四半期報告書-第149期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

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2020/02/07 14:37
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三菱電機グループの要約四半期連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。三菱電機グループは要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、三菱電機グループは当年度第1四半期連結会計期間より、IFRS第16号「リース」を適用しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (要約四半期連結財務諸表注記) 3.重要な会計方針」に記載しています。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間の景気は、中国では成長が鈍化し、企業部門をみると輸出や固定資産投資が減速しました。米国では堅調な個人消費を中心に拡大が続いたものの、設備投資など企業部門が減速しました。また、日本では生産や輸出の減少、欧州でも生産の減少がみられるなど、日欧の回復基調はより緩やかになりました。
かかる中、当第3四半期連結累計期間の売上高は、重電システム部門、情報通信システム部門、電子デバイス部門及び家庭電器部門で増収となりましたが、産業メカトロニクス部門の減収などにより、全体では前年同四半期連結累計期間並みの3兆2,501億円となりました。
営業利益は、産業メカトロニクス部門の減益などにより、全体では前年同四半期連結累計期間比90%の1,822億円となりました。なお、営業利益内の「その他の損益(△損失)」の増益は、土地の売却などによるものです。
税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比90%の1,987億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少はありましたが、海外の関係会社再編に伴う法人所得税費用の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比101%の1,597億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①重電システム
社会インフラ事業は、受注高は国内外の電力事業や国内の公共事業の増加、売上高は国内外の交通事業などの増加により、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
ビルシステム事業は、受注高は中国及び中東の市況低迷により減少しましたが、売上高は首都圏を中心とした国内の昇降機新設・リニューアル事業の増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比103%の9,134億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比82億円増加の474億円となりました。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業は、国内外の自動車関連、国内の半導体・工作機械関連、海外の有機EL・スマートフォン関連需要の停滞継続や円高の影響などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
自動車機器事業は、各国での新車販売が減速する中、グローバルで市場が拡大している車両電動化関連製品の販売は増加しましたが、その他の製品の減少や円高の影響などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比93%の1兆160億円となりました。
営業利益は、売上高の減少や機種構成の変動に加え、成長事業への先行投資などにより、前年同四半期連結累計期間比551億円減少の589億円となりました。
③情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要増加などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業の増加などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の減少などにより前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比105%の3,020億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比45億円増加の111億円となりました。
④電子デバイス
電子デバイス事業は、自動車用パワー半導体の需要増加や、通信用光デバイスの需要回復などにより、受注高は前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間比104%の1,544億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や機種構成の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比47億円増加の55億円となりました。
⑤家庭電器
家庭電器事業は、国内・北米・欧州向け空調機器などの増加により、売上高は前年同四半期連結累計期間比103%の8,307億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比189億円増加の697億円となりました。
⑥その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社でのグループ向けの減少などにより、前年同四半期連結累計期間比96%の4,803億円となりました。
営業利益は、費用改善などにより、前年同四半期連結累計期間並みの161億円となりました。
なお、要約四半期連結損益計算書の「その他の損益(△損失)」に含まれる土地売却益は、各部門に配賦しています。
(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
三菱電機グループは、「企業理念*1」及び「7つの行動指針*2」に基づき、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を企業経営の基本と位置付け、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、強固な経営基盤の確立と持続的成長を追求してまいります。
また、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続け、「社会」「顧客」「株主」「従業員」をはじめとするステークホルダーから信頼と満足を得られるよう取り組んでまいります。
②経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、総じて緩やかな回復基調にあるものの、米国の通商政策や英国のEU離脱影響などの不確実性が継続する中、米中貿易摩擦に起因する各国・地域の輸出や投資の減速等で成長が鈍化することを見込んでおります。
かかる中、三菱電機グループは、「企業理念」及び「7つの行動指針」に基づき、CSRを企業経営の基本として活動しております。環境問題や資源・エネルギー問題等の社会課題に対し、製品・システム・サービスを組み合わせたソリューションの提供に取り組み、「持続可能性と安心・安全・快適性の両立」をはじめとする価値創出を、ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域において、より一層推進してまいります。
また、価値創出の推進にあたっては、「バランス経営」の3つの視点(「成長性」「収益性・効率性」「健全性」)に基づきつつ、経営基盤(顧客との繋がり、技術、人材、製品、企業文化等)の強化とあらゆる連携の強化による「技術シナジー・事業シナジー」の進化に加え、事業モデルの変革を進めてまいります。なお、三菱電機グループは「連結売上高5兆円以上」「営業利益率8%以上」を2020年度成長目標としておりますが、足元の経済成長の鈍化等を踏まえ、目標達成が厳しい状況にあると認識しております。これまでの投資成果と改善活動の進捗状況を見極めつつ、今後の持続的成長と収益力強化に向けて引き続き取り組んでまいります。あわせて、継続的に達成すべき経営指標として、「ROE10%以上」「借入金比率15%以下」の達成にも努めてまいります。
