四半期報告書-第152期第3四半期(2022/10/01-2022/12/31)
三菱電機グループの要約四半期連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。三菱電機グループは要約四半期連結財務諸表の作成において資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行っており、実際の業績がこれらの見積りと異なる場合があります。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンや断続的な行動制限の影響による下押しがみられました。日本では、個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
①売上高
売上高は、為替円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比3,839億円増加の3兆5,652億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は欧州・北米・国内向け空調機器の需要回復などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業は脱炭素関連分野の設備投資を中心とした需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はシステムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加し、電子デバイス事業はパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移し増加しました。インフラ部門では、社会システム事業及び電力システム事業は前年同四半期連結累計期間並みとなり、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業が増加しました。
<売上高における為替影響額>
②営業利益
営業利益は、ビジネスプラットフォーム部門などの増益はありましたが、インフラ部門、ライフ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益により、前年同四半期連結累計期間比269億円減少の1,632億円となりました。営業利益率は、売上原価率の悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比1.4ポイント悪化の4.6%となりました。
売上原価率は、為替円安や価格転嫁による改善はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、インフラ部門での採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比1.3ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比944億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.2ポイント悪化しました。その他の損益は、前年同四半期連結累計期間比26億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.1ポイント改善しました。
③税引前四半期純利益
税引前四半期純利益は、営業利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比181億円減少の1,890億円、売上高比率は5.3%となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比91億円減少の1,393億円、売上高比率は3.9%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①インフラ
社会システム事業の事業環境は、国内の公共分野における投資が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の公共分野の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間並みとなりました。
電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や発電事業の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間並みとなりました。
防衛・宇宙システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の減少により前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比101%の6,146億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比266億円悪化の122億円の損失となりました。
②インダストリー・モビリティ
FAシステム事業の事業環境は、スマートフォンや半導体などのデジタル関連分野の需要は減少しましたが、リチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野の設備投資を中心に、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響などはありましたが、新車販売台数は前年同四半期連結累計期間を上回り、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの車両電動化製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比113%の1兆2,122億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇などにより、前年同四半期連結累計期間比29億円減少の784億円となりました。
③ライフ
ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、上海ロックダウンの影響や電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や欧州・北米・国内向け空調機器の増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比117%の1兆4,306億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などにより、前年同四半期連結累計期間比146億円減少の707億円となりました。
④ビジネスプラットフォーム
情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は客先の先行手配が一巡した影響などによるパワー半導体の減少や、液晶事業の終息などにより前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスを中心とした高周波光デバイスの増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比112%の3,090億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比142億円増加の324億円となりました。
