四半期報告書-第152期第2四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)
三菱電機グループの要約四半期連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。三菱電機グループは要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。
(1)業績
当第2四半期連結累計期間の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンの影響による下押しがみられ、その後の持ち直しも緩やかなものに留まりました。日本では個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
①売上高
売上高は、インフラ部門の減収はありましたが、為替円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比2,011億円増加の2兆3,395億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は中国を除くアジア・欧州・国内向け空調機器の需要回復などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業はデジタル関連分野や脱炭素関連分野の設備投資を中心とした国内外での需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はITインフラサービス事業・システムインテグレーション事業が増加し、電子デバイス事業は、パワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移し増加しました。
<売上高における為替影響額>
②営業利益
営業利益は、ビジネスプラットフォーム部門などの増益はありましたが、ライフ部門、インフラ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益により、前年同四半期連結累計期間比573億円減少の805億円となりました。営業利益率は、売上原価率の悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比3.0ポイント悪化の3.4%となりました。
売上原価率は、為替円安による好転はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、物流費上昇や電子部品の需給逼迫に伴う操業度低下によるライフ部門の悪化、インフラ部門の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比2.3ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比620億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.7ポイント悪化しました。その他の損益・同売上高比率は、前年同期並みとなりました。
③税引前四半期純利益
税引前四半期純利益は、営業利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比452億円減少の1,031億円、売上高比率は4.4%となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比300億円減少の748億円、売上高比率は3.2%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①インフラ
社会システム事業の事業環境は、海外の公共分野における投資が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、受注高は海外の公共分野の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、売上高は国内の交通事業の減少などにより前年同四半期連結累計期間を下回りました。
電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や発電事業の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、売上高は国内の発電事業の減少などにより前年同四半期連結累計期間を下回りました。
防衛・宇宙システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の減少により前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比98%の4,020億円となりました。
営業利益は、売上高の減少に加え、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比241億円悪化の153億円の損失となりました。
②インダストリー・モビリティ
FAシステム事業の事業環境は、半導体・電子部品などのデジタル関連分野やリチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野での設備投資を中心に、国内外で需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新車販売台数は前年同四半期連結累計期間並みとなり、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要も堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの車両電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比113%の7,949億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇などにより、前年同四半期連結累計期間比112億円減少の439億円となりました。
③ライフ
ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、上海ロックダウンの影響や電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は円安の影響や中国を除くアジア・欧州・国内向け空調機器の増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比111%の9,401億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などにより、前年同四半期連結累計期間比357億円減少の340億円となりました。
④ビジネスプラットフォーム
情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業はITインフラサービス事業・システムインテグレーション事業の増加により、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は液晶事業の終息などにより前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けパワー半導体や通信用光デバイスを中心とした高周波光デバイスの増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比110%の2,068億円となりました。
営業利益は、円安の影響や売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比98億円増加の194億円となりました。
⑤その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比114%の3,930億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比48億円増加の143億円となりました。
(2)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比966億円増加の5兆2,046億円となりました。売上債権が1,040億円減少した一方、棚卸資産が1,783億円、契約資産が353億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。売上債権の減少は、前連結会計年度の売上計上案件の回収などによるものです。
