有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 当連結会計年度の概況
当連結会計年度において、当社グループは、企業価値のさらなる向上という目的を確実に、かつスピード感をもって達成するために、複数の事業から安定的かつ確実な収益をあげる企業グループを目指し、2019年10月1日をもって持株会社体制へ移行いたしました。
総合エンジニアリング事業の海外オイル&ガス分野(石油精製、石油化学、ガス処理、LNG等)では、産油・産ガス諸国において、大型LNGや製油所新設案件を中心に複数の設備投資計画が予定されていました。また、同事業の海外インフラ分野(発電、非鉄、医薬、医療等)においても、人口増加と経済成長を背景にアジア地域を中心に、再生可能エネルギー発電をはじめとする設備投資計画の実施が期待されておりました。しかしながら、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」という。)の世界的な感染拡大の影響により、世界経済が減速し、加えてサウジアラビアやロシアが原油増産に転じ原油価格が急落したことで、顧客の設備投資計画の一部が先送りされるなど、市場環境は不透明な状況となりました。
同事業の国内分野においては既存製油所の改修・保全、化学関連設備の新設のほか、再生可能エネルギー発電やライフサイエンス分野で継続的な設備投資が実施されました。
一方、現在国内外で遂行中のプロジェクトは、総じて順調に進捗しておりました。しかしCOVID-19の感染拡大によって、人の移動、物の輸送が制約され、機器等の製作や建設工事に遅れが生じる可能性が高まりました。
機能材製造事業では、触媒分野は、FCC触媒、ケミカル触媒および環境保全触媒の販売が順調に推移いたしましたが、ファインケミカル分野・ファインセラミックス分野は、米中貿易摩擦の長期化による機能性塗料材の輸出減速や、中国での5G普及の遅れによる半導体メーカーの設備投資先送り等の影響を受け、市場全体で調整局面が続き、製品受注は、低調に推移いたしました。
なお、当社グループは、COVID-19の感染拡大の防止に努め、当社グループ社員をはじめとする関係者の安全に配慮して事業を遂行してまいりました。
以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、以下のとおりとなりました。総合エンジニアリング事業では、一部の遂行中のプロジェクトにおけるCOVID-19の感染拡大による工事遅延等の影響を織り込んでおります。機能材製造事業では、COVID-19の感染拡大による影響は軽微でありました。
経営成績
受注高
この結果、当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正および契約金額の修正・変更を加え、9,416億円となりました。
なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,379億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億92百万円の減少となりました。これは主に現金預金が1,010億57百万円増加したものの、受取手形及び完成工事未収入金が874億6百万円、未収入金が94億71百万円減少、短期貸付金が35億92百万円減少、流動資産その他に含まれる仮払金が34億57百万円減少したことによるものであります。固定資産は1,333億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ337億89百万円の減少となりました。これは主に投資その他の資産が282億81百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は6,712億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ375億81百万円の減少となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,283億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億26百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び工事未払金が238億52百万円減少したものの、1年内償還予定の社債が200億円、未成工事受入金が91億23百万円増加したことによるものであります。固定負債は519億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ230億37百万円の減少となりました。これは主に社債が200億円、長期借入金が36億2百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,802億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ182億11百万円の減少となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,909億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ193億70百万円の減少となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益41億17百万円を計上した一方、配当金の支払い71億90百万円、その他有価証券評価差額金が50億33百万円減少、為替換算調整勘定が125億22百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は58.2%(前連結会計年度末は57.7%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し新規連結に伴う増加7億31百万円を含め、1,010億57百万円増加し、2,618億98百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の259億43百万円に加え、売上債権の減少などにより、結果として924億42百万円の増加(前連結会計年度は552億59百万円の減少)となりました。
