有価証券報告書-第51期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
1.業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用及び所得環境は改善を続け、企業の設備投資も緩やかに増加しています。海外経済は、中東や東アジア地域において地政学的リスクが高まっていることや、米国や中国において保護主義的な動きが見られることによって先行きに不透明感が生じていますが、全体としては緩やかな回復を続けております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野が政府の成長戦略に含められており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、米国においては、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法に見直しの動きが見られ、中国では、医療費抑制のための政策が実施されるようになっておりますが、基本的に医療関連需要は底堅く推移しております。また、遺伝子解析技術が医療面でも応用されることによって新たな領域が広がりつつあります。
このような状況の下、当社は、オックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッド(以下、OGT社)の株式を取得し、子会社化いたしました。細胞遺伝学検査市場において、当社の保有するフローFISH※1などの自動化技術と、OGT社の保有する高品質な試薬開発力を融合することを通じて、ゲノム医療における技術基盤を強化してまいります。
さらに、当社は、バイオインフォマティクス※2を中心とした情報解析技術に関する研究開発を強化するため、川崎市川崎区にある殿町国際戦略拠点キングスカイフロント※3にあるライフイノベーションセンター内に、新たな研究開発拠点「スカイフロントリサーチキャンパス」を開設しました。同地区には、最先端のライフサイエンス企業や研究機関が集積しており、ここに研究開発拠点を設立することで、関東エリアの研究機関、大学及び企業とのコラボレーションを進めてまいります。
当社の子会社である株式会社理研ジェネシスも、同じセンター内に「理研ジェネシスイノベーションゲノムセンター」を開設いたしました。次世代シーケンサー※4やリキッドバイオプシー※5の最新鋭の遺伝子解析機器を導入し、国際品質基準に基づいた品質で遺伝子解析サービス及びクリニカルシーケンス検査※6を行うことで、ゲノム医療の推進に貢献してまいります。
また、米州での今後の試薬の需要増加への対応と中長期視点での試薬の安定供給を目的として進めてまいりました米国の試薬生産工場の拡張を完了いたしました。これにより、生産能力は従来の1.8倍となりました。今後も引き続き、各地域の市場環境にあわせた生産体制で、安定的に製品を供給してまいります。
※1 フローFISH:
スライドを顕微鏡で観察して行う通常のFISH検査を、イメージングフローサイトメーターで撮像し、自動解析を行うもの。FISH検査は、特定の遺伝子にだけ結合する蛍光標識プローブを使って、染色体の中にある目的の遺伝子を検出する検査手法。
※2 バイオインフォマティクス:
遺伝子やタンパクの情報を解析し、生命現象を解明するための情報技術で、遺伝子情報と病気の関係を解析するもの。
※3 殿町国際戦略拠点キングスカイフロント:
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区内に位置するライフサイエンス等に携わる企業が集まったオープンイノベーション拠点。革新的なビジネスモデル確立に向けた規制緩和を受けることができるなど国の成長戦略に基づく支援を受けることができる。
※4 次世代シーケンサー:
遺伝子情報を持つDNAの塩基及びこの配列を同時並行で大量に読み取る解析装置。
※5 リキッドバイオプシー:
腫瘍など組織の一部を採取して行っていた生体検査(Biopsy)と同等の性能でかつ患者に負担の少ない検査を血液検査で実現しようとするもの。
※6 クリニカルシーケンス検査:
疾患の診断や治療法選択などのために、次世代シーケンサーを用いて患者の遺伝子情報を高精度に調べる検査。
<参考>地域別売上高
国内販売につきましては、血球計数検査分野において機器及び試薬が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、国内売上高は45,019百万円(前期比3.6%増)となりました。
海外販売につきましては、機器の売上は、尿検査分野において増加したものの、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野での減少が響き、ほぼ横ばいとなりました。一方、試薬の売上は、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野を中心に伸長し、当社グループの海外売上高は236,915百万円(前期比14.8%増)、構成比84.0%(前期比1.4ポイント増)となりました。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は281,935百万円(前期比12.8%増)、営業利益は59,078百万円(前期比14.3%増)、税引前利益は58,117百万円(前期比18.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は39,222百万円(前期比3.5%減)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
① 日本
国内において、血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長し、売上高は47,414百万円(前期比1.1%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出も合わせた売上伸長による増収効果や、販売費及び一般管理費の抑制による影響が売上原価の増加の影響を上回り、セグメント利益(営業利益)は37,855百万円(前期比6.1%増)となりました。
② 米州
