四半期報告書-第52期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/09 11:45
【資料】
PDFをみる
【項目】
12項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業の設備投資や個人消費が底堅く推移し、緩やかに回復しております。海外経済は、米国の通商政策による貿易摩擦、欧州における金融政策の動向、中国における景気減速懸念など不透明感が続いておりますが、全体としては緩やかな回復基調が続いております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野が政府の成長戦略に含められており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、米国では、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法の見直しにより無保険者数が増加しており、中国では、医療費抑制の動きが加速しておりますが、基本的に医療関連需要は底堅く推移しております。また、遺伝子解析技術が医療面でも応用されることによって新たな領域が広がりつつあります。
このような状況の下、当社は、中東地域における事業基盤を更に強化するため、新たにエジプトに現地法人を設立しました。現地代理店を通じた販売・サービス体制から直接販売・サービス体制に移行することにより、販売およびサービス体制の強化や当社グループならではのサービスおよびサポートを提供し、医療の発展に貢献してまいります。また、当社は、研究開発の中核拠点テクノパークに隣接する西神工業団地(神戸市西区)に、血液凝固検査分野、免疫検査分野、ライフサイエンス分野などの事業強化に向け、タンパク質などに最新のバイオテクノロジーを駆使した診断薬(以下、バイオ診断薬)の製品競争力向上及び安定供給を目的に、バイオ診断薬の研究開発、原料調達、生産から物流までを一貫して行うバイオ診断薬センターの建設を進めております。なお、本センターは、2019年4月より稼働予定です。
<参考>地域別売上高
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前年同期比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内9,39415.29,56214.5101.8
米州14,33423.214,94622.7104.3
EMEA16,73727.118,19627.6108.7
中国16,17426.217,88527.1110.6
アジア・パシフィック5,0788.35,3708.1105.8
海外計52,32584.856,39885.5107.8
合計61,719100.065,961100.0106.9

国内販売につきましては、主に血球計数検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴い試薬の売上が伸長したことに加え、免疫検査分野及びライフサイエンス分野において試薬の売上が伸長しました。その結果、国内売上高は9,562百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
海外販売につきましては、機器の売上は減少したものの、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野を中心に、試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は56,398百万円(前年同期比7.8%増)、構成比85.5%(前年同期比0.7ポイント増)となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は65,961百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益は13,831百万円(前年同期比11.3%増)、税引前四半期利益は12,766百万円(前年同期比6.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は9,424百万円(前年同期比14.6%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
国内では、主に血球計数検査分野、免疫検査分野及びライフサイエンス分野において試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は10,128百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出売上の減少や為替影響による輸出採算の悪化等により、セグメント利益(営業利益)は8,097百万円(前年同期比14.1%減)となりました。
② 米州
北米では、主に血液凝固検査分野において機器の売上が増加したものの、血球計数検査分野において機器の売上が減少しました。しかし、血球計数検査分野において機器設置台数の増加に伴い試薬の売上が増加したこと等により、増収となりました。中南米では、主に血球計数検査分野において機器の売上が減少したこと等により、減収となりました。その結果、米州全体での売上高は13,950百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
利益面につきましては、グループ間の商標ロイヤリティー支払の増加、販売費及び一般管理費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は680百万円(前年同期比58.9%減)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野において機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したことに加え、ライフサイエンス分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は18,704百万円(前年同期比11.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収や売上原価率の改善による売上総利益の増加により、セグメント利益(営業利益)は1,322百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
④ 中国
