四半期報告書-第148期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

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2018/08/08 15:17
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当社の要約四半期連結財務諸表は、当第1四半期連結累計期間よりIFRSに基づいて作成しています。これに伴い、前年同四半期連結累計期間の要約四半期連結財務諸表及び前連結会計年度の連結財務諸表もIFRSに組み替えて比較分析をしています。当社は要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。主要な会計方針の要約は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (要約四半期連結財務諸表注記)」に記載しています。
(1)業績
当第1四半期連結累計期間の国内外の景気は、中国は足元でやや減速した一方、米国では堅調な拡大、日本や欧州では緩やかな回復基調で推移しました。また、為替については、前年同四半期連結累計期間と比べると対米ドルでは円高基調、対ユーロでは円安で推移しました。
かかる中、当第1四半期連結累計期間の売上高は、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門及び家庭電器部門の増収などにより、全体では前年同四半期連結累計期間比102%の1兆509億円となりました。
営業利益は、全てのセグメントにおいて減益となり、全体では前年同四半期連結累計期間比82%の615億円となりました。
税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比85%の687億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比83%の475億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①重電システム
社会インフラ事業は、国内の交通事業や海外の電力事業の減少などにより受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
ビルシステム事業は、国内のリニューアル事業及び海外の昇降機新設事業等が堅調に推移したことにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比100%の2,673億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比7億円減の59億円となりました。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業は、国内の工作機械や半導体関連装置等のメーカーによる輸出向け需要が堅調に推移しましたが、海外の有機ELやスマートフォン関連の設備投資が一服したことから、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
自動車機器事業は、国内・アジア向けの増加に加え、グローバルで市場が拡大している車両電動化関連製品の販売増加などにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比103%の3,609億円となりました。
営業利益は、素材価格の上昇に加え、成長事業への先行投資などにより、前年同四半期連結累計期間比58億円減の448億円となりました。
③情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要減少などにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業の案件変動などにより、受注・売上とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
電子システム事業は、防衛システム事業の大口案件の増加などにより、受注は前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、防衛システム事業の案件変動などにより、売上は前年同四半期連結累計期間を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比89%の797億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間並みの18億円の損失となりました。
④電子デバイス
電子デバイス事業は、通信用光デバイスの需要減少がありましたが、産業用・民生用・自動車用パワー半導体の需要増加などにより、受注は前年同四半期連結累計期間並み、売上高は前年同四半期連結累計期間比107%の514億円となりました。
営業利益は、機種構成の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比15億円減の14億円となりました。
⑤家庭電器
家庭電器事業は、欧州・国内・中国・米国向け空調機器の増加に加え、円安の影響もあり、売上高は前年同四半期連結累計期間比104%の2,803億円となりました。
営業利益は、素材価格の上昇などにより、前年同四半期連結累計期間比41億円減の200億円となりました。
⑥その他
資材調達の関係会社での増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間比107%の1,556億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比8億円減の11億円となりました。
(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
三菱電機グループは、「企業理念*1」及び「7つの行動指針*2」に基づき、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を企業経営の基本と位置付け、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、強固な経営基盤の確立と持続的成長を追求していきます。
また、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続け、「社会」「顧客」「株主」「従業員」をはじめとするステークホルダーから信頼と満足を得られるよう取り組んでまいります。
②経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、米国の通商政策や英国のEU離脱影響などの不確実性はあるものの、中国の景気減速は緩やかなものにとどまることが見込まれ、米国の堅調な景気拡大、日本や欧州における回復基調の継続が期待されるなど、総じて緩やかな景気拡大が続くことを見込んでおります。
かかる中、三菱電機グループは、「企業理念」及び「7つの行動指針」に基づき、CSRを企業経営の基本として活動してまいります。環境問題や資源・エネルギー問題をはじめとする今日的な社会課題に対し、グローバルでの製品・システム・サービスの提供等により、持続可能性と安心・安全・快適性が両立する豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指して、グループ一丸となって取り組んでまいります。
また、豊かな社会の実現に貢献する取り組みにおいては、「バランス経営」の3つの視点(「成長性」「収益性・効率性」「健全性」)に基づき持続的成長を追求し、もう一段高いレベルの成長を目指します。「強い事業をより強く」することに加え、強い技術資産の組合せによる「技術シナジー」や多岐にわたる事業群の連携による「事業シナジー」の創出を通じ、遅くとも2020年度までに「連結売上高5兆円以上」「営業利益率8%以上」を達成すべく、更なる価値の創出に取り組んでまいります。あわせて、継続的に達成すべき経営指標として、「ROE10%以上」「借入金比率15%以下」の達成にも努めてまいります。