負債の部は、買入債務が98億円増加した一方、その他の金融負債が259億円減少したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比170億円減少の1兆9,935億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比9億円増加の2,180億円、借入金比率は4.2%(前連結会計年度末比△0.1ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い549億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益748億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額897億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比1,093億円増加の3兆852億円、親会社株主帰属持分比率は59.3%(前連結会計年度末比+1.0ポイント)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが507億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが898億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは390億円の支出となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは910億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比955億円減少の6,315億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の減少に加え、売上債権の回収影響や棚卸資産の増加等により、前年同四半期連結累計期間比1,141億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社取得などに伴う有価証券等の取得や有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比104億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の増加や自己株式の取得の減少等により、前年同四半期連結累計期間比414億円の支出減少となりました。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事
業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更があった事項は次のとおりであり、当該変更及び追加箇所については下線で示しています。
(前略)
世界経済の先行きは、引き続き回復基調を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の変異株の拡大等の不確実性が継続する中、ウクライナ情勢の長期化や、各国でのインフレ率の上昇を背景とした金融引き締め等による景気減速もあり、成長の鈍化が見込まれます。
(中略)
「倫理・遵法」については、経営の最優先課題として近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取り組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act With Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。
特に一連の品質不適切行為に関しては、2021年7月に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会に調査を委嘱し、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を実施してまいりました。調査委員会による当社22製作所等の全ての調査が終了し、同委員会から不適切行為の調査結果に関する調査報告書(最終報告)を2022年10月20日付で受領するとともに、2021年10月に設置した、外部専門家で構成されるガバナンスレビュー委員会からガバナンス体制・内部統制システム全般の検証及び提言並びに役員の経営上の責任の追加検証及び評価の報告書を受領しました。これまでの調査委員会の調査報告に基づき、当社内でも品質不適切行為の類型と背景についてあらためて分析を進め、2021年10月に始動した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)において強化すべき内容を再点検しました。これらの分析の結果、3つの改革の方向性に大きな変更は必要ないものの、特に、未然防止に向けたエンジニアリングプロセスの変革、双方向コミュニケーションの風土醸成、予防重視のガバナンス・内部統制システムの構築に重点をおき、着実に再発防止策を推進してまいります。
品質風土改革(エンジニアリングプロセスの変革)においては、以下の取り組みを通じて、顧客に対しては、技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築するとともに、経営層自ら顧客と対話・交渉することで現場の負担を軽減し、「そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」を構築してまいります。
・設計や品質管理のリソースと負荷の見える化に基づく人材の増強や作業効率化、管理スパンの適正化など、現場マネジメントを確実に実行できる環境の整備
・レビュアーの配置拡充やレビュー実効性の向上など開発設計のフロントローディングの推進
・データに基づく品質管理と手続きの実行、経営層による顧客との会話
組織風土改革(双方向コミュニケーションの確立)においては、以下の取り組みを通じて、双方向コミュニケーションを確立し、“上にモノが言える”、“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”風土を醸成してまいります。
・経営層自らの変革を図るべく、幹部へのコーチングや現場と目線を合わせたタウンミーティング、執行役による社内SNSを通じた情報発信などの継続実行
・事業所や部門を跨るローテーションや1on1ミーティング、「心理的安全性/雑談・相談ガイドライン」の発行など、部門内外で人が繋がり、組織の自走化に資するコミュニケーション活性化策の積極的な展開
・職場の諸課題に対しては、報告を待つのでなく、管理者側から積極的に傾聴、把握し組織的解決に繋げるような行動変容の徹底
ガバナンス改革(予防重視のコンプライアンスシステムの構築)については、以下の取り組みを通じて、より効率的で実効性の高いガバナンス体制を構築してまいります。
・この1年で実現した取締役会構成の見直しを踏まえて、特に社外取締役との重要情報の共有を徹底する仕組みを構築し、取締役会の経営モニタリング機能をさらに強化
・全社的な横ぐし機能を強化し、予兆把握と予防を重視した内部統制システムを構築、全社リスク制御機能を強化
・社外取締役を過半数とする取締役会によるステークホルダー視点を重視したモニタリングを通じた3つの改革の持続的な加速・改善
なお、2021年7月より実施した外部専門家で構成する調査委員会によるアンケートを起点とした当社製造拠点の品質不適切行為調査は今回受領した報告書にて完了しましたが、3つの改革の取り組みは引き続き経営上の最重点課題として継続推進し、その進捗状況については、取締役会がモニタリングするとともに、当社ホームページ*5を通じて社内外に開示してまいります。
また、関係会社に対しても、CQO(Chief Quality Officer)が、今回調査で得られた教訓と知見に基づき、実態の把握を行うべく、品質診断を各社ごとに開始しています。今後は、この診断結果に基づき、各社の特性に応じて、品質不正の未然防止機能に光を当てた改善に取り組み、良好事例を横展開することで、三菱電機グループ全体で品質不正を生まない仕組みの確立に向けた活動を主体的に継続していきます。
*5 当社品質不適切事案へのお詫びと対応について https://www.MitsubishiElectric.co.jp/reform/
(後略)
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,027億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)業績
当第2四半期連結累計期間の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンの影響による下押しがみられ、その後の持ち直しも緩やかなものに留まりました。日本では個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