米国では、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により増収となりました。中南米においても、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が伸長し、米州全体での売上高は62,550百万円(前期比10.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間の商標ロイヤリティー支払が減少したこと等により、セグメント利益(営業利益)は5,533百万円(前期比72.7%増)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野において機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したほか、ライフサイエンス分野においても試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は75,543百万円(前期比16.4%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果や売上原価率が改善したこと等によって売上総利益は増加しましたが、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加したこと等が響き、セグメント利益(営業利益)は4,974百万円(前期比0.4%減)となりました。
④ 中国
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、主に血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は72,017百万円(前期比19.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果やグループ間取引価格の変更による売上原価率の改善等によって売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は8,323百万円(前期比131.4%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、タイ及びベトナムにおいて血球計数検査分野を中心に売上が伸長したほか、南アジアでは、インドやバングラデシュにおいて血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が拡大しました。前期にオーストラリアにおいて大手検査センター向けの販売があったことによる反動もありましたが、韓国及び台湾においても売上は伸長し、売上高は24,408百万円(前期比15.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は3,166百万円(前期比71.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より3,500百万円増加し、61,444百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、52,240百万円(前期比19,408百万円増)となりました。この主な要因は、税引前利益が58,117百万円(前期比9,170百万円増)、減価償却費及び償却費が14,643百万円(前期比2,262百万円増)、営業債権の増加額が7,341百万円(前期比972百万円増)、棚卸資産の増加額が1,962百万円(前期比142百万円減)、営業債務の増加額が3,531百万円(前期は2,483百万円の減少)、前受金の減少額が2,067百万円(前期比1,567百万円減)、法人所得税の支払額が12,497百万円(前期比3,771百万円減)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、37,828百万円(前期比18,428百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が16,573百万円(前期比4,890百万円増)、無形資産の取得による支出が9,122百万円(前期比1,697百万円増)、子会社又はその他の事業の取得による支出が11,672百万円(前期比10,219百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、11,545百万円(前期比679百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が12,493百万円(前期比846百万円増)となったこと等によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注)1.セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 3.重要な会計方針」に記載しておりますので、ご参照ください。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は前期比32,035百万円増加(12.8%増)の281,935百万円、営業利益は前期比7,377百万円増加(14.3%増)の59,078百万円、税引前利益は前期比9,170百万円増加(18.7%増)の58,117百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比1,413百万円減少(3.5%減)の39,222百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の20.7%から当連結会計年度は17.4%へと低下しました。
なお、当社グループは、中期経営計画において2020年3月期を最終年度として、連結売上高350,000百万円、連結営業利益72,000百万円を達成することを目指しており、2018年3月期目標数値を、連結売上高280,000百万円、連結営業利益58,000百万円としておりました。当連結会計年度の売上高、営業利益ともに2018年3月期目標を達成しており、中期経営計画達成に向けて順調に推移していると考えております。
① 売上高
