」及び「将来の成長エンジンの確立」に係る新規の投資及びプロジェクトを推進するための資金調達手段として100億円のグリーンボンドを発行いたしました。なお、当社は株式会社日本格付研究所から信用格付を取得しており、報告書提出時点において長期発行体格付がA+、コマーシャルペーパー格付がJ-1となっております。
(財務戦略)
当社グループは、顧客からの信頼獲得及び長期にわたる大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、短期的な市場動向に左右されない強固な財務基盤を維持するとともに、戦略投資に対する機動的な資金調達余力を確保するため、自己資本比率については50%以上を安定的に維持することを目標としております。また、市場混乱時にも事業を継続するために十分な流動性を常時確保する方針としており、手元資金に加え取引金融機関とのコミットメントライン契約未使用枠300億円を有しております。手元資金については、効率的な運用・配分を実現するため、グループ内のキャッシュ・マネジメントの最適化に取組んでおります。当社は、戦略投資に機動的に対応しつつ強固な財務基盤を維持するとともに株主還元を着実に実施し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
(株主還元)
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。具体的な株主還元方針の内容については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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