有価証券報告書-第148期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 14:28
【資料】
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【項目】
105項目
三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。
なお、当社の連結財務諸表は、当連結会計年度よりIFRSに基づいて作成しています。これに伴い、前連結会計年度の連結財務諸表もIFRSに組み替えて比較分析をしています。当社は連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。主要な会計方針の要約は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表注記)」に記載しています。
(1) 業績概要
当連結会計年度の景気は、米国では堅調な拡大が続いた一方、中国ではやや減速しました。また、日本や欧州では総じてみれば緩やかな回復基調で推移したものの、足元では輸出や生産など一部に減速感がみられました。為替については、対米ドルでは前連結会計年度並みとなり、対ユーロをみると8月以降は円高基調で推移しました。
かかる中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、自らの強みに根ざした成長戦略の推進に、従来以上に軸足を置いて取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、重電システム部門、産業メカトロニクス部門及び家庭電器部門の増収などにより、全体では前連結会計年度比102%の4兆5,199億円となりました。
営業利益は、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門の減益により、全体では前連結会計年度比89%の2,904億円となりました。
税引前当期純利益は、前連結会計年度比89%の3,159億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比89%の2,266億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
① 重電システム
社会インフラ事業は、受注高は前連結会計年度並みとなりましたが、国内・海外の交通事業や国内の電力事業の増加などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。
ビルシステム事業は、中国の新設事業が減少しましたが、国内のリニューアル事業などが増加したことにより、受注高・売上高とも前連結会計年度並みとなりました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比103%の1兆2,967億円となりました。営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比170億円増加の825億円となりました。
② 産業メカトロニクス
FAシステム事業は、国内需要は堅調に推移しましたが、海外の有機ELやスマートフォン関連の設備投資が減少したことから、受注高・売上高とも前連結会計年度を下回りました。
自動車機器事業は、国内・欧州・アジア向けの増加に加え、グローバルで市場が拡大している車両電動化関連製品の販売増加などにより、受注高・売上高とも前連結会計年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比102%の1兆4,676億円となりました。営業利益は、機種構成の変動や素材価格の上昇に加え、成長事業への先行投資などにより、前連結会計年度比447億円減少の1,425億円となりました。
③ 情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要減少などにより、受注高・売上高とも前連結会計年度を下回りました。
情報システム・サービス事業は、受注高は前連結会計年度並みとなりましたが、システムインテグレーション事業の増加により、売上高は前連結会計年度を上回りました。
電子システム事業は、受注高は宇宙システム事業などの減少、売上高は防衛システム事業などの減少により、前連結会計年度を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比97%の4,262億円となりました。営業利益は、売上案件の変動などにより、前連結会計年度比9億円増加の122億円となりました。
④ 電子デバイス
電子デバイス事業は、通信用光デバイスの需要減少などにより、受注高は前連結会計年度を下回り、売上高は前連結会計年度比99%の1,999億円となりました。営業利益は、売上高の減少や機種構成の変動などにより、前連結会計年度比127億円減少の14億円となりました。
⑤ 家庭電器
家庭電器事業は、国内・欧州・北米向け空調機器の増加により、売上高は前連結会計年度比102%の1兆740億円となりました。営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比39億円増加の594億円となりました。
⑥ その他
物流の関係会社での増加などにより、売上高は前連結会計年度比103%の6,767億円となりました。営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比1億円増加の241億円となりました。
顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。
① 日本
社会インフラ事業、自動車機器事業及び空調機器の増加などにより、前連結会計年度比105%の2兆5,566億円となりました。
② 北米
自動車機器事業の減少などはありましたが、社会インフラ事業、FAシステム事業及び空調機器の増加などにより、前連結会計年度比102%の4,294億円となりました。
③ アジア
FAシステム事業、電子デバイス事業及び空調機器の減少などにより、前連結会計年度比93%の1兆138億円となりました。
アジアのうち中国については、社会インフラ事業、電子デバイス事業及び空調機器の減少などにより、前連結会計年度比89%の4,864億円となりました。
④ 欧州
社会インフラ事業、自動車機器事業及び空調機器の増加などにより、前連結会計年度比105%の4,537億円となりました。
⑤ その他
その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度並みの661億円となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称生産高(百万円)前連結会計年度比(%)
重電システム869,133103
産業メカトロニクス1,371,80099
情報通信システム363,83099
電子デバイス161,74794
家庭電器805,964106
その他1,817105
3,574,291101