主に血液凝固検査分野及び尿検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は17,851百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収や売上原価率の改善による売上総利益の増加により、セグメント利益(営業利益)は3,476百万円(前年同期比88.0%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、前年同期にインド・バングラデシュで政府入札案件の販売があったことによる反動のため減収となりましたが、台湾及び韓国において血球球計数検査分野を中心に、売上が伸長したこと等により、売上高は5,325百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収や売上原価率の改善による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は498百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて13,722百万円減少し、308,257百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産が1,761百万円増加しましたが、現金及び現金同等物が10,300百万円減少したこと、営業債権及びその他の債権(流動資産)が3,672百万円減少したこと、その他の流動資産が1,855百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて14,102百万円減少し、66,434百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が5,411百万円減少したこと、未払法人所得税が4,125百万円減少したこと、未払賞与が3,597百万円減少したこと、未払費用が1,232百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて380百万円増加し、241,823百万円となりました。この主な要因は、その他の資本の構成要素が1,458百万円減少しましたが、利益剰余金が1,673百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から3.4ポイント増加して78.2%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より10,300百万円減少し、51,144百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、3,296百万円(前年同期比6,541百万円減)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が12,766百万円(前年同期比825百万円増)、減価償却費及び償却費が3,803百万円(前年同期比322百万円増)、営業債権の減少額が3,476百万円(前年同期比417百万円減)、営業債務の減少額が3,435百万円(前年同期は688百万円の増加)、未払賞与の減少額が3,628百万円(前年同期比429百万円増)、法人所得税の支払額が7,449百万円(前年同期比4,377百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、5,892百万円(前年同期比10,186百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が2,819百万円(前年同期比299百万円減)、無形資産の取得による支出が1,771百万円(前年同期比131百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が1,007百万円(前年同期比698百万円減)、子会社又はその他の事業の取得による支出が20百万円(前年同期比9,449百万円減)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、7,326百万円(前年同期比1,105百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が7,506百万円(前年同期比1,261百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は4,207百万円であります。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第1四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
① 2018年4月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)が共同で開発を進めてきた“がん関連遺伝子パネル※1検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”が、先進医療※2として承認されたとともに、本検査を国立がん研究センターにて開始いたしました。
※1 がん関連遺伝子パネル:
がんの診療上重要な複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に解析できる診断薬のこと。NCCオンコパネルは、国立がん研究センターが中心となり開発された遺伝子パネルであり、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように設計されている。
※2 先進医療:
未だ保険診療の対象に至らない医療技術のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものを指す。2004年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し、患者様の負担増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしたもの。
② 2018年4月 当社とイミュニティリサーチ株式会社は、イミュニティリサーチ株式会社が独占的通常実施権を有する「免疫チェックポイント阻害剤の効果を事前に血液検査で予測する方法に関する特許」について、当社への再実施権を許諾する契約を締結いたしました。当社は、本特許に基づいた診断技術を開発し、免疫チェックポイント阻害剤における効果予測の実現を目指します。
③ 2018年5月 当社が独自に開発したOSNA™法※3を用いて、がんのリンパ節転移を迅速に検出するがんリンパ節転移検査システムの新製品「遺伝子増幅検出装置 RD-200」及び遺伝子増幅検出試薬「リノアンプ™CK19」を国内で発売を開始することを発表いたしました。
※3 OSNA™法:
当社が開発した直接遺伝子増幅法(One-Step Nucleic Acid Amplification)。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
④ 2018年6月 当社、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構※4及び国立大学法人京都大学は、神戸医療産業都市推進機構が進める「創薬イノベーションプログラム※5—免疫関連疾患の診断技術の開発—」に関する共同研究を開始いたしました。3者は、共同研究を通じて、自己免疫疾患※6や慢性炎症性疾患の早期発見などを可能とする診断システムの創出を目指します。
※4 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構:
神戸医療産業都市の中核的支援機関として、産官学医の連携・融合を促進する総合調整機能を担うとともに、先端医療の実現に資する研究開発及び臨床応用の支援、次世代の医療システムの構築を通じて、革新的医療技術の創出と医療関連産業の集積形成に寄与することが基本的なミッション。2018年4月より「公益財団法人先端医療振興財団」から、「公益財団法人神戸医療産業都市推進機構」と名称を変更。
※5 創薬イノベーションプログラム:
神戸医療産業都市に集積する研究機関や基盤施設などの研究開発機能を結集・連携させたプログラムを国内外の製薬会社などへ提案し、神戸医療産業都市推進機構との共同研究体制により、創薬の開発に必要な研究者、設備、臨床開発などの研究環境を一元的に提供。
※6 自己免疫疾患:
本来、外部から体内へ侵入した異物を認識し排除する役割を持つ免疫細胞が、自身の体内に存在する物質を攻撃することで生じる疾患の総称。