有価証券報告書-第73期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/25 9:02
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86項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調にあるものの、行政への信頼感が低下し国内政治の不安定性が増してきております。また、海外においても、欧米の経済は概ね順調な回復基調にありますが、北朝鮮や中東の地政学リスクの存在、英国のEU離脱問題、米国の対外政策の動向等、各国の政治が世界経済におよぼすリスクが高まっており、総じて先行きへの不透明感が強く、予断を許さない状況が続いております。
このような状況のなか、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて、853百万円増加して3,982百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加41百万円、商品及び製品の増加571百万円および原材料及び貯蔵品の増加142百万円によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて、778百万円増加して4,752百万円となりました。これは主に、建物(純額)の増加262百万円および建設仮勘定の増加434百万円によるものです。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べて、1,631百万円増加して8,735百万円となりました。
当事業年度末の流動負債は前事業年度末に比べて、697百万円増加して2,558百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加345百万円、未払金の増加110百万円および設備関係支払手形の増加132百万円によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて、773百万円増加して2,087百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加808百万円による一方で、退職給付引当金の減少63百万円によるものです。
この結果、負債合計は前事業年度末に比べて、1,471百万円増加して4,646百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて、160百万円増加して4,088百万円となりました。これは主に、当期純利益104百万円およびその他有価証券評価差額金の増加104百万円により増加する一方で、剰余金の配当により47百万円減少したためです。
この結果、自己資本比率は前事業年度末の55.3%から46.8%となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は、黄銅弁関連製品が2,786百万円(前期比3.9%増)、鉄鋼弁関連製品が1,245百万円(前期比14.7%増)、その他112百万円(前期比28.0%減)、作業屑が743百万円(前期比26.0%増)となり、合計で4,888百万円(前期比8.3%増)となりました。
黄銅弁のうち、LPガス容器用弁は新容器切替え、再検査需要低迷を背景として、売上高は1,867百万円(前期比1.9%減)となりました。一方で、LPGバルク貯槽用付属機器は550百万円(前期比22.8%増)、設備用は363百万円(前期比10.2%増)と順調に推移しました。
鉄鋼弁のうち、設備用は591百万円(前期比47.3%増)、LPGバルク貯槽用付属機器は234百万円(前期比9.5%増)、車載用は159百万円(前期比12.9%増)と、いずれも売上高が増加しましたが、船舶用は当社製品が使用されている船舶建造数の減少に伴い223百万円(前期比20.8%減)と売上高が減少しました。
損益面につきましては、LPガス容器用弁をはじめとする黄銅弁の主要原材料である黄銅材の価格が年初から上昇し材料費が高値で推移したこと、従業員の待遇改善に伴う人件費の増加、および消耗品費、荷造費等の諸掛が上昇したこと等により、収益性が圧迫され、営業利益は57百万円(前期比50.6%減)となりました。また、営業外収益に保険解約返戻金38百万円を計上したことにより経常利益は101百万円(前期比8.5%減)となり、さらに、特別利益に固定資産売却益30百万円を計上したことにより、当期純利益は104百万円(前期比47.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して45百万円増加し、当事業年度末には488百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は203百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益132百万円、仕入債務の増加額131百万円および保険解約返戻金の受取額255百万円により増加する一方で、たな卸資産の増加額730百万円により減少するものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は743百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却収入103百万円により増加する一方で、投資有価証券の取得による支出170百万円および有形固定資産の取得による支出671百万円により減少するものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は993百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額345百万円および長期借入金の借入れによる収入1,000百万円により増加する一方で、長期借入金の返済による支出290百万円および配当金の支払額47百万円により減少するものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、高圧ガス用バルブおよび関連機器類の製造、販売を主たる業務にしておりますが、製品種類別に示すと下記のとおりになります。
なお、製品の種類別情報につきましては、当事業年度から製品区分を一部変更しております。この変更に伴い、前期比につきましても変更後の区分に組み替えた数値を記載しております。
当事業年度の生産実績は、下記のとおりであります。
製品種類等当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
黄銅弁(千円)2,899,72897.6
鉄鋼弁(千円)1,207,03092.7
その他(千円)--
合計4,106,75896.1

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は、一部の製品につき受注生産を行っておりますが、基本的には需要予測に基づく見込み生産を行っておりますので記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、下記のとおりであります。
製品種類等当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
黄銅弁(千円)2,786,572103.9
鉄鋼弁(千円)1,245,499114.7
その他(千円)112,83872.0
屑売上高(千円)743,579126.0
合計4,888,490108.3