当連結会計年度は、国内販売につきましては、血球計数検査分野において機器及び試薬が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。
海外販売につきましては、機器の売上は、尿検査分野において増加したものの、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野での減少が響き、ほぼ横ばいとなりました。一方、試薬の売上は、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野を中心に伸長しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べて32,035百万円増加(12.8%増)の281,935百万円となりました。国内での売上高は45,019百万円と1,552百万円の増加(3.6%増)となり、海外での売上高は236,915百万円と30,483百万円の増加(14.8%増)となった結果、海外売上高比率は前期比1.4ポイント増加の84.0%となりました。
海外の地域別では、米州が66,359百万円(前期比6,166百万円増、10.2%増)、EMEAが73,924百万円(前期比9,299百万円増、14.4%増)、中国が72,089百万円(前期比11,755百万円増、19.5%増)、アジア・パシフィックが24,540百万円(前期比3,261百万円増、15.3%増)となりました。
② 売上原価
売上原価は、前期比14,864百万円増加(13.7%増)の122,986百万円となりました。また、売上原価率は、43.6%(前期比0.3ポイント増加)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、販売体制の強化等により、前期比7,142百万円増加(9.5%増)の82,544百万円となりました。また、売上高に対する比率は前連結会計年度の30.2%から29.3%へと0.9ポイント減少いたしました。
④ 研究開発費
商品ポートフォリオ充実のための新商品の開発とともに、臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に研究開発を推進した結果、研究開発費は、前期比1,200百万円増加(7.7%増)の16,754百万円となりました。また、売上高に対する比率は、前連結会計年度の6.2%から5.9%へと0.3ポイント減少しました。
⑤ 損益の状況
営業利益は、販売費及び一般管理費と研究開発費の増加、減損損失の発生がありましたが、増収効果による売上総利益の増加によって前期比7,377百万円増加(14.3%増)の59,078百万円、売上高営業利益率は21.0%(前期比0.3ポイント増加)となりました。なお、為替の影響は、前連結会計年度と比較して2,456百万円の増益要因となりました。
税引前利益は、主に営業利益が増益となったことに加え、関連会社株式売却益が1,221百万円発生したこと、為替差損が前期比946百万円減少(42.7%減)の1,272百万円となったこと等によって、前期比9,170百万円増加(18.7%増)の58,117百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用が前期比10,547百万円増加(124.2%増)の19,040百万円となったことにより、前期比1,413百万円減少(3.5%減)の39,222百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが事業を展開していく上で、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2 事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
運転資金は必要に応じて短期銀行借入等で調達します。各連結子会社については、運転資金確保のために必要に応じて銀行借入を行いますが、国内の子会社については、2003年10月より当社と各社との資金決済にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金の調達・運用を一元化して効率化を図っております。
また、当社は、現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+(シングルAプラス)の発行体格付を取得しており、毎年レビューを受けて格付を更新しております。高い格付は資本市場から資金調達する際の調達コストを低減するだけではなく、ステークホルダーや世間一般からの信用向上にも貢献します。今後も格付を維持・向上していくために、売上高・利益と資産及び負債・資本のバランスに考慮してまいります。
設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案したうえで調達方法を決定しております。当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。なお、設立を進めている事業所(バイオ診断薬センター)への設備投資の資金についても、主に営業活動の結果得られた資金から充当を予定しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて42,162百万円増加し、321,979百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権(流動資産)が9,482百万円増加したこと、無形資産が8,536百万円増加したこと、有形固定資産が7,506百万円増加したこと、棚卸資産が3,976百万円増加したこと、のれんが3,942百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて10,972百万円増加し、80,536百万円となりました。この主な要因は、未払法人所得税が4,801百万円増加したこと、営業債務及びその他の債務が4,203百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて31,190百万円増加し、241,443百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が26,446百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が3,877百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から増減がなく74.8%となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
