有価証券報告書-第147期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/28 14:29
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65項目
三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」等に記載のとおりであるが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりである。
なお、当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて作成している。当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っており、それらの仮定と見積りは資産、負債、収益、費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示金額に影響を及ぼし、実際の結果がそれらの見積りと異なることもあり得る。主要な会計方針の要約は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (2016年度及び2017年度連結財務諸表に対する注記)」に記載している。
(1) 業績概要
当連結会計年度の国内外の景気は、中国は横ばい、米国では堅調な拡大、日本や欧州では緩やかな回復基調で推移した。また、為替については前連結会計年度と比べると、5月以降は対米ドル、対ユーロともに円安で推移したが、11月後半から対米ドルは円高となった。
かかる中、三菱電機グループは、これまでの事業競争力強化・経営体質強化に加え、自らの強みに根ざした成長戦略の推進に、従来以上に軸足を置いて取り組んできた。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は、重電システム部門、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門及び家庭電器部門の増収などにより、前連結会計年度比1,925億円増の4兆4,311億円となった。
営業利益は、重電システム部門、産業メカトロニクス部門及び電子デバイス部門の増益などにより、前連結会計年度比485億円増の3,186億円となった。また、税金等調整前当期純利益は、営業利益の増加に加え、ルネサス エレクトロニクス株式売却益の計上などにより、前連結会計年度比683億円増の3,645億円、当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比613億円増の2,718億円となった。
なお、当社単独の受注高は2兆7,296億円(前年度比101%)、売上高は2兆6,758億円(前年度比104%)となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
① 重電システム
社会インフラ事業は、海外の交通事業や国内の電力事業の減少などにより、受注・売上とも前連結会計年度を下回った。
ビルシステム事業は、受注は前連結会計年度並みとなったが、国内のリニューアル事業及び海外の昇降機新設事業等が堅調に推移したことにより、売上は前連結会計年度を上回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比1%増の1兆2,419億円、営業利益は、売上案件の変動などにより、前連結会計年度比73億円増の517億円となった。
なお、当社単独の受注高は7,744億円(前年度比93%)、売上高は7,346億円(前年度比99%)となった。
② 産業メカトロニクス
FAシステム事業は、韓国等での有機EL関連や中国でのスマートフォン・電気自動車関連の設備投資の増加に加え、国内の機械メーカーによる輸出が堅調に推移し、受注・売上とも前連結会計年度を上回った。
自動車機器事業は、北米における新車販売台数の減少があったものの、中国での日系自動車メーカーの販売増加や円安の影響もあり、受注・売上ともに前連結会計年度を上回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比10%増の1兆4,449億円、営業利益は、売上増加などにより、前連結会計年度比507億円増の1,908億円となった。
なお、当社単独の受注高は1兆1,194億円(前年度比106%)、売上高は1兆1,322億円(前年度比111%)となった。
③ 情報通信システム
通信システム事業は、通信インフラ機器の需要減少などにより、受注・売上とも前連結会計年度を下回った。
情報システム・サービス事業は、システムインテグレーション事業等の増加により、売上は前連結会計年度を上回った。
電子システム事業は、防衛・宇宙システム事業の増加などにより、受注は前連結会計年度を上回ったが、防衛システム事業の大口案件の変動などにより、売上は前連結会計年度を下回った。
この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比3%減の4,360億円、営業利益は、売上減少などにより、前連結会計年度比7億円減の119億円となった。
なお、当社単独の受注高は3,069億円(前年度比107%)、売上高は2,760億円(前年度比93%)となった。
④ 電子デバイス
電子デバイス事業は、通信用光デバイスの需要減少があったが、民生用・産業用パワー半導体の需要増加などにより、受注は前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度比8%増の2,022億円、営業利益は、売上増加などにより、前連結会計年度比61億円増の145億円となった。
なお、当社単独の受注高は1,447億円(前年度比101%)、売上高は1,442億円(前年度比107%)となった。
⑤ 家庭電器
家庭電器事業は、欧州・中国・米国向け空調機器の増加に加え、円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度比4%増の1兆493億円、営業利益は、素材価格の上昇や販売費用の増加などにより、前連結会計年度比136億円減の560億円となった。
なお、当社単独の受注高は3,840億円(前年度比100%)、売上高は3,885億円(前年度比101%)となった。
⑥ その他
資材調達の関係会社での増加などにより、売上高は前連結会計年度比7%増の7,643億円、営業利益は、売上増加などにより、前連結会計年度比6億円増の239億円となった。
所在地別セグメントの業績は、次のとおりである。
① 日本
FAシステム事業、自動車機器事業及び電子デバイス事業の増等により、売上高は前連結会計年度比3%増の3兆5,062億円、営業利益は、売上増加などにより、前連結会計年度比628億円増の2,148億円となった。
② 北米
電力事業及び自動車機器事業の減等により、売上高は前連結会計年度比1%減の4,179億円、営業利益は、電力事業の一部事業における固定資産減損の計上などにより、前連結会計年度比129億円悪化の39億円の損失となった。