⑤その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比115%の5,999億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比55億円増加の220億円となりました。
(2)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比1,985億円増加の5兆3,065億円となりました。現金及び現金同等物が1,416億円減少した一方、棚卸資産が2,696億円、契約資産が805億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。
負債の部は、未払費用が509億円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が1,641億円増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比1,011億円増加の2兆1,116億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比1,384億円増加の3,556億円、借入金比率は6.7%(前連結会計年度末比+2.4ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い845億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益1,393億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額433億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比979億円増加の3兆738億円、親会社株主帰属持分比率は57.9%(前連結会計年度末比△0.4ポイント)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが317億円の支出となったことに加え、投資活動によるキャッシュ・フローが1,258億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは1,576億円の支出となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは8億円の収入となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比1,416億円減少の5,855億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の減少に加え、棚卸資産の増加や売上債権の回収影響等により、前年同四半期連結累計期間比1,488億円の支出増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の減少や有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比535億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の増加や自己株式の取得の減少等により、前年同四半期連結累計期間比1,923億円の収入増加となりました。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更があった事項は次のとおりであり、当該変更及び追加箇所については下線で示しています。
(前略)
世界経済の先行きは、引き続き回復基調を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の変異株の拡大等の不確実性が継続する中、ウクライナ情勢の長期化や、各国でのインフレ率の上昇を背景とした金融引き締め等による景気減速もあり、成長の鈍化が見込まれます。
(中略)
「倫理・遵法」については、経営の最優先課題として近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取り組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act With Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。
特に一連の品質不適切行為に関しては、2021年7月に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会に調査を委嘱し、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を実施してまいりました。調査委員会による当社22製作所等の全ての調査が終了し、同委員会から不適切行為の調査結果に関する調査報告書(最終報告)を2022年10月20日付で受領するとともに、2021年10月に設置した、外部専門家で構成されるガバナンスレビュー委員会からガバナンス体制・内部統制システム全般の検証及び提言並びに役員の経営上の責任の追加検証及び評価の報告書を受領しました。これまでの調査委員会の調査報告に基づき、当社内でも品質不適切行為の類型と背景についてあらためて分析を進め、2021年10月に始動した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)において強化すべき内容を再点検しました。これらの分析の結果、3つの改革の方向性に大きな変更は必要ないものの、特に、未然防止に向けたエンジニアリングプロセスの変革、双方向コミュニケーションの風土醸成、予防重視のガバナンス・内部統制システムの構築に重点をおき、再発防止策に取り組んでいます。
品質風土改革(エンジニアリングプロセスの変革)においては、以下の取り組みを通じて、顧客に対しては、技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築するとともに、経営層自ら顧客と対話・交渉することで現場の負担を軽減し、「そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」の構築を進めています。
・設計や品質管理のリソースと負荷の見える化に基づく人材の増強や作業効率化、管理スパンの適正化など、現場マネジメントを確実に実行できる環境の整備
・レビュアーの配置拡充やレビュー実効性の向上など開発設計のフロントローディングの推進
・データに基づく品質管理と手続きの実行、経営層による顧客との会話
組織風土改革(双方向コミュニケーションの確立)においては、以下の取り組みを通じて、双方向コミュニケーションを確立し、“上にモノが言える”、“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”風土の醸成を図っています。
・経営層自らの変革を図るべく、幹部へのコーチングや現場と目線を合わせたタウンミーティング、執行役による社内SNSを通じた情報発信などの継続実行
・事業所や部門を跨るローテーションや1on1ミーティング、「心理的安全性/雑談・相談ガイドライン」の発行など、部門内外で人が繋がり、組織の自走化に資するコミュニケーション活性化策の積極的な展開
・職場の諸課題に対しては、報告を待つのでなく、管理者側から積極的に傾聴、把握し組織的解決に繋げるような行動変容の徹底