当連結会計年度におけるIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんを償却しておりましたが、IFRSでは、非償却とし毎年一定の時期及び減損の兆候がある場合にはその時点で、減損テストを実施しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,103百万円減少しております。
(研究開発費)
日本基準では、研究及び開発における支出は、全て発生時に費用処理しておりましたが、IFRSでは、資産計上の要件を満たすものを無形資産として認識しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価が499百万円増加し、研究開発費が3,448百万円減少しております。
(複数事業主制度)
日本基準では、複数事業主制度に対する特別掛金は、連結会社が負担すべき金額の拠出時に費用処理しておりましたが、IFRSでは、負担すべき金額が明確になった時点で負債認識し、その後の特別掛金支払時に当該負債を取り崩す処理を行っております。また、当連結会計年度において、連結会社が加入する複数事業主制度である厚生年金基金が解散しました。これに伴い、日本基準では、解散時に積立不足額を負債認識しますが、IFRSでは、日本基準と同様の処理に加えて上記の特別掛金に関する負債残高を取り崩しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、認識及び測定の差異として、売上原価が520百万円、販売費及び一般管理費が1,252百万円、研究開発費が339百万円減少しております。また、表示組替として、日本基準で計上される特別損失292百万円はIFRSでは売上原価68百万円、販売費及び一般管理費176百万円、研究開発費47百万円に組み替えております。
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用及び所得環境は改善を続け、企業の設備投資も緩やかに増加しています。海外経済は、中東や東アジア地域において地政学的リスクが高まっていることや、米国や中国において保護主義的な動きが見られることによって先行きに不透明感が生じていますが、全体としては緩やかな回復を続けております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野が政府の成長戦略に含められており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。海外においては、米国においては、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法に見直しの動きが見られ、中国では、医療費抑制のための政策が実施されるようになっておりますが、基本的に医療関連需要は底堅く推移しております。また、遺伝子解析技術が医療面でも応用されることによって新たな領域が広がりつつあります。
このような状況の下、当社は、オックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッド(以下、OGT社)の株式を取得し、子会社化いたしました。細胞遺伝学検査市場において、当社の保有するフローFISH※1などの自動化技術と、OGT社の保有する高品質な試薬開発力を融合することを通じて、ゲノム医療における技術基盤を強化してまいります。
さらに、当社は、バイオインフォマティクス※2を中心とした情報解析技術に関する研究開発を強化するため、川崎市川崎区にある殿町国際戦略拠点キングスカイフロント※3にあるライフイノベーションセンター内に、新たな研究開発拠点「スカイフロントリサーチキャンパス」を開設しました。同地区には、最先端のライフサイエンス企業や研究機関が集積しており、ここに研究開発拠点を設立することで、関東エリアの研究機関、大学及び企業とのコラボレーションを進めてまいります。
当社の子会社である株式会社理研ジェネシスも、同じセンター内に「理研ジェネシスイノベーションゲノムセンター」を開設いたしました。次世代シーケンサー※4やリキッドバイオプシー※5の最新鋭の遺伝子解析機器を導入し、国際品質基準に基づいた品質で遺伝子解析サービス及びクリニカルシーケンス検査※6を行うことで、ゲノム医療の推進に貢献してまいります。
また、米州での今後の試薬の需要増加への対応と中長期視点での試薬の安定供給を目的として進めてまいりました米国の試薬生産工場の拡張を完了いたしました。これにより、生産能力は従来の1.8倍となりました。今後も引き続き、各地域の市場環境にあわせた生産体制で、安定的に製品を供給してまいります。
※1 フローFISH:
スライドを顕微鏡で観察して行う通常のFISH検査を、イメージングフローサイトメーターで撮像し、自動解析を行うもの。FISH検査は、特定の遺伝子にだけ結合する蛍光標識プローブを使って、染色体の中にある目的の遺伝子を検出する検査手法。
※2 バイオインフォマティクス:
遺伝子やタンパクの情報を解析し、生命現象を解明するための情報技術で、遺伝子情報と病気の関係を解析するもの。
※3 殿町国際戦略拠点キングスカイフロント:
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区内に位置するライフサイエンス等に携わる企業が集まったオープンイノベーション拠点。革新的なビジネスモデル確立に向けた規制緩和を受けることができるなど国の成長戦略に基づく支援を受けることができる。
※4 次世代シーケンサー:
遺伝子情報を持つDNAの塩基及びこの配列を同時並行で大量に読み取る解析装置。
※5 リキッドバイオプシー:
腫瘍など組織の一部を採取して行っていた生体検査(Biopsy)と同等の性能でかつ患者に負担の少ない検査を血液検査で実現しようとするもの。
※6 クリニカルシーケンス検査:
疾患の診断や治療法選択などのために、次世代シーケンサーを用いて患者の遺伝子情報を高精度に調べる検査。
<参考>地域別売上高
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前期比 (%) | ||||
金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |||
国内 | 43,467 | 17.4 | 45,019 | 16.0 | 103.6 | |
米州 | 60,193 | 24.1 | 66,359 | 23.5 | 110.2 | |
EMEA | 64,624 | 25.9 | 73,924 | 26.2 | 114.4 | |
中国 | 60,334 | 24.1 | 72,089 | 25.6 | 119.5 | |
アジア・パシフィック | 21,279 | 8.5 | 24,540 | 8.7 | 115.3 | |
海外計 | 206,431 | 82.6 | 236,915 | 84.0 | 114.8 | |
合計 | 249,899 | 100.0 | 281,935 | 100.0 | 112.8 |
国内販売につきましては、血球計数検査分野において機器及び試薬が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、国内売上高は45,019百万円(前期比3.6%増)となりました。
海外販売につきましては、機器の売上は、尿検査分野において増加したものの、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野での減少が響き、ほぼ横ばいとなりました。一方、試薬の売上は、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野を中心に伸長し、当社グループの海外売上高は236,915百万円(前期比14.8%増)、構成比84.0%(前期比1.4ポイント増)となりました。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は281,935百万円(前期比12.8%増)、営業利益は59,078百万円(前期比14.3%増)、税引前利益は58,117百万円(前期比18.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は39,222百万円(前期比3.5%減)となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
① 日本
国内において、血球計数検査分野において機器及び試薬の売上が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長し、売上高は47,414百万円(前期比1.1%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出も合わせた売上伸長による増収効果や、販売費及び一般管理費の抑制による影響が売上原価の増加の影響を上回り、セグメント利益(営業利益)は37,855百万円(前期比6.1%増)となりました。
② 米州
米国では、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により増収となりました。中南米においても、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が伸長し、米州全体での売上高は62,550百万円(前期比10.5%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間の商標ロイヤリティー支払が減少したこと等により、セグメント利益(営業利益)は5,533百万円(前期比72.7%増)となりました。
③ EMEA
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野において機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したほか、ライフサイエンス分野においても試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は75,543百万円(前期比16.4%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果や売上原価率が改善したこと等によって売上総利益は増加しましたが、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加したこと等が響き、セグメント利益(営業利益)は4,974百万円(前期比0.4%減)となりました。
④ 中国
主に血球計数検査分野及び血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、主に血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は72,017百万円(前期比19.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果やグループ間取引価格の変更による売上原価率の改善等によって売上総利益が増加し、セグメント利益(営業利益)は8,323百万円(前期比131.4%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、タイ及びベトナムにおいて血球計数検査分野を中心に売上が伸長したほか、南アジアでは、インドやバングラデシュにおいて血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が拡大しました。前期にオーストラリアにおいて大手検査センター向けの販売があったことによる反動もありましたが、韓国及び台湾においても売上は伸長し、売上高は24,408百万円(前期比15.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は3,166百万円(前期比71.