投資活動による資金は、投資有価証券の売却による収入などにより、193億64百万円の増加(前連結会計年度は 46億62百万円の減少)となりました。
財務活動による資金は、配当金の支払いなどにより76億99百万円の減少(前連結会計年度は138億78百万円の減少)となりました。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりとなりました。
(注)自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
*各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。
*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
*キャッシュ・フローがマイナスの期におけるキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「-」で表示している。
③ 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」に記載している諸数値には消費税等を含めておりません。
i)生産実績
(注)金額は販売価格によっている。
ⅱ)受注実績
ⅲ)売上実績
(注)完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりである。
(参考)連結ベースの受注高、売上高および受注残高 (単位:百万円)
(注)1.総合エンジニアリング事業およびその他の事業の「前連結会計年度末受注残高」は当連結会計年度の為替変動
による修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。 (単位:百万円)
2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 当連結会計年度の概況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高4,808億9百万円(前期比22.4%減)、営業利益202億34百万円(前期比13.0%減)、経常利益223億67百万円(前期比30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益41億17百万円(前期比82.8%減)となりました。また、ROEは1.0%となりました。
売上高は、総合エンジニアリング事業において、複数の大型LNGプラント建設プロジェクトが前連結会計年度で完工したこと等により、減少しました。営業利益は、売上高の減少に伴い前連結会計年度と比較して減少しました。経常利益は、円高の影響を受け為替差損を計上したほか、ジョイントベンチャーパートナーへの貸付金に対する貸倒引当金繰入額の計上により、前連結会計年度と比較して減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、一部海外案件において外国税額が増加したこと等で実効税率が上昇した結果、前連結会計年度と比較して減少しました。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
総合エンジニアリング事業
総合エンジニアリング事業の売上高は、原油価格の低迷によって2015年度から2017年度までのプラント市場が縮小し、この期間の受注が低調であったことに加えて、大きな売上高を計上していたオーストラリアおよびロシアの両大型LNGプラント建設プロジェクトが前連結会計年度で完工したため、前連結会計年度と比較して減少しました。セグメント利益は、国内外で遂行中のプロジェクトにおいて、順調な進捗により採算が改善しましたが、売上高が減少したこと、およびCOVID-19の感染拡大による影響を受注工事の採算に織り込んだこと等により、前連結会計年度と比較して減少しました。なお、当連結会計年度におけるCOVID-19の感染拡大に伴う受注工事およびその採算への影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
機能材製造事業
機能材製造事業では、ファインケミカル分野は、機能性塗料材等の輸出が、米中貿易摩擦等の影響により減速しました。ファインセラミックス分野においては、中国での5G普及の進捗が当初の見込みを下回り、光通信関連部品および半導体関連の成膜・エッチング装置用部品の受注が低調となりました。一方、触媒分野は、FCC触媒、ケミカル触媒および環境保全触媒が順調に推移しました。この結果、売上高は前連結会計年度と比較して微増となりました。セグメント利益については、ファインケミカル分野の売上減少によって、前連結会計年度と比較して減少しました。なお、当連結会計年度において、COVID-19の感染拡大が機能材製造事業の業績に与える影響は軽微でありました。
当社グループのメインビジネスである総合エンジニアリング事業の海外オイル&ガス分野は、受注環境がボラティリティの高い資源価格の影響を受けており、当社グループの業績は不安定なものとなってきました。当社グループが持続的な成長を図っていくためには、海外オイル&ガス分野に加え、他の分野や事業でも確実に収益を上げていく体制を早急に構築することが必要であり、加えて、外部環境の変化にスピーディーに対応していく必要があると考えております。
当社グループは、常に最適な事業ポートフォリオを追求していくためのプラットフォームである持株会社体制のもとで、海外オイル&ガス、海外インフラ、国内の3分野による総合エンジニアリング事業と機能材製造事業による複数の事業を通じて持続的な成長を図ってまいります。さらに、世界的な課題である環境問題の解決に貢献し、拡大する環境ビジネス市場に対応していくことは、当社グループが持続的な成長を図る上で重要な機会であると認識し、グループ全体で環境分野にこれまで以上に注力していく方針です。