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
サンエツ金属株式会社435,7749.7561,97911.5
昌栄機工株式会社382,0698.5549,28511.2
矢崎エナジーシステム株式会社540,42212.0492,03610.1

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、期末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を行うことが必要となります。当社は、財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
見積り、判断および仮定により当社の財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は次のとおりです。
(たな卸資産)
当社は、将来推定される需要および市場状況に基づく時価の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。今後の需要または市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社は、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、期末の一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積った金額です。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、将来の回収可能性を十分に検討した上で、回収可能額を繰延税金資産として計上しております。なお、業績の動向によっては繰延税金資産の取崩が必要となる可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて、853百万円増加して3,982百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加41百万、商品及び製品の増加571百万円および原材料及び貯蔵品の増加142百万円によるものです。
(固定資産)
固定資産は、前事業年度末に比べて、778百万円増加して4,752百万円となりました。これは主に、建物(純額)の増加262百万円および建設仮勘定の増加434百万円によるものです。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べて、697百万円増加して2,558百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加345百万円、未払金の増加110百万円および設備関係支払手形の増加132百万円によるものです。
(固定負債)
固定負債は、前事業年度末に比べて、773百万円増加して2,087百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加808百万円による一方で、退職給付引当金の減少63百万円によるものです。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末に比べて、160百万円増加して4,088百万円となりました。これは主に、当期純利益104百万円およびその他有価証券評価差額金の増加104百万円により増加する一方で、剰余金の配当により47百万円減少したためです。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は、LPガス容器用弁については新容器切替え、再検査需要低迷により前年対比で減少しました。設備用弁については、前期初からの販売価格の見直し、代理店との仕切り方法の変更および納期短縮が奏功し、増加しました。LPガスバルク付属機器については、今後数年間にわたるバルク貯槽の20年再検査需要を背景に、好調に推移しました。以上により、売上高は4,888百万円(前期比8.3%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は、主要原材料の黄銅材価格が年初から上昇し材料費が高値で推移したこと、従業員の待遇改善に伴う人件費の増加、および消耗品費、荷造費等の諸掛が上昇等したこと等により、57百万円(前期比50.6%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は前期比39百万円増の63百万円、営業外費用は前期比10百万円減の19百万円となりました。これは、営業外収益については保険解約返戻金が33百万円増加したこと、営業外費用については前期において計上した製品補償費用4百万円がなかったことおよび手形売却損が3百万円減少したことによるものです。
この結果、経常利益は101百万円(前期比8.5%減)となりました。
(当期純利益)
特別利益は前期比103百万円減の33百万円、特別損失は前期比22百万円減の3百万円となりました。これは、特別利益については固定資産売却益30百万円、前期において計上した破産更生債権等に対する債権回収(貸倒引当金戻入額)71百万円がなかったこと、前期において計上した補助金収入48百万円がなかったことおよび前期において計上した役員退職慰労引当金戻入額17百万円がなかったこと、特別損失については前期において計上した事業撤退損24百万円がなかったことによるものです。
また、法人税、住民税及び事業税を29百万円計上しました。
この結果、当期純利益は104百万円(前期比47.8%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概況(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は平成26年9月8日付で中期経営計画を策定し、平成30年3月期における中期経営指標として数値目標(売上高60億円以上および営業利益率6%~8%を持続的に達成)を掲げましたが、その後の経営環境の変化により期限内での達成が困難となりました。現在これら指標を達成するための取り組みを次のとおり実施しております。しがって、数値目標はそのまま維持し、出来るだけ早期に達成するよう努めてまいります。
① LNG、水素を核とした低温弁事業の拡大
② 食品加工分野を中心とした新事業の開発
③ 海外OEM生産、外注加工部品の内製化、生産管理体制の強化による生産性向上と原価低減
(4)資本の財源及び資金の流動性
主要原材料の黄銅材、鉄鋼材、ステンレス鋼材および鉄鋼鋳鍛造品等の原材料、人件費、外注加工費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金は、自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入を基本としております。機動的かつ効率的な資金調達をすべく、取引銀行4行と当座貸越契約、取引銀行1行と特殊当座貸越契約を締結しております。
当事業年度において、LPガス容器用弁製造ラインの設備資金として金融機関から長期借入金1,000百万円の調達を実施しました。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,126百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は488百万円となっております。