有価証券報告書-第54期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 13:32
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120項目
1.経営成績等の概要
(1) 経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が大きく抑制された結果、個人消費や企業収益が急速に悪化するなど、極めて厳しい状況で推移いたしました。その後、社会経済の活動レベルの段階的な引き上げや各種政策の効果によって持ち直しているものの、再度の感染拡大、それに伴う緊急事態宣言の発令などもあり、未だ先行きが不透明な状況が続いております。海外においても、新型コロナウイルス感染症拡大は深刻な状況であり、主要都市のロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令などにより経済活動が大きく制限されました。その後、各政府の金融財政政策なども打ち出され、段階的に回復基調に戻りつつあるものの、収束の目途は依然としてつかない状況にあり、景気の先行きは不透明になっております。
医療面におきましては、国内では医療及びヘルスケア分野は高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に、需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、医療関連産業は引き続き活性化が見込まれております。海外においても先進国の高齢化に伴う医療の効率化、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)などの最先端技術のヘルスケア領域への応用が急速に進展しており、今後も継続した成長が期待されております。また、グローバルでの新型コロナウイルス感染症のパンデミックを起点とした医療体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性もあり、さらなる成長機会が見込まれております。
このような状況の下、当社は血球計数検査分野における製品ポートフォリオの持続的な進化を目指し、次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置XRシリーズ」と、白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置XQシリーズ」を日本国内において発売いたしました。今後、各国における許認可取得を経て、グローバルな販売活動を推進すると共に、地域の特性や施設のニーズに応じた検査室運営の最適化に貢献すべく、血球計数検査分野における製品ポートフォリオの進化に引き続き取り組んでまいります。
血液凝固検査分野においては、さらなる効率化と質の向上を目指し「全自動血液凝固測定装置CN-6500/CN-3500」を日本国内において発売いたしました。Siemens Healthcare Diagnostics Incとの血液凝固検査関連製品に関するグローバルアライアンスにおいて、取り扱い製品・テリトリーの見直しを含む契約更新を行い、全自動血液凝固測定装置CNシリーズの販売を強化すると共に、引き続き世界各地のお客様へ豊富なソリューションの提案を推進してまいります。
ライフサイエンス分野においては、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして日本で初めて保険適用された「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」に関し、製造販売承認の一部変更承認を取得いたしました。124遺伝子の変異・増幅、13遺伝子の融合及びマイクロサテライト不安定性(MSI)の検出が可能になることで、診断や抗がん剤選定など、医師の治療方針決定を補助する、より詳細な遺伝子情報の提供が可能となります。
当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイド(以下、メディカロイド)が、国産初の手術支援ロボットシステムである「hinotori™ サージカルロボットシステム」の製造販売承認を取得いたしました。グローバル総代理店である当社は、日本の医療機関を対象にhinotori™を発売し、泌尿器科から製品の導入を開始いたしました。さらに、メディカロイドが進める海外における薬事承認の取得活動と連携し、海外市場においても順次製品の導入を推進してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大の防止に貢献すべく、「全自動免疫測定装置HISCL™-5000/HISCL™-800」を用いた、新型コロナウイルス感染症を引き起こすコロナウイルス抗原の検出が可能な試薬や、新型コロナウイルス感染症の患者さんの重症化リスク判定を補助する試薬を発売いたしました。今後も、PCR検査、抗原検査、抗体検査、サイトカイン検査に加え、既存の血球計数検査及び血液凝固検査などさまざまな検査によって、新型コロナウイルス感染症に関する研究や診断・治療の確立に貢献いたします。
<参考>地域別売上高
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前期比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内46,72515.548,75616.0104.3
米州71,03723.565,89021.692.8
EMEA77,25025.682,14026.9106.3
中国80,04826.583,83027.5104.7
アジア・パシフィック26,9198.924,4548.090.8
海外計255,25584.5256,31684.0100.4
合計301,980100.0305,073100.0101.0

国内販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しました。その結果、国内売上高は48,756百万円(前期比4.3%増)となりました。
海外販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野、尿検査分野を中心に試薬の売上が減少しましたが、尿検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器の売上が増加しました。その結果、海外売上高は256,316百万円(前期比0.4%増)、構成比84.0%(前期比0.5ポイント減)となりました。
国内及び海外販売において増収となりましたが、試薬売上の減少に伴う売上原価率の悪化により売上総利益は154,302百万円(前期比3.4%減)となりました。販売費及び一般管理費は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限等により減少し、80,839百万円(前期比3.2%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は305,073百万円(前期比1.0%増)、営業利益は51,792百万円(前期比6.3%減)、税引前利益は48,033百万円(前期比2.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は33,142百万円(前期比5.0%減)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 日本