前年第2四半期 連結累計期間 | 当第2四半期 連結累計期間 | 前年第2四半期 連結累計期間比 | |
売上高 | 21,383億円 | 23,395億円 | 2,011億円増 |
営業利益 | 1,378億円 | 805億円 | 573億円減 |
税引前四半期純利益 | 1,483億円 | 1,031億円 | 452億円減 |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 1,048億円 | 748億円 | 300億円減 |
①売上高
売上高は、インフラ部門の減収はありましたが、為替円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比2,011億円増加の2兆3,395億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は中国を除くアジア・欧州・国内向け空調機器の需要回復などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業はデジタル関連分野や脱炭素関連分野の設備投資を中心とした国内外での需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はITインフラサービス事業・システムインテグレーション事業が増加し、電子デバイス事業は、パワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移し増加しました。
<売上高における為替影響額>
前年第2四半期 連結累計期間 期中平均レート | 当第2四半期 連結累計期間 期中平均レート | 当第2四半期 連結累計期間 売上高への影響額 | |
連結合計 | - | - | 約1,400億円増 |
内、米ドル | 110円 | 135円 | 約610億円増 |
内、ユーロ | 131円 | 139円 | 約130億円増 |
内、人民元 | 17.1円 | 19.9円 | 約300億円増 |
②営業利益
営業利益は、ビジネスプラットフォーム部門などの増益はありましたが、ライフ部門、インフラ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益により、前年同四半期連結累計期間比573億円減少の805億円となりました。営業利益率は、売上原価率の悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比3.0ポイント悪化の3.4%となりました。
売上原価率は、為替円安による好転はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、物流費上昇や電子部品の需給逼迫に伴う操業度低下によるライフ部門の悪化、インフラ部門の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比2.3ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比620億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.7ポイント悪化しました。その他の損益・同売上高比率は、前年同期並みとなりました。
③税引前四半期純利益
税引前四半期純利益は、営業利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比452億円減少の1,031億円、売上高比率は4.4%となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比300億円減少の748億円、売上高比率は3.2%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①インフラ
社会システム事業の事業環境は、海外の公共分野における投資が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、受注高は海外の公共分野の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、売上高は国内の交通事業の減少などにより前年同四半期連結累計期間を下回りました。
電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や発電事業の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、売上高は国内の発電事業の減少などにより前年同四半期連結累計期間を下回りました。
防衛・宇宙システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の減少により前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比98%の4,020億円となりました。
営業利益は、売上高の減少に加え、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比241億円悪化の153億円の損失となりました。
②インダストリー・モビリティ
FAシステム事業の事業環境は、半導体・電子部品などのデジタル関連分野やリチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野での設備投資を中心に、国内外で需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新車販売台数は前年同四半期連結累計期間並みとなり、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要も堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの車両電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比113%の7,949億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇などにより、前年同四半期連結累計期間比112億円減少の439億円となりました。
③ライフ
ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、上海ロックダウンの影響や電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は円安の影響や中国を除くアジア・欧州・国内向け空調機器の増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比111%の9,401億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などにより、前年同四半期連結累計期間比357億円減少の340億円となりました。
④ビジネスプラットフォーム
情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業はITインフラサービス事業・システムインテグレーション事業の増加により、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は液晶事業の終息などにより前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けパワー半導体や通信用光デバイスを中心とした高周波光デバイスの増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比110%の2,068億円となりました。
営業利益は、円安の影響や売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比98億円増加の194億円となりました。
⑤その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比114%の3,930億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比48億円増加の143億円となりました。
(2)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比966億円増加の5兆2,046億円となりました。売上債権が1,040億円減少した一方、棚卸資産が1,783億円、契約資産が353億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。売上債権の減少は、前連結会計年度の売上計上案件の回収などによるものです。
