四半期報告書-第149期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)

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2019/08/07 13:37
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当社グループの要約四半期連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。当社グループは要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループは当第1四半期連結会計期間より、IFRS第16号「リース」を適用しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (要約四半期連結財務諸表注記) 3.重要な会計方針」に記載しています。
(1)業績
当第1四半期連結累計期間の景気は、米国では堅調な個人消費などを中心に拡大が続いた一方、中国では足元で成長率が減速しました。また、日本では輸出や生産が減少しており、欧州でも生産が減少するなど、日欧の回復基調はより緩やかになりました。
かかる中、当第1四半期連結累計期間の売上高は、重電システム部門、情報通信システム部門及び家庭電器部門で増収となりましたが、産業メカトロニクス部門及び電子デバイス部門の減収などにより、全体では前年同四半期連結累計期間並みの1兆507億円となりました。
営業利益は、産業メカトロニクス部門及び電子デバイス部門の減益により、全体では前年同四半期連結累計期間比89%の549億円となりました。
税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比87%の597億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比90%の427億円となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①重電システム
社会インフラ事業は、国内の交通事業、海外の電力事業の増加などにより受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
ビルシステム事業は、中国及び中東の市況低迷により受注高が減少しましたが、首都圏を中心とした国内の新設事業の増加により、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比103%の2,758億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比32億円増加の91億円となりました。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業は、国内の半導体・工作機械・自動車関連などの需要減速、海外の有機EL・スマートフォン関連需要の停滞などにより受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
自動車機器事業は、グローバルで市場が拡大している車両電動化関連製品の販売が増加しましたが、その他製品の国内・アジア向けの減少などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比92%の3,323億円となりました。
営業利益は、売上高の減少や機種構成の変動に加え、成長事業への先行投資などにより、前年同四半期連結累計期間比236億円減少の211億円となりました。
③情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要増加により、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業などの増加により、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子システム事業は、受注高は宇宙システム事業の大口案件の増加、売上高は防衛システム事業の増加により、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比108%の864億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比32億円改善の13億円となりました。
④電子デバイス
電子デバイス事業は、自動車用・電鉄用パワー半導体の需要増加などにより、受注高は前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、通信用光デバイスの需要減少などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間比99%の509億円となりました。
営業利益は、売上高の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比8億円減少の5億円となりました。
⑤家庭電器
家庭電器事業は、国内・北米・欧州向け空調機器などの増加により売上高は前年同四半期連結累計期間比106%の2,960億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比111億円増加の311億円となりました。
⑥その他
売上高は、資材調達の関係会社でのグループ向け調達の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比96%の1,495億円となりました。
営業利益は、費用改善などにより、前年同四半期連結累計期間比9億円増加の21億円となりました。
(2)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針
三菱電機グループは、「企業理念*1」及び「7つの行動指針*2」に基づき、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を企業経営の基本と位置付け、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点による「バランス経営」を継続し、強固な経営基盤の確立と持続的成長を追求してまいります。
また、コーポレートステートメント「Changes for the Better」に基づき、変革に挑戦し、常により良い明日への探求を続け、「社会」「顧客」「株主」「従業員」をはじめとするステークホルダーから信頼と満足を得られるよう取り組んでまいります。
②経営環境及び対処すべき課題
世界経済の先行きは、総じて緩やかな回復基調にあるものの、米国の通商政策や英国のEU離脱影響などの不確実性が継続する中、米中貿易摩擦に起因する各国・地域の輸出や投資の減速等で成長が鈍化することを見込んでおります。
かかる中、三菱電機グループは、「企業理念」及び「7つの行動指針」に基づき、CSRを企業経営の基本として活動しております。環境問題や資源・エネルギー問題等の社会課題に対し、製品・システム・サービスを組み合わせたソリューションの提供に取り組み、「持続可能性と安心・安全・快適性の両立」をはじめとする価値創出を、ライフ、インダストリー、インフラ、モビリティの4つの領域において、より一層推進してまいります。
また、価値創出の推進にあたっては、「バランス経営」の3つの視点(「成長性」「収益性・効率性」「健全性」)に基づきつつ、経営基盤(顧客との繋がり、技術、人材、製品、企業文化等)の強化とあらゆる連携の強化による「技術シナジー・事業シナジー」の進化に加え、事業モデルの変革を進めてまいります。なお、三菱電機グループは「連結売上高5兆円以上」「営業利益率8%以上」を2020年度成長目標としておりますが、足元の経済成長の鈍化に伴い事業環境が厳しさを増す中、2019年度はこれまでの投資成果と収益性改善の進捗状況を見極めつつ、その達成並びにその後の持続的成長に向けて引き続き取り組んでまいります。あわせて、継続的に達成すべき経営指標として、「ROE10%以上」「借入金比率15%以下」の達成にも努めてまいります。