ガバナンス改革(予防重視のコンプライアンスシステムの構築)については、以下の取り組みを通じて、より効率的で実効性の高いガバナンス体制の構築を進めています。
・この1年で実現した取締役会構成の見直しを踏まえて、特に社外取締役との重要情報の共有を徹底する仕組みを構築し、取締役会の経営モニタリング機能をさらに強化
・全社的な横ぐし機能を強化し、予兆把握と予防を重視した内部統制システムを構築、全社リスク制御機能を強化
・社外取締役を過半数とする取締役会によるステークホルダー視点を重視したモニタリングを通じた3つの改革の持続的な加速・改善
なお、2021年7月より実施した外部専門家で構成する調査委員会によるアンケートを起点とした当社製造拠点の品質不適切行為調査は今回受領した報告書にて完了しましたが、3つの改革の取り組みは引き続き経営上の最重点課題として継続推進し、その進捗状況については、取締役会がモニタリングするとともに、当社ホームページ*5を通じて社内外に開示してまいります。
また、関係会社に対しても、各社ごとに実施した品質診断の結果に基づき、各社の特性に応じて、品質不正の未然防止機能に光を当てた改善に取り組み、良好事例を横展開することで、三菱電機グループ全体で品質不正を生まない仕組みの確立に向けた活動を主体的に継続しています。
*5 当社品質不適切事案へのお詫びと対応について https://www.MitsubishiElectric.co.jp/reform/
(後略)
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,555億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
当連結会計年度の設備投資計画(新設・拡充)は、当第3四半期連結会計期間において、次のとおり計画金額(意思決定ベース)を変更しています。
(注) 1. 経常的な設備の更新の為の除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はありません。
2. 所要資金は、主に自己資金によりますが、必要に応じて借入及び社債の発行を実施する予定です。
3. 当第3四半期連結会計期間においては、ライフ及び共通について、投資内容の見直しを行いました。
(1)業績
当第3四半期連結累計期間の景気は、米国では、企業・家計部門ともに持ち直しが継続しましたが、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンや断続的な行動制限の影響による下押しがみられました。日本では、個人消費を中心に緩やかな持ち直しが継続しましたが、欧州では、企業・家計部門ともに持ち直しはより緩やかになりました。また、一部素材価格の上昇や物流費の高止まり、電子部品等の需給逼迫の長期化などの動きがみられました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、以下のとおりとなりました。
<連結決算概要>
前年第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年第3四半期 連結累計期間比 | |
売上高 | 31,812億円 | 35,652億円 | 3,839億円増 |
営業利益 | 1,901億円 | 1,632億円 | 269億円減 |
税引前四半期純利益 | 2,072億円 | 1,890億円 | 181億円減 |
親会社株主に帰属する四半期純利益 | 1,484億円 | 1,393億円 | 91億円減 |
①売上高
売上高は、為替円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比3,839億円増加の3兆5,652億円となりました。ライフ部門では、ビルシステム事業はアジア・国内向けで増加し、空調・家電事業は欧州・北米・国内向け空調機器の需要回復などにより増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業は脱炭素関連分野の設備投資を中心とした需要拡大を背景に増加し、自動車機器事業は電動化関連製品などの需要が堅調に推移し増加しました。ビジネスプラットフォーム部門では、情報システム・サービス事業はシステムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業が増加し、電子デバイス事業はパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移し増加しました。インフラ部門では、社会システム事業及び電力システム事業は前年同四半期連結累計期間並みとなり、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業が増加しました。
<売上高における為替影響額>
前年第3四半期 連結累計期間 期中平均レート | 当第3四半期 連結累計期間 期中平均レート | 当第3四半期 連結累計期間 売上高への影響額 | |
連結合計 | - | - | 約2,120億円増 |
内、米ドル | 111円 | 137円 | 約940億円増 |
内、ユーロ | 131円 | 141円 | 約250億円増 |
内、人民元 | 17.4円 | 19.8円 | 約390億円増 |
②営業利益
営業利益は、ビジネスプラットフォーム部門などの増益はありましたが、インフラ部門、ライフ部門、インダストリー・モビリティ部門の減益により、前年同四半期連結累計期間比269億円減少の1,632億円となりました。営業利益率は、売上原価率の悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比1.4ポイント悪化の4.6%となりました。
売上原価率は、為替円安や価格転嫁による改善はありましたが、一部素材価格の上昇に加え、インフラ部門での採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比1.3ポイント悪化しました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期連結累計期間比944億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.2ポイント悪化しました。その他の損益は、前年同四半期連結累計期間比26億円増加し、売上高比率は前年同四半期連結累計期間比0.1ポイント改善しました。
③税引前四半期純利益
税引前四半期純利益は、営業利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比181億円減少の1,890億円、売上高比率は5.3%となりました。
④親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は、税引前四半期純利益の減少などにより、前年同四半期連結累計期間比91億円減少の1,393億円、売上高比率は3.9%となりました。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。
①インフラ
社会システム事業の事業環境は、国内の公共分野における投資が堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の公共分野の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間並みとなりました。