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より3,500百万円増加し、61,444百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、52,240百万円(前期比19,408百万円増)となりました。この主な要因は、税引前利益が58,117百万円(前期比9,170百万円増)、減価償却費及び償却費が14,643百万円(前期比2,262百万円増)、営業債権の増加額が7,341百万円(前期比972百万円増)、棚卸資産の増加額が1,962百万円(前期比142百万円減)、営業債務の増加額が3,531百万円(前期は2,483百万円の減少)、前受金の減少額が2,067百万円(前期比1,567百万円減)、法人所得税の支払額が12,497百万円(前期比3,771百万円減)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、37,828百万円(前期比18,428百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が16,573百万円(前期比4,890百万円増)、無形資産の取得による支出が9,122百万円(前期比1,697百万円増)、子会社又はその他の事業の取得による支出が11,672百万円(前期比10,219百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、11,545百万円(前期比679百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が12,493百万円(前期比846百万円増)となったこと等によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 148,228 | 107.6 |
米州 | 8,422 | 102.0 |
EMEA | 11,819 | 129.9 |
中国 | 3,213 | 133.0 |
アジア・パシフィック | 1,769 | 147.7 |
合計 | 173,452 | 109.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 47,414 | 101.1 |
米州 | 62,550 | 110.5 |
EMEA | 75,543 | 116.4 |
中国 | 72,017 | 119.4 |
アジア・パシフィック | 24,408 | 115.3 |
合計 | 281,935 | 112.8 |
(注)1.セグメント間の内部売上高は相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 3.重要な会計方針」に記載しておりますので、ご参照ください。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は前期比32,035百万円増加(12.8%増)の281,935百万円、営業利益は前期比7,377百万円増加(14.3%増)の59,078百万円、税引前利益は前期比9,170百万円増加(18.7%増)の58,117百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比1,413百万円減少(3.5%減)の39,222百万円となりました。また、親会社所有者帰属持分当期利益率は前連結会計年度の20.7%から当連結会計年度は17.4%へと低下しました。
なお、当社グループは、中期経営計画において2020年3月期を最終年度として、連結売上高350,000百万円、連結営業利益72,000百万円を達成することを目指しており、2018年3月期目標数値を、連結売上高280,000百万円、連結営業利益58,000百万円としておりました。当連結会計年度の売上高、営業利益ともに2018年3月期目標を達成しており、中期経営計画達成に向けて順調に推移していると考えております。
① 売上高
当連結会計年度は、国内販売につきましては、血球計数検査分野において機器及び試薬が伸長したほか、ライフサイエンス分野及び免疫検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。
海外販売につきましては、機器の売上は、尿検査分野において増加したものの、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野での減少が響き、ほぼ横ばいとなりました。一方、試薬の売上は、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野を中心に伸長しました。
この結果、売上高は前連結会計年度に比べて32,035百万円増加(12.8%増)の281,935百万円となりました。国内での売上高は45,019百万円と1,552百万円の増加(3.6%増)となり、海外での売上高は236,915百万円と30,483百万円の増加(14.8%増)となった結果、海外売上高比率は前期比1.4ポイント増加の84.0%となりました。
海外の地域別では、米州が66,359百万円(前期比6,166百万円増、10.2%増)、EMEAが73,924百万円(前期比9,299百万円増、14.4%増)、中国が72,089百万円(前期比11,755百万円増、19.5%増)、アジア・パシフィックが24,540百万円(前期比3,261百万円増、15.3%増)となりました。
② 売上原価
売上原価は、前期比14,864百万円増加(13.7%増)の122,986百万円となりました。また、売上原価率は、43.6%(前期比0.3ポイント増加)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、販売体制の強化等により、前期比7,142百万円増加(9.5%増)の82,544百万円となりました。また、売上高に対する比率は前連結会計年度の30.2%から29.3%へと0.9ポイント減少いたしました。
④ 研究開発費
商品ポートフォリオ充実のための新商品の開発とともに、臨床検査分野及びライフサイエンス分野を中心に研究開発を推進した結果、研究開発費は、前期比1,200百万円増加(7.7%増)の16,754百万円となりました。また、売上高に対する比率は、前連結会計年度の6.2%から5.9%へと0.3ポイント減少しました。