持続的成長に向けては、成長牽引事業を中心とした事業競争力を強化するとともに新たな事業を継続的に創出してまいります。そのために、開発投資や設備投資などにおける資源投入の継続に加え、製品・技術等の補完や新地域・新市場での販売網・サービス網の確保、人的資源の獲得を目的とした協業・M&Aなどに取り組み、成果を最大化してまいります。グローバル及びグループトータルでの最適な事業推進体制を構築・強化し、欧米や中国における事業競争力を強化するとともに、インド・東南アジア・中南米等の成長市場における需要獲得に注力してまいります。あわせて、資本コストを意識した経営を進めていく中で、事業の継続的な新陳代謝を通じた経営資源の最適な配分、「ものづくり力」の強化に資する開発・生産力の強化、開発設計段階からの品質作り込み、間接部門における業務効率化も含むJust In Time改善活動を通じた生産性向上、人材構造適正化及び最適配置、更なる財務体質の改善等に引き続き取り組むとともに、事業別資産効率指標として導入した三菱電機版ROIC*3を継続的に運用し、中長期視点で、総合的な事業効率性を向上させ、「質のよい」成長を実現してまいります。
かかる三菱電機グループの取り組みの中で、「環境」については、低炭素社会や循環型社会の形成等に貢献すべく、創立100周年の2021年を目標年とする「環境ビジョン2021」の下、製品使用時におけるCO2排出量の30%削減(2000年度比)と、グループ全体での製品生産時のCO2排出総量の30%削減(1990年度比*4)を目指してまいります。「倫理・遵法」については、仕様不適合品の出荷等の品質問題も踏まえ、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。あわせて、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応を図るなど、「コーポレート・ガバナンス」の継続的な向上策に取り組み、社会・顧客・株主等とのより高い信頼関係の確立に一層努めてまいります。
三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。
*1 「企業理念」:三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。
*2 「7つの行動指針」:
・「信頼」:社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。
・「品質」:最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。
・「技術」:研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。
・「貢献」:グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。
・「遵法」:全ての企業行動において規範を遵守する。
・「環境」:自然を尊び、環境の保全と向上に努める。
・「発展」:適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。
*3 三菱電機版ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定
資産・現預金等)に基づいて算出。
*4 削減目標の基準年度:当社単独1990年、国内関係会社2000年、海外関係会社2005年
(3)資産及び負債・資本の状況分析
IFRS第16号「リース」の適用により、適用開始日にリース関連の資産930億円を主に有形固定資産へ、負債951億円を社債、借入金及びリース負債へ追加的に認識しました。
総資産残高は、前連結会計年度末比613億円減少の4兆2,949億円となりました。有形固定資産が812億円、その他の金融資産が333億円それぞれ増加した一方、売上債権が回収等により2,005億円減少したことがその主な要因です。
負債の部は、社債、借入金及びリース負債が834億円増加した一方、買入債務が562億円、未払費用が512億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比249億円減少の1兆8,201億円となりました。なお、リース負債を除く借入金・社債残高は前連結会計年度末比123億円減少の2,636億円となり、借入金比率は6.1%となりました。
資本の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益427億円の計上による増加はありましたが、配当金の支払い558億円による減少、為替円高等を背景としたその他の包括利益累計額205億円の減少等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比359億円減少の2兆3,640億円となり、親会社株主帰属持分比率は55.0%(前連結会計年度末比△0.1ポイント)となりました。
(4)経営成績の分析
①売上高
当第1四半期連結累計期間の売上高は、1兆507億円と前年同四半期連結累計期間比2億円の減収となりました。これは、産業メカトロニクス及び電子デバイス等のセグメントにおいて減収となったことによるものです。
②営業利益
売上原価は、前年同四半期連結累計期間比88億円増加の7,498億円となり、売上高に対する比率は0.9ポイント悪化の71.4%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比33億円減少の2,468億円となり、売上高に対する比率は0.3ポイント改善の23.5%となりました。その他の損益は、前年同四半期連結累計期間比9億円悪化の9億円の利益となりました。
この結果、営業利益は、前年同四半期連結累計期間比66億円減少の549億円となり、セグメントにおいては、産業メカトロニクス及び電子デバイスで減益となりました。
③税引前四半期純利益
金融収益は前年同四半期連結累計期間比4億円減少の42億円、金融費用は前年同四半期連結累計期間比21億円増加の27億円となりました。持分法による投資利益は、前年同四半期連結累計期間比3億円増加の32億円となりました。
この結果、税引前四半期純利益は、前年同四半期連結累計期間比89億円減少の597億円(売上高比5.7%)となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少等により、前年同四半期連結累計期間比48億円減少の427億円(売上高比4.1%)となりました。
(5)キャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,264億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが510億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは前年同四半期連結累計期間比169億円増加の754億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは820億円の支出となったこと等から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末比135億円減少の5,006億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、契約資産の増加や買入債務の支払の増加はあるも、売上債権の回収の増加や棚卸資産の投入額の減少等により、前年同四半期連結累計期間比292億円の収入増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比122億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、IFRS第16号「リース」適用に伴うリース負債の返済の増加等により、前年同四半期連結累計期間比180億円の支出増加となりました。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、507億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。