また、総合エンジニアリング事業においては、市場環境の変化を見極めながら、グループを挙げて付加価値の向上やコスト競争力の強化を推進し、優良案件の確実な受注を目指してまいります。さらに既存分野に加えて、最適な事業ポートフォリオの実現に向けた新たなビジネスの探索も進めてまいります。プロジェクト遂行手法についても、IT/IoTの活用等のデジタライゼーションを加速させる等、既存の遂行手法に捉われることなく、より一層の効率化を進めてまいります。さらに、国内分野では、低炭素・脱炭素社会の実現、および課題先進国日本に貢献することを念頭に事業を推進していくとともに、国内で開拓した新規事業を海外に展開していくというインキュベーターとしての役割を担っていくことを目指してまいります。
機能材製造事業については、グループの中核事業の一つとして位置付け、最適な経営資源配分を行いつつ、次世代の社会・産業に貢献しうる技術開発の促進、高機能材の提供を推進してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フローが大幅な増加となり、流動性が改善しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、厳しい契約条件となっている複数の海外プロジェクトにおける入金の進展および大型プロジェクトの完工に伴い当該プロジェクトを遂行したジョイントベンチャーからの配当が行われたこと等による売上債権の回収等が寄与し、924億42百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産への継続的な投資を実行した一方で、保有資産の見直しを行い、政策保有株式や保有意義の薄れた事業投資資産の売却を行ったことにより193億64百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金支払いにより76億99百万円の減少となりました。なお、当連結会計年度において、COVID-19の感染拡大がキャッシュ・フローに与える影響は軽微でありました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
なお、以下は、現時点のCOVID-19の感染拡大の状況が今後緩やかに改善し、翌連結会計年度末には当社グループの事業環境が正常化するとの前提に基づいております。
(資金需要)
総合エンジニアリング事業は、キャッシュ・フローや採算の変動が大きく、プロジェクトの安定的な遂行のために十分な運転資金を必要としています。機能材製造事業では、主として製造設備の拡張・更新のための設備投資を効率的かつ継続的に行っています。また、総合エンジニアリング事業におけるプロジェクト遂行の効率化等競争力向上に寄与する情報関連投資や、一層の拡大を目指す海外インフラ分野および機能材製造事業におけるM&Aを含めた成長投資に係る資金需要が見込まれます。
(資金調達)
資金需要への対応は、営業活動によるキャッシュ・フローおよび手元資金の充当によることを原則としますが、手元資金の状況および金融市場の環境等を鑑み、必要に応じて最適な手段による資金調達を行うことがあります。なお、十分な流動性を確保するために必要な手元資金の水準の維持を図ることに加え、金融市場の急激な変化に備えて取引金融機関と300億円を上限とするコミットメントライン契約を締結しておりますが、当連結会計年度末において使用残高はありません。
(財務戦略)
顧客からの信頼獲得および長期に亘る大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、短期的な市場動向に左右されない強固な財務基盤を維持するとともに、大型投資に対する機動的な資金調達余力を確保するため、自己資本比率については50%以上を安定的に維持することを目標としています。なお、株式会社日本格付研究所より格付を取得しており、報告書提出時点においての信用格付は、長期発行体格付がA+、コマーシャルペーパーがJ-1となっております。
また、持続的な企業価値向上の観点から資本効率を重要課題と認識し、ROEについては10%以上とすることを目標としています。
(株主還元)
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。株主還元については、現金配当のほか、手元資金の保有状況、株価の推移、今後の成長戦略投資の資金需要等を勘案し、自己株式の取得も検討いたします。
なお、配当政策の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(工事契約における収益の認識)
当社グループは、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準を適用しております。なお、当連結会計年度の工事進行基準による完成工事高は、380,882百万円であります。
工事進行基準における進捗率は、工事原価が工事原価総額に占める割合をもって算定しています。工事原価総額は、当社グループがこれまでEPCプロジェクト遂行で培ってきたノウハウや経験、実績を基に、経営者がその時点で最善と判断した情報に従って見積もっております。しかし、見積り後に「2 事業等のリスク」に記載しているようなリスク等が顕在化することで、工事原価総額が増加し、プロジェクトの採算が大幅に悪化する可能性があります。
なお、当連結会計年度の工事原価総額にはCOVID-19の感染拡大に伴う影響額が反映されており、その会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(工事損失引当金)
当社グループは、受注工事の損失に備えるため、当連結会計年度末の未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を引当計上しております。