(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示しています。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称受注高(百万円)前連結会計年度比(%)
重電システム1,299,659100
産業メカトロニクス1,432,338101
情報通信システム418,41488
電子デバイス199,20096

(注) 1 当連結会計年度より連結での受注高を開示し、前連結会計年度比も連結での受注高で表示しています。
2 「家庭電器」「その他」については受注生産形態をとらない製品が多いため、受注規模を金額で示していません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。
事業の種類別セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)
重電システム1,296,745103
産業メカトロニクス1,467,633102
情報通信システム426,26997
電子デバイス199,90899
家庭電器1,074,044102
その他676,736103
消去△621,414-
4,519,921102

(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。
(3) 資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比506億円増加の4兆3,562億円となりました。現金及び現金同等物が849億円減少した一方、棚卸資産が828億円の増加、契約資産が267億円、売上債権が155億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
負債の部は、社債及び借入金残高が前連結会計年度末比135億円減少の2,984億円となり、借入金比率は6.9%(前連結会計年度末比△0.3ポイント)となりました。また、買入債務が199億円、契約負債が150億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比633億円減少の1兆8,450億円となりました。
資本の部は、配当金の支払い858億円による減少及び株価下落・為替円高等を背景としたその他の包括利益累計額456億円の減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益2,266億円の計上等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比1,057億円増加の2兆3,999億円となり、親会社株主帰属持分比率は55.1%(前連結会計年度末比+1.8ポイント)となりました。
(4) 経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、4兆5,199億円と前連結会計年度比754億円の増収となりました。これは、重電システム、産業メカトロニクス及び家庭電器等のセグメントにおいて増収となったことによるものです。
② 営業利益
売上原価は、前連結会計年度比964億円増加の3兆1,868億円となり、売上高に対する比率は1.0ポイント悪化の70.5%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比219億円増加の1兆432億円となり、売上高に対する比率は0.1ポイント悪化の23.1%となりました。その他の損益は、前連結会計年度比58億円改善の7億円の利益となりました。
この結果、営業利益は、前連結会計年度比369億円減少の2,904億円となり、セグメントにおいては、産業メカトロニクス及び電子デバイスで減益となりました。
③ 税引前当期純利益
金融収益は前連結会計年度比11億円増加の97億円、金融費用は前連結会計年度比24億円減少の43億円となりました。持分法による投資利益は、前連結会計年度比38億円減少の201億円となりました。
この結果、税引前当期純利益は、前連結会計年度比372億円減少の3,159億円(売上高比7.0%)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の減少等により、前連結会計年度比291億円減少の2,266億円(売上高比5.0%)となりました。
(5) キャッシュ・フロー
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが2,398億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが2,106億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度比546億円減少の291億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは1,120億円の支出となったこと等から、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比849億円減少の5,142億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、買入債務の支払いの減少はあるも、当期純利益の減少や契約資産の増加等により、前連結会計年度比259億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の減少等により、前連結会計年度比286億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いの増加等がある一方で、長期借入金の調達の増加等により、前連結会計年度比377億円の支出減少となりました。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
三菱電機グループは、健全な財務体質を維持しつつ、成長資金の調達余力を確保することを基本方針としています。
運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は5,142億円、社債及び借入金残高は2,984億円であり、内訳は、短期借入金が555億円、社債及び長期借入金が2,203億円、リース債務が224億円です。また、当連結会計年度末において、未使用のコミットメントライン残高は827億円であり、契約している金融機関から短期資金を調達することができます。