四半期報告書-第151期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

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2022/02/10 10:33
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38項目
三菱電機グループの要約四半期連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。三菱電機グループは要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間の景気は、企業部門は米国、欧州、日本などにおいて総じて持ち直しが継続しました。個人消費も米国、欧州などでの持ち直しが継続し、日本でも、新型コロナウイルス感染症の影響による下押しがみられたのち、足元では、経済活動正常化に伴い持ち直しの動きがみられました。また、中国では、輸出や生産は回復傾向が継続しましたが、個人消費を中心に持ち直しは緩やかになりました。このような状況の中、各国・地域でのワクチン普及に伴う経済活動正常化の動きに加え、経済対策等を背景に景気回復に伴う世界的な需要拡大等が続き、素材価格上昇や部材の需給逼迫環境の長期化などの動きがみられました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
前年第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年第3四半期
連結累計期間比
売上高29,406億円31,812億円2,406億円増
営業利益1,377億円1,901億円524億円増
税引前四半期純利益1,583億円2,072億円488億円増
親会社株主に帰属する四半期純利益1,077億円1,484億円406億円増

①売上高
売上高は、重電システム部門などの減収はありましたが、産業メカトロニクス部門、家庭電器部門及び電子デバイス部門などの増収により、前年同四半期連結累計期間比2,406億円増加の3兆1,812億円となりました。産業メカトロニクス部門では、FAシステム事業はデジタル関連や脱炭素関連の設備投資を中心とした国内外での需要拡大を背景に増加しました。自動車機器事業は、当年度第2四半期連結会計期間以降は半導体部品の需給逼迫の影響などにより減少しましたが、当年度第1四半期連結会計期間での新型コロナウイルス感染症の影響からの回復があり、累計期間では増加しました。家庭電器部門では、国内向け空調機器は半導体部品の需給逼迫などにより減少しましたが、欧米を中心に空調機器の需要が堅調に推移し増加しました。電子デバイス部門では、パワー半導体の需要回復などにより増加しました。
<売上高における為替影響額>
前年第3四半期
連結累計期間
期中平均レート
当第3四半期
連結累計期間
期中平均レート
当第3四半期
連結累計期間
売上高への影響額
連結合計--約1,000億円増
内、米ドル106円111円約200億円増
内、ユーロ123円131円約180億円増
内、人民元15.4円17.4円約370億円増