工事損失引当金は、当社グループがこれまでEPCプロジェクト遂行で培ってきたノウハウや経験、実績を基に、経営者がその時点で最善と判断した情報に従って見積もっております。しかし、見積り後に「2 事業等のリスク」に記載しているようなリスク等が顕在化することで、工事原価総額が増加し、工事損失引当金の計上額が大幅に増加する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算一時差異の解消スケジュール等を基に、将来の課税所得を合理的に見積もっております。その結果、将来実現が困難と判断された繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。仮に経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、追加的な評価性引当額の計上および繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩しに伴い、損益計算書上の法人税等が増加し、当期純利益が減少します。
なお、繰延税金資産の内訳等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載しております。
(貸倒引当金)
当社グループは、完成工事未収入金や貸付金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または引当金を上回る貸倒損失が発生する可能性があります。
(退職給付債務および退職給付費用)
当社および一部の連結子会社は、確定給付型の制度として規約型確定給付企業年金制度、確定拠出型の制度として確定拠出型企業年金制度および退職一時金制度を設けております。退職給付債務および退職給付費用は、割引率、長期期待運用収益率および予想昇給率等の数理計算上の計算基礎に基づいて算出しております。割引率は、原則として、退職給付債務の見積り期間と整合する期末日時点の国債の市場利回りを参照して決定しております。長期期待運用収益率は、現在および予想される年金資産の分配と、年金資産を構成する多様な資産からの現在および将来期待される長期の収益率を考慮し、決定しております。予想昇給率は、財政再計算の基準日時点で在籍している従業員の年齢ごとの平均給与に基づき決定しております。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における長期期待運用収益率は、ともに主として1.5%です。長期期待運用収益率を0.5%変更した場合の当期の退職給付費用への影響額は以下のとおりです。
これら数理計算上の計算基礎に使用している見積りや仮定について変更があった場合、将来の退職給付債務や退職給付費用に影響を与える可能性があります。
なお、退職給付債務および退職給付費用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しております。
① 当連結会計年度の概況
当連結会計年度において、当社グループは、企業価値のさらなる向上という目的を確実に、かつスピード感をもって達成するために、複数の事業から安定的かつ確実な収益をあげる企業グループを目指し、2019年10月1日をもって持株会社体制へ移行いたしました。
総合エンジニアリング事業の海外オイル&ガス分野(石油精製、石油化学、ガス処理、LNG等)では、産油・産ガス諸国において、大型LNGや製油所新設案件を中心に複数の設備投資計画が予定されていました。また、同事業の海外インフラ分野(発電、非鉄、医薬、医療等)においても、人口増加と経済成長を背景にアジア地域を中心に、再生可能エネルギー発電をはじめとする設備投資計画の実施が期待されておりました。しかしながら、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」という。)の世界的な感染拡大の影響により、世界経済が減速し、加えてサウジアラビアやロシアが原油増産に転じ原油価格が急落したことで、顧客の設備投資計画の一部が先送りされるなど、市場環境は不透明な状況となりました。
同事業の国内分野においては既存製油所の改修・保全、化学関連設備の新設のほか、再生可能エネルギー発電やライフサイエンス分野で継続的な設備投資が実施されました。
一方、現在国内外で遂行中のプロジェクトは、総じて順調に進捗しておりました。しかしCOVID-19の感染拡大によって、人の移動、物の輸送が制約され、機器等の製作や建設工事に遅れが生じる可能性が高まりました。
機能材製造事業では、触媒分野は、FCC触媒、ケミカル触媒および環境保全触媒の販売が順調に推移いたしましたが、ファインケミカル分野・ファインセラミックス分野は、米中貿易摩擦の長期化による機能性塗料材の輸出減速や、中国での5G普及の遅れによる半導体メーカーの設備投資先送り等の影響を受け、市場全体で調整局面が続き、製品受注は、低調に推移いたしました。
なお、当社グループは、COVID-19の感染拡大の防止に努め、当社グループ社員をはじめとする関係者の安全に配慮して事業を遂行してまいりました。
以上のような取組みのもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績等については、以下のとおりとなりました。総合エンジニアリング事業では、一部の遂行中のプロジェクトにおけるCOVID-19の感染拡大による工事遅延等の影響を織り込んでおります。機能材製造事業では、COVID-19の感染拡大による影響は軽微でありました。
経営成績
| 当連結会計年度 (百万円) | 前年同期増減率 (%) | |
| 売上高 | 480,809 | △22.4 |
| 営業利益 | 20,234 | △13.0 |
| 経常利益 | 22,367 | △30.8 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 4,117 | △82.8 |
受注高
| 地域 | 当連結会計年度 (百万円) | 割合 (%) |
| 海外 | 62,458 | 32.9 |
| 国内 | 127,185 | 67.1 |
| 合計 | 189,643 | 100.0 |
この結果、当連結会計年度末の受注残高は、為替変動による修正および契約金額の修正・変更を加え、9,416億円となりました。
