有価証券報告書-第69期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の抑制により、極めて厳しい状況になりました。一方で、中国では早期に経済活動が再開され、設備投資の回復が進みました。世界各国でも徐々に経済活動が再開し緩やかな回復の兆しも見られますが、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れており、また、米中貿易摩擦の影響が引き続き懸念されることから、経済の先行きは予断を許さない状況が続いております。
当社の主要顧客であります自動車及び電子部品業界におきましては、設備投資に慎重な姿勢が見られ、当社にとって厳しい状況が続いております。しかしながら、インフラ、自動車などでバッテリーの需要が高まっており、同業界における引き合いは徐々に増えてきていることから、電子測定器などを中心に計測器の需要は徐々に回復してきております。また、インフラや電気設備メンテナンス分野向けの現場測定器については、堅調に推移いたしました。
地域別に見ると、国内及びアメリカにおける計測器需要が前連結会計年度と比較すると大きく減少いたしました。一方で、経済活動の再開に伴い中国や韓国における計測器需要は回復いたしました。
開発面では、急激な進化を見せている自動車業界に向けて、高い信頼性が求められる基板検査の生産性と品質を高める新型の実装基板検査装置や、電気自動車に搭載され今後さらに需要が高まると予想されるリチウムイオン電池関連の計測器など、複数の新製品を市場に投入いたしました。また、狭く複雑な配線でも安全かつ簡単に測定できる形状のクランプメータや、当社の計測器をワイヤレス化し、お客様の利便性を高める通信アダプターなど、当連結会計年度において16機種の新製品を市場に投入いたしました。
販売面では、11月に中国に当社の孫会社を設立いたしました。中国における顧客ニーズを満たす研究開発及び生産を行うことを通じて、市場の深耕を図ることを設立目的としております。これにより、HIOKIブランドの浸透を図り、顧客の拡大につなげてまいります。
利益面では、営業活動の制限により経費の発生が抑制されたことに加え、一層の経費削減に努めてまいりましたが、売上高の減少の影響が大きく、経常利益は前連結会計年度を下回る結果になりました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高216億64百万円(前連結会計年度比5.0%減)、営業利益24億69百万円(同13.5%減)、経常利益26億46百万円(同10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20億71百万円(同5.7%減)になりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、繰延税金資産が増加したため、前連結会計年度末と比較して24億77百万円増加し、304億40百万円になりました。
負債は、未払法人税等及び未払費用が増加したため、前連結会計年度末と比較して15億86百万円増加し、44億27百万円になりました。
純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して8億90百万円増加し、260億12百万円になりました。
当社では、新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク軽減と、お客様、お取引先様及び社員の安全確保を目的として、公共交通機関の利用制限、営業拠点における在宅勤務や時差出勤の推奨、不急の出張や会議などは中止または延期、Web会議の活用、職場の衛生管理、昼食時を含め3密(密接、密集、密閉)を作り出さない環境づくりなど、各種対策を実施しております。引き続き感染リスクの軽減に取り組んでまいります。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して23億18百万円増加し、115億42百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、42億7百万円の収入(前連結会計年度比28.2%増)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益27億7百万円、減価償却費11億80百万円及び未払費用の増加額9億58百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額7億42百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、10億18百万円の支出(同15.1%減)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、8億85百万円の支出(同31.5%減)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
(注)1.金額は売価換算価額で表示しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
(注)金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
(注)金額には消費税等は含まれておりません。
(b) 顧客の所在地別実績
(注)1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の抑制により、極めて厳しい状況になりました。また、当社の主要顧客であります自動車及び電子部品業界におきましては、設備投資に慎重な姿勢が見られ、当社にとって厳しい状況が続きました。この結果、当社の売上高、利益とも前連結会計年度を下回る結果になりました。
当社が目標とする経営指標の一つであります売上高経常利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度は目標を14.5%として活動をスタートいたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響による売上高の減少の影響が大きく、営業活動の制限により経費の発生が抑制されたことに加え、一層の経費削減に努めてまいりましたが、12.2%と目標を達成することができませんでした。また、もう一つの経営指標であります海外売上高比率につきましては、50%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、50.7%と前連結会計年度から1.4ポイント上昇し、目標に到達いたしました。これは主として第2四半期以降、経済活動の再開に伴い中国や韓国における計測器需要が回復したことに加え、同国の自動車及び電子部品業界に対する拡販策が奏功しアジア地域の前年同期比の減少幅が縮小したことと、国内の売上高が前年同期比で大きく減少したことによるものです。
売上高経常利益率の指標を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、自動車、バッテリー、電子部品の分野に向けて高付加価値製品の開発を進め、新製品を市場に投入してまいります。