②営業利益
営業利益は、重電システム部門の減益はありましたが、産業メカトロニクス部門、家庭電器部門及び電子デバイス部門などの増益により、前年同四半期連結累計期間比524億円増加の1,901億円となりました。営業利益率は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比1.3ポイント改善の6.0%となりました。
売上原価率は、為替円安影響に加え、売上高の増加に伴う操業度上昇などによる産業メカトロニクス部門の改善などはありましたが、素材価格上昇の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比1.1ポイントの改善に留まりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比503億円増加しましたが、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.2ポイント改善しました。その他の損益は、前年同四半期連結累計期間比18億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間並みとなりました。
③税引前四半期純利益
税引前四半期純利益は、営業利益の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比488億円増加の2,072億円、売上高比率は6.5%となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比406億円増加の1,484億円、売上高比率は4.7%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①重電システム
社会インフラ事業の事業環境は、国内の発電関連の需要が減少し、また新型コロナウイルス感染症の影響を受け国内の鉄道各社の設備投資計画に見直しの動きがみられました。このような状況の中、同事業は、国内の電力・交通事業の減少などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を下回りました。
ビルシステム事業の事業環境は、アジアの一部地域などで新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の遅れがありましたが、中国などでは回復がみられました。このような状況の中、同事業は中国などを中心に増加し、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比97%の8,438億円となりました。
営業利益は、売上高の減少や売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比257億円減少の329億円となりました。
②産業メカトロニクス
FAシステム事業の事業環境は、半導体・電子部品・スマートフォンなどのデジタル関連分野やリチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野での設備投資を中心に、国内外で需要が拡大しました。このような状況の中、同事業は受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、当年度第1四半期連結会計期間では、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復などにより、中国を除く全地域において新車販売台数が増加しましたが、累計では半導体部品の需給逼迫などの影響により前年同四半期連結累計期間並みとなりました。このような状況の中、同事業は自動車用電装品やモーター・インバーターなどの車両電動化関連製品の増加などにより、受注高・売上高とも前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比119%の1兆586億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比536億円増加の819億円となりました。
③情報通信システム
情報システム・サービス事業の事業環境は、製造業向けを中心に延期されていたシステム開発案件の再開などがありましたが、ITインフラサービス事業などで大口案件の減少がありました。このような状況の中、同事業は、受注高は前年同四半期連結累計期間を上回りましたが、売上高は前年同四半期連結累計期間を下回りました。
電子システム事業は、受注高は宇宙システム事業の大口案件の減少など、売上高は防衛システム事業の大口案件の減少などにより、前年同四半期連結累計期間を下回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比92%の2,251億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動などにより、前年同四半期連結累計期間比13億円増加の73億円となりました。
④電子デバイス
電子デバイス事業の事業環境は、産業・民生・自動車向けのパワー半導体の需要が回復しました。このような状況の中、同事業は産業・民生・自動車向けのパワー半導体の増加などにより、受注高は前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間比120%の1,790億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比44億円増加の120億円となりました。
⑤家庭電器
家庭電器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、欧米を中心に、テレワークの定着などにより家庭用空調機器の需要が増加し、また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていた設備投資が回復し始めたことで業務用空調機器の緩やかな需要回復がありました。このような状況の中、同事業は、国内向け空調機器は減少しましたが、欧米を中心とした空調機器の増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間比112%の8,479億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比91億円増加の666億円となりました。
⑥その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比115%の4,865億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比88億円増加の146億円となりました。
(2)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比624億円減少の4兆7,354億円となりました。棚卸資産が2,066億円増加した一方、売上債権が1,645億円、現金及び現金同等物が1,352億円それぞれ減少したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、産業メカトロニクス部門や家庭電器部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。売上債権の減少は前連結会計年度の売上計上案件の回収などによるものです。
負債の部は、未払費用が438億円、その他の金融負債が375億円、社債、借入金及びリース負債が273億円それぞれ減少したこと等から、負債残高は前連結会計年度末比1,196億円減少の1兆8,076億円となりました。なお、リース負債を除く借入金・社債残高は前連結会計年度末比184億円減少の2,304億円、借入金比率は4.9%(前連結会計年度末比△0.3ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い857億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益1,484億円の計上等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比572億円増加の2兆8,115億円、親会社株主帰属持分比率は59.4%(前連結会計年度末比+2.0ポイント)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが1,171億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが722億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは448億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは1,914億円の支出となったこと等から、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比1,352億円減少の6,321億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の増加等はありましたが、棚卸資産の増加等により、前年同四半期連結累計期間比1,996億円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の増加や、前連結会計年度に設備投資を一部抑制したことに伴う当第3四半期連結累計期間の有形固定資産の取得の減少等により、前年同四半期連結累計期間比678億円の支出減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の減少及び自己株式の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比972億円の支出増加となりました。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更があった事項は次のとおりであり、当該変更及び追加箇所については下線で示しています。
(前略)
世界経済の先行きは、新型コロナウイルス感染症が景気に与える影響に依然として不確実性は残るものの、各国・地域でのワクチン普及に伴う経済活動正常化の動きに加え、米国や中国を中心とする経済対策等の下支えもあり、総じてみれば景気回復が進展することが見込まれます。
(中略)
「倫理・遵法」については、近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題の発生を厳粛に受け止め、再発防止を経営の最優先課題として各種取り組みを進めています。一連の品質不適切行為の判明を受け、社長を室長とする緊急対策室を設置するとともに、品質に関わる不適切事案の調査を外部専門家で構成する調査委員会に委嘱しました。同委員会による調査の結果、名古屋製作所 可児工場における電磁開閉器の第三者認証不適合と長崎製作所における鉄道車両用空調装置の不適切検査等が確認され、2021年10月1日に調査報告書(第1報)を受領しました。また、長崎製作所における鉄道車両用空調装置の不適切検査及び非常用電源設備の不適切行為、冷熱システム製作所における業務用冷熱機器の検査装置不備に伴う一部検査の不実施、受配電システム製作所におけるガス絶縁開閉装置の出荷試験一部不実施等、福山製作所における遮断器の定期工場監査受験時の不適切行為及びCO₂レーザーマーカー設備の電波法上の申請不備、鎌倉製作所におけるETC設備の不適切な試験対応等が確認され、2021年12月23日に調査報告書(第2報)を受領しました。
当社はこれらの調査報告書を真摯に受け止め、今後の当社の方針と、再発防止策を含む3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)の取り組みについて策定しました。具体的には、「品質風土」については、社長直轄組織の「品質改革推進本部」を設立し、新たな品質保証体制での品質ガバナンス強化に向けた取り組みを開始しています。「組織風土」については、改革を牽引する全社変革プロジェクト「チーム創生」を立ち上げ、変革に向けた提言をまとめ、実行計画を策定してまいります。「ガバナンス」については、外部専門家から構成する「ガバナンスレビュー委員会」を取締役会の委託機関として設置し、当社の内部統制システムやガバナンス体制の検証に基づき、課題抽出と改善策の検討を開始しています。
なお、調査委員会による当社全22製作所等の品質に関わる調査は今後も継続し、3か月ごとを目安に調査結果と当社としての取り組みの進捗・進化を公表していく予定です。当社の製作所等については2022年4月を目途に調査完了を目指し、その後、関係会社の調査に取り組む予定であり、その結果も踏まえつつ、再発防止策を含む当社の3つの改革を深化・発展させながら着実に変革に取り組んでまいります。
(後略)
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,419億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門の受注実績が前年同四半期連結累計期間比で著しく増加しました。各セグメントの受注実績の変動については、「(1)業績 事業の種類別セグメント」の業績を参照ください。
(7)主要な設備
当連結会計年度の設備投資計画(新設・拡充)は、当年度第2四半期連結会計期間において、次のとおり計画金額(意思決定ベース)を変更しています。なお、当第3四半期連結会計期間においては、計画金額の見直しはありません。
事業の種類別
セグメントの名称
前連結会計年度末計画金額
(百万円)
変更後の
計画金額
(百万円)
設備等の主な内容・目的
重電システム31,00028,500電力機器、交通機器及び昇降機の増産、合理化、品質向上 等
産業メカトロニクス71,00072,500FA機器及び自動車機器の増産 等
情報通信システム21,50020,500研究開発力強化、合理化 等
電子デバイス27,50030,000パワーデバイスの増産 等
家庭電器43,50048,500空調機器の増産、合理化、品質向上 等
その他6,5006,000-
共 通9,00014,000研究開発力強化、品質保証体制に関する
インフラ整備 等
合 計210,000220,000-

(注) 1. 経常的な設備の更新の為の除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はありません。
2. 所要資金は、主に自己資金によりますが、必要に応じて借入及び社債の発行を実施する予定です。
3. 当年度第2四半期連結会計期間においては、各セグメントについて、投資内容の見直しを行いました。
(注)「(7)主要な設備」の各記載金額には消費税等を含んでいません。