持続的成長に向けては、成長牽引事業を中心とした事業競争力を強化するとともに新たな事業を継続的に創出してまいります。そのために、開発投資や設備投資などにおける資源投入の継続に加え、製品・技術等の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保、人的資源の獲得を目的とした協業・M&Aなどに取り組み、成果を最大化してまいります。グローバル及びグループトータルでの最適な事業推進体制を構築・強化し、欧米や中国における事業競争力を強化するとともに、インド・東南アジア・中南米等の成長市場における需要獲得に注力してまいります。あわせて、資本コストを意識した経営を進めていく中で、事業の継続的な新陳代謝を通じた経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、間接部門における業務効率化も含むJust In Time改善活動を通じた生産性向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*3を継続的に運用し、中長期視点で、総合的な事業効率性を向上させ、「質のよい」成長を実現してまいります。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、低炭素社会や循環型社会の形成等に貢献すべく、創立100周年の2021年を目標年とする「環境ビジョン2021」の下、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*4)を目指してまいります。また、2021年以降の新たな長期環境経営ビジョンとなる「環境ビジョン2050」を策定しました。三菱電機グループは環境貢献を重要な経営課題と位置付け、環境課題の解決に率先して取り組んでまいります。「倫理・遵法」については、仕様不適合品の出荷等の品質問題も踏まえ、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレート・ガバナンス」の継続的な向上策に取り組み、社会・顧客・株主等とのより高い信頼関係の確立に一層努めてまいります。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
*1 「企業理念」:三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。
*2 「7つの行動指針」:
・「信頼」:社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。
・「品質」:最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。
・「技術」:研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。
・「貢献」:グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。
・「遵法」:全ての企業行動において規範を遵守する。
・「環境」:自然を尊び、環境の保全と向上に努める。
・「発展」:適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。
*3 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定
資産・現預金等)に基づいて算出。
*4 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
(3)資産及び負債・資本の状況分析
IFRS第16号「リース」の適用により、適用開始日にリース関連の資産930億円を主に有形固定資産へ、負債951億円を社債、借入金及びリース負債へ追加的に認識しました。
総資産残高は、前連結会計年度末比864億円増加の4兆4,426億円となりました。売上債権が回収等により2,213億円減少した一方、契約資産が1,367億円、有形固定資産が889億円、棚卸資産が417億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
負債の部は、買入債務が496億円、未払費用が491億円それぞれ減少した一方、社債、借入金及びリース負債が1,268億円増加したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比73億円増加の1兆8,524億円となりました。なお、リース負債を除く借入金・社債残高は前連結会計年度末比394億円増加の3,153億円、借入金比率は7.1%となりました。
資本の部は、配当金の支払いにより858億円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益1,597億円の計上等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比778億円増加の2兆4,778億円、親会社株主帰属持分比率は55.8%(前連結会計年度末比+0.7ポイント)となりました。
(4)経営成績の分析
①売上高
当第3四半期連結累計期間の売上高は、3兆2,501億円と前年同四半期連結累計期間比139億円の減収となりました。これは、産業メカトロニクス等のセグメントにおいて減収となったことによるものです。
②営業利益
売上原価は、前年同四半期連結累計期間比316億円増加の2兆3,318億円となり、売上高に対する比率は1.2ポイント悪化の71.7%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比152億円減少の7,478億円となり、売上高に対する比率は0.3ポイント改善の23.0%となりました。「その他の損益(△損失)」は、土地の売却等により、前年同四半期連結累計期間比112億円改善の118億円の利益となりました。
この結果、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比191億円減少の1,822億円となり、セグメントにおいては、産業メカトロニクス等で減益となりました。
③税引前四半期純利益
金融収益は前年同四半期連結累計期間比3億円増加の87億円、金融費用は前年同四半期連結累計期間比22億円増加の55億円となりました。持分法による投資利益は、前年同四半期連結累計期間比18億円減少の133億円となりました。
この結果、税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比229億円減少の1,987億円(売上高比6.1%)となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少はありましたが、海外の関係会社再編に伴う法人所得税費用の減少等により、前年同四半期連結累計期間比8億円増加の1,597億円(売上高比4.9%)となりました。
(5)キャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが2,279億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが1,483億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間比1,210億円増加の796億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは918億円の支出となったこと等から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末比151億円減少の4,990億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、契約資産の増加等はありましたが、棚卸資産への支出の減少やIFRS第16号「リース」適用による「減価償却費及び償却費」の増加等により、前年同四半期連結累計期間比1,177億円の収入増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、「有価証券等の取得」の増加等はありましたが、固定資産売却収入の増加等により、前年同四半期連結累計期間比32億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、IFRS第16号「リース」適用に伴う「リース負債の返済」の増加や長期借入金による調達の減少等はありましたが、短期借入金の増加等により、前年同四半期連結累計期間比200億円の支出減少となりました。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,539億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)主要な設備
当連結会計年度の設備投資計画(新設・拡充)は、当年度第2四半期連結会計期間において、次のとおり計画金額(意思決定ベース)を変更しています。
事業の種類別
セグメントの名称
前連結会計年度末計画金額
(百万円)
第2四半期連結
会計期間において
変更後計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
重電システム37,00031,000電力機器、交通機器及び昇降機の増産、合理化、品質向上 等
産業メカトロニクス142,000116,000FA機器及び自動車機器の増産 等
情報通信システム22,00022,000研究開発力強化、合理化 等
電子デバイス10,00034,000パワーデバイスの増産 等
家庭電器42,00041,000空調機器の増産、合理化、品質向上 等
その他7,00017,000物流拠点の整備 等
共 通10,0009,000研究開発力強化に伴う設備工事 等
合 計270,000270,000-

(注) 1. 経常的な設備の更新の為の除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はありません。
2. 所要資金は、主に自己資金によりますが、必要に応じて借入金及び社債の発行を実施する予定です。
(注)「(7)主要な設備」の各記載金額には消費税等を含んでいません。