なお、当連結会計年度の連結財政状態の概況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,379億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億92百万円の減少となりました。これは主に現金預金が1,010億57百万円増加したものの、受取手形及び完成工事未収入金が874億6百万円、未収入金が94億71百万円減少、短期貸付金が35億92百万円減少、流動資産その他に含まれる仮払金が34億57百万円減少したことによるものであります。固定資産は1,333億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ337億89百万円の減少となりました。これは主に投資その他の資産が282億81百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は6,712億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ375億81百万円の減少となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,283億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億26百万円の増加となりました。これは主に支払手形及び工事未払金が238億52百万円減少したものの、1年内償還予定の社債が200億円、未成工事受入金が91億23百万円増加したことによるものであります。固定負債は519億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ230億37百万円の減少となりました。これは主に社債が200億円、長期借入金が36億2百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,802億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ182億11百万円の減少となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,909億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ193億70百万円の減少となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益41億17百万円を計上した一方、配当金の支払い71億90百万円、その他有価証券評価差額金が50億33百万円減少、為替換算調整勘定が125億22百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は58.2%(前連結会計年度末は57.7%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し新規連結に伴う増加7億31百万円を含め、1,010億57百万円増加し、2,618億98百万円となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の259億43百万円に加え、売上債権の減少などにより、結果として924億42百万円の増加(前連結会計年度は552億59百万円の減少)となりました。
投資活動による資金は、投資有価証券の売却による収入などにより、193億64百万円の増加(前連結会計年度は 46億62百万円の減少)となりました。
財務活動による資金は、配当金の支払いなどにより76億99百万円の減少(前連結会計年度は138億78百万円の減少)となりました。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりとなりました。
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 57.6 | 57.7 | 58.2 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 85.2 | 52.4 | 32.6 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 12.2 | - | 0.6 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 12.1 | - | 600.9 |
(注)自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
*各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算している。
*有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
*キャッシュ・フローがマイナスの期におけるキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては「-」で表示している。
③ 生産、受注及び販売の実績
「生産、受注及び販売の実績」に記載している諸数値には消費税等を含めておりません。
i)生産実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 総合エンジニアリング事業 | - | - |
| 機能材製造事業 | 44,864 | 101.1 |
| 報告セグメント計 | 44,864 | 101.1 |
| その他の事業 | - | - |
| 合計 | 44,864 | 101.1 |
(注)金額は販売価格によっている。
ⅱ)受注実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 総合エンジニアリング事業 | 182,622 | 19.7 |
| 機能材製造事業 | - | - |
| 報告セグメント計 | 182,622 | 19.7 |
| その他の事業 | 7,021 | 77.3 |
| 合計 | 189,643 | 20.3 |
ⅲ)売上実績
| セグメントの名称 | 当連結会計年度(百万円) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 総合エンジニアリング事業 | 426,764 | 75.7 |