持続的成長に向けては、成長牽引事業を中心とした事業競争力を強化するとともに新たな強い事業を継続的に創出すべく、開発投資や設備投資などにおける高水準の資源投入の継続に加え、製品・技術の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保、新規顧客層の獲得を目的とした協業・M&Aなどに取り組み、成果を最大化してまいります。グローバル及びグループトータルでの最適な事業推進体制を構築・強化し、欧米や中国における事業競争力を強化するとともに、インド・東南アジア・中南米等の成長市場における需要獲得に注力してまいります。あわせて、事業の継続的な新陳代謝を通じた経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、間接部門における業務効率化も含むJust In Time改善活動を通じた生産性向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*3を継続的に運用し、中長期視点で、総合的な事業効率性を向上させ、「質のよい」成長を実現してまいります。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、低炭素社会や循環型社会の形成等に貢献すべく、創立100周年の2021年を目標年とする「環境ビジョン2021」の下、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*4)を目指してまいります。「倫理・遵法」については、コンプライアンス方針の徹底、内部統制の強化、教育を核とした更なるコンプライアンス活動の強化に引き続きグループ全体で取り組んでまいります。あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレートガバナンス」の継続的な向上策に取り組み、社会・顧客・株主等とのより高い信頼関係の確立に一層努めてまいります。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指してまいります。
*1 「企業理念」:三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。
*2 「7つの行動指針」:
・「信頼」:社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。
・「品質」:最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。
・「技術」:研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。
・「貢献」:グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。
・「遵法」:全ての企業行動において規範を遵守する。
・「環境」:自然を尊び、環境の保全と向上に努める。
・「発展」:適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。
*3 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定
資産・現預金等)に基づいて算出。
*4 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
(3)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比994億円減少の4兆2,061億円となりました。棚卸資産が受注工事の進捗等に伴い仕掛品を中心に636億円増加した一方、現金及び現金同等物が67億円、売上債権が回収等により1,614億円それぞれ減少したことがその主な要因です。
負債の部は、社債及び借入金残高が前連結会計年度末比122億円減少の2,997億円となり、借入金比率は7.1%(前連結会計年度末比△0.1ポイント)となりました。また、買入債務が385億円、未払費用が460億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比943億円減少の1兆8,140億円となりました。
資本の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益475億円の計上による増加はあったものの、配当金の支払い558億円による減少等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比89億円減少の2兆2,852億円となり、親会社株主帰属持分比率は54.3%(前連結会計年度末比+1.0ポイント)となりました。
(4)経営成績の分析
①売上高
当第1四半期連結累計期間の売上高は、1兆509億円と前年同四半期連結累計期間比170億円の増収となりました。これは、産業メカトロニクス、電子デバイス及び家庭電器等のセグメントにおいて増収となったことによるものです。
②営業利益
売上原価は、前年同四半期連結累計期間比240億円増加の7,410億円となり、売上高に対する比率は前年同四半期連結累計期間比1.2ポイント悪化の70.5%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比85億円増加の2,502億円となり、売上高に対する比率は前年同四半期連結累計期間比0.4ポイント悪化の23.8%となりました。その他の損益は、前年同四半期連結累計期間比17億円改善の18億円の利益となりました。
この結果、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比139億円減少の615億円となり、全てのセグメントで減益となりました。
③税引前四半期純利益
金融収益は前年同四半期連結累計期間比11億円増加の47億円、金融費用は前年同四半期連結累計期間比3億円減少の6億円となりました。持分法による投資利益は、前年同四半期連結累計期間比6億円改善の29億円となりました。
この結果、税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比117億円減少の687億円(売上高比6.5%)となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少等により、前年同四半期連結累計期間比94億円減少の475億円(売上高比4.5%)となりました。
(5)キャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが972億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが387億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間比439億円減少の585億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは640億円の支出であること等から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末比67億円減少の5,924億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加や買入債務の支払の増加、四半期純利益の減少等により、前年同四半期連結累計期間比275億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得の減少等がある一方で、有価証券等の売却収入の減少等により、前年同四半期連結累計期間比164億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払の増加等により、前年同四半期連結累計期間比89億円の支出増加となりました。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、505億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。