有価証券報告書-第117期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 11:10
【資料】
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【項目】
148項目
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定を反映させております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の業績について、受注高は、グループ全体で239億59百万円(前期比10.3%減)と前期比で減少となりました。主な要因は、上下水道事業における水道分野での浄水場更新・改修、メンテナンス案件の受注は引き続き堅調であったものの、運転管理委託案件の契約更新等が前期比で減少したこと等によるものです。その結果、当連結会計年度末における受注残高は、332億17百万円(前期比1.9%減)となりました。
売上高は、グループ全体で251億66百万円(前期比19.6%増)と前期比で増加となりました。主な要因は、新設浄水場建設工事や下廃水処理施設工事での出来高進捗が堅調に推移したこと、並びに既運転管理委託案件での委託範囲拡大等によるものです。
損益の状況については、増収による着実な増益を図りつつ、全社的に案件採算・コスト管理の強化等に努めた結果、営業利益は、15億25百万円(前期比19.2%増)となり、また、経常利益は、15億40百万円(前期は経常利益53百万円)とそれぞれ前期比で増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として貸倒引当金繰入額4億76百万円の計上及び特別調査費用3億58百万円の計上等により、8億13百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失16億41百万円)となりました。
セグメント別の課題への取り組み概況及び業績については、次のとおりであります。
[上下水道事業]
(課題への取り組み概況)
・グループ一体での顧客対応
納入設備に対するメンテナンス及び更新情報に関する共有体制の整備を図ることにより顧客ニーズの早期把握に努め、タイムリーなメンテナンス対応及び最適設備の提案を実施して参りました。
・DB案件、DBO案件への取り組み
今後増加が見込まれるDB案件、DBO案件への対応として、価格並びに技術的な競争力向上や人的リソース確保並びにM&Aを活用した生産体制の整備を進めることにより、参画準備を計画的に推進して参りました。
・下廃水分野での収益拡大
契約案件の完工実績を基に、更新期を迎える施設の探索並びに入札参加を継続することにより、受注拡大を推進して参りました。
(業績)
受注高は、上下水道事業における水道分野での浄水場更新・改修、メンテナンス案件の受注は引き続き堅調であり、また新規下廃水案件の受注があったものの、運転管理委託案件の契約更新等が前期比で減少したことにより223億53百万円(前期比9.3%減)となりました。売上高は、新設浄水場建設工事や下廃水処理施設工事での出来高進捗が堅調に推移したこと、並びに既運転管理委託案件での委託範囲拡大等に伴い、232億8百万円(前期比20.5%増)、営業利益は、14億25百万円(前期比23.8%増)となりました。
[環境事業]
(課題への取り組み概況)
コロナ禍における先行き不透明な事業環境において、顧客の設備増設・更新需要が冷え込む中、これまでの用・廃水処理に加え難分解性の廃水処理案件への営業展開に注力するとともに、メンテナンスを中心とした既存顧客への営業強化を行い、受注増への取り組みを進めて参りました。
(業績)
受注高は、民需向け廃水処理設備の受注減少により9億39百万円(前期比22.4%減)となりました。売上高は、前期受注工事の完工により12億49百万円(前期比42.4%増)、営業利益は、60百万円(前期は営業損失11百万円)となりました。
[機器事業]
(課題への取り組み概況)
自然災害発生時に利用する非常用浄水機の拡販や代理店等との共同営業による既設更新掘り起しを進めるとともに、生産、品質管理体制の整備に取り組んで参りました。
(業績)
受注高は、大口の災害対策用小型造水機納入があったものの、標準製品の更新受注が集中した前期と比較し受注が減少したことにより6億66百万円(前期比21.6%減)となりました。売上高は、当期受注の減少により6億73百万円(前期比24.4%減)、営業利益は、40百万円(前期比69.2%減)となりました。
[その他の事業]
不動産賃貸等を行った結果、売上高は、33百万円(前期比176.7%増)、営業損失は、0百万円(前期は営業利
益8百万円)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
前期と比較して2億20百万円減少し、176億37百万円となっております。主な要因は、現金及び預金が22億94百万円増加した一方、預け金が29億32百万円減少したこと等によるものです。
(固定資産)
前期と比較して57百万円増加し、44億11百万円となっております。主な要因は、有形固定資産は、31百万円、投資その他の資産は、50百万円増加した一方、無形固定資産は、24百万円減少したことによるものです。
(流動負債)
前期と比較して8億47百万円減少し、95億58百万円となっております。主な要因は、前受金が2億64百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が10億40百万円、未払法人税等が3億38百万円減少したこと等によるものです。
(固定負債)
前期と比較して50百万円増加し、25億28百万円となっております。主な要因は、退職給付に係る負債が25百万円、役員退職慰労引当金が24百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
前期と比較して6億34百万円増加し、99億61百万円となっております。主な要因は、利益剰余金が5億77百万円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益8億37百万円の計上があった一方、売上債権の増加13億23百万円、仕入債務の減少10億40百万円があったこと等から、前連結会計年度末に比べ6億38百万円減少し、当連結会計年度末には48億32百万円(前期比11.7%減)となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、4億55百万円(前期は9億48百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益8億37百万円、貸倒引当金の増加5億4百万円の計上があった一方、売上債権の増加13億23百万円、仕入債務の減少10億40百万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果収入となった資金は、68百万円(前期は11億98百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入2億13百万円、有形固定資産の取得による支出1億5百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2億51百万円(前期は2億14百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入30億円があった一方で、短期借入金の返済による支出30億円、配当金の支払額2億35百万円があったこと等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a) 生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
上下水道(百万円)22,921119.1
環境(百万円)1,234139.9
機器(百万円)66676.1
合計(百万円)24,822118.2