電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や発電事業の増加などにより前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間並みとなりました。
防衛・宇宙システム事業は、受注高は防衛システム事業の大口案件の減少により前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比101%の6,146億円となりました。
営業利益は、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前年同四半期連結累計期間比266億円悪化の122億円の損失となりました。
②インダストリー・モビリティ
FAシステム事業の事業環境は、スマートフォンや半導体などのデジタル関連分野の需要は減少しましたが、リチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野の設備投資を中心に、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響などはありましたが、新車販売台数は前年同四半期連結累計期間を上回り、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの車両電動化製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比113%の1兆2,122億円となりました。
営業利益は、円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇などにより、前年同四半期連結累計期間比29億円減少の784億円となりました。
③ライフ
ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、上海ロックダウンの影響や電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や欧州・北米・国内向け空調機器の増加などにより、売上高は前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比117%の1兆4,306億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響はありましたが、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などにより、前年同四半期連結累計期間比146億円減少の707億円となりました。
④ビジネスプラットフォーム
情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により、受注高・売上高ともに前年同四半期連結累計期間を上回りました。
電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスの需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は客先の先行手配が一巡した影響などによるパワー半導体の減少や、液晶事業の終息などにより前年同四半期連結累計期間を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けのパワー半導体や通信用光デバイスを中心とした高周波光デバイスの増加などにより、前年同四半期連結累計期間を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年同四半期連結累計期間比112%の3,090億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年同四半期連結累計期間比142億円増加の324億円となりました。
⑤その他
売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比115%の5,999億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年同四半期連結累計期間比55億円増加の220億円となりました。
(2)資産及び負債・資本の状況分析
総資産残高は、前連結会計年度末比1,985億円増加の5兆3,065億円となりました。現金及び現金同等物が1,416億円減少した一方、棚卸資産が2,696億円、契約資産が805億円それぞれ増加したことがその主な要因です。
棚卸資産の増加は、為替円安影響に加え、インダストリー・モビリティ部門やライフ部門での需要回復や半導体・電子部品の部材逼迫の影響などによるものです。
負債の部は、未払費用が509億円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が1,641億円増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比1,011億円増加の2兆1,116億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比1,384億円増加の3,556億円、借入金比率は6.7%(前連結会計年度末比+2.4ポイント)となりました。
資本の部は、配当金の支払い845億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益1,393億円の計上及び為替円安等を背景としたその他の包括利益累計額433億円の増加等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比979億円増加の3兆738億円、親会社株主帰属持分比率は57.9%(前連結会計年度末比△0.4ポイント)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間は、営業活動によるキャッシュ・フローが317億円の支出となったことに加え、投資活動によるキャッシュ・フローが1,258億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは1,576億円の支出となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは8億円の収入となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比1,416億円減少の5,855億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期純利益の減少に加え、棚卸資産の増加や売上債権の回収影響等により、前年同四半期連結累計期間比1,488億円の支出増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の減少や有形固定資産の取得の増加等により、前年同四半期連結累計期間比535億円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の増加や自己株式の取得の減少等により、前年同四半期連結累計期間比1,923億円の収入増加となりました。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について変更があった事項は次のとおりであり、当該変更及び追加箇所については下線で示しています。
