四半期報告書-第55期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等が一部地域に発令され、引き続き個人消費、輸出、雇用情勢等は弱い動きとなりました。一方、中国等アジア向けを中心に輸出は回復傾向にあり、国内生産の回復等を受けて輸入も持ち直しつつあります。海外においては、全体として回復傾向にあるものの、ワクチンの普及状況等により格差が広がっており、加えて変異株の感染が拡大する等、再びロックダウンや外出禁止令により経済活動が制限された地域もあります。このような中、各国政府は引き続き金融財政政策等を推進しているものの、収束の目途は依然としてつかない状況にあり、景気の先行きは不透明になっております。
医療面におきましては、高齢化や健康・医療ニーズの多様化といった背景に加え、グローバルでの新型コロナウイルス感染症のパンデミックを起点とした医療体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性があります。このような中、国内では政府は医療分野を成長戦略の一つと位置付ける等、新たな医療サービスに対する期待が高まっております。また海外においても、先進国の高齢化に伴う医療の適正化、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)等、最先端技術の医療産業への応用が急速に進展しており、さらなる成長機会が見込まれております。
このような状況の下、当社はヘマトロジー※1分野における製品ポートフォリオの持続的な拡充を目指し、次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置 XRシリーズ」と、白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置 XQシリーズ」を日本国内において販売し、今後、各国における許認可取得を経て、グローバルな販売活動を推進してまいります。当社は、地域の特性や施設のニーズに応じた検査室運営の最適化に貢献してまいります。
ライフサイエンス分野においては、当社が独自に開発したOSNA™法※2を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」が、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※3の認証(クラスC)を当社製品において初めて取得いたしました。今後も、がんリンパ節転移検査に関する臨床価値向上に向けた活動を推進するとともに、欧州地域に提供している各分野のIVD製品へのIVDRの認証取得を進めてまいります。
国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」のグローバル総代理店である当社は、日本の医療機関を対象に製品導入を推進しております。また、当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドが進める海外における薬事承認の取得活動と連携し、海外市場においても順次製品の導入を推進してまいります。
当社と塩野義製薬株式会社が共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加の承認を得ました。COVID-19の発症初期から重症化リスクを判別することにより、リスクの高い患者さんを入院管理、リスクの低い患者さんを宿泊療養や自宅療養とする等、個別に最適な措置につなげていくことが期待されております。今後も、PCR検査、抗原検査、抗体検査、サイトカイン検査に加え、既存のヘマトロジー及び血液凝固検査等さまざまな検査によって、新型コロナウイルス感染症に関する研究、診断及び治療の確立に貢献いたします。
※1 ヘマトロジー:
前連結会計年度において表記していた「血球計数検査」について、当第1四半期連結累計期間より「ヘマトロジー」として表記している。
※2 OSNA法:
当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
※3 体外診断用医療機器規則(IVDR):
In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。体外診断用医療機器に関する現在の欧州指令(98/79/EC)を置き換えるものとして、2017年5月26日に発効された。移行期間は2022年5月26日まで設けられている。4つのクラスに分類され、クラスAが最もリスクが低く、クラスDが最もリスクが高い分類とされている。
<参考>地域別売上高
国内販売につきましては、主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の販売伸長に加え、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野及び免疫検査分野の試薬、ライフサイエンス分野における機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、国内売上高は12,226百万円(前年同期比30.3%増)となりました。
海外販売につきましては、前年同期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、検査需要の回復に伴い、主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における試薬の売上が増加したことに加え、為替相場が円安に推移した結果、当社グループの海外売上高は67,136百万円(前年同期比31.3%増)、構成比84.6%(前年同期比0.1ポイント増)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、前年同期は、全地域において新型コロナウイルス感染症拡大に伴い活動制限等の影響がありましたが、主に販売・サービス活動の再開に伴い増加し、21,503百万円(前年同期比13.6%増)となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は79,363百万円(前年同期比31.2%増)、営業利益は15,052百万円(前年同期比116.3%増)、税引前四半期利益は14,553百万円(前年同期比124.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は9,993百万円(前年同期比122.7%増)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 日本
主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の販売伸長に加え、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野及び免疫検査分野の試薬、ライフサイエンス分野における機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は13,445百万円(前年同期比27.9%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費、研究開発費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は11,494百万円(前年同期比85.5%増)となりました。
② 米州
北米においては、検査需要の回復及び機器販売が伸長したこと等により、ヘマトロジー分野において機器、試薬及び保守サービスの売上が増加しました。また、シーメンス社との協業のもと、尿検査分野において機器及び試薬売上が増加しました。その結果、売上高は16,776百万円(前年同期比30.1%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は596百万円(前年同期はセグメント損失が404百万円)となりました。
③ EMEA
