四半期報告書-第53期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

【提出】
2019/11/13 15:09
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【項目】
18項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業においては、貿易摩擦をはじめとする海外情勢の不透明感や円高による収益悪化や景況感の低下が見られるものの、雇用及び所得環境は緩やかに改善を続け、企業投資も老朽化設備の更新や人手不足を背景とした合理化・省力化投資などにより、底堅く推移しております。海外経済は、米中の貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題に加え、中東における地政学的な緊張の高まりもあり、先行きへの警戒感が強まっております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野は高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、先進国の高齢化進展、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大、医療水準の質・サービスの向上が進み、医療の効率化、人工知能(AI)、情報通信技術(ICT)などの最新技術を取り込んだ構造的な変革が見られます。
このような状況の下、リキッドバイオプシーによる大腸がんのRAS遺伝子※1変異検査に用いる体外診断用医薬品としては国内初となるRAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™※2 RAS CRCキット」の製造販売承認を取得いたしました。従来の腫瘍組織を用いた生体検査より低侵襲かつ簡便なことに加え、同等の判定結果を提供することが可能であることから、患者さんの身体的・精神的負担の軽減や検査機会の拡大、早期の治療方針確定に貢献いたします。
また、フローサイトメトリーを用いて白血病や悪性リンパ腫診断の詳細解析などを行うクリニカルFCM検査の市場において、その検査の前処理を自動で行う「Sample Preparation System PS-10」を2019年8月より北米で発売いたしました。FCM検査における煩雑な検体の前処理工程を自動化し、効率的なワークフローを実現するとともに、FCM検査の標準化に貢献いたします。さらに、今後のグローバル展開を見据えて、測定装置となるフローサイトメーターについても世界各国で必要な薬事許認可取得に向けた活動を進めてまいります。
当社と国立大学法人京都大学(以下「京都大学」) 高等研究院 本庶 佑特別教授は、がん・免疫疾患領域の新たな診断技術の創出を目指し、2013年から共同で研究開発を行っており、このたび、「研究用全自動高感度免疫測定装置 HI-1000」を用いた可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法(以下「本測定法」)を構築し、当社は2019年9月より本測定法を用いた研究用受託サービスを開始いたしました。本測定法は、がん免疫療法や様々な自己免疫疾患の新たな診断法となり、個別化医療の実現につながる可能性があります。今後はその実用化に向けて研究開発を促進し、さらなる医療の発展に貢献してまいります。
※1 RAS遺伝子:
RAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異を有する患者さんは、抗EGFR抗体薬投与により利益(延命効果、腫瘍縮小)が得られない可能性が高いため、コンパニオン診断として、治療に先立ちそれらの遺伝子変異検査が行われる。
※2 OncoBEAM™:
Johns Hopkins大学が開発したBEAMing技術によって血中の微量遺伝子変異を検出する当社の技術名称。
<参考>地域別売上高
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
国内20,93715.422,69115.9108.4
米州31,41323.132,78822.9104.4
EMEA36,00426.437,58026.3104.4
中国36,23026.637,41326.2103.3
アジア・パシフィック11,6088.512,5168.7107.8
海外計115,25784.6120,29884.1104.4
合計136,194100.0142,990100.0105.0

国内販売につきましては、主に血球計数検査分野及びライフサイエンス分野において機器の売上が増加しました。その結果、国内売上高は22,691百万円(前年同期比8.4%増)となりました。
海外販売につきましては、主に血液凝固検査分野において試薬の売上は減少したものの、血球計数検査分野、尿検査分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は120,298百万円(前年同期比4.4%増)、構成比84.1%(前年同期比0.5ポイント減)となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は142,990百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は27,803百万円(前年同期比2.5%減)、税引前四半期利益は25,075百万円(前年同期比5.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は17,593百万円(前年同期比9.7%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
主に血球計数検査分野において機器の売上が増加したこと等により、売上高は24,800百万円(前年同期比11.3%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は17,907百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
② 米州
主に血液凝固検査分野において機器の売上が減少したものの、血球計数検査分野において試薬及び保守サービスの売上が増加したこと等により、売上高は30,264百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加があったものの、販売費及び一般管理費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は951百万円(前年同期比37.6%減)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野及び尿検査分野において試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は38,146百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
利益面につきましては、増収による売上総利益の増加及び販売費及び一般管理費の減少等により、セグメント利益(営業利益)は3,812百万円(前年同期比21.7%増)となりました。
④ 中国