(前略)
世界経済の先行きは、引き続き回復基調を見込んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の変異株の拡大等の不確実性が継続する中、ウクライナ情勢の長期化や、各国でのインフレ率の上昇を背景とした金融引き締め等による景気減速もあり、成長の鈍化が見込まれます。
(中略)
「倫理・遵法」については、経営の最優先課題として近年発生した製品・サービス品質、労務、情報セキュリティーの問題を厳粛に受け止め、再発防止に向けた各種取り組みを進めています。三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act With Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、コンプライアンス方針の再徹底、内部統制の強化、教育を核としたコンプライアンス活動による一層の意識浸透にグループ全体で真摯に取り組んでまいります。
特に一連の品質不適切行為に関しては、2021年7月に社外弁護士を委員長として設置した調査委員会に調査を委嘱し、当社国内全従業員に対するアンケート調査等で得られた内容について客観的データ等の突合による整合性確認、当該拠点関係者や役員に対するフォレンジック調査及び関係者へのヒアリング調査を実施してまいりました。調査委員会による当社22製作所等の全ての調査が終了し、同委員会から不適切行為の調査結果に関する調査報告書(最終報告)を2022年10月20日付で受領するとともに、2021年10月に設置した、外部専門家で構成されるガバナンスレビュー委員会からガバナンス体制・内部統制システム全般の検証及び提言並びに役員の経営上の責任の追加検証及び評価の報告書を受領しました。これまでの調査委員会の調査報告に基づき、当社内でも品質不適切行為の類型と背景についてあらためて分析を進め、2021年10月に始動した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)において強化すべき内容を再点検しました。これらの分析の結果、3つの改革の方向性に大きな変更は必要ないものの、特に、未然防止に向けたエンジニアリングプロセスの変革、双方向コミュニケーションの風土醸成、予防重視のガバナンス・内部統制システムの構築に重点をおき、再発防止策に取り組んでいます。
品質風土改革(エンジニアリングプロセスの変革)においては、以下の取り組みを通じて、顧客に対しては、技術的に正しい説明を尽くす組織能力を再構築するとともに、経営層自ら顧客と対話・交渉することで現場の負担を軽減し、「そもそも現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」の構築を進めています。
・設計や品質管理のリソースと負荷の見える化に基づく人材の増強や作業効率化、管理スパンの適正化など、現場マネジメントを確実に実行できる環境の整備
・レビュアーの配置拡充やレビュー実効性の向上など開発設計のフロントローディングの推進
・データに基づく品質管理と手続きの実行、経営層による顧客との会話
組織風土改革(双方向コミュニケーションの確立)においては、以下の取り組みを通じて、双方向コミュニケーションを確立し、“上にモノが言える”、“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”風土の醸成を図っています。
・経営層自らの変革を図るべく、幹部へのコーチングや現場と目線を合わせたタウンミーティング、執行役による社内SNSを通じた情報発信などの継続実行
・事業所や部門を跨るローテーションや1on1ミーティング、「心理的安全性/雑談・相談ガイドライン」の発行など、部門内外で人が繋がり、組織の自走化に資するコミュニケーション活性化策の積極的な展開
・職場の諸課題に対しては、報告を待つのでなく、管理者側から積極的に傾聴、把握し組織的解決に繋げるような行動変容の徹底
ガバナンス改革(予防重視のコンプライアンスシステムの構築)については、以下の取り組みを通じて、より効率的で実効性の高いガバナンス体制の構築を進めています。
・この1年で実現した取締役会構成の見直しを踏まえて、特に社外取締役との重要情報の共有を徹底する仕組みを構築し、取締役会の経営モニタリング機能をさらに強化
・全社的な横ぐし機能を強化し、予兆把握と予防を重視した内部統制システムを構築、全社リスク制御機能を強化
・社外取締役を過半数とする取締役会によるステークホルダー視点を重視したモニタリングを通じた3つの改革の持続的な加速・改善
なお、2021年7月より実施した外部専門家で構成する調査委員会によるアンケートを起点とした当社製造拠点の品質不適切行為調査は今回受領した報告書にて完了しましたが、3つの改革の取り組みは引き続き経営上の最重点課題として継続推進し、その進捗状況については、取締役会がモニタリングするとともに、当社ホームページ*5を通じて社内外に開示してまいります。
また、関係会社に対しても、各社ごとに実施した品質診断の結果に基づき、各社の特性に応じて、品質不正の未然防止機能に光を当てた改善に取り組み、良好事例を横展開することで、三菱電機グループ全体で品質不正を生まない仕組みの確立に向けた活動を主体的に継続しています。
*5 当社品質不適切事案へのお詫びと対応について https://www.MitsubishiElectric.co.jp/reform/
(後略)
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,555億円(製造費用へ計上した改良費等を含む)です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、三菱電機グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
当連結会計年度の設備投資計画(新設・拡充)は、当第3四半期連結会計期間において、次のとおり計画金額(意思決定ベース)を変更しています。
事業の種類別 セグメントの名称 | 前連結会計年度末計画金額 (百万円) | 変更後の 計画金額 (百万円) | 設備等の主な内容・目的 |
インフラ | 43,000 | 43,000 | 交通機器、電力機器及び宇宙関連機器の 合理化、品質向上 等 |
インダストリー・ モビリティ | 73,000 | 73,000 | FA機器及び自動車機器の増産 等 |
ラ イ フ | 72,000 | 104,000 | 昇降機及び空調機器の増産、合理化、 品質向上 等 |
ビジネス プラットフォーム | 48,000 | 48,000 | 情報通信インフラの整備、パワーデバイス の増産 等 |
そ の 他 | 7,000 | 7,000 | - |
共 通 | 20,000 | 12,000 | 研究開発力強化、品質保証体制に関する インフラ整備 等 |
合 計 | 263,000 | 287,000 | - |
(注) 1. 経常的な設備の更新の為の除・売却を除き、重要な設備の除・売却の計画はありません。
2. 所要資金は、主に自己資金によりますが、必要に応じて借入及び社債の発行を実施する予定です。
3. 当第3四半期連結会計期間においては、ライフ及び共通について、投資内容の見直しを行いました。