| 機能材製造事業 | 46,653 | 101.4 |
| 報告セグメント計 | 473,417 | 77.6 |
| その他の事業 | 7,392 | 80.4 |
| 合計 | 480,809 | 77.6 |
(注)完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高およびその割合は、次のとおりである。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 完成工事高 (百万円) | 割合(%) | 完成工事高 (百万円) | 割合(%) | |
| LNGカナダ社 | 10,694 | 1.7 | 81,654 | 17.0 |
(参考)連結ベースの受注高、売上高および受注残高 (単位:百万円)
| 区分 | 前連結会計年度末 受注残高 | 当連結会計年度 受注高 | 当連結会計年度 売上高 | 当連結会計年度末 受注残高 |
| 国内 | ||||
| 石油・ガス・資源開発関係 | 1,558 | 2,802 | 2,081 | 2,280 |
| 石油精製関係 | 9,579 | 15,301 | 16,802 | 8,078 |
| LNG関係 | 212 | - | - | 212 |
| 化学関係 | 43,368 | 31,919 | 34,898 | 40,389 |
| 発電・原子力・新エネルギー関係 | 84,966 | 42,202 | 60,471 | 66,697 |
| 生活関連・一般産業設備関係 | 31,413 | 19,094 | 30,629 | 19,879 |
| 環境・社会施設・情報技術関係 | 23,666 | 10,433 | 14,210 | 19,889 |
| その他 | 1,003 | 5,431 | 5,828 | 606 |
| 計 | 195,770 | 127,185 | 164,922 | 158,033 |
| 海外 | ||||
| 石油・ガス・資源開発関係 | 141,499 | 7,306 | 74,859 | 73,945 |
| 石油精製関係 | 55,854 | 13,769 | 22,581 | 47,041 |
| LNG関係 | 720,184 | 13,967 | 132,105 | 602,046 |
| 化学関係 | 61,583 | 18,782 | 24,260 | 56,105 |
| 発電・原子力・新エネルギー関係 | 6,038 | 237 | 6,119 | 156 |
| 生活関連・一般産業設備関係 | 2,549 | 2,581 | 3,499 | 1,631 |
| 環境・社会施設・情報技術関係 | 235 | 2,775 | 739 | 2,271 |
| その他 | 2,415 | 3,038 | 5,068 | 384 |
| 計 | 990,360 | 62,458 | 269,234 | 783,584 |
| 総合エンジニアリング事業 | 1,185,126 | 182,622 | 426,764 | 940,984 |
| その他の事業 | 1,004 | 7,021 | 7,392 | 633 |
| 計 | 1,186,130 | 189,643 | 434,156 | 941,618 |
| 機能材製造事業 | - | - | 46,653 | - |
| 合計 | 1,186,130 | 189,643 | 480,809 | 941,618 |
(注)1.総合エンジニアリング事業およびその他の事業の「前連結会計年度末受注残高」は当連結会計年度の為替変動
による修正および契約金額の修正・変更をそれぞれ次のとおり含んでいる。 (単位:百万円)
| 区分 | 為替変動による修正 | 契約金額の修正・変更 | 計 |
| 石油・ガス・資源開発関係 | △ 1,109 | △ 345 | △ 1,455 |
| 石油精製関係 | 662 | △ 46 | 615 |
| LNG関係 | △ 6,582 | △ 3,886 | △ 10,468 |
| 化学関係 | 115 | △ 4,352 | △ 4,236 |
| 発電・原子力・新エネルギー関係 | △ 17 | △ 4,709 | △ 4,726 |
| 生活関連・一般産業設備関係 | △ 32 | 40 | 8 |
| 環境・社会施設・情報技術関係 | △ 1 | △ 1,906 | △ 1,907 |
| その他 | △ 49 | △ 13 | △ 62 |
| 計 | △ 7,014 | △ 15,219 | △ 22,234 |
| 総合エンジニアリング事業 | △ 7,006 | △ 15,204 | △ 22,211 |
| その他の事業 | △ 8 | △ 14 | △ 22 |
2.記載金額は百万円未満を切り捨てて表示している。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 当連結会計年度の概況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高4,808億9百万円(前期比22.4%減)、営業利益202億34百万円(前期比13.0%減)、経常利益223億67百万円(前期比30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益41億17百万円(前期比82.8%減)となりました。また、ROEは1.0%となりました。
売上高は、総合エンジニアリング事業において、複数の大型LNGプラント建設プロジェクトが前連結会計年度で完工したこと等により、減少しました。営業利益は、売上高の減少に伴い前連結会計年度と比較して減少しました。経常利益は、円高の影響を受け為替差損を計上したほか、ジョイントベンチャーパートナーへの貸付金に対する貸倒引当金繰入額の計上により、前連結会計年度と比較して減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、一部海外案件において外国税額が増加したこと等で実効税率が上昇した結果、前連結会計年度と比較して減少しました。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