③ アジア
ビルシステム事業、FAシステム事業及び自動車機器事業の増等により、売上高は前連結会計年度比14%増の1兆1,807億円となったが、営業利益は、空調機器における素材価格の上昇などにより前連結会計年度比51億円減の881億円となった。
④ 欧州
FAシステム事業、電子デバイス事業及び空調機器の増等により、売上高は前連結会計年度比13%増の4,765億円となったが、営業利益は、空調機器における素材価格の上昇などにより前連結会計年度比8億円減の119億円となった。
⑤ その他
その他所在地には豪州子会社等が含まれており、売上高は510億円、営業利益は28億円となった。
(2) 生産及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。
事業の種類別セグメントの名称生産高(百万円)前連結会計年度比(%)
重電システム845,520100
産業メカトロニクス1,379,117112
情報通信システム368,12697
電子デバイス171,481113
家庭電器758,491104
その他1,736116
3,524,471106

(注) 上記金額は、仕込製品については仕切予定価格、注文製品については受注価格で示している。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりである。
事業の種類別セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)
重電システム1,241,952101
産業メカトロニクス1,444,928110
情報通信システム436,06897
電子デバイス202,294108
家庭電器1,049,369104
その他764,346107
消去△707,759-
4,431,198105

(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示している。
(3) 資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比922億円増加の4兆2,645億円となった。現金及び預金等が632億円減少した一方、棚卸資産が受注工事の進捗等に伴い仕掛品を中心に987億円、受取手形及び売掛金と長期営業債権の合計が495億円それぞれ増加した。
負債の部は、借入金及び社債残高が前連結会計年度末比406億円減少の3,114億円となり、借入金比率は7.3%(前連結会計年度末比△1.1ポイント)となった。また、支払手形及び買掛金が607億円、退職給付引当金が株価上昇等に伴う年金資産の増加等により239億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比1,311億円減少の1兆9,004億円となった。
資本の部は、配当金の支払いにより686億円減少したが、当社株主に帰属する当期純利益2,718億円の計上、為替円安・株価上昇等を背景としたその他の包括利益累計額の増加165億円等により、株主資本は前連結会計年度末比2,197億円増加の2兆2,593億円となり、株主資本比率は53.0%(前連結会計年度末比+4.1ポイント)となった。
(4) 経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、4兆4,311億円と前連結会計年度比1,925億円の増収となった。これは、重電システム、産業メカトロニクス、電子デバイス及び家庭電器等のセグメントにおいて増収となったことによるものである。
② 売上原価及び費用並びに営業利益
売上原価は、前連結会計年度比801億円増加の3兆309億円となり、売上高に対する比率は1.2ポイント改善の68.4%となった。販売費及び一般管理費・研究開発費は、前連結会計年度比473億円増加の1兆617億円となり、売上高に対する比率は0.1ポイント悪化の24.0%となった。固定資産減損損失は、前連結会計年度比164億円増加の198億円となった。
この結果、営業利益は重電システム、産業メカトロニクス及び電子デバイス等のセグメントにおいて増益となったことにより、前連結会計年度比485億円増加の3,186億円となった。
③ 営業外収益及び営業外費用
受取利息及び受取配当金と支払利息を合わせた金融費用は、前連結会計年度比14億円の収支改善となり58億円の収入超過となった。
持分法による投資利益は、前連結会計年度比7億円増加の222億円の利益となった。
その他の収益は、前連結会計年度比22億円減少の295億円となった。その他の費用は、前連結会計年度比198億円減少の117億円となった。
④ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比683億円増加の3,645億円(売上高比8.2%)となった。これは、前述のとおり営業利益が485億円増加、営業外損益が197億円増加したことによるものである。
⑤ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度比613億円増加の2,718億円(売上高比6.1%)となった。
(5) キャッシュ・フロー
当連結会計年度は、営業活動により増加した純キャッシュが2,404億円となった一方、投資活動に投入した純キャッシュが1,782億円となったため、フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度比1,550億円減少の622億円の収入となった。これに対し、財務活動により減少した純キャッシュは1,282億円となったこと等から、現金及び預金等期末残高は、前連結会計年度末比632億円減少の5,991億円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加や支払手形及び買掛金の支払の増加等により、前連結会計年度比1,255億円の収入減少となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得の増加等により、前連結会計年度比295億円の支出増加となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払の増加等により、前連結会計年度比47億円の支出増加となった。
(6) 資本の財源及び資金の流動性
三菱電機グループは、健全な財務体質を維持しつつ、成長資金の調達余力を確保することを基本方針としている。
運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものである。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っている。
なお、当連結会計年度末における現金及び預金等残高は5,991億円、借入金及び社債残高は3,114億円であり、内訳は、短期借入金が560億円、社債及び長期借入金が2,554億円(うち、1年以内の返済予定額663億円)である。また、当連結会計年度末において、未使用のコミットメントライン残高は828億円であり、契約している金融機関から短期資金を調達することができる。