有価証券報告書-第68期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/28 10:16
【資料】
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【項目】
148項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、米中貿易摩擦の長期化による影響の拡大などにより、不透明な状況が続いております。また、日本経済は、世界経済減速の影響を受け輸出が低迷し、設備投資に慎重な姿勢が見られるなど、景気は足踏み状態が続いております。
当社の主要顧客であります自動車及び電子部品業界におきましては、生産設備増強のための設備投資に慎重な姿勢が見られました。電子部品関連の計測器の需要が大きく減少したことに加え、バッテリー関連の計測器の需要に、当初見込んだほどの力強さが見られませんでした。
開発面では、自動車やバッテリー分野の研究開発向けの新製品を市場に投入してまいりました。大電流化、高周波化が進む電気自動車のインバーターやバッテリーの評価に必要な高確度で大電流を測定するセンサーや、車載通信CAN信号を通信線の被覆上から検出できる金属非接触型の画期的なセンサーなど、幅広い分野に22機種の新製品を投入いたしました。これらの新製品は各分野で高い評価をいただいており、今後の売上高拡大に貢献すると期待しております。
生産面では、品質・コスト・納期のそれぞれに高い目標を設定し、生産現場を中心に改善活動を進め、成果をあげてまいりました。また、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグローバルアフターサービス体制の構築も新たに専門部署を組織化し、進めてまいりました。
販売面では、海外重点市場における販売代理店の複数化を積極的に進めており、その成果が出てまいりました。また、インド市場において、販売サポート、修理・校正・サービス事業を展開してまいりました連結子会社に、4月から製品販売機能を持たせ、販売子会社として事業を進める変更をいたしました。発展が期待されるインド市場の深耕を進めてまいります。新体制となったインド販売子会社を加えた8社の海外販売会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、売上高の伸長を目指してまいります。当連結会計年度における海外売上高の比率は49.3%になりました。
利益面では、売上高の減少、新製品開発や海外における販路開拓のための投資費用の増加、また、為替変動などの影響もあり、経常利益は前連結会計年度を下回る結果になりました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高228億10百万円(前連結会計年度比2.1%減)、営業利益28億53百万円(同13.9%減)、経常利益29億67百万円(同12.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益21億97百万円(同20.8%減)になりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、建物及び構築物が増加したため、前連結会計年度末と比較して5億97百万円増加し、279億63百万円になりました。
負債は、未払法人税等及び未払金が減少したため、前連結会計年度末と比較して3億8百万円減少し、28億41百万円になりました。
純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して9億5百万円増加し、251億22百万円になりました。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して7億19百万円増加し、92億23百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、32億82百万円の収入(前連結会計年度比14.7%減)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益29億75百万円及び減価償却費12億31百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額9億9百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、11億99百万円の支出(同885.1%増)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、12億93百万円の支出(同46.1%増)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
自動試験装置(千円)1,972,94491.2
記録装置(千円)4,204,85299.1
電子測定器(千円)10,564,12198.2
現場測定器(千円)4,894,07397.5
周辺装置他(千円)1,336,15190.0
合計(千円)22,972,14397.0

(注)1.金額は売価換算価額で表示しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
自動試験装置1,977,68089.6485,683113.7
記録装置4,053,55696.2197,35087.8
電子測定器10,214,14094.8826,57083.7
現場測定器5,013,277105.5261,036108.6
周辺装置他1,455,98196.065,864127.2
合計22,714,63696.81,836,50595.1

(注)金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
自動試験装置(千円)1,919,31393.0
記録装置(千円)4,080,90297.2
電子測定器(千円)10,373,42498.3
現場測定器(千円)4,994,352101.8
周辺装置他(千円)1,442,11992.2
合計(千円)22,810,11297.9

(注)金額には消費税等は含まれておりません。
(b) 顧客の所在地別実績
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
国内(千円)11,574,21996.1
海外アジア(千円)8,276,52498.1
アメリカ(千円)1,667,537112.7
ヨーロッパ(千円)1,053,145112.7
その他の地域(千円)238,68460.9
(千円)11,235,892100.0
合計(千円)22,810,11297.9

(注)1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
当連結会計年度におきましては、世界経済減速の影響を受け輸出が低迷し、主要顧客であります自動車及び電子部品業界において生産設備増強のための設備投資に慎重な姿勢が見られ、総じて当社計測器の需要は減少いたしました。この結果、当社の売上高、利益とも前連結会計年度を下回る結果になりました。
当社が目標とする経営指標の一つであります売上高経常利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度は目標を15.9%として活動をスタートいたしましたが、売上高が減少し、新製品開発や販路開拓のための投資費用の増加を補うことができず、13.0%と目標を達成することができませんでした。また、もう一つの経営指標であります海外売上高比率につきましては、50%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、49.3%と前連結会計年度から1.0ポイント上昇いたしましたが、国内の売上高減少によるものが主因であります。
これらの指標を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、自動車、バッテリー、電子部品の分野に向けて高付加価値製品の開発を進め、新製品を市場に投入してまいります。
また、販売面では、8社の海外販売会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、海外売上高の伸長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は次のとおりであります。
(自動試験装置)
微細化技術の進展による高密度化への対応や自動車用途などの高い信頼性が求められる基板検査の分野に向けて、高密度プリント基板向けのベアボード検査装置と小型モジュールタイプの実装基板検査装置の新製品を投入し市場の拡大に努めました。しかし、産業機器向けの設備投資低迷の影響を受け、需要が減少いたしました。
この結果、売上高は19億19百万円(前連結会計年度比7.0%減)になりました。
(記録装置)
バッテリー評価向けの高耐圧多チャネルのデータロガーが大きく伸長いたしました。また、12月には自動車や航空分野などの市場にも拡大が期待されるデータロガーの新製品を投入し市場の拡大に努めました。しかし、産業機器向けの設備投資低迷の影響を受け、主力のメモリレコーダの需要が減少いたしました。
この結果、売上高は40億80百万円(同2.8%減)になりました。
(電子測定器)
活発な研究開発投資が続く自動車やバッテリー分野に向けて、性能を一桁以上引き上げた高性能な電流センサーや、電池材料分野の研究に使われる電極抵抗測定システムなど特徴ある新製品を投入し、この分野は順調に伸長いたしました。一方で、前期に大きく伸長した電子部品向けの計測器は、電子部品業界における生産設備への投資に慎重な姿勢が見られ、需要が減少いたしました。
この結果、売上高は103億73百万円(同1.7%減)になりました。
(現場測定器)
特徴あるセンサー形状を持ち高密度化している配電盤などでの測定作業を効率化することができるクランプ電流計の新製品を継続して市場に投入いたしました。また、世界的に進行するIoT化の流れを現場測定器にも積極的に導入するため、スマートフォン用アプリとクラウドソフトウェアへ新技術の導入を進めました。販売網の拡大も進み、この分野の需要は堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は49億94百万円(同1.8%増)になりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。