検査需要の回復及びフランス、中欧、東欧で機器の販売が伸長したこと等により、ヘマトロジー分野において機器及び試薬の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス抗原検査キットの仕入販売により、関連試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は25,460百万円(前年同期比39.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は3,639百万円(前年同期比118.8%増)となりました。
④ 中国
検査需要の回復に伴い、ヘマトロジー分野及び尿検査分野において試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は17,347百万円(前年同期比25.6%増)となりました。
利益面につきましては、増収及び原価率の改善により売上総利益が増加したことに加え、販売費及び一般管理費も減少し、セグメント利益(営業利益)は1,943百万円(前年同期比575.6%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
検査需要の回復に伴い、ヘマトロジー分野及び尿検査分野において試薬の売上が増加しました。また、南アジアでは、インドでの入札案件の獲得により、ヘマトロジー分野において機器の販売が伸長した他、インド、東南アジアにおいて血液凝固検査分野における機器及び試薬売上が増加しました。その結果、売上高は6,333百万円(前年同期比25.1%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は693百万円(前年同期比144.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて3,267百万円減少し、424,207百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産が7,380百万円増加したものの、現金及び現金同等物が3,876百万円減少、営業債権及びその他の債権(流動資産)が8,589百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて7,507百万円減少し、111,298百万円となりました。この主な要因は、未払賞与が3,944百万円減少、営業債務及びその他の債務が2,483百万円減少、契約負債が1,651百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて4,239百万円増加し、312,909百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が2,469百万円増加、その他の資本の構成要素が1,557百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の72.0%から1.6ポイント増加して73.6%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より3,876百万円減少し、62,590百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、15,032百万円(前年同期比5,127百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が14,553百万円(前年同期比8,071百万円増)、減価償却費及び償却費が6,820百万円(前年同期比622百万円増)、営業債権の減少額が9,279百万円(前年同期比4,636百万円減)、棚卸資産の増加額が7,358百万円(前年同期比2,896百万円増)、法人所得税の支払額が5,526百万円(前年同期比56百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、10,093百万円(前年同期比1,474百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が2,653百万円(前年同期比738百万円増)、無形資産の取得による支出が5,329百万円(前年同期比703百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、9,132百万円(前年同期比47百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が7,523百万円(前年同期比6百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」内の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載について重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」内の「重要な会計方針及び見積り」の記載について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は5,494百万円であります。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第1四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。
① 2021年4月 当社は、新型コロナウイルスのRNAを検出するSARS コロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得、保険適用を受けました。
② 2021年4月 当社は、京都大学医学部附属病院及び川崎重工業株式会社と共同で、「新型コロナウイルス感染症対策を目的とした大規模全自動PCRロボットコンテナの社会実装に向けた有用性評価」を開始いたしました。
③ 2021年5月 当社は、シンクサイト株式会社と、AIベースの細胞分析技術の実用化に向けた共同開発及び資本提携に関する契約を締結いたしました。
④ 2021年5月 当社は、2020年6月、神戸医療産業都市内に構築した全国初の官民連携による新型コロナウイルス感染症のPCR検査ラボラトリーを当社研究開発センター内に移転、運用を開始いたしました。
⑤ 2021年5月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センターは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけてがん患者と健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査し、その結果を発表いたしました。
⑥ 2021年6月 塩野義製薬株式会社は、当社と共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加承認を取得いたしました。本製品は、当社製の全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800にて使用いたします。
⑦ 2021年6月 当社は、OSNA™法※1を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」について、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※2の認証を取得いたしました。
※1 OSNA法:
当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
※2 体外診断用医療機器規則(IVDR):
In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等が一部地域に発令され、引き続き個人消費、輸出、雇用情勢等は弱い動きとなりました。一方、中国等アジア向けを中心に輸出は回復傾向にあり、国内生産の回復等を受けて輸入も持ち直しつつあります。海外においては、全体として回復傾向にあるものの、ワクチンの普及状況等により格差が広がっており、加えて変異株の感染が拡大する等、再びロックダウンや外出禁止令により経済活動が制限された地域もあります。このような中、各国政府は引き続き金融財政政策等を推進しているものの、収束の目途は依然としてつかない状況にあり、景気の先行きは不透明になっております。