また、販売面では、8社の海外販売会社及び中国における研究開発等を担う孫会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、海外売上高の伸長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は次のとおりであります。
(自動試験装置)
自動車用途など高い信頼性が求められる基板検査の生産性向上に向けて、実装基板検査装置の新製品を投入するとともに、微細化・多層化が進むプリント基板向けのベアボード検査装置に対し、AI(人工知能)技術を用いて検出性能を向上させるソフトウエアを投入し、市場の拡大に努めました。
この結果、売上高は19億8百万円(前連結会計年度比0.6%減)になりました。
(記録装置)
前連結会計年度に引き続き、データロガーの分野に無線技術で計測範囲を大きく広げる新製品を投入したことで、この分野は順調に市場拡大を続けることができました。しかし、産業機器向け設備投資が低迷する中、特に自動車業界向けの多チャネル測定用メモリレコーダの需要が大きく減少いたしました。
この結果、売上高は37億34百万円(同8.5%減)になりました。
(電子測定器)
活発な設備投資が続くバッテリー分野に向けて、電気自動車に搭載されるバッテリーマネジメントシステム向け評価機など複数の新製品を投入し、この分野は順調に伸長いたしました。しかし、産業機器向け設備投資の低迷を受け、電力変換機器向けのパワーアナライザや電子部品の検査向け計測器の売上高が減少いたしました。
この結果、売上高は95億41百万円(同8.0%減)になりました。
(現場測定器)
世界的なIoT化の進展に合わせ、当社の計測器をワイヤレス化する通信アダプターを発売し、主力商品群を当該通信アダプターに対応させるためのモデルチェンジを続けてまいりました。また、社会インフラとして通信設備やデータセンターなどの重要性が高まっており、これらの設備の電源を止めずに保守管理することができるリーククランプメータの新製品を投入いたしました。インフラや電気設備分野の需要は堅調に推移し、売上高を伸ばすことができました。
この結果、売上高は51億76百万円(同3.6%増)になりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の抑制により、極めて厳しい状況になりました。一方で、中国では早期に経済活動が再開され、設備投資の回復が進みました。世界各国でも徐々に経済活動が再開し緩やかな回復の兆しも見られますが、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れており、また、米中貿易摩擦の影響が引き続き懸念されることから、経済の先行きは予断を許さない状況が続いております。
当社の主要顧客であります自動車及び電子部品業界におきましては、設備投資に慎重な姿勢が見られ、当社にとって厳しい状況が続いております。しかしながら、インフラ、自動車などでバッテリーの需要が高まっており、同業界における引き合いは徐々に増えてきていることから、電子測定器などを中心に計測器の需要は徐々に回復してきております。また、インフラや電気設備メンテナンス分野向けの現場測定器については、堅調に推移いたしました。
地域別に見ると、国内及びアメリカにおける計測器需要が前連結会計年度と比較すると大きく減少いたしました。一方で、経済活動の再開に伴い中国や韓国における計測器需要は回復いたしました。
開発面では、急激な進化を見せている自動車業界に向けて、高い信頼性が求められる基板検査の生産性と品質を高める新型の実装基板検査装置や、電気自動車に搭載され今後さらに需要が高まると予想されるリチウムイオン電池関連の計測器など、複数の新製品を市場に投入いたしました。また、狭く複雑な配線でも安全かつ簡単に測定できる形状のクランプメータや、当社の計測器をワイヤレス化し、お客様の利便性を高める通信アダプターなど、当連結会計年度において16機種の新製品を市場に投入いたしました。
販売面では、11月に中国に当社の孫会社を設立いたしました。中国における顧客ニーズを満たす研究開発及び生産を行うことを通じて、市場の深耕を図ることを設立目的としております。これにより、HIOKIブランドの浸透を図り、顧客の拡大につなげてまいります。
利益面では、営業活動の制限により経費の発生が抑制されたことに加え、一層の経費削減に努めてまいりましたが、売上高の減少の影響が大きく、経常利益は前連結会計年度を下回る結果になりました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高216億64百万円(前連結会計年度比5.0%減)、営業利益24億69百万円(同13.5%減)、経常利益26億46百万円(同10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20億71百万円(同5.7%減)になりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、繰延税金資産が増加したため、前連結会計年度末と比較して24億77百万円増加し、304億40百万円になりました。
負債は、未払法人税等及び未払費用が増加したため、前連結会計年度末と比較して15億86百万円増加し、44億27百万円になりました。
純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して8億90百万円増加し、260億12百万円になりました。
当社では、新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク軽減と、お客様、お取引先様及び社員の安全確保を目的として、公共交通機関の利用制限、営業拠点における在宅勤務や時差出勤の推奨、不急の出張や会議などは中止または延期、Web会議の活用、職場の衛生管理、昼食時を含め3密(密接、密集、密閉)を作り出さない環境づくりなど、各種対策を実施しております。引き続き感染リスクの軽減に取り組んでまいります。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して23億18百万円増加し、115億42百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、42億7百万円の収入(前連結会計年度比28.2%増)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益27億7百万円、減価償却費11億80百万円及び未払費用の増加額9億58百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額7億42百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、10億18百万円の支出(同15.1%減)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、8億85百万円の支出(同31.5%減)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) | |||