負債の部は、買入債務が98億円増加した一方、その他の金融負債が259億円減少したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比170億円減少の1兆9,935億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比9億円増加の2,180億円、借入金比率は4.2%(前連結会計年度末比△0.1ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い549億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益748億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額897億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比1,093億円増加の3兆852億円、親会社株主帰属持分比率は59.3%(前連結会計年度末比+1.0ポイント)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが507億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが898億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは390億円の支出となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは910億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比955億円減少の6,315億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の減少に加え、売上債権の回収影響や棚卸資産の増加等により、前年同四半期連結累計期間比1,141億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社取得などに伴う有価証券等の取得や有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比104億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の増加や自己株式の取得の減少等により、前年同四半期連結累計期間比414億円の支出減少となりました。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事
業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更があった事項は次のとおりであり、当該変更及び追加箇所については下線で示しています。
(前略)
世界経済の先行きは、引き続き回復基調を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の変異株の拡大等の不確実性が継続する中、ウクライナ情勢の長期化や、各国でのインフレ率の上昇を背景とした金融引き締め等による景気減速もあり、成長の鈍化が見込まれます。
(中略)
「倫理・遵法」については、経営の最優先課題として近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取り組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act With Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。
特に一連の品質不適切行為に関しては、2021年7月に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会に調査を委嘱し、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を実施してまいりました。調査委員会による当社22製作所等の全ての調査が終了し、同委員会から不適切行為の調査結果に関する調査報告書(最終報告)を2022年10月20日付で受領するとともに、2021年10月に設置した、外部専門家で構成されるガバナンスレビュー委員会からガバナンス体制・内部統制システム全般の検証及び提言並びに役員の経営上の責任の追加検証及び評価の報告書を受領しました。これまでの調査委員会の調査報告に基づき、当社内でも品質不適切行為の類型と背景についてあらためて分析を進め、2021年10月に始動した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)において強化すべき内容を再点検しました。これらの分析の結果、3つの改革の方向性に大きな変更は必要ないものの、特に、未然防止に向けたエンジニアリングプロセスの変革、双方向コミュニケーションの風土醸成、予防重視のガバナンス・内部統制システムの構築に重点をおき、着実に再発防止策を推進してまいります。
品質風土改革(エンジニアリングプロセスの変革)においては、以下の取り組みを通じて、顧客に対しては、技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築するとともに、経営層自ら顧客と対話・交渉することで現場の負担を軽減し、「そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」を構築してまいります。
・設計や品質管理のリソースと負荷の見える化に基づく人材の増強や作業効率化、管理スパンの適正化など、現場マネジメントを確実に実行できる環境の整備
・レビュアーの配置拡充やレビュー実効性の向上など開発設計のフロントローディングの推進
・データに基づく品質管理と手続きの実行、経営層による顧客との会話
組織風土改革(双方向コミュニケーションの確立)においては、以下の取り組みを通じて、双方向コミュニケーションを確立し、“上にモノが言える”、“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”風土を醸成してまいります。
・経営層自らの変革を図るべく、幹部へのコーチングや現場と目線を合わせたタウンミーティング、執行役による社内SNSを通じた情報発信などの継続実行
・事業所や部門を跨るローテーションや1on1ミーティング、「心理的安全性/雑談・相談ガイドライン」の発行など、部門内外で人が繋がり、組織の自走化に資するコミュニケーション活性化策の積極的な展開
・職場の諸課題に対しては、報告を待つのでなく、管理者側から積極的に傾聴、把握し組織的解決に繋げるような行動変容の徹底
ガバナンス改革(予防重視のコンプライアンスシステムの構築)については、以下の取り組みを通じて、より効率的で実効性の高いガバナンス体制を構築してまいります。
・この1年で実現した取締役会構成の見直しを踏まえて、特に社外取締役との重要情報の共有を徹底する仕組みを構築し、取締役会の経営モニタリング機能をさらに強化
・全社的な横ぐし機能を強化し、予兆把握と予防を重視した内部統制システムを構築、全社リスク制御機能を強化
・社外取締役を過半数とする取締役会によるステークホルダー視点を重視したモニタリングを通じた3つの改革の持続的な加速・改善
なお、2021年7月より実施した外部専門家で構成する調査委員会によるアンケートを起点とした当社製造拠点の品質不適切行為調査は今回受領した報告書にて完了しましたが、3つの改革の取り組みは引き続き経営上の最重点課題として継続推進し、その進捗状況については、取締役会がモニタリングするとともに、当社ホームページ*5を通じて社内外に開示してまいります。
また、関係会社に対しても、CQO(Chief Quality Officer)が、今回調査で得られた教訓と知見に基づき、実態の把握を行うべく、品質診断を各社ごとに開始しています。今後は、この診断結果に基づき、各社の特性に応じて、品質不正の未然防止機能に光を当てた改善に取り組み、良好事例を横展開することで、三菱電機グループ全体で品質不正を生まない仕組みの確立に向けた活動を主体的に継続していきます。
*5 当社品質不適切事案へのお詫びと対応について https://www.MitsubishiElectric.co.jp/reform/
(後略)
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,027億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。