国内では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しました。その結果、売上高は52,672百万円(前期比4.2%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出売上における試薬の売上減少や、売上原価率の悪化による売上総利益の減少、主に研究開発費の増加により、セグメント利益(営業利益)は30,434百万円(前期比16.1%減)となりました。
② 米州
北米では、新製品を発売した尿検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が増加しましたが、主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が減少し、減収となりました。中南米では、血球計数検査分野において試薬の売上が減少し、減収となりました。その結果、米州全体での売上高は61,501百万円(前期比7.1%減)となりました。
利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少しましたが、減収及び売上原価率の悪化により売上総利益が減少し、セグメント利益(営業利益)は2,512百万円(前期比12.1%減)となりました。
③ EMEA
主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しましたが、ドイツで大手検査センター向けに機器の販売が伸長したこと、中東での大型案件の獲得もあり血球計数検査分野において機器の売上が増加しました。また、血液凝固検査分野も増収となったほか、ドイツにおいて新型コロナウイルス抗原検査キットの仕入販売を開始したこともあり、関連試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は82,854百万円(前期比5.4%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率が悪化したものの、増収による売上総利益の増加及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少し、セグメント利益(営業利益)は10,085百万円(前期比20.8%増)となりました。
④ 中国
主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しましたが、血球計数検査分野及び尿検査分野において機器の売上が増加しました。また、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は83,735百万円(前期比4.7%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上原価率の悪化による売上総利益の減少により、セグメント利益(営業利益)は5,066百万円(前期比11.5%減)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
南アジアでは、インドでの入札案件の獲得により血球計数検査分野において機器の売上が伸長したほか、オーストラリアで大手検査センター向けに血液凝固検査分野の新製品の販売が伸長しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が減少しました。その結果、売上高は24,309百万円(前期比8.9%減)となりました。
利益面につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限もあり、販売費及び一般管理費が減少しましたが、減収及び売上原価率の悪化により売上総利益が減少し、セグメント利益(営業利益)は2,134百万円(前期比31.6%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて38,183百万円増加し、427,475百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権が14,991百万円増加、現金及び現金同等物が9,875百万円増加、無形資産が7,927百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて7,862百万円増加し、118,806百万円となりました。この主な要因は、その他の非流動負債が1,999百万円増加、未払費用が1,719百万円増加、その他の短期金融負債が976百万円増加、未払賞与が916百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて30,321百万円増加し、308,669百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が18,155百万円増加、その他の資本の構成要素が10,614百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の71.3%から0.7ポイント増加して72.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より9,875百万円増加し、66,467百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、58,813百万円(前期比5,631百万円増)となりました。この主な要因は、税引前利益が48,033百万円(前期比1,400百万円減)、減価償却費及び償却費が25,575百万円(前期比1,620百万円増)、営業債権の増加額が9,066百万円(前期比4,642百万円増)、棚卸資産の減少額が3,851百万円(前期は9,807百万円の増加)、営業債務の減少額が834百万円(前期は2,762百万円の増加)、契約負債の減少額314百万円(前期は3,292百万円の増加)、法人所得税の支払額が13,172百万円(前期比3,036百万円減)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、31,131百万円(前期比5,224百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が9,930百万円(前期比3,699百万円減)、無形資産の取得による支出が15,863百万円(前期比3,020百万円増)、長期前払費用の増加を伴う支出が4,050百万円(前期比1,563百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が623百万円(前期比3,930百万円減)、定期預金の払戻による収入が1,438百万円(前期比5,889百万円減)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、20,253百万円(前期比343百万円減)となりました。この主な要因は、株式の発行による収入549百万円(前期比201百万円増)、配当金の支払額が15,037百万円(前期比9百万円増)、リース負債の返済による支出が5,911百万円(前期比2百万円減)となったこと等によるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本184,307108.5
米州6,41084.7
EMEA12,616105.5
中国3,037102.0
アジア・パシフィック1,18582.1
合計207,558107.1

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本52,672104.2
米州61,50192.9
EMEA82,854105.4
中国83,735104.7
アジア・パシフィック24,30991.1
合計305,073101.0