自動試験装置 | (千円) | 1,953,973 | 99.0 | |
記録装置 | (千円) | 3,839,213 | 91.3 | |
電子測定器 | (千円) | 9,712,176 | 91.9 | |
現場測定器 | (千円) | 5,062,834 | 103.4 | |
周辺装置他 | (千円) | 1,216,658 | 91.1 | |
合計 | (千円) | 21,784,856 | 94.8 |
(注)1.金額は売価換算価額で表示しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
自動試験装置 | 2,456,896 | 124.2 | 1,034,440 | 213.0 |
記録装置 | 3,817,036 | 94.2 | 279,648 | 141.7 |
電子測定器 | 9,716,795 | 95.1 | 1,001,944 | 121.2 |
現場測定器 | 5,371,540 | 107.1 | 455,977 | 174.7 |
周辺装置他 | 1,495,994 | 102.7 | 258,586 | 392.6 |
合計 | 22,858,263 | 100.6 | 3,030,597 | 165.0 |
(注)金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) | |||
自動試験装置 | (千円) | 1,908,140 | 99.4 | |
記録装置 | (千円) | 3,734,738 | 91.5 | |
電子測定器 | (千円) | 9,541,420 | 92.0 | |
現場測定器 | (千円) | 5,176,598 | 103.6 | |
周辺装置他 | (千円) | 1,303,272 | 90.4 | |
合計 | (千円) | 21,664,170 | 95.0 |
(注)金額には消費税等は含まれておりません。
(b) 顧客の所在地別実績
当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) | |||
国内 | (千円) | 10,690,382 | 92.4 | |
海外 | アジア | (千円) | 8,083,464 | 97.7 |
アメリカ | (千円) | 1,455,223 | 87.3 | |
ヨーロッパ | (千円) | 1,065,365 | 101.2 | |
その他の地域 | (千円) | 369,734 | 154.9 | |
計 | (千円) | 10,973,788 | 97.7 | |
合計 | (千円) | 21,664,170 | 95.0 |
(注)1.金額には消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の抑制により、極めて厳しい状況になりました。また、当社の主要顧客であります自動車及び電子部品業界におきましては、設備投資に慎重な姿勢が見られ、当社にとって厳しい状況が続きました。この結果、当社の売上高、利益とも前連結会計年度を下回る結果になりました。
当社が目標とする経営指標の一つであります売上高経常利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度は目標を14.5%として活動をスタートいたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響による売上高の減少の影響が大きく、営業活動の制限により経費の発生が抑制されたことに加え、一層の経費削減に努めてまいりましたが、12.2%と目標を達成することができませんでした。また、もう一つの経営指標であります海外売上高比率につきましては、50%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、50.7%と前連結会計年度から1.4ポイント上昇し、目標に到達いたしました。これは主として第2四半期以降、経済活動の再開に伴い中国や韓国における計測器需要が回復したことに加え、同国の自動車及び電子部品業界に対する拡販策が奏功しアジア地域の前年同期比の減少幅が縮小したことと、国内の売上高が前年同期比で大きく減少したことによるものです。
売上高経常利益率の指標を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、自動車、バッテリー、電子部品の分野に向けて高付加価値製品の開発を進め、新製品を市場に投入してまいります。
また、販売面では、8社の海外販売会社及び中国における研究開発等を担う孫会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、海外売上高の伸長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は次のとおりであります。
(自動試験装置)
自動車用途など高い信頼性が求められる基板検査の生産性向上に向けて、実装基板検査装置の新製品を投入するとともに、微細化・多層化が進むプリント基板向けのベアボード検査装置に対し、AI(人工知能)技術を用いて検出性能を向上させるソフトウエアを投入し、市場の拡大に努めました。
この結果、売上高は19億8百万円(前連結会計年度比0.6%減)になりました。
(記録装置)
前連結会計年度に引き続き、データロガーの分野に無線技術で計測範囲を大きく広げる新製品を投入したことで、この分野は順調に市場拡大を続けることができました。しかし、産業機器向け設備投資が低迷する中、特に自動車業界向けの多チャネル測定用メモリレコーダの需要が大きく減少いたしました。
この結果、売上高は37億34百万円(同8.5%減)になりました。
(電子測定器)
活発な設備投資が続くバッテリー分野に向けて、電気自動車に搭載されるバッテリーマネジメントシステム向け評価機など複数の新製品を投入し、この分野は順調に伸長いたしました。しかし、産業機器向け設備投資の低迷を受け、電力変換機器向けのパワーアナライザや電子部品の検査向け計測器の売上高が減少いたしました。
この結果、売上高は95億41百万円(同8.0%減)になりました。
(現場測定器)
世界的なIoT化の進展に合わせ、当社の計測器をワイヤレス化する通信アダプターを発売し、主力商品群を当該通信アダプターに対応させるためのモデルチェンジを続けてまいりました。また、社会インフラとして通信設備やデータセンターなどの重要性が高まっており、これらの設備の電源を止めずに保守管理することができるリーククランプメータの新製品を投入いたしました。インフラや電気設備分野の需要は堅調に推移し、売上高を伸ばすことができました。
この結果、売上高は51億76百万円(同3.6%増)になりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。