有価証券報告書-第74期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/24 10:35
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123項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が進み、雇用・所得環境は緩やかな回復基調にあるものの、消費者の節約志向は根強く、また、米中貿易摩擦の長期化に伴う中国経済の減速懸念や、欧州経済の動向と政策に関する不確実性などもあり、依然として先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のなか、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて、106百万円増加して4,048百万円となりました。これは主に、商品及び製品の増加329百万円および原材料及び貯蔵品の増加173百万円による一方で、現金及び預金の減少269百万円および売掛金の減少106百万円、流動資産のうちその他の減少36百万円によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて、24百万円減少して4,768百万円となりました。これは主に、機械及び装置(純額)の増加710百万円による一方で、建設仮勘定の減少693百万円によるものです。
この結果、資産合計は前事業年度末に比べて、82百万円増加して8,817百万円となりました。
当事業年度末の流動負債は前事業年度末に比べて、13百万円増加して2,572百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加279百万円および未払消費税等の増加48百万円による一方で、買掛金の減少24百万円、未払金の減少153百万円および設備関係支払手形の減少133百万円によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて、284百万円増加して2,372百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加271百万円およびリース債務の増加12百万円によるものです。
この結果、負債合計は前事業年度末に比べて、298百万円増加して4,945百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて、216百万円減少して3,872百万円となりました。これは主に、当期純損失86百万円、その他有価証券評価差額金の減少91百万円および剰余金の配当により利益剰余金が47百万円減少したためです。
この結果、自己資本比率は前事業年度末の46.8%から43.9%となりました。
b.経営成績
当事業年度の売上高は、黄銅弁関連製品が2,885百万円(前期比3.5%増)、鉄鋼弁関連製品が1,243百万円(前期比0.1%減)、その他115百万円(前期比2.6%増)、作業屑が615百万円(前期比17.2%減)となり、合計で4,860百万円(前期比0.6%減)となりました。
黄銅弁のうち、LPガス容器用弁は、記録的な猛暑によるガス需要の減退や風水害等により容器再検査本数が低迷しましたが、大口取引先に対する販売キャンペーンのほか、全取引先定期コンタクトを励行した結果、売上高は1,905百万円(前期比2.1%増)となりました。バルク付属機器は設置後20年の交換需要が立ち上がりはじめたことにより、売上高は628百万円(前期比14.3%増)となりました。一方で、設備用は工事案件の減少により売上高は348百万円(前期比4.1%減)となりました
鉄鋼弁のうち、設備用および船舶用は、工事案件の減少および造船市場の冷え込みにより、売上高はそれぞれ491百万円(前期比16.9%減)および161百万円(前期比27.9%減)と減少しました。一方で、車載用はコンテナ用弁類の受注が平年より多かったことにより売上高は212百万円(前期比33.4%増)、また、バルク付属機器は20年の交換需要により売上高は300百万円(前期比28.3%増)とそれぞれ増加しました。また、その他(主に低温弁)は、未だ規模は小さいものの、LNG用を中心に積極的なマーケティング活動を展開した結果、売上高は77百万円(前期比113.7%増)と大幅に増加しました。
損益面につきましては、LPガス容器用弁をはじめとする当社製品の主要原材料である黄銅材の価格が期中を通して高値で推移したこと、人件費が増加したこと、荷造費等の諸掛かりが上昇したこと、およびこれらに対処すべく取り組んだ製品の値上げが当初予定より大幅に遅れたことにより、収益が圧迫され、営業損失は45百万円(前期は営業利益57百万円)となりました。また、当期においては、前期に計上した非経常的・臨時的な営業外収益(保険解約返戻金38百万円)および特別利益(固定資産売却益30百万円)の計上がなかったため、経常損失は56百万円(前期は経常利益101百万円)、当期純損失は86百万円(前期は当期純利益104百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して259百万円減少し、当事業年度末には229百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は292百万円となりました。これは主に、減価償却費163百万円および割引手形の増加額119百万円により増加する一方で、たな卸資産の増加額503百万円により減少するものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は474百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出482百万円により減少するものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は507百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額279百万円および長期借入金の借入れによる収入557百万円により増加する一方で、長期借入金の返済による支出252百万円および配当金の支払額47百万円により減少するものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、高圧ガス用バルブおよび関連機器類の製造、販売を主たる業務にしておりますが、製品種類別に示すと下記のとおりになります。
当事業年度の生産実績は、下記のとおりであります。
製品種類等当事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
黄銅弁(千円)2,807,86796.8
鉄鋼弁(千円)1,490,601123.5
合計4,298,469104.7

(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は、一部の製品につき受注生産を行っておりますが、基本的には需要予測に基づく見込み生産を行っておりますので記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、下記のとおりであります。
製品種類等当事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
黄銅弁(千円)2,885,083103.5
鉄鋼弁(千円)1,243,88999.9
その他(千円)115,737102.6
屑売上高(千円)615,54582.8
合計4,860,25799.4