主に血液凝固検査分野において試薬の売上及び血球計数検査分野において機器の売上が減少しましたが、血液凝固検査分野における機器の売上の増加及び血球計数検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は37,370百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上原価率の悪化による売上総利益の減少等により、セグメント利益(営業利益)は4,146百万円(前年同期比25.2%減)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
主に血液凝固検査分野及び血球計数検査分野において機器の売上が減少したものの、血球計数検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は12,408百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
利益面につきましては、売上原価率の悪化や販売費及び一般管理費が増加したものの、増収による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は1,610百万円(前年同期比10.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて17,252百万円増加し、364,028百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権(流動資産)が6,943百万円減少、その他の短期金融資産が6,892百万円減少しましたが、有形固定資産が19,854百万円増加、現金及び現金同等物が5,923百万円増加、棚卸資産が4,459百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて14,377百万円増加し、95,970百万円となりました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が3,054百万円減少、未払賞与が1,863百万円減少しましたが、リース負債(流動)が5,422百万円増加、リース負債(非流動)が16,826百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて2,875百万円増加し、268,057百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が10,080百万円増加しましたが、その他の資本の構成要素が7,217百万円減少したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の76.3%から2.8ポイント減少して73.5%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より5,923百万円増加し、56,985百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、26,908百万円(前年同期比7,481百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が25,075百万円(前年同期比1,335百万円減)、減価償却費及び償却費が11,510百万円(前年同期比3,889百万円増)、棚卸資産の増加額が5,851百万円(前年同期比3,980百万円増)、営業債務の減少額が1,068百万円(前年同期比1,851百万円減)、未収消費税等の減少額が2,058百万円(前年同期比1,802百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、9,057百万円(前年同期比13,671百万円減)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が7,458百万円(前年同期比1,967百万円減)、無形資産の取得による支出が6,113百万円(前年同期比2,050百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が1,508百万円(前年同期比500百万円増)、定期預金の払戻による収入が7,221百万円(前年同期比7,221百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、10,195百万円(前年同期比2,942百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が7,513百万円(前年同期比6百万円増)、リース負債の返済による支払額が2,801百万円となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は10,460百万円であります。
また、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第2四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は次のとおりであります。
① 2019年4月 マラリア原虫等感染赤血球の自動測定機能を搭載した血球計数検査分野の新製品「Automated Hematology Analyzer XN-31」が、欧州IVD指令に適合してCEマーク※1を取得いたしました。今後、本製品を欧州で発売すると共に、アフリカ・アジアにおいても各国許認可を取得次第順次発売予定であります。
※1 CEマーク:
欧州経済地域内で販売される特定の製品に対して、取得が義務付けられている基準適合マーク。
② 2019年5月 当社と国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)は、当社が有する診断技術と大阪大学が有する情報科学分野における知見を活用したヘルスケア分野における新たなイノベーション創出に向け、包括連携契約を締結いたしました。
③ 2019年6月 2018年12月25日に製造販売承認を取得した「遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム」が、がんゲノムプロファイリング検査用システムとして、日本で初めて保険適用を受けました。
④ 2019年8月 RAS遺伝子変異検出キット「OncoBEAM™ RAS CRCキット」について、国内での製造販売承認を取得いたしました。リキッドバイオプシーによる大腸がんのRAS遺伝子変異検査に用いる体外診断用医薬品としては国内初となります。
⑤ 2019年8月 当社はフローサイトメトリー(FCM)を用いて白血病や悪性リンパ腫診断の詳細解析などを行うクリニカルFCM検査の市場において、その検体の前処理を自動で行う「Sample Preparation System PS-10」を北米市場で発売いたしました。
⑥ 2019年9月 当社は臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を定めた国際規格ISO 15189※2に基づいた臨床検査室の運営を支援するアプリケーションである「検査品質マネジメント運用支援システム Caresphere™ QM」)を発売いたしました。
※2 ISO 15189:
臨床検査に特化した品質マネジメントシステムのISO規格。
⑦ 2019年9月 当社と京都大学は、当社と京都大学 高等研究院 本庶 佑特別教授が、2013年から共同で研究開発を行ってきた、可溶性免疫チェックポイント分子(sPD-1、sPD-L1、sCTLA-4)の全自動測定法を構築いたしました。