医療面におきましては、高齢化や健康・医療ニーズの多様化といった背景に加え、グローバルでの新型コロナウイルス感染症のパンデミックを起点とした医療体制の在り方や医療環境自体が大きく変化する可能性があります。このような中、国内では政府は医療分野を成長戦略の一つと位置付ける等、新たな医療サービスに対する期待が高まっております。また海外においても、先進国の高齢化に伴う医療の適正化、新興国の経済成長に伴う医療需要の拡大と医療の質・サービス向上へのニーズの高まりに加えて、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)等、最先端技術の医療産業への応用が急速に進展しており、さらなる成長機会が見込まれております。
このような状況の下、当社はヘマトロジー※1分野における製品ポートフォリオの持続的な拡充を目指し、次世代フラッグシップモデル「多項目自動血球分析装置 XRシリーズ」と、白血球3分類コンパクトモデル「多項目自動血球計数装置 XQシリーズ」を日本国内において販売し、今後、各国における許認可取得を経て、グローバルな販売活動を推進してまいります。当社は、地域の特性や施設のニーズに応じた検査室運営の最適化に貢献してまいります。
ライフサイエンス分野においては、当社が独自に開発したOSNA™法※2を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」が、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※3の認証(クラスC)を当社製品において初めて取得いたしました。今後も、がんリンパ節転移検査に関する臨床価値向上に向けた活動を推進するとともに、欧州地域に提供している各分野のIVD製品へのIVDRの認証取得を進めてまいります。
国産初の手術支援ロボットシステム「hinotori™ サージカルロボットシステム」のグローバル総代理店である当社は、日本の医療機関を対象に製品導入を推進しております。また、当社と川崎重工業株式会社が共同出資する株式会社メディカロイドが進める海外における薬事承認の取得活動と連携し、海外市場においても順次製品の導入を推進してまいります。
当社と塩野義製薬株式会社が共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加の承認を得ました。COVID-19の発症初期から重症化リスクを判別することにより、リスクの高い患者さんを入院管理、リスクの低い患者さんを宿泊療養や自宅療養とする等、個別に最適な措置につなげていくことが期待されております。今後も、PCR検査、抗原検査、抗体検査、サイトカイン検査に加え、既存のヘマトロジー及び血液凝固検査等さまざまな検査によって、新型コロナウイルス感染症に関する研究、診断及び治療の確立に貢献いたします。
※1 ヘマトロジー:
前連結会計年度において表記していた「血球計数検査」について、当第1四半期連結累計期間より「ヘマトロジー」として表記している。
※2 OSNA法:
当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
※3 体外診断用医療機器規則(IVDR):
In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。体外診断用医療機器に関する現在の欧州指令(98/79/EC)を置き換えるものとして、2017年5月26日に発効された。移行期間は2022年5月26日まで設けられている。4つのクラスに分類され、クラスAが最もリスクが低く、クラスDが最もリスクが高い分類とされている。
<参考>地域別売上高
前第1四半期 連結累計期間 | 当第1四半期 連結累計期間 | 前年同期比 (%) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |||
国内 | 9,380 | 15.5 | 12,226 | 15.4 | 130.3 | |
米州 | 13,975 | 23.1 | 18,160 | 22.9 | 129.9 | |
EMEA | 18,214 | 30.1 | 25,244 | 31.8 | 138.6 | |
中国 | 13,843 | 22.9 | 17,363 | 21.9 | 125.4 | |
アジア・パシフィック | 5,096 | 8.4 | 6,368 | 8.0 | 124.9 | |
海外計 | 51,130 | 84.5 | 67,136 | 84.6 | 131.3 | |
合計 | 60,511 | 100.0 | 79,363 | 100.0 | 131.2 |
国内販売につきましては、主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の販売伸長に加え、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野及び免疫検査分野の試薬、ライフサイエンス分野における機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、国内売上高は12,226百万円(前年同期比30.3%増)となりました。
海外販売につきましては、前年同期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、検査需要の回復に伴い、主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における試薬の売上が増加したことに加え、為替相場が円安に推移した結果、当社グループの海外売上高は67,136百万円(前年同期比31.3%増)、構成比84.6%(前年同期比0.1ポイント増)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、前年同期は、全地域において新型コロナウイルス感染症拡大に伴い活動制限等の影響がありましたが、主に販売・サービス活動の再開に伴い増加し、21,503百万円(前年同期比13.6%増)となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は79,363百万円(前年同期比31.2%増)、営業利益は15,052百万円(前年同期比116.3%増)、税引前四半期利益は14,553百万円(前年同期比124.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は9,993百万円(前年同期比122.7%増)となりました。
セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。
① 日本
主にヘマトロジー分野及び尿検査分野における機器の販売伸長に加え、新型コロナウイルス感染症の検査に関する血液凝固検査分野及び免疫検査分野の試薬、ライフサイエンス分野における機器及び試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は13,445百万円(前年同期比27.9%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費、研究開発費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は11,494百万円(前年同期比85.5%増)となりました。
② 米州
北米においては、検査需要の回復及び機器販売が伸長したこと等により、ヘマトロジー分野において機器、試薬及び保守サービスの売上が増加しました。また、シーメンス社との協業のもと、尿検査分野において機器及び試薬売上が増加しました。その結果、売上高は16,776百万円(前年同期比30.1%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は596百万円(前年同期はセグメント損失が404百万円)となりました。