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.上記の生産実績は、外注加工費及び購入部品費を含んでおります。
b) 受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当社グループは主として受注による生産を行っておりますが、一部見込みによる生産を行っております。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
上下水道22,35390.732,93099.0
環境93977.626846.4
機器66678.41972.3
合計23,95989.733,21798.1

(注)1.当社グループの製品は多品種であり、適切な数量表示が困難なため、金額のみによって表示しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c) 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
上下水道(百万円)23,208120.5
環境(百万円)1,249142.4
機器(百万円)67375.6
報告セグメント計(百万円)25,132119.5
その他(百万円)33276.7
合計(百万円)25,166119.6

(注)1.当社グループの製品は多品種であり、適切な数量表示が困難なため、金額のみによって表示しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度における主要な販売先については、総販売実績に対する割合が10%以上の顧客は以下の通りです。
(単位:百万円)
顧客の名称又は氏名販売実績関連するセグメント名
大任町3,138上下水道

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ① 経営成績の状況 及び ② 財政状態の状況」に記載の通りとなります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りとなります。
b) 資金調達の状況
当社は、資金効率及び調達コスト等の観点から、自己資金及び工事契約に基づく顧客からの工事前払金により資金調達を行っております。
c) 資金需要の状況
当社の資金需要のうち、主なものは運転資金となります。その主たる内容は各種工事のための原材料購入の他、仕入のうち大きな割合を占める外注製作・工事費の外注作業等に係る支払、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、営業費用の主なものは人件費であります。また、その他の資金需要として、設備更新・成長投資や株主還元等があります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、将来発生する事象に対しての見積り及び仮定設定を行う必要があり、経営者は、過去の実績や状況及び現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と判断した見積りや仮定を継続的に採用しております。しかしながら、これらの見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが採用しております会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響に係る仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(追加情報)に記載の通りとなります。
a) 収益及び費用の計上:当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗度の見積りは原価比例法)を、その他は工事完成基準を適用しております。工事進行基準の適用に当たっては、工事収益総額、工事原価総額及び当連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積り、売上高、売上原価を認識しております。
b) 受注損失引当金:受注工事の損失発生に備えるため、当連結会計年度末の手持受注工事のうち、損失発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見込額を計上しております。
c) 貸倒引当金:取立不能の恐れのある債権には、必要と認める額の貸倒引当金を計上しております。
d) 繰延税金資産:法人税に対応する繰延税金資産は、評価性引当額を除きその全額が回収可能であるとの判断に基づき計上しております。
e) 投資の減損:保有する取引先等及び関係会社の株式等について、上場株式は、期末時点で市場価格が取得価額に対して著しく下落している場合に、また、非上場株式及び関係会社株式・出資金は、投資先の純資産価額の当社持分が当社の帳簿価額に対して著しく下落している場合に、将来の回復可能性を検討し、評価損を計上しております。