| 総合エンジニア リング事業 (百万円) | 前年同期 増減率 (%) | 機能材製造事業 (百万円) | 前年同期 増減率 (%) | その他の事業 (百万円) | 前年同期 増減率 (%) | |
| 売上高 | 426,764 | △24.3 | 46,653 | 1.4 | 7,392 | △19.6 |
| 営業利益 | 12,071 | △12.4 | 6,743 | △8.9 | 1,541 | △22.5 |
総合エンジニアリング事業
総合エンジニアリング事業の売上高は、原油価格の低迷によって2015年度から2017年度までのプラント市場が縮小し、この期間の受注が低調であったことに加えて、大きな売上高を計上していたオーストラリアおよびロシアの両大型LNGプラント建設プロジェクトが前連結会計年度で完工したため、前連結会計年度と比較して減少しました。セグメント利益は、国内外で遂行中のプロジェクトにおいて、順調な進捗により採算が改善しましたが、売上高が減少したこと、およびCOVID-19の感染拡大による影響を受注工事の採算に織り込んだこと等により、前連結会計年度と比較して減少しました。なお、当連結会計年度におけるCOVID-19の感染拡大に伴う受注工事およびその採算への影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
機能材製造事業
機能材製造事業では、ファインケミカル分野は、機能性塗料材等の輸出が、米中貿易摩擦等の影響により減速しました。ファインセラミックス分野においては、中国での5G普及の進捗が当初の見込みを下回り、光通信関連部品および半導体関連の成膜・エッチング装置用部品の受注が低調となりました。一方、触媒分野は、FCC触媒、ケミカル触媒および環境保全触媒が順調に推移しました。この結果、売上高は前連結会計年度と比較して微増となりました。セグメント利益については、ファインケミカル分野の売上減少によって、前連結会計年度と比較して減少しました。なお、当連結会計年度において、COVID-19の感染拡大が機能材製造事業の業績に与える影響は軽微でありました。
当社グループのメインビジネスである総合エンジニアリング事業の海外オイル&ガス分野は、受注環境がボラティリティの高い資源価格の影響を受けており、当社グループの業績は不安定なものとなってきました。当社グループが持続的な成長を図っていくためには、海外オイル&ガス分野に加え、他の分野や事業でも確実に収益を上げていく体制を早急に構築することが必要であり、加えて、外部環境の変化にスピーディーに対応していく必要があると考えております。
当社グループは、常に最適な事業ポートフォリオを追求していくためのプラットフォームである持株会社体制のもとで、海外オイル&ガス、海外インフラ、国内の3分野による総合エンジニアリング事業と機能材製造事業による複数の事業を通じて持続的な成長を図ってまいります。さらに、世界的な課題である環境問題の解決に貢献し、拡大する環境ビジネス市場に対応していくことは、当社グループが持続的な成長を図る上で重要な機会であると認識し、グループ全体で環境分野にこれまで以上に注力していく方針です。
また、総合エンジニアリング事業においては、市場環境の変化を見極めながら、グループを挙げて付加価値の向上やコスト競争力の強化を推進し、優良案件の確実な受注を目指してまいります。さらに既存分野に加えて、最適な事業ポートフォリオの実現に向けた新たなビジネスの探索も進めてまいります。プロジェクト遂行手法についても、IT/IoTの活用等のデジタライゼーションを加速させる等、既存の遂行手法に捉われることなく、より一層の効率化を進めてまいります。さらに、国内分野では、低炭素・脱炭素社会の実現、および課題先進国日本に貢献することを念頭に事業を推進していくとともに、国内で開拓した新規事業を海外に展開していくというインキュベーターとしての役割を担っていくことを目指してまいります。
機能材製造事業については、グループの中核事業の一つとして位置付け、最適な経営資源配分を行いつつ、次世代の社会・産業に貢献しうる技術開発の促進、高機能材の提供を推進してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フローが大幅な増加となり、流動性が改善しました。営業活動によるキャッシュ・フローは、厳しい契約条件となっている複数の海外プロジェクトにおける入金の進展および大型プロジェクトの完工に伴い当該プロジェクトを遂行したジョイントベンチャーからの配当が行われたこと等による売上債権の回収等が寄与し、924億42百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産への継続的な投資を実行した一方で、保有資産の見直しを行い、政策保有株式や保有意義の薄れた事業投資資産の売却を行ったことにより193億64百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金支払いにより76億99百万円の減少となりました。なお、当連結会計年度において、COVID-19の感染拡大がキャッシュ・フローに与える影響は軽微でありました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
なお、以下は、現時点のCOVID-19の感染拡大の状況が今後緩やかに改善し、翌連結会計年度末には当社グループの事業環境が正常化するとの前提に基づいております。
(資金需要)
総合エンジニアリング事業は、キャッシュ・フローや採算の変動が大きく、プロジェクトの安定的な遂行のために十分な運転資金を必要としています。機能材製造事業では、主として製造設備の拡張・更新のための設備投資を効率的かつ継続的に行っています。また、総合エンジニアリング事業におけるプロジェクト遂行の効率化等競争力向上に寄与する情報関連投資や、一層の拡大を目指す海外インフラ分野および機能材製造事業におけるM&Aを含めた成長投資に係る資金需要が見込まれます。
(資金調達)