③ EMEA
検査需要の回復及びフランス、中欧、東欧で機器の販売が伸長したこと等により、ヘマトロジー分野において機器及び試薬の売上が増加しました。また、新型コロナウイルス抗原検査キットの仕入販売により、関連試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は25,460百万円(前年同期比39.6%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は3,639百万円(前年同期比118.8%増)となりました。
④ 中国
検査需要の回復に伴い、ヘマトロジー分野及び尿検査分野において試薬の売上が増加しました。その結果、売上高は17,347百万円(前年同期比25.6%増)となりました。
利益面につきましては、増収及び原価率の改善により売上総利益が増加したことに加え、販売費及び一般管理費も減少し、セグメント利益(営業利益)は1,943百万円(前年同期比575.6%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
検査需要の回復に伴い、ヘマトロジー分野及び尿検査分野において試薬の売上が増加しました。また、南アジアでは、インドでの入札案件の獲得により、ヘマトロジー分野において機器の販売が伸長した他、インド、東南アジアにおいて血液凝固検査分野における機器及び試薬売上が増加しました。その結果、売上高は6,333百万円(前年同期比25.1%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収及び売上原価率の改善により売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は693百万円(前年同期比144.0%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて3,267百万円減少し、424,207百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産が7,380百万円増加したものの、現金及び現金同等物が3,876百万円減少、営業債権及びその他の債権(流動資産)が8,589百万円減少したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて7,507百万円減少し、111,298百万円となりました。この主な要因は、未払賞与が3,944百万円減少、営業債務及びその他の債務が2,483百万円減少、契約負債が1,651百万円減少したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて4,239百万円増加し、312,909百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が2,469百万円増加、その他の資本の構成要素が1,557百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の72.0%から1.6ポイント増加して73.6%となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より3,876百万円減少し、62,590百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、15,032百万円(前年同期比5,127百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が14,553百万円(前年同期比8,071百万円増)、減価償却費及び償却費が6,820百万円(前年同期比622百万円増)、営業債権の減少額が9,279百万円(前年同期比4,636百万円減)、棚卸資産の増加額が7,358百万円(前年同期比2,896百万円増)、法人所得税の支払額が5,526百万円(前年同期比56百万円増)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、10,093百万円(前年同期比1,474百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が2,653百万円(前年同期比738百万円増)、無形資産の取得による支出が5,329百万円(前年同期比703百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、9,132百万円(前年同期比47百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が7,523百万円(前年同期比6百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」内の「優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載について重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」内の「重要な会計方針及び見積り」の記載について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は5,494百万円であります。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
なお、当第1四半期連結累計期間における、主な研究開発活動の状況は以下のとおりであります。
① 2021年4月 当社は、新型コロナウイルスのRNAを検出するSARS コロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得、保険適用を受けました。
② 2021年4月 当社は、京都大学医学部附属病院及び川崎重工業株式会社と共同で、「新型コロナウイルス感染症対策を目的とした大規模全自動PCRロボットコンテナの社会実装に向けた有用性評価」を開始いたしました。
③ 2021年5月 当社は、シンクサイト株式会社と、AIベースの細胞分析技術の実用化に向けた共同開発及び資本提携に関する契約を締結いたしました。
④ 2021年5月 当社は、2020年6月、神戸医療産業都市内に構築した全国初の官民連携による新型コロナウイルス感染症のPCR検査ラボラトリーを当社研究開発センター内に移転、運用を開始いたしました。
⑤ 2021年5月 当社と国立研究開発法人国立がん研究センターは、がん患者における新型コロナウイルスの罹患状況とリスクを評価するため、2020年8月から10月にかけてがん患者と健常人について新型コロナウイルスの抗体保有率と抗体量を調査し、その結果を発表いたしました。
⑥ 2021年6月 塩野義製薬株式会社は、当社と共同開発したTh2 ケモカイン・TARC キット「HISCL™ TARC 試薬」について、新型コロナウイルス陽性患者の重症化リスクの判定補助を使用目的とする適応追加承認を取得いたしました。本製品は、当社製の全自動免疫測定装置 HISCL-5000/HISCL-800にて使用いたします。
⑦ 2021年6月 当社は、OSNA™法※1を測定原理とする遺伝子増幅検出試薬「LYNOAMP™ CK19 E」について、欧州における体外診断用医療機器規則(IVDR)※2の認証を取得いたしました。
※1 OSNA法:
当社が開発した直接遺伝子増幅(One-Step Nucleic Acid Amplification)法。リンパ節へのがん転移の有無を判定できる。
※2 体外診断用医療機器規則(IVDR):
In Vitro Diagnostic Medical Devices Regulation(Regulation (EU) 2017/746)のことで、欧州市場において体外診断用医療機器を上市・販売・流通する場合に適用される新たな法規制。