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
サンエツ金属株式会社561,97911.5432,6418.9
昌栄機工株式会社549,28511.2486,46310.0
矢崎エナジーシステム株式会社492,03610.1518,25610.7

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、期末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を行うことが必要となります。当社は、財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
見積り、判断および仮定により当社の財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えている項目は次のとおりです。
(たな卸資産)
当社は、将来推定される需要および市場状況に基づく時価の見積額と原価との差額について、評価減を計上しております。今後の需要または市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社は、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、貸倒引当金を計上しております。この貸倒引当金は、期末の一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を見積った金額です。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社は、将来の回収可能性を十分に検討した上で、回収可能額を繰延税金資産として計上しております。なお、業績の動向によっては繰延税金資産の取崩が必要となる可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて、106百万円増加して4,048百万円となりました。これは主に、商品及び製品の増加329百万円および原材料及び貯蔵品の増加173百万円による一方で、現金及び預金の減少269百万円および売掛金の減少106百万円、流動資産のうちその他の減少36百万円によるものです。
(固定資産)
固定資産は、前事業年度末に比べて、24百万円減少して4,768百万円となりました。これは主に、機械及び装置(純額)の増加710百万円による一方で、建設仮勘定の減少693百万円によるものです。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べて、13百万円増加して2,572百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加279百万円、未払消費税等の増加48百万円による一方で、買掛金の減少24百万円、未払金の減少153百万円および設備関係支払手形の減少133百万円によるものです。
(固定負債)
固定負債は、前事業年度末に比べて、284百万円増加して2,372百万円となりました。これは主に、長期借入金の増加271百万円およびリース債務の増加12百万円によるものです。
(純資産合計)
純資産は、前事業年度末に比べて、216百万円減少して3,872百万円となりました。これは主に、当期純損失86百万円、その他有価証券評価差額金の減少91百万円および剰余金の配当により利益剰余金が47百万円減少したためです。
2)経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は、LPガス容器用弁は、記録的な猛暑によるガス需要の減退や風水害等により容器再検査本数が低迷しましたが、大口取引先に対する販売キャンペーンのほか、全取引先定期コンタクトを励行した結果、好調に推移しました。LPガスバルク付属機器については、設置後20年の交換需要が立ち上がりはじめたことにより増加しました。また、車載用はコンテナ用弁類の受注が平年より多かったことにより増加しました。一方で、設備用および船舶用は、工事案件の減少および造船市場の冷え込みにより前年対比で減少しました。
以上により、売上高は4,860百万円(前期比0.6%減)となりました。
(営業損失)
営業損失は、LPガス容器用弁をはじめとする当社製品の主要原材料である黄銅材の価格が期中を通して高値で推移したこと、人件費が増加したこと、荷造費等の諸掛かりが上昇したこと、およびこれらに対処すべく取り組んだ製品の値上げが当初予定より大幅に遅れたことにより、収益が圧迫され、営業損失は45百万円(前期は営業利益57百万円)となりました。
(経常損失)
営業外収益は前期比37百万円減の25百万円、営業外費用は前期比17百万円増の36百万円となりました。これは、営業外収益については前期において計上した保険解約返戻金38百万円がなかったこと、営業外費用については支払利息の増加9百万円および支払手数料の増加5百万円によるものです。
この結果、経常損失は56百万円(前期は経常利益101百万円)となりました。
(当期純利益)
特別利益は前期比32百万円減の1百万円、特別損失は前期比3百万円減の0百万円となりました。これは、特別利益については前期において計上した固定資産売却益30百万円がなかったこと、特別損失については固定資産除却損が3百万円減少したことによるものです。
また、法人税、住民税及び事業税9百万円および法人税等調整額20百万円を計上しました。
この結果、当期純損失は86百万円(前期は当期純利益104百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社を取り巻く経営環境の変化が大きいことから、現在、中期経営計画を策定しておりません。また、当社は2014年9月8日付で中期経営計画を策定し、2018年3月期における中期経営指標として数値目標(売上高60億円以上および営業利益率6%~8%を持続的に達成)を掲げましたが、その後の経営環境の変化により達成できませんでした。しかしながら、現在これら指標を達成するための取り組みを強化しておりますので、数値目標はそのまま維持し、出来るだけ早期に達成するよう努めてまいります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
主要原材料の黄銅材、鉄鋼材、ステンレス鋼材および鉄鋼鋳鍛造品等の原材料、人件費、外注加工費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金は、自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入を基本としております。機動的かつ効率的な資金調達をすべく、取引銀行5行と当座貸越契約、取引銀行1行と特殊当座貸越契約を締結しております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,725百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は229百万円となっております。