資金需要への対応は、営業活動によるキャッシュ・フローおよび手元資金の充当によることを原則としますが、手元資金の状況および金融市場の環境等を鑑み、必要に応じて最適な手段による資金調達を行うことがあります。なお、十分な流動性を確保するために必要な手元資金の水準の維持を図ることに加え、金融市場の急激な変化に備えて取引金融機関と300億円を上限とするコミットメントライン契約を締結しておりますが、当連結会計年度末において使用残高はありません。
(財務戦略)
顧客からの信頼獲得および長期に亘る大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、短期的な市場動向に左右されない強固な財務基盤を維持するとともに、大型投資に対する機動的な資金調達余力を確保するため、自己資本比率については50%以上を安定的に維持することを目標としています。なお、株式会社日本格付研究所より格付を取得しており、報告書提出時点においての信用格付は、長期発行体格付がA+、コマーシャルペーパーがJ-1となっております。
また、持続的な企業価値向上の観点から資本効率を重要課題と認識し、ROEについては10%以上とすることを目標としています。
(株主還元)
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。株主還元については、現金配当のほか、手元資金の保有状況、株価の推移、今後の成長戦略投資の資金需要等を勘案し、自己株式の取得も検討いたします。
なお、配当政策の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(工事契約における収益の認識)
当社グループは、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準を適用しております。なお、当連結会計年度の工事進行基準による完成工事高は、380,882百万円であります。
工事進行基準における進捗率は、工事原価が工事原価総額に占める割合をもって算定しています。工事原価総額は、当社グループがこれまでEPCプロジェクト遂行で培ってきたノウハウや経験、実績を基に、経営者がその時点で最善と判断した情報に従って見積もっております。しかし、見積り後に「2 事業等のリスク」に記載しているようなリスク等が顕在化することで、工事原価総額が増加し、プロジェクトの採算が大幅に悪化する可能性があります。
なお、当連結会計年度の工事原価総額にはCOVID-19の感染拡大に伴う影響額が反映されており、その会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(工事損失引当金)
当社グループは、受注工事の損失に備えるため、当連結会計年度末の未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を引当計上しております。
工事損失引当金は、当社グループがこれまでEPCプロジェクト遂行で培ってきたノウハウや経験、実績を基に、経営者がその時点で最善と判断した情報に従って見積もっております。しかし、見積り後に「2 事業等のリスク」に記載しているようなリスク等が顕在化することで、工事原価総額が増加し、工事損失引当金の計上額が大幅に増加する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画および将来減算一時差異の解消スケジュール等を基に、将来の課税所得を合理的に見積もっております。その結果、将来実現が困難と判断された繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。仮に経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、追加的な評価性引当額の計上および繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。この場合、繰延税金資産の取崩しに伴い、損益計算書上の法人税等が増加し、当期純利益が減少します。
なお、繰延税金資産の内訳等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載しております。
(貸倒引当金)
当社グループは、完成工事未収入金や貸付金等債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、債権先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または引当金を上回る貸倒損失が発生する可能性があります。
(退職給付債務および退職給付費用)
当社および一部の連結子会社は、確定給付型の制度として規約型確定給付企業年金制度、確定拠出型の制度として確定拠出型企業年金制度および退職一時金制度を設けております。退職給付債務および退職給付費用は、割引率、長期期待運用収益率および予想昇給率等の数理計算上の計算基礎に基づいて算出しております。割引率は、原則として、退職給付債務の見積り期間と整合する期末日時点の国債の市場利回りを参照して決定しております。長期期待運用収益率は、現在および予想される年金資産の分配と、年金資産を構成する多様な資産からの現在および将来期待される長期の収益率を考慮し、決定しております。予想昇給率は、財政再計算の基準日時点で在籍している従業員の年齢ごとの平均給与に基づき決定しております。
前連結会計年度末および当連結会計年度末における長期期待運用収益率は、ともに主として1.5%です。長期期待運用収益率を0.5%変更した場合の当期の退職給付費用への影響額は以下のとおりです。
| 退職給付費用への影響額 | |
| 長期期待運用収益率:0.5%減少 | 163百万円増加 |
| 長期期待運用収益率:0.5%増加 | 163百万円減少 |
これら数理計算上の計算基礎に使用している見積りや仮定について変更があった場合、将来の退職給付債務や退職給付費用に影響を与える可能性があります。
なお、退職給付債務および退職給付費用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しております。