⑤ 損益の状況
営業利益は、販売費及び一般管理費と研究開発費の増加、減損損失の発生がありましたが、増収効果による売上総利益の増加によって前期比7,377百万円増加(14.3%増)の59,078百万円、売上高営業利益率は21.0%(前期比0.3ポイント増加)となりました。なお、為替の影響は、前連結会計年度と比較して2,456百万円の増益要因となりました。
税引前利益は、主に営業利益が増益となったことに加え、関連会社株式売却益が1,221百万円発生したこと、為替差損が前期比946百万円減少(42.7%減)の1,272百万円となったこと等によって、前期比9,170百万円増加(18.7%増)の58,117百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用が前期比10,547百万円増加(124.2%増)の19,040百万円となったことにより、前期比1,413百万円減少(3.5%減)の39,222百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが事業を展開していく上で、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2 事業等のリスク」に記載しておりますので、ご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金調達と流動性マネジメント
運転資金は必要に応じて短期銀行借入等で調達します。各連結子会社については、運転資金確保のために必要に応じて銀行借入を行いますが、国内の子会社については、2003年10月より当社と各社との資金決済にCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金の調達・運用を一元化して効率化を図っております。
また、当社は、現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+(シングルAプラス)の発行体格付を取得しており、毎年レビューを受けて格付を更新しております。高い格付は資本市場から資金調達する際の調達コストを低減するだけではなく、ステークホルダーや世間一般からの信用向上にも貢献します。今後も格付を維持・向上していくために、売上高・利益と資産及び負債・資本のバランスに考慮してまいります。
設備投資等の長期資金需要に関しては、投資回収期間とリスクを勘案したうえで調達方法を決定しております。当連結会計年度は、設備投資及び研究開発活動等の資金について、主に営業活動の結果得られた資金から充当しております。なお、設立を進めている事業所(バイオ診断薬センター)への設備投資の資金についても、主に営業活動の結果得られた資金から充当を予定しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて42,162百万円増加し、321,979百万円となりました。この主な要因は、営業債権及びその他の債権(流動資産)が9,482百万円増加したこと、無形資産が8,536百万円増加したこと、有形固定資産が7,506百万円増加したこと、棚卸資産が3,976百万円増加したこと、のれんが3,942百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて10,972百万円増加し、80,536百万円となりました。この主な要因は、未払法人所得税が4,801百万円増加したこと、営業債務及びその他の債務が4,203百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて31,190百万円増加し、241,443百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が26,446百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が3,877百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から増減がなく74.8%となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「1.業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
当連結会計年度におけるIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんを償却しておりましたが、IFRSでは、非償却とし毎年一定の時期及び減損の兆候がある場合にはその時点で、減損テストを実施しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,103百万円減少しております。
(研究開発費)
日本基準では、研究及び開発における支出は、全て発生時に費用処理しておりましたが、IFRSでは、資産計上の要件を満たすものを無形資産として認識しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価が499百万円増加し、研究開発費が3,448百万円減少しております。
(複数事業主制度)
日本基準では、複数事業主制度に対する特別掛金は、連結会社が負担すべき金額の拠出時に費用処理しておりましたが、IFRSでは、負担すべき金額が明確になった時点で負債認識し、その後の特別掛金支払時に当該負債を取り崩す処理を行っております。また、当連結会計年度において、連結会社が加入する複数事業主制度である厚生年金基金が解散しました。これに伴い、日本基準では、解散時に積立不足額を負債認識しますが、IFRSでは、日本基準と同様の処理に加えて上記の特別掛金に関する負債残高を取り崩しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、認識及び測定の差異として、売上原価が520百万円、販売費及び一般管理費が1,252百万円、研究開発費が339百万円減少しております。また、表示組替として、日本基準で計上される特別損失292百万円はIFRSでは売上原価68百万円、販売費及び一般管理費176百万円、研究開発費47百万円に組み替えております。