(注)1.セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は前期比3,092百万円増加(1.0%増)の305,073百万円、営業利益は前期比3,491百万円減少(6.3%減)の51,792百万円、税引前利益は前期比1,400百万円減少(2.8%減)の48,033百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比1,740百万円減少(5.0%減)の33,142百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の12.9%から当連結会計年度は11.3%へと低下いたしました。
当社グループは、前中期経営計画において2022年3月期を最終年度として、連結売上高380,000百万円、連結営業利益78,000百万円を達成することを目指し、2021年3月期の目標数値を、連結売上高310,000百万円、連結営業利益48,500百万円としておりました。その結果、当連結会計年度の売上高は、計画を下回るも増収を達成しており、営業利益は新型コロナウイルス感染症の拡大により検査数が減少したものの、特に当第3四半期以降に試薬需要の回復が見られ、減益となったものの計画は達成いたしました。
こうした中、2021年4月より2024年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画をスタートしており、長期ビジョンに基づくポジショニング目標達成に向けて引き続き重要な課題に取り組み、2024年3月期の経営指標(連結売上高420,000百万円、連結営業利益80,000百万円)を達成することを目指します。
① 売上高
当連結会計年度は、国内販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により尿検査分野、免疫検査分野において試薬の売上が減少しましたが、大手検査センター向けの血球計数検査分野における機器の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野の試薬、ライフサイエンス分野の試薬及びサービスの売上が増加しました。その結果、国内売上高は48,756百万円(前期比4.3%増)となりました。海外販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により血球計数検査分野、尿検査分野を中心に試薬の売上が減少しましたが、尿検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において機器の売上が増加しました。その結果、海外売上高は256,316百万円(前期比0.4%増)、構成比84.0%(前期比0.5ポイント減)となりました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べて3,092百万円増加(1.0%増)の305,073百万円となりました。
国内での売上高は48,756百万円と2,031百万円の増加(4.3%増)となり、海外での売上高は256,316百万円と1,061百万円の増加(0.4%増)となった結果、海外売上高比率は前期比0.5ポイント減少の84.0%となりました。
海外の地域別では、米州が65,890百万円(前期比5,146百万円減、7.2%減)、EMEAが82,140百万円(前期比4,890百万円増、6.3%増)、中国が83,830百万円(前期比3,782百万円増、4.7%増)、アジア・パシフィックが24,454百万円(前期比2,464百万円減、9.2%減)となりました。
② 売上原価
売上原価は、前期比8,596百万円増加(6.0%増)の150,770百万円となりました。また、売上原価率は49.4%(前期比2.3ポイント増加)でありました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限等により減少し、前期比2,705百万円減少(3.2%減)の80,839百万円となりました。また、売上高に対する比率は26.5%(前期比1.2ポイント減少)でありました。
④ 研究開発費
研究開発費は、商品ポートフォリオ充実のために新商品の開発及び新型コロナウイルス感染症関連の分野を中心に研究開発を推進したこと等により、前期比755百万円増加(3.5%増)の22,517百万円となりました。また、売上高に対する比率は7.4%(前期比0.2ポイント増加)でありました。
⑤ 損益の状況
営業利益は、売上高が伸張し販売費及び一般管理費が減少したものの、原価率の悪化や研究開発費の増加により、前期比3,491百万円減少(6.3%減)の51,792百万円、売上高営業利益率は17.0%(前期比1.3ポイント減少)となりました。なお、為替の影響は、前連結会計年度と比較して49百万円の増益要因となりました。
税引前利益は、為替差損が前期比2,787百万円減少したものの、営業利益が減益となったこと等によって、前期比1,400百万円減少(2.8%減)の48,033百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用が前期比310百万円増加(2.1%増)の14,930百万円となり、前期比1,740百万円減少(5.0%減)の33,142百万円となりました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが事業を展開していく上で、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2 事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
運転資金は必要に応じて短期銀行借入等で調達いたします。各連結子会社については、運転資金確保のために必要に応じて銀行借入を行いますが、国内の子会社については、2003年10月より当社と各社との資金決済にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金の調達・運用を一元化して効率化を図っております。
また、当社は、現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりAA-(ダブルAマイナス)の発行体格付を取得しており、毎年レビューを受けて格付を更新しております。高い格付は資本市場から資金調達する際の調達コストを低減するだけではなく、ステークホルダーや世間一般からの信用向上にも貢献します。今後も格付を維持・向上していくために、売上高・利益と資産及び負債・資本のバランスに考慮してまいります。
設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案したうえで調達方法を決定しております。なお、当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。
② 財政状態の分析
財政状態の分析については、「1.経営成績等の概要 (2) 財政状態の分析」に記載しておりますので、ご参照ください。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.経営成績等の概要 (3) キャッシュ・フローの分析」に記載しておりますので、ご参照ください。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 3.重要な会計方針」に記載しておりますので、ご参照ください。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルスの影響に関して、2022年3月期の連結業績予想は、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少した売上高が概ね回復すると想定しており、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。